音楽の好みに関する研究

オリビア・ゴードン氏:最近ビヨンセの動きにはまったりしていませんか? でなければダサいのが好きで70年代の音楽が音楽シーンのピークだったなんて思っているかもしれませんね。

俗にいう「音楽の黄金時代」に関してたくさん討論されますが、結局は個人の好みであるという結論に落ち着きます。

しかし、科学はあなたの音楽の好みがどこから来ているのか説明できるでしょうか?

いくつかの心理学研究によると、音楽の嗜好は、異なる音楽に関する記憶と関係があるとされています。ですからある特定の時代の音楽というわけではないのです。発育心理学者は、青少年期に形成する記憶は詳細部まで残る傾向にあり、それは大人になってもそのままであると言っています。

1990年後期に、さらなる研究者が、このパターンは音楽の分野にも当てはまるか、そしてそれが人の音楽の嗜好にも影響を与えるのかを調べました。

その研究のために、彼らは大量の音楽を集めました。その中には1935年から1994年まで毎年流行した音楽を1曲ずつを含めました。

それから年配の人々から大学生たちを集め、各音楽を20秒ずつ聞いてもらい、その後その曲を聞いたことがあるか、その曲に関係した思い出があるか、その曲を好きかどうか、を尋ねました。

年配者グループは彼らが10代の時に流行した音楽が一番好きであるといいました。MCハマーは好みではないそうです。心理学者が予想していた通りです。

しかし、若いグループには驚くべき結果が出ました。彼らも自分たちが10代だったときの音楽が一番好きだと言いましたが、同時に自分たちが生まれる前の1960年代後半の流行音楽も知っていて、好きだと言ったのです。

それで、当時研究者たちは1960年代後半の音楽こそが音楽の黄金時代だと主張しました。新しいグランジ好きの若者たちでさえ当時の歌を聴いていたからです。結果は明らかですよね?

いいえ、実はそうではありません。よい科学は同じ結果が出るかの再現研究をします。もし本当に1960年代後半が黄金時代であったなら、ほかの心理学者も同じ研究をすれば同じ結果が出るはずです。

10年ほど後にほかの研究者もまさに同じ研究をしました。彼らは1955年から2009年末までのビルボードチャートでトップになった2曲のシングル曲のオーディオクリップを使いました。彼らは大学生たちだけを対象にしたテストをしました。

結果として似たようなパターンがでましたが、その結果からすると黄金時代は1980年代初頭で、1960年代後半ではありませんでした。

これらの心理学者は違った結論にたどり着きました。なぜなら彼らは学生たちに彼らの両親が何歳かも尋ねたからです。その黄金時代の音楽は彼らの両親が10代の時の音楽だったのです。

どのようにしてかはわかりませんが、彼らの両親は自分たちの音楽嗜好を自分の子供たちにも伝えていたのです。しかしそれはあなたが「ファンク」や「ニューウェーブ」の遺伝子を受け継ぐことができるというわけではありません。これは「単純接触効果」の結果かもしれません。

これは、人間は自分が前に見たことや聞いたことがあるものに対してさらなる好感を抱く傾向があるというものです。その対象は音楽や、ランダムなかたちであったりもします。それは、対象そのものに対して初めはとくに関心を払っていない時にはとくにそうなります。両親が子供がいるところでお気に入りの曲を流すといった場合です。

ですからもしかしたら、音楽の黄金時代とは存在しないのかもしれません。しかし、あなたにとっての黄金時代はあると言えるでしょう。