伸びている企業のマーケティング戦略とは

上田祐司氏(以下、上田):みなさん、こんにちは!

会場一同:こんにちは。

上田:本当にですね、私自身がこのセッションを待ちに待っていました。

経沢香保子氏(以下、経沢):(笑)。

上田:「伸びてらっしゃる企業さんのマーケティング戦略をどこまで聞いていいのだろうか」というところで、最後には質問の時間も用意したいと思っています。みなさんもなにかありましたら、手を挙げていただきたいと思います。

島まるごとも貸し出している、スペースマーケット

では最初に、サービスの紹介から始めてまいります。まずは奥の重松さんから、順番にお願いできればと思います。

重松大輔氏(以下、重松):みなさん、こんにちは。スペースマーケットの重松でございます。

スペースマーケットは「スペースを持っている人」「それを借りたい人」をマッチングさせるプラットホームです。Airbnbさんのイベントスペース版、というビジネスですね。ちょうど3年くらい前にサービスを開始しております。

「スペースをただマッチングさせる」だけでなく、実は裏側でいろんなことをやっています。当然、予約台帳管理や課金などもやっていますが、強調したいのはプロカメラマンですね。スペースでは、きれいな写真を撮れないとなかなかコンバージョンしないところがあります。

ナカダイ/モノ・ファクトリーさんと組んで、産業廃棄物のリユースのプロデュースをしたり。あとは商品サンプリングですね。今回だとペリエさんにスポンサーについていただいています。スペースマーケットでは、ペリエ飲み放題になるスペースもけっこうあります。そういったマーケティングや商品サンプルの促進などをやっております。

そのほか、いろんな自治体と組んでいて、例えば(宮崎県)日南市の市長室を貸し出すなどもやっています。2回、借りられました。

あとは猿島。島をまるごと貸し出すこともやっていて、実際にコスプレイヤーの方々もいらっしゃったり……今日は本当に、何回コスプレイヤーの話をしたかわからないんですけど。

(会場笑)

コスプレイヤーのみなさんは、スペースマーケットが大好きですね。ものすごく使っていただいていますので、もし会場にいらしたら、あとで声をかけてください。抱きしめますんで。

(会場笑)

本当にいろんなスペースを、取り扱ってます。今は1万スペースくらい取り扱っておりまして、それがどんどん増えています。

あとは、廃校活用プロジェクトもしております。ここもガンガンと増えていて、今だと7ヵ所くらいあります。廃校活用して、ここでイベントやセミナーを行っております。

今回も来ていただきましたけど、島原市との連携もやっております。ここについては、あとでお話をしたいと思います。以上で終わります。

(会場拍手)

フードデリバリーも開始したUber Japan

上田:ありがとうございます。では続きまして、Uberさんお願いいたします。

髙橋正巳氏(以下、髙橋):Uber Japanの髙橋と申します。簡単に「Uber」のご説明をさせていただきます。今、日本では大きく分けて2つです。

1つは、この東京でやっている交通まわりのサービスです。2014年3月に開始したサービスで、ボタンを押すとハイヤーが来る。そういったサービスを開始しております。

また、今年5月から、京都府京丹後市という京都府の一番日本海側のエリアで、Uberのシステムを使っています。本当に過疎化や高齢化が進んでいるところで、地域の住民の方が空いてる時間にドライバーとなり、病院へ行きたい方、駅に行きたい方とマッチングさせて移動を提供するといった実証実験を開始しています。

今年8月から、ちょっと仕組みは違うんですけど、北海道中頓別町という、稚内から2時間くらいかかるところでもサービスを開始しています。

つい先日、東京で「UberEATS」というサービスを開始いたしました。これはUberの仕組みを使って、フードデリバリーをするサービスです。

従来のUberは、乗る人と乗せる人をマッチングするサービスでした。しかしUberEATSは、食べたい人と料理する人と、そして運ぶ人。この3者を、オンデマンドでマッチングするサービスになってます。

UberEATSでは、通常のUberアプリとは違う、フードデリバリー専用のアプリを開発しました。アプリに表示されたメニューから選んでいただくと、レストランに自動的にオーダーが入って、ちょうど料理が終わったタイミングで、配達員が取りに来る。そして配達員は料理を最終的にお客様のところへお届けする。

この配達員はシェアリングエコノミーの概念に則って、一般の方があらかじめ登録をして、空いている時間に配達するモデルになってます。そういったサービスをつい先日、開始したところです。

