会社概要

古木大咲氏(以下、古木):インベスターズクラウドの古木でございます。みなさま、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。さっそくではございますが、2016年度12月期の決算説明をさせていただきます。

まず会社概要なんですけれども、社名がインベスターズクラウドと申しまして、本社は南青山にございます。2006年に創業しまして、現在、従業員が300名となっております。

はじめに

弊社は不動産×ITのReal Estate Techという分野で事業をしてるんですけれども。ですので、弊社の場合、リアルとネットの両方があるということでございまして。こちらが正社員の職種別構成比なんです。

社員構成について

左手が、2015年12月末時点、ITのエンジニアが、IT部門ですね。それからそれ以外のリアルのほう。コンシェルジュ、これは営業マンですね。それからバイヤー/施工。それからプロパティマネジメント。その他ということで。

2015年の12月期までは、IT部門の人員というのは全体の9.9パーセントだったんですが、2016年度の12月期、こちらでIT部門のほうの人員を一気に増やしまして、現在、全体の20.3パーセントほどとなっております。

人数で申しますと、ITエンジニアなどは現在50名〜60名ぐらいいるようなかたちになっております。

彼らが弊社の不動産のプラットフォームを作って、そのプラットフォームをリアル側のスタッフで、マネタイズしていくかたちが弊社のモデルとなっております。

2016年12月期ハイライト

2016年12月期のハイライトです。

売上高、前年同期比162パーセント。経常利益、前年同期比201.9パーセントということで、経常利益に関しましては、昨年、前期と前々期、2期連続で前年同期比200パーセントを達成しております。

それから、会員増加数は1万5,869名、成約数が687件と、前年同期比156.8パーセントとなっております。

(連結)損益計算書

損益計算書です。

まずは、弊社が上場したときから1つお伝えしてたんですけれども、営業利益率が向上してきておりまして、営業利益率、経常利益率が現在10パーセントを達成しています。

営業利益、経常利益は、前年同期比約200パーセントとなっております。

売上高

四半期ごとの売上高は過去最高を推移しておりまして、4Qで139億円の売上を達成しております。

よくご質問を受けるんですけれども、弊社には季節変動性がありまして、1Qの売上が一番少なくて、2Q、3Q、4Qと上がっていきます。

この4Qの売上がなぜ高くなるかと申しますと、賃貸アパートの入居の需要が1月、2月、3月と、年を明けてからありますから、12月までに物件の引き渡しをしてほしいというおオーナーさんが多いんですね。ですので、4Qのほうに売上が固まっているというかたちになります。

(連結)貸借対照表

それから、こちらが貸借対照表です。

従来型の、土地を仕入れて、建物を建てて、在庫として抱えて、販売をするというモデルでは、売上の半分ぐらいの棚卸資産が必要になります。

具体的に申しますと、前期は売上が380億となりました。190億の土地建物の在庫があり、そして190億の借入があるというのが従来のモデルだったんですが、弊社の場合は、本来であれば、ある在庫が現在24億円に圧縮しております。

これは、弊社が土地を仕入れず、土地をお客様に直接買っていただいて、そして建物の受注を受けて建築をするというモデルですので、在庫を圧縮できています。

また、この24億円のほとんどの内容としましては、受注済の建設工事原価となっています。

棚卸資産が24億と少ないので、昨年12月時点で無借金で経営ができている状態です。

業績の見通し(次期予算)

今期の見通しは、通期ですと売上高は505億円。営業利益が53億6,000万円。経常利益が52億8,000万円。当期純利益が34億5,000万円ということで、40パーセント増の利益更新計画をしています。

弊社は15年の12月に上場しまして、もう3回上方修正をしておりますので、予算策定方向については特段、変更はございません。

今期の数字に関しても、確実に達成していきたいなと考えております。

このペースで営業利益を伸ばしていきますと、遅くとも2020年の12月期には営業利益100億を超えるというような計画でございます。

遅くとも2020年ということですので、もう少し前倒しになる可能性もあるんじゃないかなと考えております。

事業の展開

続きまして、事業展開です。

まずメインのビジネスがTATERU(タテル)事業ですね。アパート経営のTATERU事業。それから新規事業を昨年4つはじめております。

TATERU事業

まず、TATERUのほうからご説明したいんですけど、会員数が106,592名。オーナー数が1,077名。管理戸数が13,178戸。入居率が97.7パーセントとなっております。

