連結業容

若林秀樹氏(以下、若林):本日はお忙しいなか、弊社の決算電話説明会にご参加いただき、まことにありがとうございます。私はイオンフィナンシャルサービスの経営管理担当、若林でございます。何卒よろしくお願い申し上げます。

本日のアジェンダでございますが、まずはじめに、第3四半期の経営環境、今年度の重点実施事項についてご説明いたします。

次に取り組み内容を伝えながら、連結の業績を、国内、海外のエリア別、およびセグメント別にご説明させていただきます。

そして、第4四半期以降の取り組みの方向性について説明させていただいた後に、みなさまよりご質問を頂戴したく存じます。それでは当第3四半期決算における経営環境について振り返らせていただきます。

当第3四半期においては、国内では日銀がマイナス金利政策を継続するなか、12月に米国が利上げに踏み切ったことなどにより、世界的に金利が上昇いたしました。

為替の環境につきましては、英国のEU離脱に伴う、欧州経済の不透明感の高まりによる影響から、一時は円高方向にて推移いたしましたが、その後、米国の新政権の経済政策の期待感を背景に、円安方向にシフトいたしました。

このような環境のなか、当社ではグローバルでのデジタル化の推進と、商品・サービスの利便性の向上、資産の効率性改善の3つを今年度の重点実施事項として取り組んでおります。

それでは連結業容についてご説明いたします。

1つ目に国内の有効会員数はダイエー店舗での募集や、小型店舗での委託募集など、都市部での取り組みを強化したことにより、首都圏を中心に会員数が増加いたしました。

同時にLINEの公式アカウントを活用した入会キャンペーンの実施などにより、ネット経由での入会率が増加いたしました。

これらの取り組みにより、国内会員数は期首比81万人増の2,669万人となりました。また、海外展開各国においては、融資から物販への債権ポートフォリオのシフトを進める一貫として、クレジットカードや個人獲得に注力した結果、国内、海外における連結の有効会員数は139万人増の3,861万人となりました。

2つ目に国内稼働会員について。昨年の6月より国内のイオングループ店舗におけるポイント付与率を従来の5倍に変更したことで、イオン店舗での利用促進につながっております。

さらに月間稼働率が61パーセントと全体平均より約20ポイント高いWeb明細登録のお客様は期首比50万人増の373万人となり、国内有効会員の年間稼働率は期首比より0.3ポイント上昇し、66.7パーセントとなりました。

これにより、国内カードショッピングの取扱高は前年同期比110パーセントの3兆3,574億円となりました。

3つ目にイオン銀行の口座数につきましては、普通預金金利が0.12パーセントとなるイオンカードセレクト会員の増加により、口座数も順調に増え、普通預金残高は期首比5,660億円増加し、約1兆3,000億円となりました。

連結およびエリア別業績

次に、連結およびエリア別の業績について説明いたします。国内では、取扱高が好調に推移しているショッピング収益は前年同期比25億円増の651億円になりました。

また、ショッピング利用の分析による販促により、キャッシング稼働口座数は期首から7万人増の125万人となりました。その結果、キャッシング収益は前年同期比38億円増加し、473億円となりました。

また、債権流動化については、順調に積み上がった住宅ローン等で債権の流動化を実施いたしました。

これによる収益への影響額は、住宅ローン68億円、オートローン8億円、合計で77億円となっております。

国内経常収益が前期比61パーセントの1,946億円と好調に推移した一方、海外収益におきましては、為替の影響により、前期為替レート比で約146億円のマイナス影響が出ており、この結果、連結の経常収益は2,745億円。前年同期比104パーセントとなりました。

費用面では、国内で借入金の普通預金へのシフトが進んだことで、資金調達費用への削減につながりました。

一方で、ポイント特典の変更により、カードショッピング取扱高が拡大したことで、ポイント費用が増加しております。

また、外形標準課税の区分変更、足元の利息返還請求の状況を考慮した、利息返還損失引当金約7億円の繰入の実施などにより、国内経常利益は前年同期比24億円増となりました。

海外事業においては、人件費が前年比10億円減の128億円、貸倒費用が前年比22億円減の220億円と、為替の影響もあり、円ベースで減少しているものの、現地通貨ベースでは増加しております。

経常利益では前期為替レート比で約28億円のマイナスの影響が出ており、結果、連結の経常利益は422億円、前年同期比100パーセントとなりました。

セグメント業績

次に、セグメント業績について説明いたします。

クレジット事業は、好調なカードショッピング取扱高やキャッシング残高の拡大が収益をけん引いたしました。

また、カード債権に対する貸倒費用は、債権残高の拡大にともない、前年同期比15億円増加いたしましたが、債権残高対比では1パーセントと安定して推移しております。

銀行事業はマイナス金利の影響による駆け込み需要が落ち着いたことで、住宅ローンの実行額が減少傾向になりましたが、小口ローン残高については確実に増加しております。

カードローンでは、入会キャンペーンにより発行枚数の拡大につながっており、第4四半期以降の利用促進により、残高拡大を図ってまいります。

また、昨年5月に、イオン住宅ローンサービスからイオン銀行に移管を行ったフラット35事業については、全銀行店舗での取扱や後方事務業務の統合などを実現させ、効率化に取り組んでまいります。

海外事業は、9ページの参考ページに掲載のとおり、3ヶ国の現地通貨ベースの業績は、香港は販管費や貸倒費用の改善が進んだことにより減収増益。タイは、引当基準の見直しや前国王ご逝去による販促・回収活動の抑制により、貸倒費用の増加もあり増収減益。マレーシアは取扱高が好調に推移したことにより、増収増益となりました。

