責任者が来ないのは「健康的な問題」

記者22:日経ビジネスのイノウエと申します。守安さんと南場さんに1問ずつお願いします。まず守安さんなんですけども、今回問題となったWELQというサイトを管轄している、事業部長で執行役員っていうのは先ほどから話題になってると思いますが、その全事業の責任者の方々が、常識的に考えればこれほどの問題が起きれば東京に来て対処に当たるべきなんじゃないかなと思うんですが、なぜ今日に至るまで東京にいらっしゃらないのかと。特別な理由があるんでしょうか?

守安功氏(以下、守安):そうですね、個人の問題にもなりますのでなかなかお答えが難しいところもあるんですが、一部健康的な問題も絡んでいるということがあります。

記者22:守安さんが来るなと止めているということ?

守安:そのような事実はございません。

記者22:そうなんですか。わかりました。あと南場さんにお願します。もともと南場さんのヘルスケア事業のほうで、医療に関するMedエッジというメディアがあったと思います。

こちらはかなりコストもかけたメディアで本当に1人でも読んでくれる人がいればいいというような精神でけっこう大学病院のお医者さんなんかも読むような、かなりニッチでマニアックな記事が載っていたと。ただ、そのMedエッジというメディア媒体が収益性が非常に悪いということで閉じざるをえなくなったと、ちょうどその時にWELQという別のメディアが村田執行役員の元で作られたと。

であれば、そのMedエッジの記事というのはただ閉じて捨てるのはもったいないので5,000記事中、約3,000記事ほどがWELQにMedエッジから譲渡されたというふうに聞いているのですが、結果として譲渡先がこういう不祥事を起こしてしまったということで、医療とかヘルスケア、そういった情報に関しては一般のファッションとかインテリアみたいなそういうものとは異なる、最新の注意を払うべきコンテンツだったっていうことが改めてわかったと思うんですけど。

当時のMedエッジを閉めてて、一般のコンテンツと同じように医療を扱うようなWELQというところに自分がやっていた事業を閉じてそちらに記事を嬢度したという決断について、今思うと反省点がないのかどうかとか、あるいはそのまま自分の配下で医療に関するメディアはやっておけばよかったという反省みたいなものはないでしょうか?

南場智子氏(以下、南場):Medエッジにつきましては私が担当取締役をしております、ヘルスケア事業部のDeNAライフサイエンスという子会社で、非常に難しい学術論文を一般の患者さんの家族であるとか健康に多少関心のある人ですね、そういう人にわかりやすく届けるということを目的にしたものでありまして、医療ライターで医療の関連のプロのものがやっておりました。

また、メディカルドクターでもあり研究者でもあられる方にスーパーバイザーにも付いていただいてやっておりました。収益性が悪くなったのでというご認識は、一部そうではなくて、ユーザーの数が伸びなかったんですね。

やっぱりもう少し自分がこういう病気になるかもしれないというところまで見据えて知識を拡大する意欲のある方が多いのではないのかと思ったのですが、さすがに想定しているほどは伸びずにですね、それが事業としてこのままどうなっていくのだろうというのがございました。

また一部の濃いユーザーさんが付いておられて、プロのユーザーさんですね。そこで、今後は事業として企業としてやるからには永続性のあるものではなければいけないということでそのモデルを模索をしておりました。

どこか一部の記事にも書かれたように思うんですけど、病気の患者さんの家族などが、標準治療の説明を1人の担当のドクターからだけ得るのではなく、ほかにどういう治療法があるのかとか、治験であるとか研究がどういうことが行われてるかとか、本来非常に関心を持つはずのことなので、そこに関しては非常に需要が小さい、それぞれの病気、疾患によって別々のコンテンツになりますので、需要がさらに小さいだろうから永続性のためにはユーザーさんに課金をするしかないね、ということで提供してみたのですが、驚くほど患者さんの家族にアプローチしたり、担当者が患者会などに行ってご説明をしたんですけれども、驚くほどサブスクライバーが増えなかったということがありまして。

