システムトレーダーの最大の弱点とは

中原良太氏(以下、中原):こんにちは。株式予報の中原良太です。今回は、「システムトレーダー最大の弱点とは?」というテーマです。

システムトレードの良いところだけじゃなくて、悪いところも知っておきましょうというテーマでお話ししていこうと思います。

なぜこういうテーマにしようかと思ったかというと、システムトレードそのものを完璧なものだと勘違いしている方が非常に多いんですね。これは非常に危ないと思います。

そもそもシステムトレードというのは、過去の統計を使った投資法です。もちろん万能な投資法というのはこの世に存在していないので、継続的に利益を出したり、危ない目にあわないようにリスク管理をするためには、自分自身がどういう弱点を持っているのか。

良いところも知る必要がありますけど、一方で、悪いところについてもしっかりと知っておかなきゃいけないということで、お話ししていこうと思います。

講義の目的はたった1つ

今回の講義の目的は1つです。「システムトレーダーが陥りがちな、3つの失敗要因について明らかにする」。この目的に沿ってお話をしていこうと思います。

具体的に何を話すかということですが、まずは初めに、システムトレーダーとは何なのか、この定義についてリスナーの方とおさらいをしていきます。

その次に、システムトレードが成功するための条件、「これがなきゃ成功できません」という前提を共有していきたいと思います。

この2つを踏まえたうえで、システムトレーダーが失敗する3つの要因をご紹介していきます。

システムトレーダーの定義

ではさっそく、一番初めの「システムトレーダーとは何なのか」というところをご紹介していきます。

システムトレーダーとは、「システムトレード、過去の統計を使った投資法で、利益を出しやすいタイミングだけ株を売買するトレーダーのことです」と。

いわゆる天気予報のようなものですね。天気予報は、明日の天気が晴れなのか、雨なのかというのを確率で表現してくれますよね。

なので私たちは、例えば明日の天気が80パーセントの確率で雨だったら、折り畳み傘を持っていったり、あるいはコンビニで傘買ったり、いろいろな対処をするわけです。

これと同じように、株でも「明日8割方上がるでしょう」逆に「2割方下がるでしょう」という、上がる下がるを確率で考えていきましょうという考え方をするのがシステムトレードの特徴です。

この投資で利益を出しやすいタイミングをどのように探すのかっていうところなんですけれども、利益を出しやすいタイミングの見つけ方は、バックテストで見つけています。

バックテストとは何かというと、過去の相場で安定的に稼いだ投資法を見つけ出すという、試験作業のことを指します。過去=バックで、試験作業=テストするから、バックテストという言葉になっています。

このバックテストで、例えば2000年以降の10年間とか15年間とか、そういった長い期間で見て、利益を安定的に出し続けてきた投資法をこれからも使っていきましょうというのがシステムトレードの特徴です。

それで、過去にうまくいった投資法を繰り返し繰り返し使って、コツコツコツコツ利益を稼いでいくスタイルで投資をしている人たちのことをシステムトレーダーと呼んでいます。

システムトレーダーが稼げる前提条件

では、システムトレーダーの性質がわかったところで、システムトレードはどのような条件で成り立っているのかという点についてご紹介していきます。

システムトレードが成功するための大前提というのは、たった1つしかありません。何かというと、歴史は繰り返すということです。

バックテストというのは、先ほども申し上げたとおり、過去の相場でうまくいった投資法を探す分析手法です。

ですので、過去の相場と同じような状況が、将来的に何度も何度も繰り返されなければ、システムトレーダーは利益を上げることができません。

逆に言えば、歴史が繰り返されるかぎり、私たちシステムトレーダーは何度でも何度でも利益を稼ぎ続ける可能性が高いと考えられるわけです。なので、過去にうまくいった投資法は未来も稼げる。こういった前提条件に立っています。

それで、バックテストで優秀な成績を残した投資法というのは、これからも稼げる可能性が高いと考えているわけです。

これが、システムトレードをする時に必ず意識しなければならない、すべての土台になってきます。

この前提条件が崩れてしまうと、システムトレーダーはどうしても利益を稼げなくなってしまうと考えています。

トレーダーの3つの失敗要因

ということで、前提が崩れることが、私たちシステムトレーダーにとっての失敗になります。

じゃあ、システムトレードが失敗する原因というのは、どのようなものがあるのか。これをご紹介していきます。その失敗する原因は全部で3つあります。

まず1つ目、「未来に繰り返されない投資法を作ってしまう」というのが、1つ目の失敗です。つまり、確かに過去には起こったけれども、未来には繰り返し起こるようなことじゃなかった。まあ、特別な状況に合わせて投資法を作ってしまったということが考えられます。

2つ目が、過去の類を見ないイベントが発生する。システムトレードでは、主に過去の相場に基づいて投資をしていきます。なので、過去になかったことが起こってしまうと、どうしても対応ができないっていう弱点があるんですね。

次は前提が崩れてるわけではないんですけれども、「投資法が運用者自身とフィットしていない」。これもよくある失敗の原因なので、こちらも併せてご紹介していこうと思います。