世界中のユーザーと卓球で対戦

谷郷元昭氏(以下、谷郷):カバー株式会社の谷郷と申します。我々はVRを使ったソーシャルVRサービスを提供している会社です。

私の自己紹介ですが、もともとイマジニアという会社にいて、ゲームとか携帯サイト事業を統括した後に、@cosmeでEC事業の立ち上げ・企画。それから、前の会社では、スマートフォンの黎明期に日本で初めてGPSに対応した、お出かけサービスを提供している会社を運営していました。

ソーシャルメディアとか放送システムに精通したようなメンバーで開発を進めています。我々、Webとかモバイルがそうだったように、VR・ARに関しても新しいソーシャルサービスというものが、新しい体験と新しい市場を生み出す可能性があると考えています。

我々のミッションとしては、「VR/AR時代のソーシャルサービスを提供して、コミュニケーションの課題を解決していく」というところをミッションにしております。今、市場の現状としては、国内でもスマートフォンを中心に普及が期待できるんですが、当面は利用者数がかなり限定されるのかな、と考えています。

我々は、そこで、VRユーザー向けのソーシャルサービスと、あと非VRユーザーの方も楽しめるような視聴サービスを組み合わせて提供するようなかたちで展開しています。第1弾として、VRの卓球ゲームの「PING PONG LEAGUE」というものを、世界初の無料VR卓球対戦ゲームとして、Steamにて配信を開始しています。

こちらは、本物の卓球の対戦を世界中のユーザーとオンラインでできるようなかたちのゲームになっています。ハンドジェスチャーだったり、VRならではの動きを再現しています。

見ていただくとわかるんですけど、球の挙動も本当にリアルに(なっています)。まあ、スポーツの卓球とか、そういうレベルとは少し違うようなかたちで、VRで表現できているのかなと思います。

また、これは、体育館の中を歩いていただいて、バスケットゴールなんかも楽しんでいただけるようになっています。

我々の現状の実績としては、Steamで配信させていただいているほか、アーケード版等の稼働も行っております。今後は、ほかのスポーツゲームやフィットネスも含めて、ソーシャルフィットネスサービスとしての展開を検討しています。

また、現在はこのVRオンライン対戦ゲームの開発ノウハウと、我々が持っているUGCサービスや放送システムの開発経験を活かして、VRライブ配信サービスというものを今も開発しております。こちら、3月末ぐらいにはお披露目できるかなというかたちで目下開発しております。

我々、今後のロードマップとしては、デバイスの普及というものが、今後順次スマホ向けのVR、スマホ向けのAR、そしてVRとARの統合などが進んでいくというふうに考えています。そういったデバイスの普及を見据えたうえで、今、先行者だからこそできるような、ネットワーク効果の高いような対戦ゲームだったり、あるいは、ユーザージェネレーテッドコンテンツ系のUGCサービスなどを展開して、進めていきたいと考えています。

我々、VR/AR時代のソーシャルサービスを提供して、コミュニケーションの課題を解決していくことを目標に進めています。よろしくお願いいたします。

(TechCrunch Japan賞を受賞)

大熊希美氏(以下、大熊):VRは今けっこうハードウェアとかも出てきて、いろいろサービスも立ち上がってきて、すごく熾烈な競争がある分野かとは思うんですけれども、日本発でソーシャルVR大きく発展させていく契機になってくれたらと思います。おめでとうございます。

(会場拍手)

ロボットを使った手書き風の手紙の代筆サービス

佐藤博氏(以下、佐藤):私のほうは表題にありますように、ロボットを使って手書き風の手紙の代筆サービスをするという事業を開発しております。

なんでこんなところに来たのかという経緯なんですけども。僕の知り合いに金融系の営業の方がいて、お客さまに対してお手紙を毎回出すことによって、すごく業績がよろしい。それは、若い方ってなかなか実際の筆記具で手紙を書くっていうことができない、そういうことで非常に悩まれている、と。

もちろん手紙をもらったほうからすると、「え、わざわざ私に手紙くれたの? すごい、この人」という感じで商談が進んでいく。こんな事業を作りたいということで、開発を進めております。

で、やっぱり「お客さまが本当に受け入れられるものってなに?」っていう、これが私は一番怖いので、まず一旦MVP、市場検証用のプロトを作りまして、これでPAAKのほうに入居させていただいて、実際にこうやって手紙をコツコツと書いてまいります。

真面目にやりますんでね、24時間飽きずにやるので助かるんですけども。楷書体しか書けないということで、これをふまえてPAAKでサポートいただきながら、お客さまの声の検証を始めました。500 StartupsさんのサポートでFBに上げていただいたら、1週間で1万ビュー超えちゃったというところで、みなさんの反応としては悪くはないな、と。

