小池氏が編成する初の予算

小池百合子氏(以下、小池):みなさま、こんにちは。それでは、今週の記者会見、行わせていただきます。今日もいくつか大きな課題が揃っております。少々お時間を頂戴させていただきます。

まず、予算の季節になっているわけでございますが、私が編成いたします初の予算となります。平成29年度予算に向けまして、都民ファーストの視点に立ちまして、予算編成のあり方そのものを大きく見直すことといたしましたので、お知らせをいたします。

具体的には、予算編成に関わりますプロセスを見直す、そしてそのプロセスそのものを情報公開をするというものでございます。

まず、プロセスの見直しでございますが、来年度の予算では都民のみなさま方の声を最大限予算に反映していきたい。そのために、新たに都民そして政策現場の実態に精通する各種の団体のみなさま方などから広く意見ご要望をうかがう機会を設けることといたしました。

いわゆるヒアリングということでございますが、このヒアリングには私自身も出席をし、みなさま方の率直な声をうかがう、そして積極的な意見交換を行いながら、いただいた意見を編成作業に活かしていくというものでございます。

また、ヒアリングにつきましては、メディアのみなさま方にもオープンで実施をさせていただきます。

こうしたプロセスをしっかりとふみまして、かつ、オープンにすることによって、これまで長年にわたりまして政党復活予算というものがございましたけれども、この仕組みについては前回で終わりにするということでございます。

そして、もう1つの切り口が情報公開でございますが、その徹底をいたします。各局の要求状況については、ご存じのように、財務局のホームページでとりまとめて公表しているところでございますが、今回新たに財務局の査定状況も12月の下旬には公表をいたします。

つまり、予算編成のプロセスについても積極的に公開をいたしますので、これによって都政の見える化がさらに進むものと確信をいたしております。

それから日程でありますけれども、来月の上旬から中旬にかけましては各種団体等との意見交換を実施をいたします。そして、その上で、年明け早々ではございますけれども、これらの議論をふまえつつ、知事査定を実施するということでございます。

最終定期な予算案は1月の下旬に発表する予定といたしております。担当は財務局でございますので、詳細につきましては財務局のほうにお尋ねいただければと存じます。

職員の懲戒処分

2つ目もたいへん重要な項目でございますが、豊洲市場の整備に関する懲戒処分について、本日職員の処分を行いましたので、お知らせをいたします。本件につきましては、11月1日の第2次自己検証報告書、これについてもみなさま方にご報告させていただきました。

この中身は、建物の下に盛り土がなかった、そして地下にモニタリング空間を設置したことに関する経緯と責任の所在を明らかにした。そしてそのうえで懲戒処分の手続きを進めるということを、この報告書をふまえたうえで、指示をしたところでございます。

まず、今回の処分に該当する行為でございますけれども、主に2点になります。

こちらにありますけれども、1点目は、豊洲の新市場整備方針に反する内容について、必要な手続きを踏むことなく決定をしたという点でございます。

2点目が、都議会におけます答弁など、事実と異なる説明を行ってきたという点でございます。これらの行為でございますけれども、不適切な事務処理による信用失墜行為に該当というのはことでございまして、これは地方公務員法にもとづきまして懲戒処分の対象といたし、そして実施をするところでございます。

処分内容を決定するにあたりましては、それぞれの職員の職責や必要な措置をせずに地下空間を造成したその責任、それから議会などへの説明責任、環境影響評価の手続違反の点、これらを判断の基準といたしました。

そして、処分の軽重でございますけれども、事実関係や外部の専門家であります弁護士の先生方の意見なども取り入れまして、またこれまでにこういった場合の事例、前例ですね、これらも参考にしながら慎重に検討したものでございます。

具体的には、第2次自己検証報告書でご報告いたしましたとおり、今回の整備方針に反します内容の決定に関わった職員というのは、その程度に応じて、とくに基本設計の起工から実施設計の実務調整までの期間に現場に在籍していた責任を重視をいたしましての処分とさせていただきます。

また、職責に関しましては、局の最高責任者であります市場長、局長を補佐する立場であった管理部長、そして部を統括する立場にありました新市場整備部長の職責をとくに考慮いたしまして、処分量定に反映をしてまいります。