世の中の患者さんが自分と同じニーズを持っているはずであるという認識は改めなければいけないということで1回それは立ち止まって、今後のこういったメディアを長く続けられるものとして展開するには1回やり直さなきゃいけないねという時にキュレーション事業部の方でヘルスケアをやるというのがありました。

そこで主に扱う情報は例えばフィットネスのこととか恋愛の悩みとかそういうことではあるもののヘルスケアということで最初の種コンテンツとしていくつかまとまったものがほしいということでしたので、内容にはもちろん、私がMedエッジの記事を全部見ていたわけではないんですけども、プロセスから非常に信頼の置ける内容でしたので、それをそのまま移管して、WELQというサービスの種コンテンツ、出発の時のある量を確保するということで、ただある時の記事の生成というのは行えなくなりましたので、そこから先はライトなコンテンツという理解をしていたということであります。

ですから、それを振り返ってその意思決定自体が間違いだったのかというと、その意思決定というよりは、やはり非常に難しいんですけども、専門的な情報を私共のような普通の素人に届ける時の解釈のサポートというのをしっかりと事業として、ビジネスとして続けられる状態で行うというところについて解を見つけることができなかったと。現時点ではそれがまだ見つかってないというところで諦めてるわけではないんですけども、そういう状況においては妥当な判断ではなかったのかな、というふうに思います。

ただ、先ほど申し上げました通りWELQのサービスの中で一部非常に信憑性の怪しいものが含まれていたということに関しましては、そしてそれが医療情報に関してということに関しましては大変に申し訳ないという一言に尽きます。

記者22:ありがとうございました。

マニュアルは著作権侵害にあたるか

記者23:TBSテレビのカネダと申しますけれどもいくつかご質問させてください。すでに守安社長はマニュアルをご覧になったと発言されましたけれども、内容を見ても、推奨と捉えられかねないという表現をお使いになられました。ただこの推奨と捉えられかねないという表現はちょっと経営トップとしてあまりにも当事者意識が薄いのではないかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか?

守安:そうですね、私の表現としても難しいところはあるんですが、マニュアルの中にも転載、著作権侵害はダメだと書いておりますので必ずしも著作権侵害自体を行うべきだというマニュアルではなかったというふうに認識しているのでこのような表現とさせていただきました。

記者23:著作権侵害を助長する意図はなかったと今おっしゃいましたが、マニュアルの中で具体的に事実や必要な情報を残して独自表現で書き換えるというふうに書かれてました。これは会社として転用を指導していたとしか思えないんですけど。

守安:そうですね。そのようなマニュアルの中身を見た場合にはそのように捉える人がいてもおかしくないなということで、捉えられかねないというような表現をさせていただきました。

記者23:社長自身はどう考えてるんですか?

守安:そのように捉える人がいてもおかしくないなと思います。

記者23:ご自身はこれは著作権侵害じゃないと?

守安:著作権侵害かどうかというと個別の記事自体になってきていますので、マニュアルの問題と、その結果によってつくられた記事自体がどうかというところになってくるかと思います。

記者23:逆にお聞きしますけれども、これマニュアル見て、経営陣として問題だと思いましたか?

守安:はい、問題だというふうに認識いたしましたので、そのような運営体制のメディアに関しては一旦停止したという判断を下しました。

記者23:ちょっとごめんなさい、捉えられかねないというか、もうそれは問題として捉えているということは、じゃあやはり著作権侵害にあたるという認識はあったということでいいのでしょうか?

守安:著作権侵害に当たるかというと、それは法的な意味も含めてその結果によってどのような記事が作られたのか、またどのような判断になるのかということによって変わってまいりますので、マニュアル自体で著作権侵害ということにはならないと思っておりまして。その結果としてどのような記事が作成されたのか、というところが問題かというふうに思っております。

記者23:もう一度確認させていただきたいんですけれども、社長自身がマニュアル自体に問題があると認識されたのは、具体的にはいつなんでしょうか?