念のためにTATERU事業の流れをご説明させていただきます。弊社はアプリやWeb上、オンライン上でアパート経営ができるワンストップサービスを提供しております。

アプリのほうではまずアプリをインストールして、会員登録をしていただきます。そこからお好みの営業マンを選んでもらって、チャットとか、もしくはテレビ通話とかでアパート経営の相談をしていただきます。

そして土地をご紹介してアパートが完成しましたら、アパートが完成した報告等も、このアプリ上やオンライン上ですべてできるような仕組みになっております。例えば清掃の報告であったり、それから入居の状況であったり、送金明細書であったり。

そして2015年の年末にマネーフォワード社と提携をしまして、TATERU確定申告というのを作っておりまして、弊社のオーナーさんに関しては、このTATERU確定申告を無料で使って確定申告ができるというような仕組みになっております。

TATERU事業 3つの強み

強みに関しましては3つございまして、1つ目がアドテクによる広告展開です。

これは会員を毎月1,000名以上獲得しています。弊社はデータマネジメントプラットフォームを活用して、ターゲティングを最適化することによって非常に顧客獲得コストというのを抑えることができているんですけど、具体的に言いますと、1件あたりの会員を獲得するのに2万円ぐらいで獲得できてます。

不動産の場合は2万円っていうのは非常にお安い金額なんです。と言いますのも、例えばアパート経営というのを検索していただきますと、アパート会社10社の一括資料系サイトがあり、一括資料サイト系に大手賃貸メーカーさんが登録しています。

こちらの登録をして、1人のお客様が、不動産メーカーに問い合わせをしてきて、一括資料掲載側に広告費としてお支払いするのは平均値として10万円くらいなんですね。

ですから、通常のリアルの賃貸住宅会社ですと、一括資料系サイトなどに使って、一面あたり、10万円のコストを払って、個人情報をゲットしているというかたちになりますが、弊社はそういった一括資料系サイトなどを使わずに、TATERUのメディアを使って、アドテクを活用して、1件2万円で会員を獲得できているということで、非常にコストを抑えていることがあります。

アパート1棟あたりの、広告の獲得コストは50万円と、非常にコストを抑える形で会員を獲得できていると。それから1つ目の強みとしてはアドテクによく広告展開というところが強みでございます。

2つ目が、土地のマッチングですね。

従来では、土地がございましたら、不動産デベロッパーが購入して、在庫として抱えて、建てて売るというモデルだったのですが、弊社の場合は、不動産デベロッパーに送られていくこの土地情報に対して、アパートのプランニングをご紹介いたします。

そして、お客様が直接土地を買って、弊社がアパートを受注するというモデルになっております。

こちら、会員のメリットとしましては、従来ですと、例えば3000万円の土地がございまして、不動産デベロッパーが土地を買って売る時、当然利益を乗せて来るんですね。3,300万ですとか、3,500万とか。こういった中間マージン分を弊社の場合は削減できるというところがあります。

それから、もう1つは、二重課税です。3.000万円くらいの土地を不動産デベロッパーが買いますと、不動産取得税が3パーセントと、不動産登記費用が約10万円くらいかかるんですね。

ですから、ここで不動産取得税、不動産登記で諸々、100万円くらいかかって、また、会員の方が買うときに、不動産取得税、不動産登記が100万円くらいかかるということで、二重課税になっているのですけれども、これも弊社の場合は無駄なコストを削減できると。

土地を紹介してもらう場合、不動産仲介会社から紹介してもらうのですけれども、仲介業者さんは、不動産デベロッパーに紹介すると、変わらず仲介手数料を弊社のお客様からももらうことができます。

弊社の方には基本的に土地の仲介でせずに、土地のマッチングのみをもらいますから、土地をご紹介して抱く仲介業者さんは、仲介手数料をもらうことができます。

そして、当社のメリットとしては、土地在庫を持たないので、無借金で経営ができていると。これが強みの2点目になります。

最後の強み、3点目です。

土地のマッチングというのはひと言では簡単に聞こえるのですけれども、実は非常に難しくて、良い土地情報がございましたら、すぐに不動産デベロッパーが土地を購入してしまうんですね。

当社の場合は、その不動産デベロッパーが土地を買う前に、弊社の個人のお客様が、買いたいと言う意思表示をしていただいて、弊社のお客様から申し込みをしていただいて販売をしないといけいないということで、非常に土地をご紹介してから、お客様から申し込みをもらうまで、スピードが必要なビジネスモデルでございます。