ある銀行の方だと、「めっちゃほしい」という言葉までくれています。手応えとしては十分ということで、当初予定していたところをさらに拡大をしています。お客さまに手紙を書かれている、そういう営業コミュニケーションをされている方って、みんな同じことで悩んでいらっしゃる。これは“ピンポン”だなということ。そして、先ほどお見せしたように、提供サービスはこれでいいかなということでいきましたらば、「いや、もっと下手な字がほしいんだよ」「生くさくしてくれないかな」と、もっともなリクエストをドンともらいました。

このPAAKでの活動ですと、作り込みをしてますけども、併せて、お客さまの声を聞かせていただくとすごくありがたいのは、「いや、文字だけじゃなくてね、手紙の文案も考えてくれない?」とか。

(会場笑)

佐藤:あるいは、よくいますよね、「イラストとかカットがほしい」とか。おふざけレターなんか出したりするとすごいおもしろい、と。生保の方だと、契約をされた後にやはりお礼状を出しますので、そういう時に、季節に合ったものを出したりすると大変喜ばれるということで、ニーズもわかってきました。

やはり、「年賀状をぜひやりたい。コンシューマ向け、うちにやらせてよ」というパートナーさんが見つかってきたり。この後ですけども、まだ完成してないんですが、ちゃんと下手くそなアルファベットを書くという原理は確認をいたしました。これを、なんとかして予算を取りまして、漢字かな混じりの文を書きたいというのが、現在の進捗状況でございます。

これをふまえて、がんばりましたので、このアーキテクチャの特許を今書いている最中です。その中身を出して公開をしようということと、やはり1人でやっていますと、非常に意見も振れますし、自信もなくなったりするんです。創業メンバーとファンディングを得たうえで、とにかく早い段階で市場に投入をしていきたい。

わかりますよね? Pepperがしゃべり、「変なホテル」がウケちゃう。「やるんなら今でしょ」というふうに、私は考えております。そういう意味でいろいろ、麻生さん含めてPAAKのみなさんにお世話になりまして、この半年、本当にありがとうございました。以上です。

(Slush Tokyo賞を受賞)

アンティ・ソンニネン氏(以下、アンティ):だいたい審査員の全員が「とにかくほしい」。しかも、Slush Tokyoのブース出展の時に、実物を見れるのはすごく楽しみです。

佐藤:持っていきます!

アンティ:ありがとうございます。

(会場拍手)

妖精のいる日常

梅津義孝氏(以下、梅津):音声アシスタントをドローンのように飛ばすプロジェクト、「Fairy720°」の梅津と申します。よろしくお願いします。

デモ動画です。このように、天井から音声アシスタントを紐で吊って、モーターでコントロールしているようなかたちになります。基本的には、Amazon Echoと同じようなかたちなんですけど、今のように音声だけで音楽の再生もしくはテレビのオン・オフなど、といったことが可能になっております。

なんで飛ばすのかというと、顔の目の前まで来てくれるので、とても小さな声同士で会話・コミュニケーションができるので、非常に快適なコミュニケーションが可能となっています。また、もちろん耳の近くまで来てくれるため、耳が聞こえにくいお年寄りにも会話できるような設計になっています。

よく聞かれるのが、「普通のドローンでいいんじゃないのか?」っていうのは、ドローンだとやっぱりノイズがとてもうるさいということです。このように利便性の面でアップしているのですが、こちらのプロダクトの本質はやはり「妖精のいる日常」。

(会場笑)

梅津:想像してみてください。ふだん暮らしているリビングに、意識しなくとも視界のなかに浮遊物が入ってくる。

単にディスプレイにキャラクターが映るのではなくて、部屋の中360度が全部ステージ、丸ごとステージになっています。で、フェアリーならではの使い方としては、例えば、顔にペチペチとぶつかってきて朝起こしてくれたりとか、もしくは、「VR空間で冒険に行こうよ」と誘ってきてくれたら、「しょうがないなあ。一緒に行ってやろう」ということで、一緒に遊びに行く、と。

(会場笑)

梅津:ほかにも、感情表現も動きで可能になっております。例えば、肯定であれば縦、否定であれば横、怒っている時はミツバチのような。で、ツンツンしてる時は逃げて、デレデレしてる時は近寄ってきます。

6ヶ月の進展です。経産省のプログラムに選ばれて、South by Southwest(SXSW)に展示してきました。スペインの映画監督から部屋の中の空撮のニーズがあったりとか、企業から「一緒にやらないか」と言われたり、手応えを感じることができました。また、母校東工大から学生がインターンとして一部ジョインしてきたことも、とてもうれしかったです。

チームメンバーです。私と太田さん、2人とも自衛隊出身というなかで、シェアハウスに共同で暮らしながら、黙々と開発をしております。

今、目の前にない新しいリアルを作るということで、PAAKのみなさんはとてもそのような人たちだったので、今までとても気持ちよく開発できました。ありがとうございました。

(マイクロソフト賞を受賞)

澤円氏(以下、澤):まあ、文句なしというかですね。世の中には2つしかないんですよ、おもしろいか、おもしろくないか。どんなに高尚な提案をしてくれるのかと思いきや、妖精ですよ!

