メートルの歴史

ハンク・グリーン氏:1メートルは、だいたいこれくらい。メートルは、科学者に、また世界中のほとんどの国で標準的に使われている国際単位系です。メートルは、任意につけられたものに思えるかもしれず、もちろんそうなのですが、その定義は過去2~3世紀の間に注意深く吟味され、より正確にされました。

長い間、諸国はさまざまな種類の単位を使っており、それは例えば、腕の長さで、キュビットと呼ばれたり、英語ではヤードと呼ばれたりしました。

ところが、18世紀頃、フランス科学協会はいくつかの測定を基準化することを発表しました。長さの基本的な単位をどのように定義するかについてはいくつかのアイディアが出ていました。

そのうちの1つは、1秒間に振り子が片方からもう片方へ振れる振れ幅でした。どれほどそれが優れていてもこのアイディアは採用されませんでした。なぜなら、重力の作用は地球のどこにいるかによってわずかに変わってしまうので、それが振り子の触れ具合に影響するからです。

代わりに、この単位はわずかに地球の円周上で、とりわけ、赤道からパリを通って北極までの距離を1,000万で割った単位を決定しました。研究グループは、ちょうどフランスのダンケルクからスペインのバルセロナを測って終わりにしました。多少の幾何を使って、彼らは総距離を見積もりました。

しかし、彼らは地球が自転するときにどれほど歪むかを考慮に入れていませんでした。そのような誤りにも関わらず、その距離を、現在長さの単位となっているメートルとなっているものを測り出すために使いました。

1799年には、フランスがその長さの白金の棒を作り出し、それはメートルの記録と呼ばれました。白金は原子核内部の粒子を流出させたり、たやすく反応したりすることは、ほぼないのです。それは良いことでした。なぜなら、その棒が,ちょうど鉄が錆びるように、時と共に縮んだり、構成が変わって欲しくなかったからです。

しかし、白金は少し柔らかく、また、多くの金属のように、気温によって伸縮するのです。これらの緊急の問題だったわけではありませんが、メートルは次の世紀にはより広く採用されるようになりました。

長さは同じでも定義は変わり続ける

1875年までには、異なる17の国々であらゆる計測に関与した物事を扱う機関である、国際メートル協会でメートルの取り扱いに関し、同意が得られました。もちろん、誰もが自身の公的なメートル棒の複製を欲しがりました。それで、1889年には各国は、より安定して、硬くなった白金とイリジウムの合金で作られた国際的なメートル棒の原型を受理しました。

また、あらゆる気温の影響を扱うために、公的な計測は零度で定義されました。これらすべてが、その棒を非常に信頼性の置けるものにし、この定義はほとんどの人類の活動に十分に適していたのです。

しかし、人類の活動に十分適していても科学においては十分ではありませんでした。科学者はまだ満足していませんでした。なぜならメートルが標準的な、世界的な量としては定義されていなかったからです。

ちょうど、もしあなたがメートルを異星人に説明しようと思うなら、彼らは地球の赤道から北極までの近似値を知る必要があり、それでは不便です。

時が経ち、その代わりに人々の中には光の波長を提案する者が出ました。彼らは光ははるかに基準に相応しい、なぜならそれは宇宙中に存在するから、と主張しました。しかし、異なる源から発せられた光には異なる波長があります。

すべての電子には例えば、エネルギーを吸収しそのエネルギーを放出する粒子があります。それで科学者は異なる要素から発せられた光を見て、波長にほとんど変化がないものを選ぼうとしたのです。鋭く、クリプトンによって生み出されるオレンジーy光、すなわち1分子エネルギー変移のクリプトン86と呼ばれるものを選びました。

1960年には重さと計測に関する第11回全体会議においてメートルは再定義され、真空でクリプトン86から出る光の波長の1,659,763.73倍と再定義されたのです。メートルの実際の長さはまったく変わっておらず、ただ定義が変わったのです。

しかし、そこで終わりにしませんでした。光についての理解が進むにつれ、光をもっと、もっと正確に計測できるようになりました。そしてより基盤となるメートルの定義の仕方があるということを理解したのです。

そうです、真空に置ける光の速度はどんな準拠枠であっても安定しています。我々の現在の理解では、宇宙では光速が最も基盤となる量の一つです。それで1983年にはメートルは一秒の299,792,458分の1の間に光が進む速さに再定義されました。そして我々は、それが考えうる最高の基準であると確信しています。

もちろん、今度は、1秒間とはなにかということを考えなければなりません。ですが、それは次の話にいたしましょう。