2016年第3四半期決算概要

第3四半期の実績についてご説明します。

第3四半期売上は2,698億円、営業損失83億円、経常損失8億円、当期純損失41億円となりました。

為替レートは期中平均で106.13円、燃料油価格は279ドル。9ヶ月累計の売上は7,609億円、営業損失347億円、経常損失369億円、当期純損失546億円となり、史上最低のコンテナ船、ドライバルクの海運市況の低迷を受けて、前年比大きく悪化しました。

なお、12月末のドル円為替が116円台の円安に振れたこともあり、75億円の為替差益を第3四半期に計上しています。

事業部門別経常損益実績は、コンテナ船−29億円、不定期専用船+42億円、海洋資源開発及び重量物船−15億円。主な財務指標は、自己資本3,101億円、有利子負債5,256億円、DER170パーセント、NET DER107パーセント、自己資本比率29パーセントとなりました。

この後ご説明しますが、第3四半期を振り返ると、円安による為替メリットはあったものの、第3四半期の経常損益をほぼ収支均衡まで圧縮できたこと、さらに、不定期専用船部門が久方ぶりに黒字を計上できたことは、昨年年初の史上最低の壊滅的な市況から見れば、海運市況は底を脱して着実に回復軌道にのり、先の明るさが出てきたのではないかと思います。

ちなみに、コンテナ船の短期運賃市況を表す運賃指数SCFIにおいて、北米西岸向けの史上最安値は昨年の4月で、40フィート当たり725ドルという指数でしたが、現在ではおよそ2,000ドルということで、大分回復してきました。

一層ひどかった北欧州向けについては、去年3月、6月の20フィート当たり205ドルが史上最安値でしたが、足元では1,000ドルを超えるところまで回復しており、少なくとも1年前の目を覆うような悲惨な状況は既に解消されたと思っています。

また、ドライバルクも、昨年の年初ではBDI(Baltic Dry Index)が、史上最安値の200台まで落ちましたが、足元においては1,000を超えています。

こちらはまだ十分に利益が出てくる水準には至っていませんが、市況は着実に回復してきていると思います。  

2016年第3四半期のポイント[前年同期比較]

次にこちらのスライドでは、第3四半期までの累計について経常損益ベースでの主な変動要因を滝グラフにしています。

昨年第3四半期までの累計が117億円の黒字に対して、今期は経常損失369億円と486億円の悪化。

主な要因は、右からコンテナ船運賃市況の悪化−326億円、不定期専用船市況の悪化−365億円、2つ合わせ約700億円が市況要因として悪化。

対する主な改善要因は、コスト削減+152億円、構造改革効果+66億円でおよそ+220億円、差し引き−500億円弱の悪化となりました。

市況の悪化要因について簡単にご説明しますと、コンテナ船の市況変動は、9ヶ月累計運賃指数の比較でみると、北米向けが昨年92に対し、今年73と19ポイントの悪化、欧州向けも3ポイントと若干悪化し、北米を中心とした市況低迷によりコンテナ船全体で−326億円の悪化となりました。

不定期専用船について船種毎にみますと、ドライバルクは、とくに昨年の年初、BDIが200という史上最安値になったときに結んだ契約更改の影響が時差をもって実現したこと、自動車船については、主に中東向け、アフリカ、南米等の資源国向けの荷動きの減少及びそれに伴う配船効率の悪化により、油槽船事業については主に新造船の供給により、不定期専用船全体で−365億円の悪化となりました。

通期業績予想

次に通期の業績予想です。売上1兆100億円、営業損失430億円、経常損失470億円、当期純損失940億円。

前回第2四半期の決算発表公表数値比、売上高400億円増、営業損益10億円の改善、経常損益70億円の改善となっています。

当期純損益につきましては、まだ第3四半期までに実施していない構造改革費用等、今交渉中であったり、会計士との協議中のものもあることから、前回公表と同じ940億円の損失で据え置いています。

部門別の通期予想は、コンテナ船−320億円、不定期専用船−60億円、海洋資源開発及び重量物船−40億円。前回公表比、コンテナ船で40億円の改善、不定期専用船で30億円の改善となっています。

また、記載はしていませんが、第4四半期の為替とバンカーの前提は、為替112円想定、バンカー308ドル、センシティビティは、為替1円増減当たり0.2億円、燃料油価格10ドル当たり0.8億円となります。

なお、期末の配当については、残念ながら当期純損失を見込むため、現時点では財務体質の改善を喫緊の課題と捉え、前回ご報告させていただいたとおり当期期末配当予想は無配とさせていただきます。