以上です。ありがとうございました。

上田:ありがとうございました。すごいですね。

(会場拍手)

ニーズに合わせたベビーシッターサービスを運営する、キッズライン

では、経沢さんお願いいたします。

経沢:よろしくお願いします。私は、自らの育児経験を活かして、スマホからベビーシッターを呼べる「キッズライン」というサービスを始めましたので、お話しさせていただきます。

私は、30代に3人の子供を出産しながら、前職ではトレンダーズという会社を、2012年当時、女性社長最年少で上場させた経験を持っています。それができたのは、ベビーシッターさんがいたからです。そこで、キッズラインというサービスを開発しました。

みなさん、女性の活用は進んでますか? 出産で7割の女性が辞めてしまう日本の現状を、非常にもったいないと思っている方は、たくさんいると思います。

そのせいで日本の女性の役員比率は、世界でも最下位の方にあります。アメリカではたくさんの女性経営者が活躍しています。しかも、みなさん、複数の子供を持つワーキングマザーなんですよね。

日本とアメリカの違いはなにか。やはり、ベビーシッター文化が広まっているかどうかだと、私は思っています。日本は出生率もどんどん下がっていて、高齢化社会は目前です。そこで本当に必要なのは、女性が子供を産みながら仕事を続けられる社会を実現することではないでしょうか。

実際に職場では、毎日このようなことが起こっていませんか? 例えば、子供が熱が出たら、保育園に連れて行くことはできません。そのため、出社できなくなってしまうのです。

でも、キッズラインがあれば大丈夫です。スマホからベビーシッターさんを呼べます。例えば、「今日来れる人」をクリックすると、非常にたくさんのシッターさんが出てきます。

希望のサポーターさんを見つけたら、その人たちの詳細ページを見る。Facebookの友達が使っていることや、資格保有状況、あとは利用回数。すべての人の体験レビューを見ることができます。

そして、気に入った人がいれば、カレンダーで空き状況がわかるので、開始時間と終了時間を入れてクリックするだけで、そのシッターさんを呼ぶことができます。これが届くと、シッターさんが来てくれます。

通常のベビーシッターサービスでは、夕方には電話での受付時間が終了してしまいます。でも、キッズラインでは24時間いつでも申し込みをできるのがメリットです。そして、シッターさんが家にやってきて、お子さんが病気だった場合、保険証の確認といった状況をチェックして、ママは安心して会社に行くことができるんです。

でも、不在中は心配してしまうママもたくさんいると思います。キッズラインではsafieさんと提携しているため、毎月980円で利用できるWebカメラを設置し、お子さんの状況を確認することもできます。(編注:導入代金などはユーザー負担)

このようなかたちで、ベビーシッターサービスを提供させていただいています。そしてママは家に帰ってきたらシッターさんからお子さんを引き継ぎ、今日1日の状況をレポートしてもらいます。

後に、ちゃんとメールでも完了報告というかたちで、「何時に何を行ったか」といった詳細レポートを送るようになっています。そして、お支払いは登録したクレジットカードでワンクリックするだけなので、簡単です。

使った人全員がシッターさんのレビューを書くことになっています。そのため、シッターさんは毎回サービス向上に努めることになります。

例えば、急な残業時にも会社に来て助けてもらったり、そのほか、家庭教師のように利用される方も非常に多いです。おかげで、ママが忙しくてもお子さんは習い事ができます。

また、「夫婦2人っきりで久しぶりにデートができた」と、多くの方に喜んでいただいています。24時間対応も可能なので、出張時も利用されています。

定期的に利用される方も多いですし、朝の送迎だけなど、それぞれのニーズに合わせたサービスを提供しています。

ベビーシッター文化が日本で広がらない理由

では、このようなベビーシッターが、なぜ日本では広がらなかったのでしょうか? 今までは、値段と安全性という2つの不安があったのではないでしょうか?

