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30年で大きく改善された体外受精技術の進歩をたどる

30年で大きく改善された体外受精技術の進歩をたどる

1977年、世界で初めて、人の卵子をシャーレで人工授精させ、そこで培養した胚を母親の体内に移植することに成功しました。のちにノーベル賞を受賞したこの技術は、体外受精と呼ばれています。以来、研究者たちは、体外受精の理論と技術を高め、より健康的な妊娠に導こうと努力を重ねてきました。排卵誘発は卵巣過剰刺激症候群といわれるような副作用を伴い、血栓や腎不全機能障害を起こすこともあります。そこで、自然周期体外受精という別の方法も考案され、過剰なホルモン投与による副作用を軽減することもできるようになりました。1つ1つ技術を積み重ねた結果、今の体外受精が成り立っているのです。

シリーズ
SciShow
2016年12月22日のログ
スピーカー
Olivia Gordon(オリビア・ゴードン) 氏
参照動画
How Does IVF Make Babies?

1977年世界初の体外受精が成功

オリビア・ゴードン氏 1977年、世界で初めて、英国の研究者チームが、人の卵子をシャーレで人工授精させ、そこで培養した胚を母親の体内に移植することに成功しました。 gazou1 そして母親は妊娠し、無事子どもを出産しました。生まれた子供はルイーズ・ブラウンと名付けられ、現在40歳になろうとしています。 その手法を開発した医者は、2010年にノーベル賞を受賞していますが、彼の手法は一般的に体外受精と呼ばれ、広く普及することになったのです。 ルイーズが生まれた時と比べ、体外受精は大きく変わりました。過去2、30年にわたる研究により、大いに進歩したのです。副作用は軽減され、成功率もずっと高くなりました。 夫婦間に子供が生まれない理由にはいろいろなことが挙げられます。精子の数が少ないとか、卵子の質がよくないとかがもっとも普通ですが、そのような場合、体外授精は、受精をコントロールし、もっとも良好な胚を選んで移植することで、自然妊娠できない人にも、自分自身の子を持つ道を開いてくれるのです。 体外受精の過程にはいくつかの段階があります。まず、複数個の卵胞が生育するように卵巣を刺激します。卵胞とは、卵母細胞と呼ばれる未成熟の卵子を含んだ袋のこといいます。 この最初のプロセスは排卵誘発と呼ばれ、通常、ゴナドトロピンという性線刺激ホルモンを患者に投与して行います。ゴナドとは性線という意味で、このホルモンは性線に作用し、性ホルモンのレベルや卵子や精子の生成をコントロールします。 排卵誘発をすると、自然の月経周期は停止し、卵巣で複数個の卵胞ができるようになります。これらの卵胞から、普通15から30くらいの卵子が採取されるので、自然の排卵の1個と比べて、はるかに多いわけです。卵胞が形成されると、ヒト絨毛性ゴナドトロピンというホルモンを投与し、卵子をさらに成熟させます。 gazou3 その後、採卵を行い、特殊な溶液の中で精子と受精させます。受精すると、シャーレで数日培養し細胞分裂をおこさせます。 gazou4 次に、品質の特に優れた胚を選び、子宮頸部から、子宮の中に直接移植します。子宮内膜に着床して、順調に成長する確率を高めるため、複数の胚を同時に移植することがよくおこなわれます。 gazou5

体外受精技術の進歩

1970年以来、研究者たちは、体外受精の理論と技術を高め、より健康的な妊娠に導こうと努力を重ねてきました。排卵誘発は卵巣過剰刺激症候群といわれるような副作用を伴い、血栓や腎不全機能障害を起こすこともあります。 そこで、自然周期体外受精という別の方法も考案され、過剰なホルモン投与による副作用を軽減することもできるようになりました。 この方法では、医者は自然に排卵された卵子のみを採取します。でもこれにも欠点があります。一度に1つの卵子しか採れないことです。体外受精 の成功率は決して高くないので、患者は同じプロセスを何度も何度も繰り返さなくてはなりません。 そこで、低刺激法といわれる、排卵誘発と自然周期を組み合わせた体外受精を行うことも考案されています。低刺激法は、ホルモンの量と投与期間を短縮することで副作用のリスクを減らしつつ、しかも、卵巣が複数の卵胞を作るよう促す方法です。 研究者たちは多胎出産の問題とも取り組んでいます。体外受精がよく批判されるのは、双子や三つ子、あるいはそれ以上の赤ん坊が生まれることがしばしばあるということです。予想外の数の赤ん坊が生まれると大変な負担になってしまいます。 gazou6 多胎出産が起こっていたのは、胚の多くは着床しないので、できるだけたくさん移植しようとしていたからです。少なくとも最近まではそういう傾向がありました。 従来、胚をシャーレで培養するのは3日間が限界でした。精子と卵子が一体となり、受精卵ができますが、それが分割し始め、3日目ではまだ分割期胚といわれる状態です。今まではそれを移植していたのです。 自然の妊娠の場合、分割期胚はまだ卵巣と子宮の間の卵管にあります。 gazou7 しかし、体外受精では子宮に直接移植するので、3日経過した分割胚がそこで生き残るのは難しいのです。実際、移植胚のうち4分の1しか妊娠に結びつきません。医者は、胚が1つでも生き残るようにと、どうしてもたくさん移植してしまうのです。ところが、時には運が良くて、2つ、3つと生き残り、多胎出産が起こっていたのです。 しかし、今では、胚を6日間ぐらい生存させる技術が確立されています。この段階の胚は、胚盤胞と呼ばれ、内部に空洞ができています。 gazou8 ここまで分割を繰り返してきた細胞は、最終的に心臓の細胞になったり肺の細胞になったりするよう、特化していく段階に入っています。子宮で生き残れないような胚の多くは、この胚盤胞の段階に達するまでにすでに壊れています。ですから、この段階で移植された胚のほぼ半分は妊娠につながるとされています。 胚をより長く成長させることにより、移植胚の数を3、4個から2、3個に減らしても、同じ妊娠成功率が確保できるようになったのです。ですから四つ子が生まれたり、八つ子が生まれる心配はなくなりました。 また、研究者たちはミトコンドリア病を子供に伝えないようにする方法も考えつきました。母親が、ミトコンドリア内に存在する遺伝子に変異を持っている場合が対象です。卵子の核は残し、ミトコンドリアが含まれる周りの細胞質を取り出し、それを第三者のドナーの細胞質と入れ替えてしまうのです。ということは、厳密には、このようにして生まれた子供は3人の親を持つことになります。 いずれにせよ、体外受精のおかげで、子どもを自然出産できなかった多くの人が、今では親になっているのです。

  

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