守安:BuzzFeedさんの記事が出た日ですので、先週の月曜日かと思います。

記者23:ということは、それまではトップでありながら、キュレーションメディアという注力している分野でありながら、このマニュアルの問題性には一切気づいていなかったということですか?

守安:そうですね、マニュアルの中身自体を見たことはございませんでした。

記者23:先ほどの経営会議の中で、このマニュアルの問題性が議論になったことはないのでしょうか?

守安:経営会議の中でマニュアルについて議論をしたことはございません。

記者23:それは問題になるまでは一切なかったと。

守安:はい。

記者23:あともう1点お聞きしたいんですけれども、そもそも今回こういった問題がおきたのは、記事の内容や品質以上に検索に引っかかることを重視した結果なのではないかと言われていますが、その点についてはいかがでしょうか?

守安:いわゆる検索エンジン対策、SEOというものを重視していたということは事実でございます。本来であればユーザーさまによろこんでいただけるコンテンツを作る、かつそれが検索としても上位に表示されるということが必要で、必ずしもSEO自体が悪いことではないと思うんですが、そこのバランスがSEOのほうに寄りすぎたのかな、というふうに反省しております。

記者23:最後にもう1回。しつこくて恐縮なんですけれども、先ほどのマニュアルの問題なんですけれども、これはやはりモラルに反するというお考えをお持ちでしょうか?

守安:はい、そのような認識を持っております。

記者23:具体的にどういったところがモラルに反するとお考えでしょうか?

守安:ほかのサイトからこのように書き換えるというか、手を加えることによって、著作権的には問題がなくなるのではないかというようなことが書いてあったことが問題であったと思っております。

記者23:わかりました。もう1点だけ、これはモラルの問題であって今後法的な問題にはならないというご認識でしょうか?

守安:著作権法的な観点から言った場合には、権利者さんとお話させていただくなかでそういった側面も出る可能性はあるかと存じます。

記者23:では、著作権的な問題があったと判明した場合には、マニュアルに関してはどのように改めていくおつもりでしょうか?

守安:著作権法に関わらず、これはマニュアル自体が問題だというふうに思っておりますので、すでにこのような運営自体がよろしくないという考えを持っております。

記者23:しつこくて本当に恐縮なんですけれども、実際に著作権の被害を訴えている方はいらっしゃいますか? その点は認識されているんですよね。

守安:(小林氏に対して)実際にはわかります?

記者23:実際に盗用がされた、改ざんが加えられたという方を弊社は取材しているんですけれども、そういった方がいらっしゃる事自体、社長はご認識されているんでしょうか?

小林賢治氏(以下、小林):個別の状況については、個別に権利者さまとお話させていただいた事例というのはこれまでもございまして、そういったかたちで各々、各メディア、各サービスが対応している者というのはあるんですけれども、現在、全体としてどういう状況になっているかというのは、包括的に見ていかなければいけないと。全体としては不明なところでございます。

記者23:把握しているだけで何件あるんですか?

小林:そういう意味では個別に権利者さまからお話をいただいて削除対応した、などといったものであると、実際にそこそこの数はございますが、現時点でそんなに多い数を把握しているわけではございません。ただこれは、あまりいい加減な数字を申し上げるのも適切ではないと思いますので、今後きちんと調べていきたいと思います。

記者23:けが人が出てしまった場合もあると、弊社の取材で聞いております。実際にWELQに記載された、「やけど治療は濡れタオルで冷やすように」という記載があってですね。それを実行してしまったところ、皮が癒着してしまったという事例が、うちの取材では聞いていまして。

そういったことは、実際に健康被害が出ているということはご認識されているんでしょうか?

