docomo、KDDIを頭ひとつ突き放した

孫正義氏:皆さんこんにちは、孫でございます。よろしくお願いします。

最近もいろんなニュースで賑わせておりますけれども、つくづく自分でも思いますのは、非常に楽しい人生を過ごさせていただいているなあ、ということであります。

毎日いろんな出来事は起きますけれども、非常に嬉しいのは、自分で操縦席に、運転席に座っていると。そして、ハンドルを右に左に、あるいはアクセルやブレーキを自らの意思で踏める、というのは非常におもしろいことですし、人生の喜びを感じるというところであります。

今日はこれから業績の発表を行いますけれども、会社の業績は非常に順調に推移しております。また、いろいろな選択肢が世の中には常にあるわけですけれども、私の頭は今フル回転しておりまして、様々な選択肢を常に考え続けているわけであります。非常に経営っておもしろいなあ、ってつくづく思います。

それでは早速、内容に入りたいと思います。まず、連結の業績であります。

売上高、ご覧のように順調に伸びております。

他社との比較ということですけれども、これまでは国内のdocomoさんあるいはKDDIさんに、いかに追いつくか追い抜くか、ということに一生懸命心血を注いでおりましたけれども、ひとつ頭突き抜けてきたかな、と思っております。

償却前の営業利益、EBITDAですけれども、こちらのほうも順調に伸びております。また、こちらのほうも他社との比較で見て、非常に順調に頭ひとつ突き抜けてきた、というふうに感じております。

減益も、事業の本質としては非常に好成績

会計上の営業利益は、16%減というところであります。ただよく見ていただきたいのは、去年の今日現在も申しておりましたけれども、(昨年度の)第一四半期としての営業利益、それはガンホーの子会社化に伴う一時益を含んでおります、というふうに去年から何度も繰り返し申しておりました。

一時益というものは毎年あるわけではありませんので、一時益の部分を外して見てみると、つまり一時益部分無しの、いわゆる本業の順調な推移ということでいうと、実質的には35%の増益であったということでございます。

この経常的な経常利益、恒常的な経常利益の部分で言いますと、他の2社に比べて、頭ひとつ突き抜けてきた、というふうになります。

次に純利益のほうも、会計上の利益では、68%減。ソフトバンクもいよいよ減速したかというふうに見えるわけですけれども、こちらも先ほどから申しておりますように、ガンホーの子会社化に伴う一時益というものを外して考えると、このようなチャートになります。

それでも減益じゃないか! というふうに思われるかもしれませんが、これも一歩深く見ていただきますと、

実は一時的なIFRS(国際会計基準)上の調整益として、この黄色い部分ですね、アリババが近々上場すると、いま上場の申請の手続きを行っている最中ですけれども、そのIFRS上の調整部分として、一時的にマイナス計上が今期に行われます。

マイナスというと、今期アリババは赤字なのか! というふうに思われるかもしれませんが、そうではなくて、単なるIFRS上の期ズレ、調整の部分がここで生じているということでございます。

このIFRS上の期ズレの部分、今回マイナスとして計上される部分は、次回、近い将来、アリババは上場したら、その時点でもう1回繰戻しになる部分でございますので、単なる期ズレだとご理解していただきたいと思います。

その期ズレの部分の一時マイナス部分というのを繰戻して考えますと、いわゆる本業としての恒常的な利益としては、90%の増益であったということでございます。ですから、事業の本質部分としては、非常に好成績であったと我々としては喜ばしく思っております。

1,030億円のマイナス調整は、会計上のテクニカルなものにすぎない

じゃあアリババ部分のマイナスってなんだ、っていうふうに疑問に思われるかもしれませんので、ここで少しだけ解説をしておきたいと思います。

アリババは米国会計基準で見ますと、この第一……第一になるのかな? まあ、今回の四半期部分というのは、純利益、黒字であったと。336億円の黒字であったということは先日発表されております。

じゃあ、それが何故マイナス計上されるかというと、これは、去年か一昨年か、アリババが米国ヤフーから株式の買戻しをするために、資金調達をすると。その時に、転換優先株というものを発行しております。この評価価値が増えておりますので、それが債務の増大というかたちで計上されて……まあ、米国会計基準では債務の増大というふうにはならないんですけれども、IFRS上の調整ではなってしまうと。

会計上の非常にテクニカルな部分なんですけれども、これで一時的に1,030億円のマイナス調整が入っている、ということでございます。

したがって、その益の部分とマイナス調整を足すと、653億円分のマイナスが、持分法損益としては出ている、ということでございます。

ただしこの部分、マイナス調整される1,030億円というのは、そのまま同額で、アリババのIPO時に繰戻しされる金額でございます。まるまる同額が単なる期ズレというかたちで繰戻しされます。プラス、アリババが上場した時に、一部株式を売却しますので、ただしソフトバンクは売却しませんが、みなし売却益というものがその時にたつかたちになります。

したがって、このIPO時の利益計上予定、これまた、私のあまり好きではない一時益というものが、アリババのIPO時に、国際会計基準上としてはみなし売却益がたつ予定になっております。

まあこの話はあくまで会計上の話ですから、私にとってはどうでもいいレベルの話なんですけれども、一応、これが今回の1,030億円の調整が入る、ということでございます。

その調整部分を除くと、先ほど言いましたように一時調整を除けば、本業部分の純利益は90%の増益であったということでございます。これが業績のサマリーですね。

売上8兆円、営業利益1兆円

じゃあ、ソフトバンクの純有利子負債、これをEBITDAで割り算したその比率はどうなっているか、ということですけれども、これも3.1倍ということで、健全な範囲。ボーダフォンの買収直後というのは6倍を超えていたわけですけれども、これも健全な範囲で推移しております。

また個人向けの社債、ホークスボンドというものを今回発行しておりますけれども、3000億円分が、年利1.45%ということで、非常に好条件で順調に調達が推移しているということでございます。

ということで、我々の業績は年初に発表しております通り、売上が8兆円、EBITDAで2兆円、そして一時益を抜きに考えて、1兆円の営業利益が出ると。8、2、1ということで、シンプルな数字。これは年初に発表している通り、予定通り、順調に推移しているということでございます。