また、基本設計や実施設計起工への決裁への関与、それから事実と異なる答弁の有無なども考慮したところでございます。

けじめとして自身も3ヵ月減給

そしてその結果といたしまして、市場長の職にあった4名につきましては「6ヵ月間減給5分の1」と「3ヵ月間減給5分の1」の処分の2種とさせていただきます。

「6ヵ月間減給5分の1」といいますのは、減給処分のなかではもっとも重いものであります。

それから、部長級の職員でございますが、6ヵ月間にわたって減給を5分の1、そして1ヵ月間減給を10分の1、この間で処分をいたすことといたしました。

それから、今回の処分対象者は合計いたしますと18名でございます。その内訳は、現役の職員が12名、そして退職者が6名となっております。

そして退職者は、職員としての身分をすでに失っておりますので、いわゆる懲戒処分の対象にはなりません。そのため、処分相当の金額の自主返納を求めていくということになります。

また、すでに退職いたしました市場長につきましては、局の最高責任者としての責任を重く受け止めておられ、そして管理団体の役員を退任されるということになります。

今回の問題によりまして、業界の方々をはじめとする関係者のみなさま方には、そしてまた都民のみなさま方にも、たいへんなご迷惑そしてご心配をかけております。改めてお詫びを申し上げたく存じます。

また、この問題、本件でございますけれども、私の着任前の事件という位置づけではございますが、現在都政を預かるものでございます、そしてそのけじめをつけるという意味で、自ら給与をさらに現在の5分の1、そしてそれを3ヵ月間減額することといたします。けじめでございます。

厳正な処分を実施したことによりまして、1つの区切りをつけたいと考えておりますけれども、もちろん失った都民の信頼はたいへん大きいものがございます。今後再びこのようなことが起こらないように、信頼回復に向けて、私が先頭に立ちまして、職員のみなさんとともに都政の改革を進めていきたいと考えております。

なお、本日発表いたしました懲戒処分でございますけれども、今後人事上の措置を講じることもございますが、本日は懲戒処分について発表させていただいたところでございます。人事はまた別ということになります。

処分の概要は以上でございますが、詳しいことにつきましては、こちらは総務局のほうにお問い合わせいただければと存じます。

「江戸東京きらりプロジェクト推進委員会」の立ち上げ

それから次はこれからの話でございますけれども、以前から私は、フランスのコルベール委員会という、フランスのブランディングの核を成す組織がございますけれども、それに似た、それを参考といたしまして、ネーミングは「江戸東京きらりプロジェクト推進委員会」、この新しい組織を設置をいたしますので、お知らせを申し上げます。

東京には老舗企業のすばらしい品や伝統工芸品、そして匠の技といった伝統ある宝物がざくざくあるわけでございます。このような宝物を、新たな視点から磨き上げて世界に発信をする、そして将来にその匠の技も含めて継承するという意味を込めまして、この江戸東京きらりプロジェクト推進委員会を立ち上げるものでございます。サブタイトルとして、「江戸東京の技・伝統をつなげる、広げる」とさせていただきます。

この委員会では趣旨に沿った事業者の先導的な取組みを後押しをいたします。そして、宝物の付加価値の向上、発信の方策の検討、事業者の取組みへの助言などを行うものでございます。

委員には、ブランディング、そしてマーケティング、デザインなど分野の有識者の方々、そして老舗企業の方々にお願いをいたします。

また、コルベール委員会の日本代表の方にもご参加いただくことといたしまして、コルベール委員会のこれまでの経験、歴史などについて……。ちなみにこれは、今シャネルの日本代表のリシャール・コラス(Richard Collasse)さんで、先ほどもブランディングの委員会にも参加していただいております。

そして、合わせまして委員の数は10名ということになります。私も出席をして一緒に議論をさせていただければと思っております。そして、委員会は12月5日(月)に第1回を開催いたしまして、技・伝統の承継に関します意見交換を行います。

ぜひこれも東京のブランディング、付加価値、そして匠の技の伝承といったいろんな意味を込めて、この委員会が大きなエンジン役になってくれるようにお願いをしていきたいと思っております。