守安:現時点においてそのように個別にご相談をいただいている事例というのはございません。これから相談窓口を設けますので、そのなかにおいて出てくる可能性はございますが、現時点において当社に直接そのようなご相談をいただいているというケースはございません。

南場:ぜひ、(取材をされた方に)当社にお話いただけるようにお伝えいただけますでしょうか。

企業体質を変えていかなければならない

記者24:ねとらぼ編集部のイケヤと申します。先ほど質問のなかで、元炎上メディアの関係者がサイトの立ち上げ時期に関わっていたとありましたが、これは元BUZZNEWSのスタッフという認識で合っていますでしょうか。

守安:はい、BUZZNEWSということで、WebTechAsiaですかね。

記者24:これはどういうルートで採用を検討するテーブルにあがったのか、例えば本人から応募があったりしたのでしょうか。

守安:詳しいところはわからないんですが、担当の執行役員の村田との繋がりからそういう候補があがってきた、というふうに認識しております。

記者24:人数というのは具体的には1人でしょうか。現在は退社されているとのことでしたが、どんな業務を担当されていたのでしょうか。

守安:複数名おりますが、現状残っている社員がいるかというのは把握しておりません。通常の編集業務等、通常の従業員と同様の役割を担っておりました。

記者24:ありがとうございます。

南場:ただ、私が間違っていたら2人の方で直してほしいんですけれども、今回の問題にその個人が直接関与していたかどうかというところが、それが前提としてお話されているようなんですけれども、そこはまだ明らかになっていることではないという認識ですけど正しいでしょうか?

守安:はい。どのような経緯でこのマニュアルが作られたかというところと、今回のWebTechAsiaをやられていた方が参加したことと、関連性に関してはわかっておりませんので、そのように推測される方もおられるかもしれないんですけれども現時点においてそのような事実はまだないというふうに考えております。

記者24:もう1点すみません、まったく別の話になるのですが、今回の問題の要因の1つに、ライターに支払っていた原稿料が非常に安かったというのが原因ではないかという指摘もありますが、具体的に1本あたりいくらくらいで書かせていたのか、というのはお答えいただけますでしょうか。

小林:原稿料に関してサービスごと、および記事の内容ごとにレンジがございまして、具体的にいくらというのは金額で言うのは不正確な感じになりそうなところまでは把握しています。そういう意味ではこのレンジの中で実際どのぐらいの金額で発注することが多かったのかというところは、かなりきちんと調べなければいけないところかなというふうに考えております。

記者24:現時点でそのレンジというのがどれくらいの範囲だったかというのもわからない状態でしょうか。

小林:これが下限と上限というかたちで正確にわかっているわけではないので、ちょっと不正確な情報になってしまうかなというふうに認識しています。

記者24:はい、ありがとうございます。

記者25:エース経済研究所のサワダと申します。ご説明ありがとうございました。1点お願いいたします。

今後の経営についておうかがいをしたいんですが、御社はすばらしいサービスをご提供されているということもあるんですけれども、野球チームを保有されたり、最近ですと大手ゲーム会社さんとの協業で社会的な信用力や認知度を大きく高めてこられた企業だと認識しております。

しかしそのためなのか2007年のモバゲーの問題があり2011年ごろにコンプガチャの問題があったり、そして今回の問題と、ちょっとベンチャーの気質が悪い意味で続いてしまっているのではないかと考えております。

守安さまはこれらの点についてどうご認識をされているのかということと、また今後こういったベンチャーの気質の悪い面とどのように変えていかれるのか、ということについてお考えをお聞かせください。

守安:当社DeNA自体が永久ベンチャーということを標榜しているのもありまして、新しいことにいろんな分野チャレンジしていきたい、これまでもしてきたというふうに考えておりまして、その良いところを残したいというふうに思っております。

一方で、社会的な責任というのが企業体として非常に大きくなっておりますので、今回の問題もそうですし、コンプガチャ以前の問題もですし、このような今社会をお騒がせするような問題を起こしてはならないというふうに思っておりますので、そのバランスをいかに取っていくか、いわゆるベンチャー気質を保ちながらも社会に信頼していただける会社になるためにはいったいなにが必要なのか、それがカルチャーなのか内部の体制なのか、そういったところを第三者の視点も入れて再度見直しておきたいと考えております。

記者25:すみません補足で1点お願いしたいんですが、私は野球チームですとか大手ゲーム会社さんというようなお話をさせていただいたんですけれども、こういった外部の信用力というのをある意味多少借り受けているような部分があって、御社が思われる以上に世間的な注目度とか信用している、世間からの期待としては御社が思っている以上に高いんじゃないかなというふうに感じておりまして、このあたりご認識されているのかということについてもう1度コメントをお願いいたします。

