2017年3月期第3四半期決算概況

山本員裕氏(以下、山本):それでは、第3四半期の決算および通期の業績見通しについてご説明させていただきたいと思います。まずは第3四半期の決算の概況からご説明いたします。

全体としては、昨年の同期と比べまして、売上高は減少、営業利益は減益で減収減益となりましたが、四半期の純利益につきましては、ほぼ横ばいの数字となっております。キャッシュフローは増加となっております。

経営成績

まず経営成績でございますが、売上高は、5,352億円と昨年同期と対して、マイナス561億。

そこに書いてあります通り、各事業の販売は総じて堅調に推移したんですけれども、円高と樹脂事業はシンガポールの工場の閉鎖ということもありましたので、その影響を受けて減収となっております。

営業利益、経常利益については、減益ということで既存事業の成長と構造改革により主益力は高まっているんですけれども、為替の影響と医薬品の2Qでも説明差し上げた新薬の導入費用ということもあり減益ということで458億のマイナス110億となっております。

純利益は、多少の減益ではありますけれども、昨年同期と比べますと減損損失の減少ということと、税効果会計の変更等によりまして、税金利費用が減少して微減という状態になっております。

営業外損益・特別損益

営業外損益につきましては、昨年同期の3Qと比べますと、ほぼ横ばいということで特筆してご説明する内容はございません。特別損益につきましても前年同期については減損のれん有益あるいは減損損失事業構造回復費用というものが発生しておりましたが、第3四半期では、特別損益について改善するような状況になっております。

財政状態・キャッシュフローの状況

財政状態につきましては、総資産が9,058億円とうことで3月末対比でいきますと824億と現預金の勘定が増えております。これは1月に入ってからアメリカのCSP社の買収資金を期末に現金として手配をしておったということもありまして、これが最終的には買収資金に消えるわけですけれども、12月末時点で現預金が増えるというところが大きな総資産の増減要因を占めていると思います。

その影響もあってキャッシュ・フローにつきましても現金及び現金同等物が683億ということで大いに増加するということになっています。

セグメント別売上高・営業利益比較(対前年同期)

セグメント別の売上高・営業利益を前年同期と比べますと、売上高に関しましては大きくは円高の要因がありまして減収となっておりますが、その他で特筆すべきは電子材料・化成品事業でこれは先ほど申し上げた樹脂のシンガポール工場の閉鎖ということもありまして、減収要因になっているということです。製品についても為替の影響が大きいということです。

営業利益に関しましては、売上高と同様に円高の影響を受けているわけですけれども、電気材料・化成品につきましては、シンガポールの工場の閉鎖の影響が大きく占めているということと、ヘルスケアにつきましては先ほど申し上げました通り、新薬の導入費用というものを2Qでも実績としてあげているわけですが、この影響もありまして全体としては、555億の営業利益に対しまして436億とマイナス119億円の利益の減益となっております。

営業利益増減分析

これをおおざっぱに、営業利益の増減分析としますと、全体として構造改革を着実に進めているわけですけれども、シンガポールでの閉鎖等もあって、いろんな事業でカバーはしているんですけれども、販売数量も減少しており、若干残っていると。

スプレッドについても為替の要因があるんですけども、ヘルスケアの薬価・診療報酬下げもあってマイナス要因。

一方、先行投入費用ということで、先ほどの医薬品の導入費用等も含めて、積極的な先行投入費用を投入していますので、減益要因ということで、436億の営業利益ということになっています。

高機能繊維・複合材料事業

事業別に簡単に申し上げますと、高機能繊維・複合材料は堅調ではありましたけれども、為替の要因とパラアラミドの工場で定修がありまして、これが減収減益要因になっているというところが大きいところです。

電子材料・化成品事業

電子材料・化成品事業におきましては、先ほどのシンガポール工場の汎用品ビジネスの縮小ということと、為替影響によリ減収。

ただし、そういう利益率の低いものを減収させておりますので、利益率は改善するということですが、減収減益というような状況になっているということです。

ヘルスケア事業

ヘルスケア事業につきましては、主力製品と申しますのは、医薬品でいえば高尿酸血症・痛風治療薬、在宅医療でいいましたらCPAP。

ここらへんが主力の製品として最近成長してるわけですが、こういうふうな好調さはあったわけですけれども、薬価・診療報酬改定というものを吸収する程度で、新薬の導入費用だけが大きく減益要因になっている構造です。

