勇気を与える存在には「背中と言葉」がある

司会者:(会場からの質問)「高校時代の自分にアドバイスするとしたらなにを伝えますか」。

福田永将氏(以下、福田):さっきも言いましたけれども、高校2年生までは自分の中でうまくいってて、プロに行けるんだろうなと思いながらやっていたんですけれども、高3になってキャプテンになって、正直本気で勝ちたかったので、1つ上で夏に福山君のいる慶応に負けてしまい本当に悔しくて、絶対自分たちの代は甲子園に出場するって決めてやっていました。

個性的なメンバーが集まっていましたので、毎日のように「お前は何やってんだ」とか、「バカ」だ、「死ね」だ、「生きる価値ねえ」だ毎日のように罵声を浴びせられてやってまして、それでもずっと耐えて、「俺が絶対このチームを!」っていう気持ちでやっていたので、まぁ失敗でしたね、それは。色々と背負っていました。

福山敦士氏(以下、福山):なるほど。高3の時の結果は?

福田:絶不調。そこからまったく打てなくなって、プロのスカウトもいっぱい来てくださったんですけれども、全然いなくなっちゃって。なのでもっと力抜いていいんじゃないかっていう。自分のことをまずやっぱり一番に考えて、それがチームの力になるっていう考えの方が楽なんじゃないかなと気付いたんです。

福山:なるほど。ただ甲子園で優勝するっていう目的は達成した?

福田:そうですね。

福山:っていう意味だと成功ですね。

福田:あー、まあそうですね。優勝しましたんで。

福山:福田君は、目的を達成する力というのがずば抜けてすごいと思うので、今日最後に目標をみんなの前で宣言してもらおうと思っています。

福田:OKです。

福山:20本以上の数字を僕は期待しているので。前半戦でもいいですので。最後に宣言しましょう!

司会者:「生きていく上で大切にしている信念はなんですか」。

福田:いや、そんなもんないですね、僕は。

福山:ないですか、意外。

福田:そこまで考えたことないです。

福山:なるほど。じゃあ先に言いますね。僕の信念は、勇気を与える存在になることです。僕の中で勇気を与える存在っていうのは、イメージとしては松坂選手です。彼の背中と言葉に勇気をもらいました。僕が小学校4年生の頃、春夏連覇して、最後スライダーで三振を取ってガッツポーズをしたあの姿が、僕はずっと目に焼き付いていて、あんなふうにピッチャーで活躍したいなと、甲子園に行ってあんな風に活躍したいなという風に思って。

当時僕はサードだったんですけれども、それでピッチャーをやりたいと思って、ピッチャーを始めて、彼の立ったマウンドに立ちたいと強く思ってがんばれました。勇気をもらえた、ということがありました。

松坂選手は、背中で圧倒的な結果を見せて、それで言葉で「毎日こんなふうに練習してきました」ってことを言ったということがすごくカッコよくて。その「背中と言葉」、僕は勇気を与える存在の必要条件かなと思っています。背中と言葉がセット。口だけでなく、でも背中だけでもなく、背中と言葉がセットになるっていうのが、勇気を与える人の条件かなと思っています。

僕は野球でそれが達成できなかったので、今はビジネスでそこにチャレンジしています。ビジネスで大きな成果を出し、言葉・メッセージもセットで残し、後に続く人に勇気をと思っています。それを実現するためにブログもずっと続けております。

練習でも100パーセントの力で

司会者:「不調が続いている時、どのように立て直していますか」。

福田:そうですね。ここ最近ではあるんですけれども、なにも変えないっていうことが一番じゃないかなと思っています。それも正直難しいことなんですけれども、朝行ってトレーニングしてアップして、バッティング練習して。ずっと一緒ですね。変えない。一緒のことをとりあえず全力でやるっていう。なるべく変えない。

不調なのは要は技術なので、そこはもう一生懸命いろんなことにトライしてやりますけど、基本的には変えないですね。まぁでも朝のトレーニングは不調の時は多めにやったりとか、きっかけにはなるかなと思いますね。

福山:昨日の話ではもう少し明確に言っていたと思うんだけど、朝誰よりも早く行って、しっかりアップして汗かくっていう。けっこう言葉で言うのは簡単なんですけれども、シーズン中なんかアップなんか正直ちゃんとやらなくても、体が動くなかで、調子悪い時こそきちんと体を動かすっていうのが、印象的だったなと。それ言ったほうがいいよ。

福田:それ言ったほうがいいですか?

