2017年3月期 第2四半期 決算説明会

注連浩行氏(以下、注連):まず、ご説明する内容は記載のとおりです。業績の概要をご説明いたします。

売上高は、繊維事業の構造改革や事業ポートフォリオ改革に伴う事業譲渡、子会社の株式譲渡などが大きく影響し、前年同期比107億円減収の626億円となりました。

営業利益は、原燃料価格の好転や高分子事業を中心とした成長戦略の進展などにより、前年同期比18億円増益の63億円となりました。また、営業利益率は10パーセントとなり、前年同期の6パーセントから4ポイント改善しました。

経常利益は、営業外損益において、外貨建て資産の為替評価などがマイナス要因となりましたが、営業利益の上振れの影響が大きく、前年同期比11億円増益の41億円となりました。

前期で事業ポートフォリオ改革はおおむね完了しているため、事業構造改善費用などの特別損失は減少し、四半期純利益は前年同期比19億円増益の36億円となりました。

また、減価償却費は21億円、設備投資額は28億円となりました。主な投資内容は、タイの子会社のタスコにおけるポリエステルスパンボンド不織布の生産設備の増設や、フィルム関連での新バリアフィルム・耐熱フィルムの機台改造です。

営業利益変動要因分析

次に、営業利益の変動要因につきましてご説明いたします。営業利益の変動要因分析を表した図です。

営業利益は、前年同期の44億円から63億円と、18億円の増益となっております。

変動要因は、まず販売数量による影響で+6億円、売値や商品構成による影響で−8億円、原燃料価格変動の影響で+17億円、事業ポートフォリオ改革による影響で+1億円、コスト要因・その他による影響で+2億円です。

売値・商品構成につきましては、原料安に伴う販売価格の見直しにより、売値は下落しましたが、成長戦略に伴う高付加価値品の拡販によって、営業利益の影響を−8億円にとどめました。

事業ポートフォリオ改革には、産業繊維事業を中心とした事業構造改革の影響や、事業譲渡および子会社の株式譲渡等に伴う影響を含んでおります。

また、17億円のプラスとなった原燃料価格変動につきましては、ナイロン燃料のカプロラクタム、ポリエス原料のテレフタル酸、エチレングリコールなどの主原料はすべて、価格下落により、増益要因となりました。

加えて、燃料につきましても、価格下落により増益要因となりました。これらを受けて、トータル18億円の増益となっております。

資産・負債・純資産

次に、バランスシートについてご説明いたします。

まず、流動資産は、有利子負債の返済に伴う現預金の減少や、売上高の減少に伴う売上債権の減少、棚卸資産の減少などにより、2016年3月末比157億円減少しました。

固定資産は、28億円の設備投資を実行しましたが、減価償却や海外資産の為替変動等の影響により、2億円減少しました。

負債は、有利子負債の減少や仕入債務の減少などにより、181億円減少しました。

純資産は、四半期純利益の計上によるプラス要因や、種類株式の配当金支払いなどのマイナス要因があり、前期末比で23億円増加の402億円となりました。

財務体質健全化に向けた推移

有利子負債、自己資本比率につきましては、次のスライドでご説明いたします。有利子負債と自己資本比率の推移です。

有利子負債につきましては、前期末比153億円減少の1,110億円となり、中期経営計画の最終年度である、2017年度の目標数値1,150億円をすでに下回り、1年前倒しで計画を達成しました。

