利益確定と損切りの優先順位

中原良太氏(以下、中原):投資法が違えば、利益確定と損切りの順序もぜんぜん変わってくるということで、「なぜ利益確定と損切りの優先順位が変わってしまうのか?」というポイントについてご紹介していきます。

これから順張り投資とか逆張り投資をする方にとって、非常に大事な話ですので、ぜひ最後までご覧いただければと思います

順張り投資の場合

順張り投資の場合、普通は株を買った直後もさらに株価が上がり続けます。なので、この投資法の真髄というのは、上昇の波にひらすら乗り続けるということが大事です。

上昇の波に乗り続けるというトレンドフォローの投資法ですので、利益確定が早すぎると利益がほとんど出なくなってしまいます。これは非常にもったいないです。

ただ、上昇の波が終わってしまったときには、スムーズに株を売らなければいけないと。なので、波が終わったらサッと手を引く必要があるし、波が続くかぎりはひたすら乗り続けなければいけないと。

まさに、利大損小の考え方なんですね。利益を大きく伸ばして、損は小さくしなければいけないというのが、この順張り投資の鉄則です。

ですので、損切りを早めて、利益確定を遅めにしていくというのが非常に大事なポイントです。

具体的にどういうタイミングで株を売るかというと、例えば、短期間での最安値を更新した場合、1ヶ月間の最安値をズドーンと更新した場合、あるいは移動平均がクロスした場合です。

あるいは、トレーリングストップといって、ある程度利益が出た状態から、何パーセント減ったら株を売るという売り方が非常に大事です。けっこう勘違いしている方が多いのは、この利大損小という考え方です。

株式投資の鉄則として、「利益を伸ばして損を小さくしろ」ということがよくささやかれてるというか、「これを外したら、利益が出せない」とか、「投資家としてダメだ」という言い方をするんですけれども、これは順張り投資に限った格言でほかの投資法には当てはまりません。

なので、逆張り投資で利大損小の考え方を使おうとすると、まあ悲惨な目に遭います。この利大損小という考え方は、順張り投資だけにフィットする価値観であって、他の投資法では違った価値観が必要になってくるということをきちんと押さえておきましょう。

以上が、順張り投資の特徴でした。

まとめると、順張り投資の場合は、損切りを早く、利益確定を遅くというのが非常に大事なポイントになりますので、こちらは必ず押さえておくようにしましょう。

逆張り投資の場合

逆張り投資の場合、普通は株を買った直後に大きな含み損を抱えることになります。なぜかというと、株価が下がっている間に株を買うから。下がったら買う、そしたらまた下がる、その後しばらくしてリバウンドしていくというのが、この逆張り投資の特徴です。

なので、下落が一服した後の反発を狙うのが、この逆張り投資の特徴ですので、損切りが早すぎると、利益が出る前に株を手仕舞ってしまうことになります。リバウンドが出る前に、株を売るのが早すぎて、損ばかりふくらんで利益がぜんぜん出ないということになります。

ですので、損切りをすることよりも先に、「利益確定のチャンスがないか?」ということを考える必要があります。それで、利益確定を早めて損切りを遅めにするというのがこの逆張り投資の特徴です。

順張り投資では利大損小という考え方をご紹介したんですが、逆張り投資では半値戻しというのを優先的に考えることにしています。

この半値戻しはどういうことかというと、例えば、200円から100円にズドーンと、株価が半分に落ちたとします。

このとき、逆張り投資では「この株価が元に戻る」という考え方はしないです。200円から100円に落ちて、また200円に戻るという考え方はしなくて、「半分戻ればもう十分だ」という考え方をします。

ですので、200円から100円になって、その後150円になるという考え方をしますので、基本的に下落幅の半分ぐらいの利益が出ればもう十分なんですね。

それ以上の利益を望むと、利益を出せなくなってしまう可能性が高いので、逆張り投資の場合は利益確定を積極的にやって、損切りは遅めに設定していきます。そうすることで、勝率の高い投資法が実現できます。

勝率80〜90パーセントを目指す投資法

具体的にどのように利益確定と損切りをするかというと、私がよくやる方法なんですけれども、「何パーセント利益が出たら利益確定をする」という条件と、「何日持っても利益が出なかったらあきらめる」という条件と、「何日以内に利益を出す」という期限を組み合わせて使うようにしています。

この2つを同時に使うことで、勝率80パーセントとか、90パーセントの投資法を編み出すことも不可能ではないです。実際に、私は80パーセントぐらいの投資法を実運用で使っています。

まあ、順張りの場合は50〜60パーセントぐらいあれば十分なんですけど、順張りの場合は勝率は低いけど、1発ドカンが大きいという投資法を使っています。ということで、これが逆張り投資の考え方です。

順張り投資の場合は利大損小の考え方。逆張り投資は半値戻しの考え方ということで、利益確定と損切りのタイミングが真逆になってきます。

ここを勘違いしてしまうと、順張りをやっても逆張りをやってもぜんぜん利益が出ません。すごくもったいないので、この2つのポイントを意識するようにしましょう。

本日のまとめ

最後にまとめです。

利益確定と損切りのタイミングは、投資法によってガラッと変える必要があります。1つの売り方を知っただけでは、すべての投資法に通用するわけではありません。

なので、投資法によって株の売り方には工夫の余地があるというお話でした。それで、その中で代表的な2つのパターンをご紹介しました。

順張り投資の場合は、利大損小の考え方を使っていきます。上昇トレンドが続くかぎり流れに乗り続けて、グッと利益を出すことを優先していきます。ただ、トレンドが終わったときにはサッと資金を引く。これが重要ですので、損切りを早くする、利益確定を遅くするというのが、順張り投資をするときの非常に重要なポイントです。

一方で、逆張り投資をするときには、半値戻しの考え方をします。そんなに利益は出なくていい、「下落幅の半分くらい取れればもう十分だ」という考え方をします。

一般的に、逆張り投資をするときには含み損を抱えることが多いので、含み損が出ている間に損切りしてしまうと、損ばかりふくらんでぜんぜん利益が出ないということになってしまいます。

ですので、利益確定が出るまで、ひたすら我慢して待ち続けるのが逆張り投資の基本です。

まずは利益確定を先に、長く持っても無理だった場合は損切りを遅めに。「賞味期限が切れたら損切りをしましょう」という考え方をするのが、この逆張り投資の特徴です。

この2つを知ってるか知らないかで、運用成績には雲泥の差が生まれてきますので、どちらも意識して、自分の投資法に合った株の売り方を検討してみるといいんじゃないかなと思います。ぜひ検討してみてください。