2016年度 第3四半期決算発表会

池谷光司氏(以下、池谷): 2016年度第3四半期の業績について、ご説明させていただきます。

第3四半期の売上高は、前年同期比で19パーセント減収の1兆3,418億円となりました。

利益面は、上期の損失が大きく、営業利益で232億円、経常利益で222億円、四半期純利益で2,133億円の赤字が残りましたが、第3四半期単独では、この表右にございます赤枠のとおり、すべての利益項目で黒字となっております。

2016年度 第3四半期 小売台数実績

次に、小売台数の実績をご説明いたします。全世界の販売台数は67万3,000台となりまして、前年同期から15パーセント減少いたしました。

日本は、燃費問題による上期の落ち込みを挽回するにはいたっておりませんが、第3四半期の3ヶ月では、前年同期比1,000台の増加と、わずかながらもプラスに転じております。

北米は、「アウトランダー」の販売が引き続き堅調な一方、「ミラージュ」の伸び悩みなどから、前年同期並みとなっております。

欧州は、経済状況の振るわないロシアでの落ち込みが続いていることに加えまして、オランダで「アウトランダーPHEV」が、一昨年末までの税制の反動で、大きくは減ったことなどにより、前年同期を下回りました。

アジアでございますけれども、前年の「新型パジェロスポーツ」導入に加えまして、税制変更前の駆け込み需要加わったタイでの反動が今年ございましたことなどによりまして、ASEANは減少しております。

一方で北アジア、中国でございますけれども、現地生産、昨年の10月から開始いたしましたアウトランダーの販売が年末にかけて好調でございまして、中国でもじょじょに回復いたしております。

「その他」の地域でございますけれども、資源安による影響が続く中東、中南米の台数減が大きくなっております。以上、全体では、前年同期比で販売台数が減少しておりますが、いずれの地域もほぼ計画どおりに推移をしております。

2016年度 第3四半期累計 影響利益増減分析

次のページ、4ページをご覧ください。これは、4月から9月累計の営業利益の増減要因でございますが。ご覧のとおり、為替円高によるマイナスが601億円と一番大きくなっていることをはじめ、上期末までとほぼ同じ傾向となっております。

2016年度 3Q単独 営業利益増減分析

したがいまして、第3四半期単独での増減要因にフォーカスしてご説明をさせていただきたいと思います。

まず、台数・車種構成等で151億円の減益となりました。地域別の内訳は、スライド左上の表にございますとおり、小さいので恐縮ですが、タイでの新型パジェロスポーツの反動や、中東・中南米での需要低迷などによる台数減の影響が大きく出ております。

また、日本でのインセンティブ増加などにより、販売費でも64億円の減益となりました。

これに対してまして、コスト低減努力の積み上げで59億円を挽回いたしましたほか、市場措置費用も前年比で減少いたしましたことから、為替を除いた営業利益は346億円となっております。

一方為替は、これ10月28日でございますが、10月公表想定時より円安であったものの、スライド右上の表のとおり、前年同期と比べますと円高水準で推移いたしました。

この結果、為替トータルでの減益要因は262億円となったものの、第3四半期単独の営業利益は84億円となりまして、四半期ベースでの黒字回復ともに、下期営業利益の従来予想、40億円と申し上げましたが、第3四半期だけで超過達成をすることになりました。

2016年度 第3四半期 BSサマリー

次のページ、6ページをご覧ください。こちらでバランスシートの概要をご覧にいただいております。

10月20日の日産自動車からの第三者割当増資もございまして、現預金はいったん2,000億円ほど増加いたしましたが、投資や燃費問題関連の支払等が計画どおり推移すれば、今年度末には5,000億円程度で着地する見込みでございます。

今後も健全な財務状況を維持しながら、手元資金をより有効に活用して成長投資に積極的に振り向け、企業価値の向上に努めてまいる所存でございます。

なお、燃費問題に関するお客さまへの賠償金、お取引さまへの補償金につきましても、順次お支払の手続きを進めております。

燃費不正問題における再発防止策進捗状況

まず、昨年来の燃費不正問題につきましては、お客さまをはじめ多くのみなさまに多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを、改めて深くお詫び申し上げます。

