株を買う前に必要な2つの意思決定
中原良太氏(以下、中原):ではさっそく本題に入っていきます。
一番最初は「意思決定に必要なものとは何か?」。このポイントについてご紹介していきます。
意思決定に必要なものは何か? ざっくり言うと、信憑性の高い情報とタイミング、この2つだけです。それで、株を買う前に何を決めればいいかというと、2つのポイントしかありません。
1つ目が、そもそも投資してもいいのか、それともダメなのかというのを決めると。そのために、企業の情報を調べたり、あるいは、直近の値動きとか、チャートを見て事前調査をしていく必要があります。
2つ目が、どういう状況になったら投資するのか、どういうタイミングで株を買えばいいのかというお話です。
そもそも投資しちゃダメな株というのは調べる必要がないので、そこで足切りして終わり。それでもし、「この会社は買ってもいいかな」という株を見つけたら、その後に買うタイミングを実際に見計らっていくことになります。
実際にいい株というのはすごくたくさんあるんですけど、タイミングが悪いから買えないことがすごく多いです。
実際に、日本にはすばらしい会社が200社、300社とか、1000社とかあるんですけど、タイミングの問題で「今は微妙だな」ということが非常に多いので、タイミングを見計らうのも非常に重要なポイントです。
タイミングを間違えれば、たとえいい株を見つけても、利益は出せないということになってしまいますので、この2つのポイントは必ず押さえるようにしておきましょう。
いらない指標を捨てる
一番最初に、投資してもいい株、ダメな株を調べるために、僕らは何をしなければいけないのか。
企業情報やチャートを調べたり、今の状況を精査していくことが必要になりますが、短時間でこれを実践していくためには、絶対にやらなきゃいけないポイントがあります。
それは何かというと、いらない指標を捨てるということです。
つまり、自分の投資法に対して、分析に使える指標というのはいくつもあって、実際に100以上あると思います。例えば、PER、PBR、オシレーター系指標、一目均衡表、エンベロープ、MACD、移動平均線……挙げればキリがないぐらい、たくさん指標があります。
実際に分析に使える指標はいくらでもあるんですけど、全部を使う必要はまったくないです。実際、プロのアナリストや投資家でもごく一部の指標しか使ってないことが多いです。少ない方だと、2、3個の指標だけでもう実際に運用しちゃう方も多いです。
ですので、逆に言えば、使っている指標が多くて、何がやりたいかわからない人は実力不足なことが多いとも考えられます。なので、本当にいる指標といらない指標を見極める力というのが、株を実践するためには非常に大事なスキルなんです。
いらない指標の見分け方
では、いらない指標はどうやって見分ければいいのか。それは、2つの条件を確認することでできます。
例えば、PER、PBRなどよく知られている指標がありますが、その指標を使って本当に利益が増やせるのか、利益が増やせないのか。あるいは、その指標を使うことで、損を減らせるのか、損を減らせないのか。この2つのポイントを押さえることで、いらない指標があぶり出されてきます。
実際に、損得にまったく関係ない指標はたくさんあります。それこそで、1週間とか2週間とかのごくわずかな期間だけ投資する方法では、財務系指標はほとんど役に立たない。
それよりも大事な要素がたくさんあると、確認したところで大した役には立たないということがあります。それこそ、PERやPBRというのは、短期投資ではほとんど役に立たないと考えられています。実際に私も調べたんですが、役に立ったことはほとんどないですね。
ということで、指標を使い分けることが大事になってきます。例えば、長期投資の場合は、有価証券報告書とか、財務指標とか、投資指標とか、得る情報源をきちんと分けておく必要があります。
短期投資の場合は、チャート、需給、ニュースとか、いろいろチャートを見るべきポイントを限定しておくと。
そうすることで、すごい短い時間でそこそこいい銘柄を見つけられるようになります。複雑な指標は一切必要ありません。
それこそよくわからないアルファベットで作られた指標とか、一目均衡表、エンベロープ、いろいろな指標がありますが、基本的にいらないです。
プロでもこれがなくてもうまく投資できます。むしろ、「道具に頼っているうちは微妙だな」と思うぐらい、複雑なことをやるのと利益を出すのは、別のことなんですね。
こちらは頭の良さをアピールすることだったり、相場を深く理解することだったりするんですが、「必要か?」と言われても、そんなに必要ではない。利益を出すためにはシンプルな分析で十分対応できます。
複雑な分析が必要なのは、FXや先物とかですかね。そういう商品の限られているものについては、けっこう複雑な分析する必要がありますが、株式投資についてはとくに必要ないと思っています。
有益な情報が得られる無料Webサイト
もう1つ大事なポイントが、まあ、そこそこ大事な情報をパパッと短い時間で調べるためには、情報源を確保しておく必要があります。
例えば、私が使っている無料のWebサイトだと、投資情報系のニュースは「株探」というサイトを使って調べています。それで、チャート分析やランキング系の情報は「Yahoo!ファイナンス」から仕入れています。
決算情報、スクリーニング機能は「四季報オンライン」というサイトから仕入れています。それで、投資法の立案とか、深い分析とかは、「株マップ」あるいは、「みんかぶ」というサイトを使って調べています。
とくにこの株マップというサイトは、人工知能の機能を追加している、けっこう分析に優れたサイトなので、ぜひご活用いただければと思います。
大事な情報は「意見」ではなく「事実」
実際に、いろいろな指標を調べるとか、いろいろな情報を仕入れるということが、株式投資には必要不可欠なわけなんですけど、このリサーチをするときに、1つだけ注意していただきたいことがあります。何だと思いますか?
