快適な通勤に向けた取り組み

小池百合子氏(以下、小池):みなさんこんにちは。それでは定例記者会見を始めさせていただきます。まず、ご協力いただいております、東京大会オリンピック・パラリンピックのメダルの材料となります、都市鉱山。8日間で4,600個を超えるご協力をいただいております。

そしてお持ちいただいた方には私からのお礼状というか、お礼カードをお渡しするということでございます。引き続きご協力のほどお願いを申し上げます。

今日は、私どもから5つご報告をまずさせていただきたいと存じます。まず、満員電車の混雑の緩和に向けまして、「快適通勤ムーブメント」、これを実施することといたしました。

満員電車の混雑緩和というのは社会の生産性向上のためには重要な課題であります。そこで、多くの方々に快適な通勤を体験してもらう、効果を実感してもらうということを目的に快適通勤ムーブメント、これを今年の夏から実施をすることといたします。このムーブメントへの参加について広く呼びかけを始めていきたいと思います。

2020年の大会を見据えて継続的に実施をしていくことといたしております。これは具体的には鉄道を利用する方々、民間企業のみなさんに時差出勤、フレックスタイム、テレワークなどをお願いをすると。それと鉄道事業者の方々には、例えば協力してくださる方にはポイントを付与して、それで豪華景品が当たるとか、いろいろ工夫をされておられます。

それから、混雑の見える化などに取り組んでいただくということを期待しております。また、こうした取り組みに積極的に参加される鉄道事業者や民間企業のみなさまに対しましては、表彰制度を設けるといったことを考えております。

ゴールデンウィークの前後に、「快適通勤プロモーション協議会」、これは関係者の方々にご参加いただいて、それをベースにしていろんな知恵を出し、そして快適通勤ムーブメントへの協力を呼び掛けてまいります。

それから、物理的に輸送力の増強などのハードの整備も重要であります。例えば小田急さん。小田急線では来年3月に、都の連続立体交差事業で、これと一体となりました複々線化が完成するということ。

それから西武鉄道では、ベビーカーなどをお使いの方々がそのまま安心安全に利用できる、「パートナーゾーン」というそうなんですけれども、ベビーバギーを押しながらそのまま入れるといったような新型の通勤車両が、今年3月、来月ですけれども導入されるということで、ハードとソフトと、それから利用者と事業者、それから企業や組織ですね。

例えばフレックスタイムを導入するであるとか、テレワークを導入するであるとか、主体となる方が非常に多いんですけれども、そこをつなぐ協議会を作るという、こういうご報告でございます。

教育管理職の不足

2番目でありますけれども、教育に関してであります。3月の9日に今年度で3回目の東京都総合教育会議を開催いたしますので、そのお知らせであります。テーマが教育管理職の確保について、ということであります。これ実は、深刻な問題となっておりまして、都内の公立学校、とくに小・中。副校長のなり手が不足をしている事態であります。

女性教員が今全体の5割強を占めるようにもなりました。一方で、管理職専攻の受験者が少ないと。教師はするけども、管理職にはなりたくないという方も多いという現実であります。

そこで通常のメンバー、つまり私と教育委員会のメンバーに加えまして、現場の方々にもお話を聞こうということで、5名の都内の公立小・中学校の校長、副校長、教員の方々にご参加いただくということで、教育現場についてお話をうかがうこと。それをベースにして、解決策を、方向性を見出していきたいというものでございます。

ちなみに東京大改革の一環で都庁の職員のご意見・ご提案をうかがう目安箱、これは都庁の職員としての先生なので、ほとんどが都立高校になります。そこからも目安箱によせられる件数は極めて多いです。

教育現場におけるさまざまな悩みを直接私のところに届いております。教育の現場、教育の中身もさることながら、教職員の人たちが働く環境をしっかりと整えていくことが必要かと思います。

東京の島々を観光資源に

3番目でありますが、島の課題であります。東京には素晴らしい島々が宝物のように、あちこち位置しているわけでございますけれども、そこをもっと、磨きをかけようということで、東京宝島推進委員会の開催をいたします。

素晴らしい景観であるとか、ホエールウオッチングができるとか、海洋資源も恵まれておりまし、くさやとか特産品などもあります。こういった、宝物のようにあふれている宝島をもっとブラッシュアップしていこうということで。ブランディング、マーケティングの専門家から成ります東京宝島推進委員会を立ち上げることといたいます。

これによって島しょの活性化を図るというものであります。

メンバーについては、ご覧のとおりでございまして、1回目の委員会は3月9日の木曜日に都庁で開催することといたしております。

島の方々は素晴らしい自然であるとか、素晴らしいいろんな文化を毎日住んでいると、意外とこんなものだと思いがちですけれども、意外と実は大変な宝物だというふうに、いろんな専門家から、そういった宝物を掘り起こして、マーケティングして、ブランディングして、とういうことで島嶼地域を活性化していきたいという考え方であります。

ちなみに私、沖縄担当大臣をしておりまして、39の有人諸島があるんですけれども、それぞれから同じように名産品を掘り起こして、磨きをかけてといことはすでに行っておりました。

チーズとかミミガーとかいろいろ沖縄の素晴らしい物産をより磨きをかけて販路を確保するといったようなことをこれまで沖縄担当時代にやっておりました。それの東京の島版であります。

燃料電池式の都営バスが運行開始

それから今度は、ガラリとテーマが異なりまして。日本で初めての市販車での燃料電池バスによる都営バスの運行開始についてお知らせをいたします。交通局でありますけれども、これまで燃料電池バスの技術開発に協力をいたしてまいりましたが、それがいよいよ実を結ぶということであります。

