芸術における人体解剖

カリン・ユエン氏:芸術制作を学ぶ誰もが、生きたモデルを用いたドローイングの基礎を履修することと思います。人物像を描くため、解剖学的な人体を理解することは非常に重要なことです。今日は、芸術における人体解剖に関わる作品をご紹介しましょう。

この動画で、なくしては通り過ぎることができない偉大な人物が、レオナルド・ダヴィンチです。みなさんは十分にご存じでしょうが、彼はルネサンス時代のもっとも偉大な芸術家であっただけでなく、非常に多くのさまざまな研究しました。そして人体解剖のパイオニアでもあったのです。

引用するこの言葉には、解剖学への飽くなき愛着が表現されています。「足は、人間工学上の傑作であり、最高の芸術作品である」。

彼は実際に解剖の手稿を出版したかったのですが、1519年に反対者に告発されその後未発表のままでした。彼のドローイングが知られるようになったのは、実に400年後のことです。

『テュルプ博士の解剖学講義』(1632年)は、レンブラントによる油絵です。それは、テュルプ博士が、医者たちに腕の筋肉について説明している場面を描写しています。17世紀のオランダ黄金時代には、解剖学の講義は劇場化された社会的なイベントであり、学生や学者、一般市民が入場料を払って参加したのです。

テュルプ博士は、市制解剖官の地位にあり、年に一度公開検査を許可されていました。死者は罪人の死刑者で、この時代にわたって一般市民は次第に、病気や健康上の要請から科学に興味を持つようになります。そして、参加した一部の注文主たちは自分たちが絵画に含まれるように依頼しました。医学の専門家は、絵画の中の筋肉組織の描写が正確だと述べており、これはレンブラントが解剖学の教本から詳細を模写したと考えられています。

現代における解剖アート

モナ・ハトゥーム(Mona Hatoum)はレバノン生まれのパレスチナ人であり、現在はロンドンで制作する、映像とインスタレーションのアーティストです。

『知らない人の身体(Corps etranger)』は1994年に制作した人体の映像でもっとも知られている作品です。彼女は自分の体内を内視鏡を用い、ループする映像で撮影し、内臓器官の音を拡大しました。映像は、半分開かれた楕円形の囲いの中の床に投影され、観者はそこに入って見ることができます。拡大された人体映像の上に立ち、その空間の状況で映像を見ると、めまいがしたり閉所恐怖症が促されたりします。

スー・ウィリアムズ(Sue Williams)は、具象と抽象の間の生命体を描くイギリス人のアーティストです。単色の作品は漫画の様式を思わせ、血管や、折れた骨や、破裂した腹部、垂れた舌などの人体の一部分が入り組んで織り込まれています。これは、様式と主題の対照を成し、性的で暴力的な抑圧を風刺しているようにも見えます。フェミニズム、ジェンダー、セクシャリティにおける想像力ついて探求し、挑戦しています。

ウィム・デルボワ(Wim Delvoye)は、ベルギーのアーティストで、衝撃的なプロジェクトで知られています。私がお話ししたいのは、このテーマと完全に関連するか、完全に関連しないか、のどちらかです。というのは、人体を全部取り去ってしまったからです。『クロアカ(Cloaca)』は、さまざまな分野の専門家と相談の末2000年に制作された、消化のための機械装置です。

基本的に大規模なインスタレーションで、これを通って食べ物が分解されます。食べ物は数個の装置を経て、液体と固体が分離し、そして長い旅の後に透明になります。それをデルボワはそれを樹脂の容器に集めます。着想について尋ねられると、近代生活のすべては無駄でできていて、制作したもっとも役に立たないオブジェは、食べ物をゴミに差し引く以上に何の目的もない機械なのだ、と述べています。

みなさんがこの動画を楽しみ、なにかしら新しく学んでいただくことを望んでいます。もしお楽しみいただけたなら、以前の「5 Artists in 5 Minutes」もご参照ください。