爆発物を検知できるほうれん草

ケイトリン・ホフマイスター氏:こんにちは、私はSciShow Spaceのケイトリン・ホフマイスターです。今日のSciShowニュースをみなさんにお届けするために代役を務めます。

植物は私たちに食べ物や呼吸できる空気、そして薬を与えてくれる、かわいくて大切なものだということにはみなさん同意すると思います。でも植物は……植物です。そしてもしあなたが中つ国かどこかにいない限り、植物があなたに話しかけてくることはないですよね。

よく聞いてください。今週の『Nature Materials』誌で発表されたある研究によると、爆発物を検知できるほうれん草の交配種を技術者たちが作り出したそうです。そしてそれだけではなく、そのほうれん草はそれに関するEメールをあなたに送るよう、コンピュータに信号を送ることができるのです。

これは研究者が植物ナノバイオニクスと呼ぶもののほんの1例で、今日の植物と電子ナノ技術を組み合わせたものです。

この超探査ほうれん草の鍵は、その葉の中にあるカーボン・ナノチューブで、研究者が指定する化学物質はなんでも検知するように設計されています。

そのナノチューブを埋め込むために、技術者たちは血管注入と呼ばれるプロセスを使用しました。

基本的に、彼らはほうれん草の葉の下側の面にナノチューブの溶液、水、そして洗浄性のコール酸ナトリウムなどのその他の化学物質を吹きかけました。ナノチューブは非常に小さいので葉の気孔の間を通って葉肉組織に到達します。

そして、植物が根から地下水を吸い上げると、大量の栄養分と化学物質が細胞まで広がって、埋め込まれたナノチューブにぶつかった、というわけです。

この研究で、ナノチューブはとくにニトロ芳香族に結合しているタンパク質にリンクしました。ニトロ芳香族とは地雷やその他の爆発物に使用される反応化学物質です。そこがリンクしたことでナノチューブの化学的性質が変化し、赤外線蛍光シグナルを放つようになったのです。

研究者たちは、つねにシグナルを送って標点の役目を務めたナノチューブがあったことにも注目しました。そのようにして近くの赤外線カメラがニトロ芳香族のために余分な赤外線シグナルを発している検出し、コンピュータに「警告:近くに爆発物があります」というEメールレポートを送ることができたのです。

理論上は、これらの植物を使って埋められた地雷のようなものを検知することができるかもしれませんが、研究者たちは植物ナノバイオニクスができることについてほかの多くのアイディアを持っています。

ほら、植物は地下水から空気まで、環境をモニタリングすることに実に長けていますよね。

私たちよりもずっと簡単に、干ばつや化学物質の流出といったものを検知することができます。だから、私たちは彼らの声を聞く方法を見つけ出しさえすればよいのです。この爆発物検出ほうれん草はほんの始まりに過ぎないかもしれません。そして植物ナノバイオニクスのおかげで、「スーパーフーズ」は完全に新しい意味を帯びてきています。

避妊効果があるホルモン注射

一方、人類のニュースです。もしあなたが男性側の避妊の選択肢の無さに落胆したことがあるならば、科学者たちはそのことに取り組んでいるところです。

『Journal of Clinical Endocrinology』誌で発表された最近の研究は、男性に一連のホルモン注射をすることでそのパートナーが妊娠する可能性が下がるかもしれないことを示しました。これらの注射はこれまで小規模のテストで研究されてきましたが、今回の研究もまだ予備段階です。

それはほんの少しだけ大きな規模でこの避妊が機能するかどうか、そしてなんらかの安全でない副作用があるかどうかを見るためのものでした。その研究は主に2つの段階に分かれており、異性愛の関係にある320人の男性に対して始められました。

抑制段階で、彼らは最大約半年の間、8週間に一度2つのホルモン注射を受けました。最初の注射は200ミリグラムのプロゲストゲン・ステロイドで、女性の避妊薬に入っている化合物に似たものでした。

そして2本目の注射は1,000ミリグラムのTUと呼ばれるステロイドで、わずかに修正されたテストステロン分子とアンドロゲンです。

基本的にこれらのホルモンは、睾丸にある特殊な細胞における精子の成長サイクルを妨げるものです。

その目的は、精子数を99パーセント以上減少させることでした。精子数は通常1ミリメートル当たり4,000万から3億の間です。

6ヵ月以内のうちに320人の参加者のうち270人以上の精子数が1ミリメートル当たり100万以下になり、効能段階へと移行しました。移行しなかった人々のなかで精子数が減らなかったのは2人だけで、残りの人たちはただ参加するのをやめたのです。

テストの最初の段階で、参加者とそのパートナーはセックス時にコンドームのようなホルモンを使用しない避妊方法を使いました。

しかしこの段階では、1年以上にわたって注射を完全に信頼するように言われていました。そして結果はどうだったのでしょうか。

研究に関わっていた266人の男性のうち、妊娠させたのは4人だけで、その研究が避妊に非常に効果的だったということがわかりました。そしてそれらの男性のほとんどは、注射をやめた後、精子の生産は通常のペースに戻りました。とても期待できそうな感じに聞こえますよね。

実際、参加者の4分の3以上がこの避妊方法を喜んで使い続けると言いました。

でも多くの副作用もあったのです。合計で約1,500の報告がありましたが、研究者はその約40パーセントは注射に関連するものではなかったと結論づけました。

それでも、参加者は筋肉の痛みやにきびの増加、気分障害などを訴えました。これらのリスクについて、研究者たちはこの方法が広く使われるようになる前に取り組みたいと考えているようです。

男性のホルモンを使った避妊方法は長年研究が進められています。そしていずれかのやり方がより多くの臨床試験を乗り越えて、期待できる新たな選択肢になって欲しいですね。これがそうなるかもしれません。