それで市販化される燃料電池バスを2台導入をしたところでございますけれども、これを運行開始に先立って3月6日の月曜日にバスの整備場、そして水素ステーションも視察すると同時に、このバスに私も試乗しようと。みなさんもどうぞお乗りください。

営業の運行日ですけれども、3月21日の火曜日から。東京駅から銀座、勝どきなどを経て東京ビックサイトに至るルートでとなります。この燃料電池バスの導入見通しでありますけど、2020年。つまり東京大会、都営バスを含めまして、100台以上の燃料電池バスの導入を目指しております。

まさにスマートシティの実現の一端を担ってくれるかと思います。都営バスについては最大70台の導入を目指しております。

首都大学東京の人事について

5番目でございます。公立大学法人 首都大学東京の理事長の人事についてお知らせいたします。これまで勤めてこられました、川淵三郎現理事長、任期が今年の3月をもって満了となっております。

ここで後任といたしまして、慶應義塾大学の名誉教授の島田晴雄先生を任命することといたしました。島田先生は国際派のエコノミストとして幅広く活躍されていて、そしてまた千葉商科大学の学長のご経験もお持ちでいらっしゃいます。

大学の経営についてもすぐれた見識をお持ちであるということから、今回の就任への要請になりました。上野学長と協力をしながら、国際都市東京ととしての強みを生かして、首都大学東京ならではの魅力をさらに高めていくことを期待するところであります。

尚、川淵現理事長ですが、この4年間たいへんご尽力をたまわりました。改めて感謝を申し上げたいと存じます。担当は総務局でございます。

以上、私からのご報告は以上の5点とさせていただきます。

プレミアムフライデーに言及

記者1:幹事社朝日新聞のオカです。まず冒頭にありました「快適通勤ムーブメント」なんですけれども、ここで挙げられている、例えば時差出勤というのは、これまでも呼びかけられてきてはいるんですけれども、混雑緩和の実感が広がっているかと言えば必ずしもそうではないかなと思うんですが、そういうなかで実効性を上げていくためには、これまで以上になにができると、なにをすべきだと具体的にお考えでしょうか。

小池百合子氏(以下、小池):まさしくそれが今回設けることになりました協議会のテーマになります。

おっしゃるように、いろいろと制度があるけれども、実際にはそれが有効に活用されていないということだと思います。まあ、育児についてもいろんな制度があるんですけれども、じゃあ実際それを使える働き方になっているかというとそうではない、というのと似たような状況かと思います。

今日ちょうど、プライ……なんでしたっけ、プレミアムフライデーですか。クールビズもそうなんですけど、上から変わらないとこの国は変わらないんですね。それから、これを一斉にしないとこの国は変わらないんですね。「せーの」でやらないとね。「うちだけ」っていうのは、なかなか、そういうふうに日本の企業や組織というものは動かないというのが1つの日本の象徴のような気もいたします。

ですから、いろいろある制度、それからハードですね。例えば先ほどの複々線化もしかり、それから信号の時間をより短くするのがどこまでできるのか、安全なのか、といったような点。それから、フレックスタイム、もしくは早朝に出勤することを、例えば伊藤忠などは朝食を用意しているとかありますよね。だから、あらゆる施策の総動員じゃないでしょうか。

みんなで同じ時間に乗って、みんなでギュウギュウして苦しむよりは、みんなで工夫して快適に仕事に励みましょうという環境づくりというのは、互いをまずコミュニケーションをよくして、結論を出すということだと思っております。

オリンピックにおける都の負担

記者1:2問目です。2020年オリンピック・パラリンピックの仮設の費用負担についてですけれども、施政方針演説で知事は「都も負担することも排除せず」というふうに述べられたんですけれども、一方で国も、あるいは都外の開催自治体も負担には後ろ向きという状況です。

この負担の議論を進めるために、組織委員会の部分を除いて2,000億とも言われていますけれども、そこの部分を丸抱えするというような覚悟もおありということでしょうか?

小池:「丸抱え」という表現がどこまで指しておられるのかわかりませんけれども、例えば今、事務方で詰めている数字というのは、例えば輸送であるとか警備などの大会運営にかかる事項まで、どのような数字が出てくるのか、ということを詰めてもらっているわけでございます。

費用負担にかかる三者協議について、そこで最終的には決めていくわけでありますけれども、今、その現実にどれぐらいかかるのかという数字をテーブルに出している状況であります。

この作業が進むスピードと、それから実際にそれを前に進めていくということと、両方をパラレルに進めていかなければならないと思っておりますが、その際に「誰が負担するんだ」と言ってみんなが竦み合っているよりは、まず東京都として主導的な役割を担う責任から、今回の「排除しない」という表現につながったものであります。

それぞれ、これによって本来は組織委員会が負担する仮設の部分でありますけれども、現時点では、組織委員会のお財布の中身は5,000億と聞いています。プラスアルファについてはまだ、具体的には聞いておりませんけど、ぜひここのところも伸ばしていただきたいと思いますけれど、仮設などについて東京都の負担ということをしっかりとお伝えをしたところであります。

今後の協議、今後の負担についての受け方などは、まさしくこれから詰めていくということになります。

でも、これによって各県のみなさま方も、いろんな記者会見などを通じておっしゃっているように、「まずは1つ前に進んだ」という、そういう感覚が共有できているというのは1つ効果があったのではないかと思っております。