しかしながら、各国通貨安の影響により、円換算では海外事業全体で減収減益となっております。

フィービジネス等は、電子マネー取扱高の安定成長に向けて、WAON決済を新たにユニクロ全800件以上や地域スーパーマーケットなどに導入し、外部加盟店の開発に取り組みました。

また、フラット35のイオン銀行への移管の影響、ACSリースの連結化、WAONPOINTカードの受託収益によりカバーしております。

第4四半期以降はWAONPOINTカード取扱高拡大により、投資コストを回収し、将来的にはイオン会員へのシフトを図るというふうに考えております。

連結貸借対照表

次に、連結貸借対照表について説明いたします。

国内の現預金残高は、年末年始のATM資金需要や好調なキャッシング需要への対応などにより、期首比781億円増加の4,977億円となりました。

貸出金は、国内において住宅ローンや無担保ローンを中心に拡大した一方、海外においては与信の厳格化を行ったことで、海外の貸出金残高は、期首比26億円増の2,481億円となりました。

割賦売掛金は、国内カードショッピングや個品割賦の取扱高が好調に推移し、残高が拡大しております。

預金残高は、定期預金が満期解約等により、期首比2,368億円減少し、1兆2,001億円となりました。

一方で、イオンカードセレクト会員の増加を背景に、金利上乗せ特典の効果により、普通預金残高は期首比5,660億円増加し、1兆2,822億円となりました。

この結果、預金残高合計は、期首比3,221億円増加いたしまして、2兆4,750億円となっております。

有利子負債につきましては、国内において新株予約権付社債300億円の発行がございました。一方で、借入金から普通預金のシフトが進んだことで、長期借入金は期首から326億円減少し、404億円となったことで国内残高は3,822億円と期首比16億円減となりました。

国内基準による、連結自己資本比率は昨年9月の増資により、期首比0.67パーセント増加し、8.09パーセントとなりました。

第4四半期以降につきましても、リスクアセットのコントロールを行い、同水準以上を維持する考えでございます。

ポイント特典強化の効果

次にポイント特典強化の効果です。

先ほどから、お伝えしておりますとおり、イオンカード会員向けに昨年6月よりときめきポイントの付与率を従来の0.5パーセントから2倍の1パーセントに変更する特典の強化を行っております。これはイオンでの利用に限定したものでございます。

これにより、第2四半期以降イオングループでの取扱高が順調に拡大しております。また、同時に開始いたしました新WAONPOINTサービスにより、現金でのお買い物でも0.5パーセントのポイントが付与されるようになっております。

現金でのお買い物をされるお客様がポイントを貯めるというインセンティブから、よりポイントが貯まるイオンカードへシフトする流れを作ってまいります。

これらの結果、ショッピング取扱高の伸び率は第1四半期8.1パーセント増に対し、特典を開始いたしました第2四半期は9.4パーセント増、第3四半期は11.6パーセント増と、期を追うごとに拡大しております。

同様に、加盟店収益の伸びも第1四半期の6.9パーセント増から第3四半期は10.9パーセント増と上昇しております。

当社のカードショッピングはイオングループでご利用を開始し、グループ外部でさらに利用される流れがございます。

利用場所別の取扱高は、イオングループが約30パーセント、イオングループ外部のところが約70パーセントでございます。ポイント倍付けおよび現金ポイントカードからのシフトを進め、ショッピング取扱高の拡大を図ってまいります。

システムIT投資の立案と実行について

次に7ページですが、先般発表させていただきましたシステムIT投資にかかるプロジェクトの立案と実行の主な取り組みについてお伝えいたします。

システム投資の目的は、有人店舗、Web、コールセンター等のお客様とのコンタクトポイントを一元化し、金融サービス力を強化していくものでございます。また、新技術の研究、分析機能を強化するとともに、共通化したデータベースを活用してまいります。

当社の重点実施事項であるデジタル化、商品・サービスの利便性向上、資産収益性の向上の観点からプロジェクトを立案し本社機能や組織・拠点の集約化、ITによるサポートを活用した自動化を推進してまいります。

デジタル化ではイオンレイクタウン店で実験を開始したセルフ端末は、対面式遠隔商談を可能とし将来の小型店舗や無人化を行なうための施策を開始しております。

商品・サービスでは、イオンウォレットの導入とスマートフォンを活用したカードレス化に取り組んでおります。また、展開国のどこでもご利用できる共通アプリを開発してまいります。

資産収益性では、国内で審査・債権回収でのIT活用を開始、海外では融資から物販へのシフトにより収益性の改善に努めております。

これらの取り組みにより、適正な与信を提供するとともに審査・回収にかかるコストの削減を図ってまいります。

先般のリリースにて投資効果の2018年度目標数値をお伝えしておりますが、費用項目について現在の進捗をお伝えいたします。

貸倒関連費用の削減は、海外の景況感が回復しないなかで27パーセント程度と横ばいの状況が続いております。労働分配率については、デジタル化や機能集約化を進めたことで国内は第3四半期で16.9パーセント、海外は15.2パーセント改善傾向が出ております。

来期以降は投資効果により、さらなる改善に努めてまいります。

2016年度連結業績予想

最後に第4四半期以降の取り組み、および今年度の業績予想について説明させていただきます。

国内においては、ポイント特典強化の投資効果により引き続きカードショッピング取扱高の二桁成長を継続させるとともに、入会企画により新規発行が好調なカードローン会員への利用促進を行い無担保ローン残高の拡大を目指してまいります。

海外においては、安全性の高い物販債権へのシフトや審査の精緻化、債権回収体制の効率化を進め、貸倒費用の改善に努めてまいります。また、構造改革に取り組み、経営の効率化も同時平行で行ってまいります。

これらの取り組みを着実に実行していくことで、公表数値の達成を目指してまいります。

以上をもちまして第3四半期の決算説明を終了させていただきます。