VTRを編集されて坂上忍氏に……

西野亮廣氏(以下、西野):「その演出やめて」っていうの、1つあったんですけど。VTRで、最後に、VTRをご覧のスタジオの方に「誰か一言ありますか?」みたいな。

のぶみ氏(以下、のぶみ):はい。

西野:で、僕は、フットボールアワーさんに言ったんですよ。「フットボールアワーさん、このVTR中、正直、僕、おもしろいこと1つも言ってないので、V明け、お願いですから、ちょっとおもしろいこと言って、帳尻合わせてください」っていう、そういう終わり方をしたんですね。

山口トンボ氏(以下、トンボ):なるほど。

のぶみ:いい終わり方。

西野:「なぜなら、僕は絵本作家ですけど、あなた方はなんてったって、天下のお笑い芸人ですから」みたいな、イヤーな(笑)。

のぶみ:(笑)。

西野:それでV明けで、「ふざけんな!」で、もうそれでいい。

のぶみ:それでいいっすね。

トンボ:そうですね。「なんちゅう振りしてくれるんだ!」でいいですもんね。

西野:で、「おもしろいことを言ってください、フットボールアワーさん、お願いします」。で、最後にもう1回、「おもしろいこと、お願いしまーす」って言って。現場ではそうだったんですけど、放送見たら、まず全部切られていて、「坂上さんに一言」って書いてあって。

のぶみ:えー!

西野:で、俺、なんか、最初の「フットさん」とか言ってるのが全部切られていて。

のぶみ:それ、嫌だなー!

西野:「VTR中おもしろいこと言ってないんで、おもしろいこと言ってくださーい」って言ったの、またバチって切られて。「おもしろいこと、お願いしまーす」とか言ってるところだけ。で、V明け、坂上忍さんのアップになってるんですけど、俺、坂上さんには言ってないぞ、っていう。

トンボ:坂上さんには言わないですもんね(笑)。

西野:言わないよ。関係があるフットさんに(言ったのに)。ほんで、そこで「ふざけんな!」で終わってたのに。なんか、俺、急にわけのわからん、いきなり暴走しだして、坂上忍さんに「おもしろいこと言ってください」、みたいなことになっちゃってたんですけど。

トンボ:ひどい奴ですね(笑)。

それに対して坂上氏のコメントは?

のぶみ:それで坂上さん、なんて言ったんですか?

西野:いや、坂上さんはやっぱり達者で、そこはうまかったんですけど。顔で「えーっ」みたいなのをやって、「最近のお笑い芸人さん、お笑い放棄してる人多くないですか?」みたいな。で、ドーンってウケたから。坂上さんはもうすばらしい。

のぶみ:あー、上手。

トンボ:そうですね、返しすごいですよね。

西野:それは本当にもう「ありがとうございます」なんですけど。なぜ西野は、急に坂上忍にそんな無茶振り……。だって、俺、坂上さんとお会いしたこと、あんまりないと思うんですけど。

トンボ:(笑)。

西野:いきなり坂上さんに無茶振りする奴。なんか、とんでもない暴れん坊になってたんですよね。

のぶみ:(笑)。

トンボ:暴れん坊(笑)。

西野:そうなんですよ。

のぶみ:すごい嫌ですね、それね(笑)。

西野:だから、いかようにでもできる。

のぶみ:やっぱり、『バイキング』のスタッフが、ちょっとがんばって数字取ろうと思って、いろいろ考えたんでしょうね。なんか、スタッフのディレクターの意図が、すごい入ってる気はしますね。フットさんより坂上さんにやったほうが、ちょっとインパクトあるだろうって思ったんだろうね、その時ね。

西野:はいはい。

のぶみ:そういう感じなんだろうなあ。

西野:確かに。

のぶみ:でも、期待値は高かったから、そんなに分数が長かったんでしょうね。

トンボ:いや、すごいですよ。

のぶみ:すごいことだよね。

西野:いや、まあでも、ありがたい。やっぱりね、本当に、テレビですね! やっぱり、テレビが一番いい!

のぶみ:テレビ、おもしろいですね。

トンボ:はい。

脚色はぜんぜんおもしろくない

西野:一番すげー。だからといって、僕は第1歩目はテレビでいくつもりはもはやぜんぜんないんですけど。最終的に自分たちの活動がテレビに見つかって、テレビが広めてくれるっていうのが、一番今は効率がいいですね。でも、やっぱりテレビで紹介された時の、このバズり方っていうのは、ネットの比じゃないですよね。

トンボ:いや、すごいですよ。ぜんぜん違います。

のぶみ:でも、はじめにネットで話題になって(後から)テレビのほうが、たぶん今は、広まりやすいとは思いますね。

西野:そうですね。絶対にそうなってると思います。

のぶみ:そっちの、「わ、ついにテレビが取り上げた」感っていうのは、ドーンって来ますよね。ピコ太郎の時もそうでしたよね。

西野:あー、そうですね。

のぶみ:うん。

西野:(コメントにて)「今はカットするんじゃなくて、リアルを見せないと」。いや、本当そうなんですよ。

のぶみ:そうなんだよなあ。

西野:これ、けっこうな人、気づいてないですよ。

トンボ:なるほどね。

西野:リアルが今一番力があるっていうことが、理屈で……、納得できてないっていう。これは本当にそうで、僕、こないだ完全にキレちゃったんですけど。

のぶみ:完全にキレちゃった?(笑)。

西野:完全にキレて、「もう全部お蔵入り」って言って、もう完全にキレちゃったから。

トンボ:はいはい。

西野:ちょっとニュースになったんですけど、雑誌の取材のインタビューで、僕のコメントをスタッフさんとかがちょっといじるんですよ。やっぱり、それこそ動画ではないから、もう文字上のことになってくるから、いかようにでもできるので。

トンボ:まあ、そうですね。

西野:僕が言ってないことも言わすことができるし、「そっちのほうがいいだろう」「こっちのほうがおもしろいだろう」とかで。僕は「それは全部ダメ」って言ったんだけど、その……、僕、自戒も込めて言うんですけど、作ったものってぜんぜんおもしろくないですね。

トンボ:あー、なるほどね。

西野:刺さらない、そんなものは。「こっちのほうが盛り上がるだろう」とか、そんなんじゃなくて。

のぶみ:作ったほうがおもしろくない。

西野:もう、ぜんぜんおもしろくない。いや、作品じゃないですよ? つまり……まあ、そのインタビューの時とかもそうだけど、要は……。

トンボ:脚色がおもしろくない、っていうことですよね。

西野:脚色、ぜんぜんおもしろくない。多少言葉足らずでも、多少難しい言葉を言ってても、本人の言葉を届けないと、もう刺さらないっすよね。

トンボ:うん。

西野:なんか、急に僕が変な関西弁使ってたりだとか、そんなこと言ってないのに、急にケンカ口調になってたりだとか。

トンボ:なるほど。

西野:そういうものって、もう、刺さらないですね。