製品事業

製品事業も、円高で影響で売上高は微減ながら減少してるんですが、ここを生産体制の適正化ということも含めて、利益率の向上策が功を奏して、減収ではありますけれども、増益というかたちになっております。

通期業績見通しの概況

引き続きまして、通期の業績見通しについてのお話に移りたいと思います。

通期の業績見通しの概要です。まず、中段以降になりますけれども、通期の見通しの前提としては、通期では米ドルが108円ということで見ておりますが、これにつきましては4Q自身は114円というものを想定しております。

原油につきましても、通期では47ドルということですが、4Q自身は53ドルという、直近の数字に近いレベル。今日あたり為替は112円台にまた多少円高には振れてるんですが、こういう前提で見通しを立てております。

その結果、売上高は、前回の見通しで公表させていただいた7,300億円の売上に対して100億円増の7,400億円。これにつきまして、この1月に買収いたしましたCSPの売上高の4Qの寄与というものを若干加味しているということで、増収ということになっています。

営業利益につきましては、530億円という見通しに対しまして、今回は560億円。為替が若干円安に振れている、あるいは、樹脂を中心とした収益の向上を加味して、30億円の営業利益。経常の利益はプラス20億円の550億円ということです。

当期純利益に関しましては、前回公表の350億円から20億円ほど増額になるだろうという見通しで、370億円ということで、過去最高の当期純利益は更新すると見通しを立てております。

セグメント別売上高・営業利益推移(前年実績対比)

セグメント別の売上高と営業利益の推移ですけれども。前年実績対比でいいますと、先ほど申し上げたことがやはり大きく影響して、売上高では、電子材料・化成品につきまして、シンガポールの影響受けて、減収要因としては一番大きいと。あとは為替の要因と、CSPのプラスサイドということですが、為替、円高の要因も含めて、507億円の減収になるということと。

営業利益段階では560億円ということで、昨年同期の671億円に対しては111億円のマイナスとはなりますが、円高の影響が大きく占めるということと、電子材料・化成品関係のシンガポールの撤収影響、あるいはヘルスケアにつきましては、薬価下げと導入コスト等をできるだけカバーしようと思ってるのですが、若干の減益になるだろうという想定にしております。

セグメント別売上高・営業利益推移(前回見通し対比)

前回見通し対比では、先ほど申し上げましたが、高機能・複合材料ではCSPの4Qの費用を加味して売上 高としてはプラス、電子材料・化成品は若干売上の見通しができているということ、ヘルスケアについては主力製品のがんばり、製品については若干4Qの国内の医療用を含めて低迷することがあるということで、全体としては7,400億の増加。

営業利益に関しましては、高機能繊維・複合材料はほぼ横ばい、電子材料・化成品については、2Qの見通しと比べたら、まだ維持できているところも加味しており、プラス要因であります。

その他については費用の減少等で若干マイナスとしており、全体としては560億レベルの営業利益だろうと推定していおります。

営業利益増減分析の見通し

全体として15年の実績対比としてみますと、構造改革効果は着実に出ているんですが、逆に昨年良すぎたところもあってスプレッドは薬価改定、あるいは先行費用増というような要因もあって560億の減益要因があります。

前回見通し対比では30億の増益ということですが、構造改革・コストダウンは予定通り進めるということで販売量が若干下振れもありますが、為替の要因、あるいは先行投入が若干少なくなるだろうと想定して560億の増益を見込んでおります。

主要経営指標

ここらの状態を経営指標という観点でみますと、ROAは6.4パーセント、 ROEは12パーセントということで、かなり水準は高くなると思っております。D/Eレシオにつきましては、買収資金等の問題もありまして期末時点ではキャッシュを横ばいで、若干次の戦略に向けて現金を手厚くしていることもあって1.2パーセント。

自己資本比率は33.5パーセントと今のところ見通しております。総資産は9,400億円となっておりますが、3Qの決算の現金が買収資金に変わるということで、ほぼ横ばいの水準でいくだろうと想定し、EBITDAに関しましても960億というレベルになるのではないかと想定しております。

私からのご説明は以上で終わらさせていただいます。