これは非常に重要なポイントです。株式投資のための情報収集で、絶対にやっちゃいけないこと。あるいは要注意すべきこと。
それは何かというと、どこかの誰かさんの意見というのは情報ではないです。例えば、掲示板に書かれているコメントとか。これは情報ではないです。
株式投資をするために集めるべき情報は、意見ではなくて事実なんです。なので、例えばアナリストレポートとか銘柄予想とか、そういった記事はなんの役にも立たないことがほとんどなので、参考にしないほうが身のためだと思っています。
なぜかというと、基本的に事実というのは、誰に対しても客観的な判断材料になりうるんですが、意見というのは、誰かが誰かを誘導するためのものなんですね。
例えば、アナリストレポートだと、アナリストを雇っている会社と、アナリストによって分析された会社に利害関係がある場合は、その会社を宣伝するためだけに書かれたものかもしれない。
こういった意見は、あなたのために書かれたレポートじゃないかもしれないということを考えると、大事なのは事実であって意見ではないはずなんですね。
ということで、「意見を集めたところでなんの役にも立たない」と私は考えています。大事なのは事実を収集して、それを分析することなんですね。ということで、情報収集をするときには、この点をよく注意をする必要があると考えています。
ということで、情報収集をして、銘柄を分析するという第1のステップについては、お話は終わりになります。
株を買うタイミングの見極め方
銘柄の分析をできました。その後に、いい銘柄、買いたくない銘柄の区別ができましたと。その後に私たちがしなければいけないのは、どういうタイミングになったら株を買えばいいのか、ここの判断が大事になってきます。
このタイミングを見極める方法は2つしかありません。もう、ここを見極めるだけです。ですので、そんなに深い分析は必要ないと思っています。
何をすればいいかというと、考え方その1は、「株価が安くなったときに買いましょう」という考え方です。
投資先としては十分魅力的なんだけど、今は割高である場合、タイミングが微妙な場合、こういった場合は、投資を避けるべきですよね。
なので、株を買うタイミングとしては、「安くなったときに買いましょう」と考えるのが第1条件です。もう1つの考え方が、もうすでに株は割安ですと。それで利益にもつながりやすそうだと。ただ、相場の環境が微妙だという場合。
例えば、相場全体が暴落しているとか、リーマンショックのような暴落相場。あるいは、凪相場と言われるように、もう相場が膠着状態で、ひたすら横ばいの状況を続けている。
そんな相場の場合は、たとえ割安でも利益が出せないことが非常に多いです。あるいは、急落してもリバウンドしづらいということがありますので、相場環境が整っていないと、利益が出せないことが非常に多いんです。
なので、相場環境が整うのを待つために今は投資を控えておくことが非常に重要です。あるいは、相場の環境が改善されたら、もうすぐにでもGOしましょう、すぐにでも株を買いましょうと決定できるわけです。
ということで、いつ株を買うかを考えるために重要なポイントは2つ。株がどれぐらい安くなったら買うのかというのと、相場状況がどの程度改善されたら買うのか、この2つを吟味する。このたった2つを吟味するだけで、そこそこの精度で株式投資ができるようになると考えています。
本日のまとめ
ということで、最後にまとめをお話ししていきます。
手っ取り早く優良株を見つける、あるいは相場を分析するためにも、一番大事なポイントは2つです。それは情報の信憑性とタイミング、この2つのポイントです。
この2つのタイミングさえ押さえておけば、そこそこの銘柄を見つけることができます。ですので、この2つは絶対に欠かさないようにしましょう。
それ以外のところは後回しでもいいので、今すぐ分析することではなくて、この2つが整った後に念のためチェックしておくとか、そういうチェック機能として使えばいいんじゃないかなと思います。
2つ目が、情報の信憑性とか、「その会社は投資に値するのか?」ということを調べるのが一番面倒です。ですから、仕入れる情報はできるかぎり絞り込んだほうがいいです。
一番役に立つ情報は何なのかということをあらかじめ知っておくことで、他の情報、いらない情報を前もって決めておくことで、短時間でそこそこの銘柄を見つけられるようになります。
最後に一番大事なのは、最高のタイミングで投資することです。
まあ、いい銘柄を見つけても、タイミングを間違えば利益は出せません。ですので、どれぐらい下がったら買うのかとか、どれぐらい相場の状況が改善されたら、買うのかとかということに注目することで利益を出せるんじゃないかなと思います。
ということで、手っ取り早く相場を分析する方法、あるいは優良株を見つける方法の重要なポイントを2つご紹介しました。今回は以上で終了といたします。