(会場笑)

:妖精を一生懸命語ってるっていう。さっき名言だったのは、「一般の人には、妖精が肩に乗るってハードル高いじゃないですか」って、「なんだよ、それ!」って。

(会場笑)

:その後に、サラッと「私、防衛大出身で自衛隊」って、もうズルすぎますよね。ちょっと持っていかれた感がありますけれども、その特異なキャラクターを活かしていただいて、明るい未来、まあ、なにに役立つのかよくわからない感がまたTECH LAB PAAK感があって最高なんですが。

(会場笑)

:でも、なんか幸せになる人がたくさんいるんじゃないかなと思いますので、かなり今後も期待しております。ありがとうございました。

社会にもっと“声の温かみ”を

緒方憲太郎氏(以下、緒方):みなさん、よろしくお願いします。

我々は「世の中に新しいものを生もう」ということを考えて、「誰もやってないことをやろう」と始めたスタートアップです。

とにかくいろいろな情報を目で取得している人が多いなかで、もっと五感をくすぐるもの、もう1つ新しいものを作ろう。耳、声というものにはもっと可能性があるのではないか、ということを考えて、声に照準を合わせたサービスを作っております。

我々のサービスは「Voicy」という名前で、「世の中を全部Voicyに変えてしまおう」というビジョンでやっています。

まず、声というものをイメージした時に、声にはいろいろな機能があります。例えば、コミュニケーションをするとか、情報伝達に使う。それだけじゃなくて、ほとんどのサービスはこの2つで作っていると思います。

ただ、そこには表現力があり、また、その人が出しているからこその感性だったり、個性や人間性がある。モノがしゃべってしまったら、そのモノが生きているように見えるし、「あ、この人の声なんだ」と感じることもできる、個人の一次情報の最小単位だというふうに考えています。

この声の温かみを、社会のいろいろなところに入れていくことができないか。我々はいろいろなインフォメーションを体温のある情報として、そして、その感性をテクノロジーとかけ算をしたうえで、新しい文化を作れないかということを考えております。

サービスの第1弾は、去年の9月にリリースして、3月15日に大きくリニューアルをさせていただきました。

ここでは、今まである声の個性や人間性をまず活字メディアに付けようということで、活字のコンテンツ1社1社を口説いたんです。「おたくの記事を、もっといろいろな人がいろいろな読み方をしたらもっとおもしろい」と。

それから、それはまったくそのままきれいに読むだけじゃなくて、感想をつけてもいいし、変な読み方をしてもいい。方言をつけてもいい。そのなかで、いろんな通り方をしながら人に伝わる、と。その表現の可能性を作っています。

リリースしているアプリは大きく2つ。1つは、どこでも手軽に録音できるように、スマホでその場ですぐ記事をとってきて、自分で読んで録音してその場で配信するということを、15分の放送を20分あったらできるぐらい簡単にできたレコーダーと、それをいつでもどこでも手軽に聴くことができるというプレイヤーの2つです。

9月23日にリリースして、TECH LAB PAAKに入って5ヶ月。ここで我々は、先週ロゴを大きく変えて、アプリも大きく変えました。このなかで、提携メディアは大きく8社から25社、また、パーソナリティも大きく数倍に上がっています。

とくに、アプリに滞在する人がだいぶ増えてきたというところが大きいと思います。今ほとんど目で(時間の)とり合いになっているなかで、耳であればもっと多くの時間を拘束することができる、というふうに考えています。

このように新しい文化を作るなかで、我々が今、ミッションとして考えていることは、バズらせることよりも、おかんの味噌汁のような、ジワジワと喜ばれるようなものを作ること。「LIKEじゃなくてLOVEを増やそう」それをとにかくキャッチフレーズにがんばっています。

そのなかで、とにかくユーザーに近くなるように、パーソナリティへブログやメルマガを打ったり、いろいろ感想を聞いて、さらに感謝祭などをしたりしています。

今回、進捗報告会ということで、このパーソナリティ感謝祭をこの会場でやらせていただきました。

どれぐらいLOVEが詰まっているかというと、我々の感謝祭の後、ユーザーが出してくれているムービーがこういうものだったりします。

(動画が流れる)