守安:はい。社会的な責任がどんどん大きくなっているなかにおいて、このような問題を起こしてしまったということを本当に反省しております。

今後信頼回復にむけて非常に難しいとは思っているんですけれどもこれを社員一丸、全員一体となってやりきる必要があると思っておりますので、今まで以上に格段に企業体質を変えて社会のみなさまから信頼される企業になっていきたいというふうに思っております。

記者25:ありがとうございました。

南場氏が守安氏を信頼する理由

記者26:日経ビジネスのヒロオカと申します。何点かお願いいたします。第三者委員会についてなんですけれども、役割として事実確認、調査と原因究明ということなんですが、再発防止策というのが普通入ると思うんですけれども、それが今回入っていないのはなんでなんでしょうか。

小林:第三者委員会の目的とアウトプットというところにつきましては、先ほど申し上げた通り、委員長のあるいは委員の方々と最終的にご相談して、委員の方々主導というかたちで定めていくかたちになります。

そういう意味では、今後への提言もしくは改善項目というところについても当然そのなかで内容として含めるべきだというお話はあがってくる可能性は十分あると思っております。そういう意味では当社がこれを除こうという意図があるわけではまったくなくて、委員長をはじめとする委員の方々、次第でアウトプットというのはどういうかたちになるかというのは定めていくものだと認識しております。

記者27:それから相談窓口を設けられたということなんですけれども、現状サイトはすべて閉鎖されていて、例えば自分の著作物が権利が侵害されているかどうかということを調べる術が一般の方にとってはないと思うんですけれども、その場合はどういうふうにしたらいいんでしょうか。

守安:そういうおそれがある場合にはまず相談いただきたいなというふうには思っておりまして、その後どのように確認すべきかというのはご相談させていただきたいというふうに思っております。

記者26:そうすると「もしかしたらやられてたかもしれないので」というような曖昧な相談がものすごい大量に殺到するかなという気がするんですが、途中どなたかもご質問でおっしゃってましたけれども、御社の方でそれを自発的にやる方がより信頼も得られるし効率的なんじゃないかと思うんですがいかがでしょうか。

守安:はい。そのような方法論がとれるのか含めて検討させていただきたいというふうに思います。

記者27:それから先ほどからバランスを誤ったと、スタートアップの良さを失わないようにしながら上場企業としてというところをおっしゃっているんですが、そもそもコンプライアンスとかモラルというのはバランスを取るようなものなんでしょうか。それはもう前提というか当然常に守っていなければならないものなんじゃないかなと思うのですが、そこのご認識いかがなんでしょうか。

守安:コンプライアンスの徹底というところが欠けていたというところだと思いますので、今一度そこを見直しつつ新しいことにチャレンジするという風土をどう残せるかというところが重要だというふうに思っております。

記者26:それを踏まえた上で最後に1つ。これは守安さんと南場さんに1つずつ、同じ質問になるんですけれども、守安さんの社長兼CEOという肩書き、役職を続けられるということを何度か明言されましたけれども。

今のようなコンプライアンスが徹底できないとか何回か問題が起きていると、業績的にはちょっと厳しい、これは環境の変化もありますのであれですけれども、厳しい状態が続いているというなかで、経営トップとして引き続き自分がやることが適任であるというふうにおっしゃる理由というのを改めて説明していただきたいのと、南場さんには創業者であり取締会長で今株主であるわけなので、引き続き守安さんに託せると思っていらっしゃる理由を教えてください。

守安:まず理由としては、一番大きいのは私の意思でございます。このような状態になってしまったところを挽回してもう1度たてなおす、ということが責務だというふうに思っております。

南場:私から率直に考えるところを申し上げます。まずストレートにそのご質問にお答えする前に、先ほどおっしゃったコンプライアンスと新しいことへの挑戦というのはバランスであろうかというご質問、まさにそのポイント非常に重要だと思っております。

