ストレスなく投資する方法

中原良太氏(以下、中原):こんにちは。株式予報の中原良太です。今回は、「ストレスなく投資する方法」というテーマでお話しできればなと思っています。そもそも、この講義をなんでやろうかと思ったかというと、1月の暴落でけっこうな方が株のせいでイライラしたんじゃないかなと思ったんですね。

もちろん株で利益を出すというのも非常に大事なんですけれど、これと併せて、自分の心理面できちんとコントロールをしていく、ストレスを管理するというのが非常に大事なポイントです。

ですので、この側面から見て、負担の小さな投資法を手に入れていただきたいなと思いました。

ということで、今回はこのストレスを管理するということを目的に、ストレスを減らす方法をご紹介したいと思います。

今回の目次は、まず初めにストレスを減らすにあたっての注意点をご紹介して、その次に、「感応度逓減(ていげん)の法則」という心理の効果を1つ紹介します。

それで、普通の投資家が、自分のストレスを増やしてしまっている行動原理とか、「なぜみんなこんなにストレス抱えちゃうんだろう?」という不思議な点や秘密をご紹介したいと思います。

最後に、ストレスを減らすための具体的な3つの方法を1つずつご紹介していきます。

今回のテーマの注意点

ではさっそく、注意点からご紹介していきたいと思います。

こちらは注意点で、「これはあくまで『心理』に関するお話です」「なので、『真理』の話ではありません」とあるんですけれども、どういうことかというと、今回のテーマの目的は、利益を出すことじゃなく、どちらかというと、自分の心を楽にすることなんですね。

なので、今回ご紹介するテーマで、利益を増やすとか、損を減らすためのテクニックというのは必ずしも得られないかもしれません。

この動画を見てる方には上級者の方も多いと思うんですが、そういう方は応用するとか、方法をご自身で考えていただく必要があります。「心を楽にする」というメインテーマでお話ししていきますので、この点については、あらかじめご了承ください。

ここを間違えると、今回の動画のテーマ、「利益出せないじゃないか」みたいな文句をいただくこともあるので、そういうのが目的じゃないですと。

どちらかというと、楽になれるとか、自分の心を守るとかね、そういった守りの方法をご紹介していくつもりですので、こちらを念頭に置きながらお話を聞いていただければと思います。

なぜ人はストレスを感じてしまうのか

じゃあさっそく、「なぜ人はストレスを感じてしまうのか?」「なぜ投資は精神的な負担が大きいのか?」この点からご紹介していきます。

これには「感応度逓減の法則」という心理効果が密接に関わってきています。まずはこの法則からご紹介していきます。

感応度逓減の法則とは、人は利益を小さく感じる、あるいは利益を短く感じるという法則です。言い換えると、人は損を大きく感じる、あるいは損を長く感じるという法則です。

つまり、稼いだ時の喜びよりも、損した時の悔しさとか苦しみというネガティブなものは、ものすごく心に残りやすいんです。

例えば、仕事をするときに10個のいいことがあったとして、嫌なことが1回あったと。上司になにか嫌なことを言われたとか、お客さんで変な人がいたとか。

そういうことがあったときに、10個いいことがあって、客観的に見ればものすごくいい日じゃないですか。なのに、たった1つの嫌なことのせいで悪く感じちゃうというのは、よくあることなんですね。

本当にこれは投資でもよくあることで、10回利益を出しても、1回の損でものすごい嫌な気分になるんですよ。

このバランス感覚というのは、どうしても人間の本能的なもので避けられないことで、利益というのは過小評価されてしまいます。損というのは過大評価されてしまいます。

ということで、とくに投資をする場合はストレスを感じやすいんです。この点には注意が必要です、ということがまず1つ目です。

同じように、感応度逓減の法則では、利益と損失が大きくなるほど、感覚が麻痺するということがあります。

例えば一番最初の5,000円とか、自分の持っているポジションがジワジワ含み益になって5,000円の利益になったとか、一番最初のだいたい0円から10万円ぐらいのスパンというのは、ものすごく快感を感じやすかったり、ストレスを感じやすい場所なんです。

逆にそれ以後、例えば10万円を超えて11万円、20万円、30万円、40万円の利益が出てきたあたりからだんだん感覚が麻痺してきます。喜びが小さくなってきたリ、苦しみが薄れてきたりということがあります。

このように、得られた結果が大きすぎると、感覚が麻痺してしまうということがあります。これも人間のバランス感覚を崩す大きな要因でもあるので、この点には注意が必要だと考えています。

今回は、この感覚が麻痺してしまうという点ではなくて、一番最初にお伝えした、人は利益を小さく感じて、損を大きく感じる。この部分をいかにクリアしていくかという観点から、ストレスを減らす方法をご紹介していこうと思います。

投資のストレスを増やす考え方

ではまず、普通の投資家の人はなぜストレスを感じてしまうのか、わざわざ自分でつらいことをしてしまうのかということについて、ご紹介していこうと思います。 けっこう驚きの事実なんですけれども、普通の投資家というのは、自分から自分のストレスを増やそうとしていきます。

まず、利益確定を先回しにします。つまり含み益という、自分にとってうれしい時間、利益が出ていてニヤニヤしちゃうような時間を先回しにして、短くしようとします。

「利益がなくなっちゃうと嫌だから」とか、「早く確定したいから」という考え方が根底にあるんですけれども。せっかくのうれしい時間を、短く短くしようとするんですよ。

しかも、損切りを後回しにする。つまり、含み損が出てるつらい時期をわざわざ長引かせようとします。先ほどの感応度逓減の法則でいうと、「利益は小さく感じるし、損は大きく感じる」と話しましたね。

普通の投資家は、心の負担を大きくしようと損の時間を伸ばして、利益確定のうれしい時間を短くしようとするんです。それで余計につらくなってしまう傾向があります。

これはまさに、ストレスを増やすような考え方なんですね。ですので、このような投資、利益確定を先にやって、損切りを後回しにするということをやっている投資家の方にとっては、株式投資はものすごいストレスなんです。

はっきり言って、これが間違っているというわけじゃないんですよ。利益確定を先回しにしたほうが利益は最大化できますし、損切りを後回しにしたほうがドローダウンとか、損を小さく抑えることができるというのは、投資法によっては事実なんで、統計的にも実証されてることなんです。なので、この投資法が間違っているというわけではないです。

ただ、この投資法はストレスを増やすということなんですね。なので、精神的な負担がどうしても大きくなってしまう傾向がありますので注意が必要です。