11万戸の空き家の利活用

それから次に、まったく別の課題でございますけれども、空き家問題でございます。相続空き家などを有効に利活用しようというためのモデル事業を開始をいたします。

都内には空き家が82万軒あるとされておりますが、破損などがなく長期不在などの空き家が約11万戸あるわけでございます。そして、このうちのほとんどは長期不在などの空き家でございますけれども、半数以上は相続を契機に発生をしているということです。

わかりやすく言えば、実家のお父さんお母さんが亡くなってしまったけれども、どうしたらいいかわからないといって、そのままになっているというケースでございます。こういったケースに当てはまる長期不在空き家というのが約11万戸と見られます。

一方で、高齢で単身の方または高齢のご夫婦のみが居住する持ち家で、都内に約80万戸ということでございまして、これは将来相続に伴って空き家となる可能性は高いということになります。

こうした空き家の所有者につきましては、その空き家を「どうやって活用しようか」とか「管理をどうしようか」「処分はどうしたらいいのか」、そして「誰に相談したらいいのかよくわからない」といったようなご質問、そして「それにはどれぐらい費用がかかるのかわからない」といったような現場の声を聞くわけでございます。

そこで、東京都はこうしたさまざまなご相談に応じます、ワンストップ相談窓口を設置をいたします。そして、相続、売却、賃貸、管理に関わります情報提供を行いまして、その相談事例を収集するためのモデル事業を実施をするというお知らせでございます。

そこで、空き家に関します相談窓口を設置した実績のある企業・団体を対象いたしまして、モデル事業者を先月公募いたしましたところ、このたび3社に集約されて決定をしたわけでございます。

この窓口でございますけれども、都内の各所、そして近隣の県内に窓口は設置をいたしまして、12月1日から相談受付を開始をいたします。

このモデル事業社には、弁護士さん、そして不動産業者さんなど、専門家と協力いたしまして、空き家の所有者からの相談内容に応じて、さまざまな観点から空き家の利活用方法などを検討して助言をしていただくという、たいへん実質の伴うものでございます。

それから耐震化にかかる費用で、どれぐらいかかるかわからないのでそのままにしておくといったケースもございます。そういったことを考えるならば、モデル事業者を通じて、空き家の実際に持っておられる所有者に対してのアドバイスなどを行うということでございます。

さらに、所有者本人の希望、それから空き家の状況もふまえまして、区市町村などとも連携いたしまして、以前から私が申し上げております、そういった空き家を保育施設に活用するといったような、公的な利活用にもこのモデル事業を通じてつなげていきたいと考えております。

ぜひこの相談窓口については、12月1日からでございますけれども、ぜひご活用いただいて、そしてその空き家をほったらかしにするのではなくて、むしろ活用できる、その道を探っていただきたいと思います。詳細については、こちらは都市整備局が担当をいたします。

「東京環境サポーター債」は初日に完売

それから次に、以前もお伝えをいたしましたけれども、都民みなさまや機関投資家のみなさま方から、東京の環境を応援していただくための債券の発売に関してのご報告でございます。題しまして「東京環境サポーター債」でございます。

先週お話ししたものでございますが、売出しは昨日の時点で開始をいたしました。で、初日に完売をいたしました。ご購入いただいた方々をはじめ、発行にあたりご協力いただいたみなさま方には御礼を申し上げたいと存じます。

また、この投資を通じまして、都の環境事業にオーナーシップ意識を持っていただくという点に多くの方々が共感していただいたものと考えており、これについて、私のほうからも礼状などを出すなどなど、いろいろ考えてまいりたいと考えております。

これで都民のみなさまのお金で東京の環境をよくしていく取組みを進めてまいります。そして、国内の貴重な資金が国内の環境対策に活用されるという流れを作っていきたいと考えております。

そして来年度に本格的なグリーンボンド、これは世界銀行の承認が必要でございますけれども、そういった本格的なグリーンボンドの取組みを行っていきたいと考えております。

ということで、おかげさまで初日に完売ということでございます。規模は100億円でございました。

私のほうからご報告する点は以上でございます。お戻しします。