再発防止策全31項目のうち、およそ4分の3にあたります23項目につきまして、すでに対策を実施しておりまして。その主な部分は、スライドの青色の部分の記載のとおりでございます。

また、スライドのオレンジの部分、残りの8項目につきましても、対策の立案は終えておりまして、今年4月末までには全項目の対策を完了する予定でございます。なお、これらの進捗状況につきましては、今後も四半期ごとに国土交通省様に報告をしてまる所存でございます。

開発部門の組織改正

それでは、すでに実施いたしました再発防止策の一例として、開発部門の組織体制につきましてご説明をさせていただきます。

まず、開発組織内の意思疎通を円滑化するために、スライドの左の図にございますとおり、マネジメントの階層を4つから2つに減らし、組織のフラット化を図りました。

また、プロジェクトを推進するPX1人にすべての責任と権限が集中していた従来の体制を改め、PD(Program Director)、CVE(Chief Vehicle Engineer)、CPS(Chief Product Specialist)、この3人に分散をいたしました。

この変更は、いわば三権分立のかたちで相互に健全な牽制機能が働く体制にするとともに、プロジェクト推進役の負荷軽減を図ることを目的としたものでございます。

以上、ここまでで第3四半期の状況についてご説明をしてまいりましたが、続きまして、今年度の通期業績についてご説明をさせていただきます。

2016年 第3四半期累計 業績サマリー

本日ご覧の内容で、ただいま2016年度通期業績見通しの上方修正を発表いたしました。

売上高は、前回10月の公表から500億円増の1兆8,900億円。営業利益は286億円改善し、10億円の黒字転換を見込んでおります。

これによりまして、私ども、2004年の再生計画開始以来、リーマン・ショックの前後も含めて、11年間に渡り続けてまいりました、通期営業黒字を本年度も維持できる見通しでございます。

経常利益も297億円改善し、15億円の黒字となり、これに燃費関連損失引当金の一部戻りが加わりまして、当期純利益はマイナス2020億円と、376億円赤字幅が圧縮される見込みでございます。

前回、10月28日の決算発表のこの場の席上で、私、下期営業利益40億円の黒字をなんとしても達成するとご説明申し上げましたが、そのうち、着実に収益改善の努力を積み上げ、直近では326億円までの黒字幅拡大を展望できる状況になってきたものでございます。

2016年 下期 営業利益見通し増減分析

この変動要因について、次の11ページでご説明させていただきます。ご覧のスライドでは、下期営業利益の10月公表の見通しに対する増加要因をご説明いたしております。

増加額286億円の内訳といたしましては、為替が想定よりも円安水準にあたることによりまして、この増益が117億円ございますけれども、それ以外の、いわゆる自助努力などによる収益改善額が169億円増加するというふうに見込んでおりまして、増加額全体の約6割が為替以外の自助努力によるものという認識でございます。

2016年度 通期業績見通しサマリー

ここで、この為替以外の収益改善について、次のページで少しご説明をさせてください。12ページをご覧ください。日産自動車とのアライアンスがスタートして以降、採算を重視した経営管理の取り組みを一段と進め、経営効率の改善による収益力強化に努めてまいりました。

具体的には、3点申し上げたいと思いますが、第1点といたしまして、為替の変動を踏まえて、採算優先で販売地域を変えたということ。広告宣伝やインセティブなどの販売施策の管理を徹底したり、さらには、日産をベンチマーキングとして購買施策の徹底的な実施などもございます。

以上の通り、採算を軸とした取り組みで、収益改善の効果が着実に現れてきていると考えております。

営業利益・利益率推進

こちらで営業利益率の昨年以内の推移を半期ごとにポイントさせていただいております。

ご覧のように、回復基調となっておりますが、昨年度、ご案内の通り、6パーセント前後にあった営業利益率、これは最高期でございましたが、今年度の上期は燃費不正問題による生産販売停止の影響や市場措置費用が増加したことによりまして、マイナス3.7パーセントまで落ち込みました。