なぜ、買いたいというお客様を見つけることができるかといいますと、それは、今、約10万人の個人投資家の組織があるからなんですね。

例えば、東京23区で良い土地情報が出てきたら、その土地情報の購入希望者の方々に、5,000人ですとか、10,000人に一気にチャットやメールなどでお伝えをいたしますから、その5,000人、10,000人に紹介した中から、土地を買いたいですとか、そういった情報が入ってきて売れる、というモデルでございます。

ですから、土地のマッチングが非常に上手くいっているのは、会員組織が大きいからということになります。

そして、収益構造なのですけれども、土地をマッチングする段階では、あまり弊社収益を得ることはできないのですけれども、土地をマッチングした後、建築条件付きで建物の受注を受けます。こちらが大体、1棟平均5,000万くらいです。

粗利率、売上総利益率でいくと20パーセントから23パーセントくらいのフローの収入になってくると。それから、今度はアパートが完成しましたら、賃貸管理の収益なんですけれども、こちらが1棟の売上が60万円ぐらい。

売上総利益が50万円ぐらいというかたちで、こちらもアパートが建つと、どんどん積み上がっていくモデルになります。こちらが強みの3点目でございます。

TATERU事業 成長戦略

TATERUの成長戦略です。

今期も、前期と同じく2大施策を取っていきます。会員数を増加させるのと、成約率を維持・向上させていくことを検討しています。

2016年度の会員増加数は1万5,869名、こちらに対して成約数が687件ということで、現在、成約率は4.3パーセントぐらいで推移しています。

まず会員を獲得するところなんですけれど、こちら3つのフェーズで広告展開をしておりまして、現在1の部分が終わっているんですけれども、まずテレビCMとかマスメディアを使ってTATERUのほうを認知をしていきます。

それから、弊社のほうのいろんなインターネットのサイトに入ってきますから、そこでエリアとか、あと顧客の属性をターゲティングして、Web施策で顧客を獲得していきます。

その後、アプリやWebのほうにログインをしていただいて、営業して、アパートの販売をしていくというような施策をとっていきます。

TATERU事業 プロモーション

まず、1番目のマスメディアのプロモーションのほうは、2017年1月6日より、全国で本田圭佑さんを活用したTATERUのCMなどを行っています。

昨年、2015年度にオダギリジョーさんを活用しましてCMをやったんですけれども、その時までは弊社もいわゆる大手広告代理店に丸投げをして、オダギリさんのCMを作ってもらって、CMを出していたんですけれども、非常にコストが高かったんですね。

ですので、こういったメディア関係も内製化したいと以前から思っていまして、昨年にこういった某ファッションブランドのクリエイティブチームが弊社にそのまま入ってきていただきまして、そのクリエイティブチームが弊社のこの広告をすべて作成しています。

ですから、本田さんのキャスティングの部分であったりとか、あとCMのほうも、こちらイタリアのほうで作成したんですけれども、それも自社のクリエイティブチームが直接発注をして作っています。

具体的に価格をいいますと、だいたい年間の広告予算3億円ぐらいなんです。去年オダギリさんのCMを1本打って終わったという状態なんですけれども、弊社の場合は自社で内製化していますから、CMだけでなくて、さまざまな大型プロモーションができています。

よくある不動産ビジネスでありがちなのが、売上が100億とか700億とか1,000億になっていくと同時に、プロモーションの広告費も5億、10億、20億と右肩上がりですごく上がっていくような施策が多いんですけれども。

弊社の場合はそういったクリエイティブチームを内製化していますから、今期売上が500億円、来期もどんどん伸ばしていきますけれども、基本的にはこういったメディアに使う費用というのは、今期であれば3億の予算を見込んでいます。だいたいこれぐらいの予算をある程度キープしながら、うまくマスメディアのプロモーションの活動をやっていきたいと考えております。

実際にプロモーションを打ちまして、こちらがCMを配信したあとなんですけれども、TATERUサイトへのPV数が以前よりもCMが終わったあとでも高い水準をキープしておりまして、現在、会員獲得のほうも非常に順調にいっている状態でございます。

それから成約率の向上のところなんですけれども、現在成約率が4パーセント強ぐらいなんですけれども、こちらは今後できるだけ維持、できれば向上していきたいなというところがあります。

TATERU事業 人工知能の開発着手

そこで現在弊社が行っているのが、この東大発ベンチャーのパークシャテクノロジー社と組んで、アパート経営の相談ができるボットの開発をしております。

こちらのほうは、3月までにリリースする予定で動いております。こちらがなぜ成約率をあげるかというところなんですけれども、弊社、現在、月間1,000名以上の会員の方がTATERUの会員に入ってきまして、それをたった50名の営業マンでチャットとかで対応しているんですね。非常に人力でやってると大変なところがあるんですね。