また、現預金を差し引いたネットの有利子負債は800億円を切る水準となりました。

自己資本比率につきましても着実に改善しており、前期末比2.4ポイントアップの18.1パーセントとなりました。

今後も引き続き在庫削減等の運転資金の効率化を進めてまいります。

セグメント別 業績の概要

次に各事業セグメントの状況をご説明いたします。セグメント別の業績概要です。

高分子事業につきましては、売上高はやや減収となりましたが、営業利益は前年同期比15億円増益の52億円と大きく増加しました。

機能材事業につきましては、売上高は前年同期比3億円の増収となりましたが、営業利益は1億円の減益となりました。

繊維事業につきましては、売上高は前年同期比54億円の大幅減収となりましたが、営業利益は増益を確保しております。

「その他」の事業につきましては、売上高は前年同期比−51億円の大幅減収となりましたが、営業赤字幅は縮小しました。

次に、各セグメントの詳細につきましてご説明いたします。

高分子事業の状況

高分子事業のご説明をいたします。記載のとおり、高分子事業全体では、包装フィルムの好調や原燃料価格の好転を受け、増益となりました。

主力事業のフィルムは、包装分野では、猛暑の影響等により食品包装用途の国内需要が増加し、好調に推移しました。また海外でも、アジア市況の回復とインドネシア子会社の「エンブレムアジア」の生産能力増強に伴い、販売数量が増加しました。

工業分野は、情報端末機器用途など、電気・電子機器分野で需要が減少しましたが、耐熱ポリアミドフィルム「ユニアミド」などの高付加価値品の販売が拡大したことにより、収益は増加しました。

この結果、事業全体では増収増益となりました。

樹脂事業では、ナイロン樹脂は、販売数量が増加したものの、販売価格の見直しにより売上高は減少しました。

機能性樹脂「エリーテル」は、海外向け太陽電池用途などで好調に推移しました。

当社独自のポリアリレート樹脂「Uポリマー」は、事務機器用途で低調でしたが、情報端末機器用途で好調に推移しました。

この結果、樹脂事業全体では減収増益となりました。

不織布事業では、ポリエステルスパンボンドは、農業用途などで低調に推移しましたが、インテリアや建築材料用途などで販売数量を伸ばし、収益は増加しました。

コットンスパンレースは、国内では、猛暑による制汗シートの需要拡大など生活資材用途で好調に推移し、海外向けの拡販も進捗しました。

この結果、事業全体では減収増益となりました。

機能材事業の状況

次に機能材事業をご説明いたします。

機能材事業は、電子材料分野のICクロスの販売が低調に推移し、為替の影響などもマイナスに影響したため、全体では減益となりました。

ガラス繊維は、産業資材分野の土木用途で低調でしたが、建築用途の販売は堅調に推移しました。

電子材料分野のICクロスは、スマートフォンなどの情報端末機器用途が伸びず、為替もマイナスに影響したため、低調に推移しました。

カラスビーズ事業では、工業用途や反射材用途では売上が減少しましたが、ロードマーキング用途は堅調に推移しました。また、商品構成の改善や燃料価格の下落により、全体としては収益は増加しました。

活性炭繊維は、VOC除去分野や工業分野のフィルター用途などで堅調に推移しましたが、主力の浄水器用途で需要が伸び悩みました。

繊維事業の状況

次に繊維事業をご説明いたします。

繊維事業は、前年同期と比べ売上は大きく減少しましたが、収益は増加し、前年同期比で増益となりました。

産業繊維では、ポリエステル高強力糸は、建築資材用途を中心に複合繊維などの高付加価値品の販売が堅調に推移し、収益は増加しました。

ポリエステル短繊維は、前期までに実施した構造改革による事業縮小に伴い売上が大きく減少しましたが、計画どおりの収益を確保しました。

この結果、産業繊維全体では減収となりましたが、収益は増加しました。

衣料繊維では、ユニフォーム分野は、調達コストの低減により採算が改善し、収益は増加しました。

レディース分野は、二次製品の拡販による増収により収益は増加しました。一方で、スポーツや寝装、インナー用途での素材販売およびデニム輸出は振るわず、衣料線維事業全体の売上は減少しましたが、営業利益は増加しました。

この結果、繊維セグメント全体では減収増益となりました。

その他事業の状況

最後のセグメント「その他」をご説明いたします。

「その他」の事業では、前年度に実行した事業ポートフォリオ改革に伴う事業譲渡、子会社の株式譲渡、清算等の影響により、事業規模が縮小し、大きく減収となりましたが、「その他」子会社の営業赤字幅は縮小しました。

