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小さくて凶悪な「レトロウイルス」が、人類を救うかも?

小さくて凶悪な「レトロウイルス」が、人類を救うかも?

ウイルスは、私たち人間の生活をたびたび邪魔する悪者です。細胞を持っていないので生物ではないとされることもあります。彼らは人間の体内に侵入しては、細胞に取り付いて自己を複製し、風邪などの病気を引き起こします。ですが私たちは、ウイルスに頻繁に悩まされている割に、そのしくみについてあまりに知りません。そこで今日は、YouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」が、ウイスルのしくみと人類に与えてきた影響について解説します。

シリーズ
SciShow
2016年11月28日のログ
スピーカー
Michael Aranda(マイケル・アランダ) 氏
参照動画
Retroviruses: Microbial Supervillains

ウイルスのしくみ

マイケル・アランダ氏 ハンス・グルーバーやヴォルデモート卿、ゾーグなどの悪役は置いといて、本当の悪役について見ていきましょう。正確には、人間の身体に対してのみの超悪者です。 彼らはレトロウイルスと呼ばれ、実際に宿主細胞のDNAに変化をもたらします。おそらくみなさんウイルスについてはよく知っていると思います。ウィルスはとても小さく、体内のほとんどの細胞よりもはるかに小さいバクテリアよりも、さらに約1000倍ほどの小ささです。 image1 これらの微生物は、遺伝情報を保存するために利用されるDNAやRNAを内部に少量含んだ、浮遊性のタンパク質殻です。ウイルスは、ウイルスの種類に応じて、特定の種類の細胞にのみ付着します。 ウイルスが必要とする細胞を見つけると、消化管を細胞に放出し、より多くのウイルスを機械的に生成するよう他の細胞に感染します。細胞内にあり、基本的には細胞生成器としての役割を担うリボソームは、ウイルスRNAを読み取り、アミノ酸を生成し始めます。 これらのアミノ酸は酵素となり、タンパク質で出来た殻とより多くのウイルスDNA、RNAを生成し、それらが一緒になってより多くのウイルスを形成します。新しいウイルスは細胞から吹き出てくるまで蓄積され、ウイルスが体内に放出されます。ウイルスはこのプロセスで、非常に高速に広がっていきます。 幸いなことに、私たちはウイルスが全てを占領してしまう前に、感染した細胞を認識して破壊するための抗体を作ることができます。しかし、ごく普通なウイルスでさえも細胞の健康にとっては非常に危険で、レトロウイルスは、それらのウイルスを束にする働きをします。 レトロウイルスは、逆転写酵素と呼ばれる酵素により非常に悪性の状態になります。逆転写酵素は、ウイルスRNAを読み取り、それをDNAに変換し細胞のDNA内へ挿入します。一度ウィルスDNAが細胞のDNAに入ると、細胞は新しいDNAをコピーし始め、レトロウイルスDNAが細胞に感染した後は、しばらくの間は休眠しています。 これらのウイルスは非常に多く生成されるため、それに伴い突然変異の機会もたくさんあると考えられます。これらすべてが、人の免疫システムがウィルスと戦うことを非常に困難にしているのです。

エイズのメカニズム

では、実際にヒト免疫不全ウイルスの例を見てみましょう。ヒト免疫不全ウイルスは、CD4と呼ばれる体内にある特定の種類の免疫細胞を標的としています。 image2 これらの細胞は、ヘルパーT細胞としても知られています。細胞に侵入した後、ヒト免疫不全ウイルスのRNAと逆転写酵素がヒト免疫不全ウイルスのDNAの列を作り始めます。そのDNAはCD4細胞の核に侵入し、細胞のDNAに付着します。 image3 それが細胞の遺伝的構成の一部であり、大混乱を引き起こす可能性があります。ときには、即座に損傷を引き起こすこともあります。それは感染した宿主の免疫システム周辺で複製されている間、何年もの間休眠状態に留まることがあります。 そして、ウイルスは最終的に感染した細胞を機能不全に追いやったり、時にはそれらの細胞を殺してしまうこともあります。免疫システムが損なわれると、人体はさまざまな危険にさらされ、ヒト免疫不全ウイルスは最終的に深刻で致命的な状態であるエイズへと進行します。 幸いにも、レトロウイルスには治療法があります。ヒト免疫不全ウイルスの場合、患者にはたいていの場合、ウイルスの拡散に対抗するために薬物のカクテルが与えられます。 image4 これらの薬物は、逆転写酵素の活性化防止、もしくはヒト免疫不全ウイルスの細胞内への侵入防止の作用があります。しかし、これらの薬物ではヒト免疫不全ウイルスの進行を遅くすることはできても、治すことはできません。

人類の進化にも影響を与えた?

治療がとても難しいとはいっても、レトロウイルスは人類の進化を助けていたかもしれまいと言われています。そして、我々はレトロウィルスを用いて病と戦うことすら可能かもしれません。 研究者たちは、ヒトゲノムを解析し、これをレトロウイルスゲノムと比較することにより、ヒトゲノムの1〜8パーセントがレトロウイルスに由来すると推測しています。これらのウイルスは何百万年もの間、私たちの祖先に感染し、DNAに変化をもたらしてきました。 これらのウイルス遺伝子のほとんどが不活性であり、私たちの生活に全く影響を与えないように変異してきました。しかし、いくつかの病、特に自己免疫疾患や癌などと密接に関係しています。うまくいけば、これらの関係についてより深く学ぶことで、研究者たちの新しい治療法の開発に役立つかもしれません。 また、レトロウィルスそのものを治療法として使用する方法について検討している研究者もいます。レトロウイルスは細胞のDNAを変化させることができるため、癌のような病気と戦うよう新しい遺伝子を挿入するために使用することができます。 しかし、レトロウイルスが細胞のゲノムに変化をあたえることは予測が困難なため、これらの治療にはいくつかの問題があると考えられています。例えば、別の遺伝子のど真中に新しい遺伝子を挿入すると、細胞内の重要​​なプロセスを妨害する可能性があります。 しかし、研究者らはレトロウイルスが特定の場所にのみ新しい遺伝子を挿入させる方法について研究しています。つまり、レトロウイルスが非常に危険と言われている能力が、最終的には強力な治療として活かせるかもしれないのです。

  

SciShow

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