『君の名は。』川村チューニングの効果
山田玲司氏(以下、山田):長くなっちゃうので早くやりますけど……。あともう1個。川村(元気)チューニング。
乙君氏(以下、乙君):「3つ」って言わなかった?
(一同笑)
山田:いや、だから、川村チューニング第2が、さっき言ってた「いつか必ず運命の人に出会える」っていうことを、完全にパッケージしてしまったと。
乙君:うんうん。
山田:しかも、ここで運命の人が誰にでも平等でいたら、「本当に数が合うんですか?」とか。
しみちゃん氏(以下、しみちゃん):あー。
山田:「必ずイケメンなんですか?」とか、「クラス、教室にいる人全員くっついてください。みんな、運命の人ですから」って言ったときに、「全員が三葉と瀧くんか?」っていう問題に関しては、川村チューニングで絞ります。
乙君:ほうーーー。
山田:こういうことで、ものすごくいろんなことをやっているのが、だから、すごくおもしろくて。
しみちゃん:うん。
山田:えーと、この話、どこですればいいんだっけ……。
乙君&しみちゃん:(笑)。
山田氏が指摘する「瀧くん問題」とは?
山田:そうそう。もういいや、言っちゃう。瀧くん問題ですよ。
乙君:瀧くん。
山田:瀧くん問題、いきます。
乙君:井沢、来生、滝って言ってね、昔の修哲トリオ……(注:『キャプテン翼』の登場人物)。
山田:川村チューニング!
乙君:ん?
しみちゃん:やめろ(笑)。
山田:カフェ憧れ、パンケーキ1,600円、みたいな。そういう東京キラキラみたいなのがあるんだけど。
乙君:そうそう。
山田:その運命の人にふさわしいキャラクターに、三葉は簡単になるんだよ。田舎の純粋な女子高生、みんな大好きだから。
乙君:うん。
山田:それは、中身が空っぽで、いろんなことを入れやすいっていうね。本当はそうじゃなくて、実際に田舎の女の子が、みんな、ああだって言ったら、これ、ある種の偏見だよね(笑)。
乙君:そうそう。「バカにしてんじゃないのかな」って思った、田舎の……。
山田:そうそう、そうなの。でも、いいの。あれは、マコト・シンカイの心の中にいる人だから。「それは俺たちが共有してるんだ」みたいなところで、オッケー。
乙君:まあまあ。
山田:それで、都会に憧れる、地方の純粋な少女っていうのはオッケー。
乙君:はいはい。
イタリアンレストランでバイトするリア充
山田:問題は、もう1個、「うまいなー」って思うチューニングがあって。やっぱり瀧くんってキャラクターが、「彼女できない」とか、いろいろネガティブなことをほざいていながら、なんだかんだ、かなりのリア充ですよね。
乙君:そう言えば、そうかもしれないですね。
山田:イタリアンレストランでバイトしてますから。
乙君:それがびっくりしたよね(笑)。
しみちゃん:(笑)。
山田:あれこそ、東京変換なんだよ。
乙君:うん。
山田:そこで、建築家になる夢とか(笑)。建築家大好きですから。「建築家になる」って言う男を大好きですから、女の人。
乙君:そうなの?(笑)。
(一同笑)
乙君:それってそうなの?(笑)。
山田:でも、なんか知らないけど、ゼネコンかなんかに就活に行くので、ちょっとズレていくっていう。建設事務所に行けばいいのに、そういうところに行くことになってる、みたいな。そこに男側は乗っかれるんだよ。
乙君:はい。
男も女も共感できる、絶妙なライン
山田:でも、女側は、「リア充、大卒で、就活してて、スーツ着てて、イケメンだったら、もう最低ラインのスペック、オッケーです」みたいな。
乙君:あーー。
山田:だから、内面とかそうじゃない(笑)。要は、奥村さんに相手にされないような男なんだよ? あの……、バイト先の女の。
乙君:奥寺さんだよ。
山田:あ、奥寺さんか(笑)。奥寺さんに相手にされないような、内面の未熟な男なんだけど、最低限、女の人が「運命の人でもアリです」っていうラインは、しっかり引いてる。
乙君:はいはい。なるほどね。
山田:これは、「実にすごいな」と思う。でも、この男はなにをしてたかというと、高校から大学にかけて、なんにもしてないんだよね。主になんにもしてない、っていう。ここに、男たちは共感するんだよ。なにもない。ただ待ってた、っていう。
っていう、そのへんのところの、男も乗れる、女も乗れるってところで、絶妙なところがあるんだよ。
しみちゃん:はい。
山田:もうちょっとできる奴だと、男が乗れなくなる。
乙君:あー、なるほど。
山田:そうそう。これ、けっこう難しいチューニングをやってたな、という。
乙君:そう言われると、すごく絶妙な。
山田:絶妙なの。
乙君:コントロールいいですね。岩隈ぐらいいい、うん。
山田:岩隈ぐらい……。
しみちゃん:(笑)。
乙君:岩隈ぐらいいいですね、元気さんは。
山田:岩隈……。はいはい、そうですね。
(一同笑)