(会場笑)

福田:そうですね、朝は早いですよ。グランド行くのは。僕か桂(依央利選手)かくらい早いです。

福山:それは5年後、10年後も続けていく?

福田:そうですね。まぁ試合に100パーセントとは思っていなくて、とりあえず僕は練習で100パーセントの力でやりたいと思っているので、そのための準備ですね。なので疲れていたりすると、週末とかはとくに。早く行って、トレーニングを早めにやるっていうのはよくありますね。

福山:すばらしい。補足しますと、練習を100パーセントでやるっていうのが彼のすばらしいところかなと思っています。最低目標っていう考えがあると思うんですけれども、試合で打つ、ヒットを打つ、ホームランを打つっていうのは結果なんですね。自分がいい当たりを打ってもそこに野手がいればアウトですけれども、彼が自分ができることにきちんと100パーセントに力を出そうとやると決めてやっている。これが今の結果を生んでいるんじゃないかなと僕は思っています。

1つは練習とかアップをきちんとやる。で、結果に一喜一憂することもあるんだけれども、自分ができることは100パーセントやりきるっていうところが彼のプロフェッショナルな部分かなと思って。今日はそれをみなさんにお伝えしたかったです。

福田:不安なんで。毎日。野球をやるのが。そこの不安を少しでも払拭したいという気持ちは正直ありますよね。ふわふわしてるから。

福山:なるほど。そういうところが、ファンの方が応援したくなるんだろうなっていうのが、はたから見ててすごく思います。

福田:そうですか。ありがとうございます。

高望みしないで試合に出られる場所を選ぶ

司会者:「プロ野球選手になる方法を教えてください」。

福田:まずは、プロ志望届けを出して……。

(会場笑)

福田:ドラフトされればですね。

福山:まさに。そこが重要だね、それ以外には?

福田:それ以外には、とりあえず試合に出なきゃはじまらないので、高望みしないで試合に出られる場所を選ぶ。進路の話で、正直僕はそれが一番じゃなかいなと思います。

福山:なるほど、すごく本質を突いている話ですね。

福田:マジで。

福山:毎日素振りしろとか、そういう話じゃなく。プロ志望届けを出すっていうのは本当に絶対条件ですよね。

福田:知らない人がたぶんいるんで。

福山:僕出さなかったので。出さなくて、ドラフトの日を迎えて、ノブ(福田選手)が指名されて、福田秀平くんも指名されて……その時、自分はプロ志望届を提出していなかったということに気付いたので、お子さんいらっしゃる方はぜひ、プロ野球選手になりたいなら絶対出すっていうことを教えてあげるといいかと。要は、手をあげるということですね。あともう1つは、自分が試合に出られる場所。これすごい重要ですよね。

福田:そうですね、これは絶対じゃないですか。

福山:でも精鋭揃いの横浜高校選んだじゃないですか。それはどういう背景ですか。

福田:出られると思ったからです。

福山:小学校の頃の横浜高校って、めっちゃ人気で、春夏連覇しててすごいチームだったじゃないですか。横浜対PLの試合をずーっと何回もビデオで見て、もう雲の上の存在というか

福田:僕も見てました。

福山:横浜高校って、入れる高校だと思ってなかったですね。なんか本当に天才の人が入っていくんだろうなっていうふうに思っていて、でも、我々のシニアの先輩が1人入って、それで入れるんだっていうことにびっくりして。

福田:そうですね。4番打ってましたもんね。

福山:4番でしたね。それからすごい勇気をもらって、福田くんも行って、下水流くんも行って。出られると思った?

福田:はい。でも怖かったですね。中3の時に僕がいたシニアリーグの理事長と一緒に今から挨拶行くぞ、と私服のままTシャツにジーパンでグランド入っていったら、ブルペンがあるんですけれども、5、6人の人が腹筋とかやっていて、「挨拶もしねーのかよ」とみんなに(言われて)。中学生ですよ。びびっちゃって。よく入ったなと思いますよ、そんなところに。

福山:後輩に逆に同じことしてやった? 自分が高校の時。

福田:いやそれはしないしない。キャプテンだったので僕はそれを止める方だったので。そういう人たちを。

福山:そういえば、渡辺監督と最初に挨拶したのもコメダコーヒーだね。

福田:コメダです。横浜のコメダです。よく覚えているね(笑)。