ルールを守ったなかでの新しいことへの挑戦というのは当然なわけであります。ただ、DeNAがそれを軽視していたということではなく、私もこの事案が起きました後も、それからその前もいろいろな、ずっと守安と頻繁にいろいろな議論をしながら経営をすすめてきました。私が社長の時代も、守安はCEOとしてあたっていたわけですけれども、私の認識としては守安は遵法精神そしてコンプライアンスを重視するという精神はございます。非常にございます。

ただそのバランスということで言うと、崩れていたというのは例えばこの法律を違反してはいけないと、法律違反にならないようにやれという指示はきちんとするんだけれども、それ通りに現場がなっているかどうかということの確認にどれぐらい時間を使っていたのか?

それよりももっともっと攻めを打っていくんだというところのアイデア出しとか分析とか、そこにどれくらい時間を使っていたのか、というバランスのことを守安は申し上げているというふうに思います。

そのポイントはおっしゃる通り、そこのバランスの問題というのは非常にDeNAは大きく見直す必要があるという風に認識しております。

そしてご質問ですけれども、引き続き守安に社長をさせるということはどうなのかというところなんですけれども、本件に関しましても法律違反の無いようにということ、そしてモラルに反しないようにという考え方のなかで成長を引っ張ろうとしていた。しかしながらそれの管理、監督というのは不十分だったということを認識して、非常に彼をよく知る者として、考え方はいいのだがその確認の方法とか時間の使い方のバランスを大きく変える。

あるいはサービスを愛する心、ユーザーを想う気持ち、これも非常に強く同時に数字も大好きという人物ですので、この両方が大事だというのを、経営では当たり前だと思うんですが、それが社内のコミュニケーションになると非常に数字に強く論理的なものですから、後者の数字の部分のコミュニケーションが強く前者に伝わってしまうという実態ではないのかなということを思っております。

守安は(守安氏の)遠くにいる人間ほど数字マニアだと言います。近くにいる人間は「彼はサービスを愛する、おもしろいことをやりたい、世の中に新しい価値を提供したい、そういう気持ちも同じくらい強いんだ」ということ、近くの人間ほどそう感じています。

それがこれだけの規模の企業になりますと、遠くにいるというか組織のすみずみまで両方をしっかりと成立させていくということが重要であるということを認識させて、そしてその通りに運営されていることを確認するために労力を使い汗をかくということをやっていくということ。

今回のことで本当によくわかったんじゃないかなと思いますので、私は引き続き守安に社長をやってもらって、もちろん私の一存で決められることではなくて、取締役会で社外取締役も含めて議論してまいるべきことですけれども、私個人はそのように思っております。

記者27:「東洋経済オンライン」のセキタと申します。よろしくお願いいたします。御社に法務部は存在すると思うのですけれども、現場が、マニュアルや記事作成方法についてのリーガルリスクについて、法務部に相談した事実というものはあるでしょうか?

小林:こちらについて、これも多数のサービス、メディアにかける多数のバージョンがあったのが事実でございまして。このすべてのバージョンについて法務部の確認が通っていたかというと、それはそうではありません。そこまではわかっておりまして。そういう意味では、あった部分もあれば、なかった部分もあるというのが実状でございます。

記者27:では、あった部分については、法務部としては「OKである」という結論だったということでよろしいでしょうか?

小林:もちろん確認した点については、きちんと法務部としてリーガルな面についてはきちんと確認したものであることは確かです。どの部分まで確認できていて、どの部分まで確認できていないかというところはきちんと今後見ていかなければいけません。

記者27:WELQについては確認していなかったということでしょうか?

小林:少なくとも報道であった部分については、確認できておりませんでした。

記者27:現場からの相談がなくても、法務部はそのサービスについて見ていくことも十分できると思うんですけれども、それは法務部側がチェックを怠っていたということなんでしょうか?

小林:そこの部分のあり方についても、会社全体のあり方を今回深く振り返るというなかできちんと考えていきたいというふうに思っております。

記者27:ありがとうございました。