ですから、ここをボットを使ってアパート経営の質問ができるような仕組みを作ることによって、ある程度基本的な質問はボットが行って、ボットできないところを人間が対応していくような業務効率化の施策をとっております。

TATERU事業 KPI 10期-11期

それから、TATERUのKPIです。

こちらは約1万6,000人増えていまして、管理戸数も1万3,000戸に増え、成約数も順調に増えていっています。

アパートを受注して7ヶ月後がアパートの引き渡し日で弊社の売上計上日になります。ですから、今年の1月の弊社の売上は、去年の6月である2Qの分が今年の分に入ってきます。この受注分というのは来期のほうの受注分なんですけれども、非常に順調に上がっていっていますので、今期の目標に関しては達成できる見込みがしっかり立ってるんじゃないかなと考えております。

TATERUに関しては以上です。

クラウドファンディング事業

続きまして、不動産投資型クラウドファンディング「TATERU FUNDING」です。

こちらは現在、3号ファンドまで完了しておりまして。非常に大人気で、1号ファンドは20分で募集完了して、2号ファンドは1分で募集が完了しました。

あまりにも早すぎるので、3号ファンドは抽選形式にしまして、募集をしたところ、募集総額に対して約3倍ぐらいの資金が集まっている状況でございます。

クラウドファンディングに関しましては、クラウドファンディング単体でも当然収益は出るんですけれども、それだけではなくて、TATERU事業とのシナジー効果を狙っています。

やはり1棟1億円の不動産を買いたいという人をネット上で探すのって、なかなか大変なことなんですけれども、一口10万円の不動産投資をしたいという方であれば、簡単に探すことができるものですから、まずは入口としてTATERU FUNDINGで一口10万円投資をしてもらって、それからリアルアパートにステップアップしてもらうというような施策をとっております。

現在、TATERU FUNDINGは1,000名以上の会員がおりまして、実際にTATERU FUNDINGの会員の方で、リアルアパートが売れた棟数が現在7棟ですね。売上が5億8,000万ということですので、非常にクラウドファンディングとリアルの不動産のシナジー効果が出ているかたちでございます。

民泊事業

続きまして、3つ目の民泊事業です。

私ども民泊事業でどういうことをやりたいと考えていますかといいますと、まずはマッチングプラットフォームを昨年リリースしております。

このプラットフォームだけでなくて、この周辺領域も全部行いたいと思っていまして。例えば、ホストの方が民泊を使って資産運用したいということであれば、民泊物件の提供も行います。

それから、民泊物件に泊まる方。民泊物件、ホテルようにコンシェルジュがいませんから、すごく不便だと思うんですね。そういう方々にはこういうIoTのデバイスを使った、スマホを活用したコンシェルジュ機能を付加していくというようなビジネスモデルになっております。

マッチングプラットフォームのほうも、昨年オープンしまして、順調に物件数も増えてきております。

それから、こちらがホスト向けの投資商品第1号物件ですね。

これは京都のほうなんですけれども、ちゃんと旅館業法を取得した物件でございます。ですから、365日貸出ができます。土地、建物を合わせて8,000万円ですでに売却済みでございます。

今後、こういったかたちの民泊を活用した投資物件の売上なんかもあがってきます。

そして、TATERU Phoneですね。

IoT事業

続きまして、4つ目がIoT事業でございまして。

弊社、木造アパートを作っておりますので、木造アパートのスマートアパートメント化の開発もしております。

現在、SMART DOOR PHONEだったりとか、鍵だったりとか、それから赤外線で動く電気だったりとか、AIRというものだったりとか。

これらのものはすべて開発のほうに着手していまして、年内にこういったIoT機器を全部取り付けしたアパートの販売を進めている状況でございます。

スマリノ事業

最後にリノベーション事業ですね。

こちらは、投資ではなく住むためのリノベーションです。スマリノというプラットフォームを作っておりまして、こちらに会員登録をしていただいて、中古マンションを直接お客さまに買っていただいて、リノベーションの受注を受けるというモデルでございます。

2015年の12月に一番最初に始めた新規事業なんですけれども、こちらも順調です。前期はリノベーションの売上も10億円近く出てきていますから、今後も伸ばしていきたいと考えております。

それでは、時間になりましたので、以上でございます。どうもありがとうございました。