需要と供給が読みやすい相場とは

中原良太氏(以下、中原):では、需給が読みやすいのはどんな相場かというと、過去の相場です。もうすでに起きてしまったこと、過去の分析に対して需給を読み直すというのは、非常に簡単です。

なので、過去の相場を振り返るときに、「あのときは需要が強かった」とか、「供給が強かった」とか、いろいろな読み方がありますよね。

そこが読めるようになれば分析もしやすくなるし、似たような相場が来たときに応用が利くということで、非常に役に立つと思います。

それで、先ほども申し上げたとおり、需要というのは、株を買いたい投資家の数です。供給というのは、株を売りたい投資家の数です。買い板と売り板の数字のことを示しています。

この2つを使うことで、過去に株価が動いた理由を分析することができます。これは非常に有効な方法なので、ぜひ覚えておいてください。

出来高を見れば需給がわかる

実際に、過去の相場の需給を読むときに何が必要かというと、このタイトルにもあるとおり、出来高という数値を読むのが大事になってきます。

例えば、出来高が増えるときにどのようなことが起きてるかというと、出来高が増えるということは、株の売買が活発になっているということですよね。

逆に減っているということは、そんなに活発じゃないと。ストップしちゃっているということになると思います。

出来高が増えるためには、需要=買い手が増えるか、供給=売り手が増えるか、この2つの可能性しか考えられません。買う人が増えるか、売る人が増えるかしないと株は売買のしようがありませんから、この2つしか理由がありません。

出来高が減る理由というのは、まったく逆になります。出来高が減る理由としては、需要が減ってしまうか、供給が減ってしまうかという2つの可能性しか考えられません。

ちょっと複雑かもしれないんですけど、出来高が増える理由は、買いたい人や売りたい人が増えたということ。出来高が減るということは、買いたい人や売りたい人が減ったということ。

まあ、ざっくりと人数の問題だととらえていただければと思います。この点は重要なので、ぜひ覚えておいてください。これを前提にお話を進めていきます。

株価が動く4パターン

これを覚えたうえで、株価の値動きを4種類に分類してみたらどうかと。

まず初めに、出来高が増えながら株価が上がる場合があります。この場合、何が原因で株価が上がったかというと、需要が増えて、株を買いたい投資家が増えたから、株価がジワジワ押し上げられたということになります。需要が増えたことが原因で、株価が上がった例です。これがまず1つ目の分類です。

2つ目、出来高が増えながら株価が下がる。これは供給が増えたからです。つまり、株を売りたい人がドーンと増えてしまって、ぜんぜん株価が上がらなくて、上から押されていくように株価が下がっていっちゃうパターンです。これは、供給が増えた、株を売りたい投資家が増えたから、株価が下がったと言えます。

3つ目、出来高が減りながら株価が上がる。これは何が起きたかというと、株を売りたい人が減った、売る人がいなくなったから、相対的に株価がスーッと上から吸いよせられるように上がっていったということになります。

4つ目、出来高が減りながら株価が下がる。これは、買う人がいなくなっちゃったから、下に引っ張られるようにして、株価が下がっていったということになります。

株価が上がるか下がるかは、この4パターンの組み合わせしかないんですけれども、それぞれ見てみると、株価が動く理由がぜんぜん違います。

株価が上がるにしても、買いたい人が増えたから上がったというのと、売りたい人が減ったから上がったというのでは、ぜんぜん意味が変わってきますよね。

意味が変わるのだから、これからの値動きの傾向というのも、ガラっと変わってくるはずなんです。

値動きの種類に応じて、投資法を使い分ける

この出来高と値動きを見ることで、先ほどの4分類でもご紹介しましたが、何が理由で株価が変動したのかがわかるようになります。これはすごい重要なポイントなんですね。

例えば、買いたい人が増えたから上がったのか、それとも少なくなったから下がったのかとか、あるいは売りたい人が増えたから下がったのか、少なくなったから上がったのか。このバランスを押さえておくことで、株価がどのように変動したのかがわかります。

先ほども申し上げたとおり、理由が変われば投資法のスタイルも変わります。つまり、値動きの4分類に応じて、適切な投資法を作り分けられると。

これは1日とか、決まった期間でやらなきゃいけないというものでもなくて、例えば、「ここ1日は買いが強い」とか、「ここ1週間では売りが強い」とか、「ここ1ヶ月では需要が弱い」とか。期間ごとに需給がどのように変化しているのかという波を分析することができます。

非常に応用が利くテクニックですので、ぜひお役立てください。私も実際に、このテクニックを使って投資法を開発して、けっこういい成績を残しました。勝率70パーセントとかかな? けっこういい投資法を作ることができます。ぜひお役立ていただければと思います。

これを役に立てられるか立てられないかで、一皮むけたトレーダーになるか、一般的なトレーダーでい続けるかという、明確な分かれ目にもなってくると思います。

本日のまとめ

じゃあ、最後、今回お話した内容をまとめていきます。

まず、需要と供給とは何か。需要とは、株を買いたい投資家の数です。供給とは、株を売りたい、売り板に載っているような投資家の数を示しています。

需給の先読みは難しいんですけれども、過去の分析というのは、出来高とか株価を見れば簡単にわかります。

繰り返しですが、出来高と株価を見れば、受給の流れがわかるようになります。もちろん先読みするのも大事なんですけど、過去のものが読み取れなかったら、未来のものが読み取れるわけがないじゃないですか。起こったことすらわからないんだったら、未来のことなんて無理ですよね。訓練するという意味でも、過去の相場で受給の流れを見つめてみるというのも、非常に重要なトレーニングだと思います。

最後に、受給に応じて最適な投資法を組み立てましょうと。本日ご紹介した値動きの4分類に応じて投資法を組み立てるというのが、非常に効果的なテクニックだと考えています。

これだけで運用損益をガラッと変えられる1つのきっかけになると思いますので、ぜひ試していただければと思います。今回は以上です。