下期以降、先にご説明いたしました通り、経常営業効率の改善に取り組んだ結果、営業利益率は10倍予想の0.4パーセントから3.2パーセントに回復する見込みでございます。

この業績の回復基調を来期につなげ、V字回復シナリオを確かなものにしていけるよう、全力で、全社をあげて取り組んでまいりたいと考えております。それでは、下期以降の具体的な取り組み事例について、いくつかご説明させていただきたいと思います。

経営管理の強化

当社は、新しい経営体制への移行とともに、経営管理についても強化を図ってまいりました。スライド左の図にございます通り、日を追うごとに、トップマネジメントを排した4Cをコアメンバーといたしまして、11月に着任したトレバーマンCPOのもとで、月次の損益管理を徹底するPDCAサイクルを構築いたしました。

PDCAサイクルを回す上で重視しておりますのが、右の表にございます、3つの管理ポイントでございまして、第1点として、実績をその差異やその要因とともに検証すること。2つ目に、計画が達成できなかった場合の対策を立てること、3点目に、将来のリスクやオポチュニティを把握することでございます。

それぞれ、当たり前のことではございますが、この3つのポイントをきっちりフォローアップすることで、立てた計画を完遂する仕組みが機能し、社内で浸透していっていると思っております。

今後も、損益係数の見える化と、管理の強化を進め、現場レベルでの実現性の高いコミットメントとその実施の位置付け、利益の出せる損益体制改善を進めてまいりたいと思っております。

社内コミュニケーションの改善

15ページでございますが、新体制になって以降、当社に関わる重要な情報については、トップマネジメントが直接社内に発信する機会を積極的に増やしております。とくに社員向けの説明会は10月以降で、すでに4回実施しておりまして、本日も決算内容につきまして、このあとこの場で主要な幹部に説明をする予定でございます。

スライドの写真でもおわかりいただけますように、毎回多くの社員が出席しておりまして、社内の状況が非常にわかりやすくなったとの声も数多く出ております。今後もこのような地道な取り組みをさらに進めてまいりたいというふうに思っております。

社内改革の進捗

社内改革について、少し触れさせていただきたいと思います。昨年7月より、山下副社長が陣頭指揮を取り、傘下の商品・開発・品質部門にて、課題改善活動に取り組んでまいりました。

部門横断で10名弱のタスクチームをこれまでに37チーム編成いたしまして、自発的に課題を抽出して改善提案から実行に結びつけていく活動を進めてまいっております。

部長レベル以上は、全員参加しており、随時、中堅から若手へと輪を広げていくと同時に、今後、他の部門にも展開いたしまして、全社レベルの幅広い活動として、課題解決に活かしていく予定でございます。

抜本的な構造改革に欠かせない社員の意思改革を進めるとともに、風通しを良く、また社員1人ひとりが働きやすい会社づくりに努めてまいりたいというふうに思っております。

働き方改革の状況

少し、働き方改革についてご説明させていただきたいと思います。従業員のワークライフバランスの改善のために、当社の総労働時間短縮に向けて、働きやすい職場づくりの醸成に努めてまいっております。

社員1人ひとりの能力を最大限発揮できるよう、ご覧の内容に取り組む予定でございます。ノー残業デーにつきましても、これまでも設定はいたしておりましたけれども、今後は、部門ごとに自由に曜日設定できるように改め、残業の抑制を呼びかけてまいりたいと思います。

経済産業省が提唱されておりますプレミアムフライデーにも賛同し、今後、早急に実施をしてまいりたいというふうに思っております。

日産自動車とのアライアンス

最後に、日産自動車とのアライアンスについてご説明したいと思います。これまでお話ししてきた通り、開発、生産、購買、流通、金融など、シナジー効果の創出をより広く、そして、より深く検討しており、順調に進捗しております。

全容につきましては、公表の準備が整い次第、ご説明の機会を設けさせていただきたいと思っております。以上、簡単ではございますが、ご説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。