まずは、値段についてです。既存のサービスでは、入会金や年会費など、非常に高いコストがかかります。キッズラインは、入会金、年会費ゼロです。利用した分だけの課金制で、1時間1,000円〜の価格になっています。

キッズラインのシッターさんは、自分の好きな時給で登録していて、受け取る金額は自分で決めることができます。私たちはマッチングのコストを最小限にし、中間マージンコストを下げました。

そして安全性ですが、私たちが登録しているシッターさんたちは、全員面接と研修を行っていて、レビューの確認をしております。そのため、常にサービスクオリティーをチェックしています。

また、いざというときのための5億円の保険にも入っているということと、すべてのレビューが見れること、資格保有状況などをオープンにしています。事前に会っていただくのを推奨していますが、事前に会えなくても、安心して頼めることで好評です。

私たちは、日本にベビーシッター文化を広めるために、さまざまな取り組みをしています。現在、各自治体にもいろいろ提案させていただいていて、渋谷区や千代田区、品川区は、利用者に対して補助金を出してくださったり、小池塾の託児スペースをやったりしています。

政府の方にも働きかけ、待機児童になったときも、シッターを使うことや、保育士シッターの活用で、待機児童解消ゼロを目指して活動しています。

このようなかたちで、私たちは日本にベビーシッター文化を広げて、女性が輝く社会の実現に、これからもがんばっていきたいと思います。ご静聴ありがとうございました。

(会場拍手)

上田:ありがとうございます。上田家でも、使わせていただいております。

経沢:ありがとうございます。

3つのシェアリングエコノミーを展開する、ガイアックス

上田:では、私のご紹介とさせていただきます。ガイアックスの代表もやっておりますので、そちらの話をさせていただきたいと思っております。

ガイアックスですが、シェアリングエコノミーからソーシャルメディアまで、人と人をつなげることを理念にビジネスをやっております。

シェアリングエコノミーに関しては、グループ内で3つのビジネスがあります。車の「notteco」、食の「Tadaku」、そして体験を提供する「TABICA」というサービスをやってます。

また投資事業というかたちでファンドを結成しまして、20社近い会社さんに投資をさせていただいてます。シェアリングエコノミーとして、安全性を担保するために個人認証サービスを多くの企業にご提供している状況です。

では先ほどご紹介しました「TABICA」について、くわしく説明させていただきます。やはり、地域を盛り上げていくのは、なかなか難しいんですよね。しかし、地域には魅力的な人、魅力的な暮らしがあります。

例えば、(神奈川県)十日市場の木下さんです。地域に住んでいる人の暮らし体験は、非常におもしろいんですよね。

そういった魅力を広げていく。それがTABICAです。サービスとしては、いたって簡単です。このシェアリングエコノミーの話を、いちいち聞き続けたみなさんからすると、ご想像の通りです。

(会場笑)

情報をあげてもらって、参加申し込みをするんです。ただ、実際にあげていただいている旅や体験イベントは、ごくごく日常的な体験が多いんですよ。例えば、餅つき。それは、そこらへんの田舎でやっていますからね。

そのほか、旬の野菜バーベキューもありますが、周辺にある野菜を焼いてみんなで召し上がります。トラクター体験もあります。

(会場笑)

その人から聞くと、家の横に竹林があり、生い茂っている状態なんだそうです。それをとってきて竹の流しそうめんをする。そのほかには人気コンテンツとして、うなぎの蒲焼があります

経沢:へえー。おいしそう。

上田:鰻屋さんが開催してます。これの人数キャパはなんと5人です。

(会場笑)

だいたい10人くらいのキャパなんですが、ここはとくに少ない。あと、地域の町歩きを紹介するものもあります。マンホール好きな女性が、地域のマンホールを説明したいという企画もあります。

本当におもしろいのは、人や暮らしに触れること

みなさんも感じていただいたと思うんですが、地域の方は、誰でもホストになります。そういったサービスを提供しています。こんな感じで、プロモーションしているわけです。

最近では、海外の方もご利用いただけるようになってきました。もちろん、ローカルな旅はみなさん楽しんでいただきます。マスコミにも取り上げていただきます。

ご利用者の方も、どんどん増えてきています。ただ重要なのは、利用者の数ではありません。ご利用いただいているゲストの満足度です。これ、すごいんですよ。満足度10、9、8をつけた人が80パーセントなんです。

実際には、地域の人々の暮らしに触れる。人柄に触れる。パラグライダーやラフティングなどがありますが、本当におもしろいのは、地域の人に触れること。暮らしに触れること。TABICAには、たくさんの自治体とともに、これから提供を進めていきます。

現在、(埼玉県)横瀬町と組ませていただいています。昨日、発表しましたとおり、千葉市とも組ましていただいてます。

人と人をつなげていく。地域の体験を、シェアリングエコノミーで広げていくというような活動をしています。ご静聴ありがとうございました。

(会場拍手)