これは我々が作ったものではなくて、ユーザーが作ってくれたたくさんのムービーのなかの1つなんですけれども、自分たちのメッセージがすごく届いたかたちで作ってくれたなと思って、今ここで使わせていただいています。

こういうかたちで、これから我々はいろんなものにもっと声を入れていき、その声の可能性をもっと使いながら、さらに「こういう人にはこういう声がいい」とか、「こういうデータがあったら、もっとこんな世界が起こるんじゃないか」とか、そんなことをいろいろトライしながら、新しいサービスを次々に出していきたいと考えております。

会場も貸していただき、より我々が進むのに役に立って、今回感謝しております。リクルートのみなさん、ありがとうございました。みなさん、ありがとうございます。

(TECH LAB PAAK賞を受賞)

麻生要一氏(以下、麻生):声で文化を作る会社なんですよ。文化を作る会社って、プロダクトもそうなんですけど、会社自体に魅力がないといけないタイプの事業だと思うんですけど、めっちゃいい会社なんですよ、Voicy。

チーム最高だし、文化最高だし、緒方さん最高だしっていうことなので、文化を作る会社としてこんなすばらしい会社が作っていったら、きっと声の時代が来るんじゃないかという可能性を、僕はすごく感じています。それをみなさんに主張したいということで、選ばせていただきました。がんばってください。

(会場拍手)

ハンドメイドに特化したWebメディア

大野拓海氏(以下、大野):よろしくお願いします。株式会社クラフルの大野と申します。

僕たちは、ハンドメイドに特化したWebメディアをやっていまして、ハンドメイドの新しいアイデアとか作り方を多数掲載している、そんなWebメディアをやっています。ここで言う「ハンドメイド」というのは、いわゆる手芸やアクセサリー作りだったりとか、DIY、工作など、趣味で行うものづくり全般を「ハンドメイド」と僕たちは呼んでいて、ここの領域にフォーカスしています。

今まで、ハンドメイドに特化したWebメディアやプラットフォームがほとんどなくて、「ハンドメイド作りたいな」と思った時に、なかなかアイデアとか作り方と出会えないという課題がありまして。僕たちはこの課題を解決して、1人でも多くの方に手作りとかハンドメイドのよさを体験していただきたいな、と思ってがんばってます。

僕たちのメディアでは、ハンドメイドのアイデアや作り方に関する記事を、毎月100本ぐらい配信しておりまして、ユーザーの成長率というところで言うと毎週10パーセントぐらいをキープしています。PAAKに入居する前、月間のMAUが20万ぐらいだったんですけど、今だいたい50万ぐらいまできています。

ビジネスサイドの成果なんですけれども、2ヶ月前にシードの資金調達として、4,000万円の資金調達を行いました。また、ビジネスモデルなんですけども、今、商品の販売と、広告というモデル、あと今、有料会員というモデルを作っていこうと思っています。

ここで言う商品販売のモデルというのは、僕たちが独自に企画・販売している、ハンドメイドの初心者向けのスターターキットがありまして、それをユーザーに単純に購入してもらうというモデルですね。

また、広告に関しては、僕たちのプラットフォームを使ってもらっているユーザーが、もうほとんどこういう属性に偏っているので、こういったユーザーにターゲティングしたい広告主に出稿していただいている、というような状況です。

僕たちが狙ってるマーケットなんですけども、ハンドメイドというのは、5,000億円を超えるけっこう大きいマーケットでして、ただそのなかで、すごくレガシーな業界で、ITによっていろいろリプレイスできるような可能性があるなと思って。

具体的に言うと、雑誌・書籍はWebメディアに置き換えていって、材料・道具の購入っていうのを路面店からeコマースへ、また、学びの場というのを、リアルなカルチャースクールからオンライン講座に置き換えていって、もっとハンドメイドを効率的に楽しく学べるような機会とか、体験できるような機会を増やしていきたいなと思っています。

最後になんですけども、僕たちはPAAKに来る前に大阪を活動拠点としてたんですけど、こちらに来てPAAKに入居して、東京を中心に活動していって、ユーザーとか組織を拡大していきつつ、また、資金調達もできて、さらに、ここのコミュニティに参加して、いろいろなスタートアップたちと知り合いになって、切磋琢磨できて、非常にありがたいなと思っております。

僕たちは、ハンドメイドがもっと楽しくなる場所作りをしていきたいな、と思っております。プレゼンは以上になります。ありがとうございます。

(オーディエンス賞を受賞)