第4四半期の想定の市況前提について、簡単にコンテナ船とドライバルクのみ触れさせていただきます。

コンテナ船は、北米航路は第3四半期76に対して3ポイント改善の79、欧州航路は第3四半期47に対して2ポイント改善の49の想定です。

ただし、積高は、第3四半期北米向け26万4,000TEUに対して23万1,000 TEUと減少。消席率も、旧正月前まではかなり高い割合で推移していましたが、その悪化を見込み88パーセントを想定しています。

ドライバルクについては、第4四半期、ケープサイズについては1万2,000ドル、パナマックス8,000ドル、ハンディマックス6,000ドル、スモールハンディ5,500ドルと想定しています。

通期業績変動のポイント[2Q公表比較]

こちらは通期業績予想についての前回公表との違いです。

全体では、経常損益前回想定が540億円の赤字に対して今回470億円の赤字ということで、70億円の改善を見込んでいます。

改善要因につきましては、コンテナ船市況の33億円、為替評価替の70億円が大きなところ。その他一過性の要因による悪化−41億円ありますが、これについては、8月末に経営破綻した韓進海運に絡むもろもろの費用や、4月からの新しいアライアンスに移行するに当たっての配船変更に伴う追加費用等を一時費用として盛り込んだものです。

通期業績変動のポイント[2016年度上下期比較]

2016年度上期の実績及び今回発表しました下期の最新予想の差異について、主な変動要因を記載しています。

上期は361億円の赤字、下期は109億円の赤字と、252億円改善の見込みです。主な改善要因としては、底値を脱したコンテナ船の運賃市況改善とドライバルクを中心とした不定期専用船の市況改善で、あわせて129億円。

コスト削減の積み増し、および構造改革の実施による改善額が合計+43億円。さらに、上期に計上した為替評価損が下期に益に転じるなど、一過性要因として+103億円。主な改善要因をあわせると合計275億円。

これから燃油価格上昇による−25億円の悪化を差し引き、上期と比べて下期は+252億円の改善の見込み。

構造改革/コスト削減進捗

構造改革及びコスト削減の進捗については、前回ご報告しているものと大きな変更はありません。

当初計画している昨年度340億円、今年度350億円の構造改革費用を計上し、16年度では100億円の収支改善、17年度は135億円の収支改善を見込んでいます。

16年度分については9割強を達成済み。第4四半期に残りの課題をやりとげ、当初予定された135億円まで、来年度収益改善を確実なものにすることを目指しています。

ドライバルク船の基幹船隊計画についても、ほぼ変更ありません。唯一、中小型船が72隻と、前回の73隻から1隻さらに圧縮を進める計画になっています。

次にコスト削減の進捗です。16年度期首の想定は188億円ですが、さらに追加のコスト削減等、主に不定期専用船を中心に実施し、今現在では203億円まで積み上がっています。

ほぼ期初の想定、もしくはそれを若干上回るペースで進んでいるとご理解下さい。以上がスライドでの説明になります。

最後に、これからのポイントについて簡単に申し上げます。やはりコンテナ船の運賃市況が、今週からの旧正月明けにどのように荷動きが回復してくるか、運賃動向がどうなるか、それを受けた4月、5月の1年ものの契約更改がどうなるかということです。

この辺りはなかなか読みが難しいですが、今年の旧正月の立ち上がりは例年より早い可能性があるという話も聞きますので、そうなることを期待したいと思っています。

また、ドライバルク市況ですが、第4四半期は、以前と比べるとかなりよくなってきていますし、今後も改善してくることを期待したい。さらに、構造改革も実施しており、来年以降さらにコスト削減というかたちで収益改善してくると思いますので、これらを確実なものにしておきたいと思います。

前回この場で社長の村上から、中期経営計画の見直しについて検討、着手する、できれば今期中にはご案内したいとお伝えしたと思います。今現在、社内で鋭意検討しています。

とくに2018年以降、弊社の主軸事業であるコンテナ船事業統合後、我が社がどういう形で今後大きくなるか、強みはどこかについて社内で真剣な議論をしています。こちらの発表についてはもう少しお待ちいただければと思います。

最後に、コンテナ船事業の統合についてです。まだあまりつまびらかに言う段階ではありませんが、弊社では現在で8名の専属要員を統合準備室に配属し、統合作業に向けて専任で業務を行っています。それ以外の関係者も、兼任のようなかたちで統合作業にかかわっています。

各社とも中堅、若手の精鋭が集結し、作業は想定どおり順調に進んでいるとご理解下さい。各社、3社対等の精神で、いい会社をつくるべく、とくに若い人たちを中心に頑張っています。こちらにつきましては、時期が来ればもう少し詳しい状況の報告ができるかと思いますが、期待して見守ってほしいと思います。