以上により、「その他」セグメントでは減収増益となりました。

2017年3月期通期業績予想

次に、2017年3月期通期の業績予想についてご説明いたします。

2017年3月期の通期の業績予想の売上高は、衣料繊維において国内市況の回復が遅れるとの判断から、繊維事業の売上高を当初の予想から30億円下方修正したため、全体では前期比120億円減収の1,345億円と予想しております。

営業利益は117億円、経常利益は90億円、当期純利益は70億円と、当初の予想から変更はございません。

原油価格につきましては、上期実績が1バレル44ドルでしたが、下期は1バレル50ドルを前提としております。

為替につきましては、1ドル105円を前提としております。

当社グループは、中期経営計画に基づく事業ポートフォリオの改革がおおむね2015年度で完了したため、成長戦略に軸足を移し、収益の拡大に進めております。

セグメント別業績予想

次に、セグメント別の業績予想についてご説明いたします。

営業利益は、各事業セグメントの数字を当初の予想から修正しましたが、全体では前期比12億円増益の117億円と、当初予想のとおりとしており、中期経営計画に掲げる成長戦略施策を引き続き着実に実行していくことで、収益の拡大に努めてまいります。

まず、高分子事業の利益変動要因などにつきましては、成長戦略の進捗報告のところで後ほどご説明いたします。

機能材事業では、ガラス繊維の産業資材分野は、引き続き建築用途での拡販を強化するとともに、新商品の開発を加速し、早期実績化を目指します。

活性炭繊維は、浄水器用途で堅調な需要が見込まれる、水栓一体型を中心に拡販を進めるとともに、中国・台湾に加え欧米も見据えた海外市場への参入を図ります。

繊維事業では、産業繊維事業のポリエステル短繊維は、ポリエステル共重合技術などを活かした高付加価値品の開発を加速します。ポリエステル高強力糸は、土木・建築分野の拡販をさらに強化します。

衣料繊維事業は、原繊開発に注力するとともに、スポーツ、レディース分野での二次製品販売を拡大します。

中期経営計画施策の進捗

続きまして、中期経営計画に掲げました、成長戦略施策の進捗状況につきましてご説明いたします。

フィルム事業における成長戦略施策の進捗についてご説明いたします。

インドネシア子会社の「エンブレムアジア」では、アジア市況の回復と、昨年度に本格稼働したナイロンフィルム新機台の生産能力の増強に伴い、前年同期比で販売量が1.4倍に拡大しました。

また、本機台での製造による、さらなるコストダウンにも注力しており、下期にはさらなる収益の拡大を予定しております。

新バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」につきましては、ボイル・レトルト食品向けに採用が大きく拡大しており、販売量は前年同期比で2.5倍に拡大しました。

ユニチカのフィルム加工技術を駆使して開発した、耐熱ポリアミドにつきましては、モバイル機器向けを中心に用途拡大しており、販売量は前年同期比で2倍に拡大しました。

工業用PETフィルムの拡販につきましては、シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」などの高付加価値品の拡販を行っております。販売量は前年同期対比で1.4倍に拡大しました。

樹脂事業と不織布事業における成長戦略施策の進捗です。

まず「アローベース」は、接着剤としての密着性・耐水性・低環境負荷の有利性をてこに、太陽電池関連用途などで使用されておりますが、国内メーカー向けの太陽電池用途で需要が減少したため、販売量が減少しました。今後は新たにアンカーコート材への展開も計画しております。

耐熱ポリアミド樹脂「ゼコット」は、電気・電子機器分野や自動車部品分野での高評価を得ていますが、スペックインに少し時間を要しております。中国や台湾で実績化している電気・電子機器用途を中心に、さらなる用途の拡大を進めます。

高機能PET樹脂の拡販につきましては、「ユニレート」などの差別化アイテムの販売が増加し、前年同期比で販売量が1.2倍に拡大しました。

不織布事業では、タスコにおいて引き続きポリエステルスパンボンドの生産設備増設を順調に進めており、2017年4月の稼働予定に向けて、アジア・欧米を中心としたマーケティングの強化を進めております。

以上で私からの説明は終わります。