なぜ投資家は塩漬けがやめられないのか?

中原良太氏(以下、中原):みなさん、こんにちは。株式予報の中原良太です。今回は、前回・前々回とは違うテーマでお話ししようと思っています。

何について話そうと思っているのかというと、このタイトルにもあるように、「なぜ投資家は、塩漬けがやめられないのか?」。こちらのテーマについてお話ししていく予定です。

今回のこの講義の目的は2つあります。

まず1つ目は、今、塩漬けしている方に向けてのものです。今、塩漬けしている人は現状を再認識する。つまり損切り、塩漬けしてしまっている銘柄を損切りしていくための新たな一歩、そのきっかけにしていただければなと思っています。

もう1つの目的は、塩漬けをしていない方が対象の目的です。どのような目的かというと、今、塩漬けしていない人には、塩漬けのメカニズムを知ることで、塩漬けにならないための対処法を知っていただきたいと思っています。

今回の講義は、この2つの目的に沿って、お話を進めていこうと思います。ぜひ最後までご覧いただければと思います。

塩漬けは株式相場では致命傷

ではさっそく、今回お話しする目次をご紹介していきます。

まず一番初めに、投資家はなぜ失敗してしまうのかというところをご紹介します。

その次に、失敗の中でも、許される失敗と許されざる失敗、もうこれだけはやっちゃいけない致命的な失敗という2種類があるんですね。

反省しなくていい些細な失敗と絶対反省しなきゃいけないすごく危ない失敗の2種類があります。それで、こっち(許されざる失敗)は何なんだろうというところをご説明していきます。

その次が、塩漬けする人の2つの心理と4つのステップ。塩漬けしてしまう方というのは、どのような意識の流れ、ストーリーを経て、塩漬けに至ってしまうのか。

あとは、実際に株を買ってから、どのような流れ、どのようなステップをたどって、塩漬けに至ってしまうのかということについて解説していきます。

その次が、塩漬けすることの最大のデメリット。塩漬けすると起こってしまう悪いことをご紹介していきます。

悪いことを知っていただいた後に、塩漬けしないための鉄則と予防法を5つほどご紹介したいと思っています。

ここの一番最後のところが非常に重要なんですけど、なぜ健康管理が大事なのかというと、病気にかかってしまってからでは遅いんですよね。怪我してしまってからでも遅いと。

骨折だったら、まあいいですけど、例えば、脊髄損傷で半身不随になっちゃうとか、そういった不幸な目に遭われている方がいらっしゃると思うんですけど、こういうことは起こってしまってからでは遅いですよね。もう治療のしようがないと。

相場でも同じように、致命傷というものがあります。その1つが塩漬けなんですけれど、この塩漬けが起こらないようにするために、そもそも予防してしまうのが一番大事であるということで、予防法を最後に5つご紹介していきます。

投資家が犯す2種類の失敗

では一番初めに、1つ目のポイントの「なぜ失敗してしまうのか」についてご紹介していきます。

まず初めに、なぜ投資家は失敗しまうのか。この失敗してしまう理由をたどるためには、「そもそも失敗とはどのようなものなのか?」この定義を明らかにする必要があります。

実際に9割の投資家が、何度も何度も同じ失敗を繰り返していて、相場の中では、1割の勝てる投資家と9割の負けてしまう投資家がいると言われています。

つまり、9割の人は同じような失敗をグルグルグルグル繰り返していて、結果的に利益が出ずにトントンだったり、あるいはそのまま損をしてしまうということなんです。

この負のサイクルから抜け出すためには、「なぜ失敗してしまうのか?」というポイントを明らかにする必要があります。

失敗には2つの種類があります。まず1つ目が、得られるはずの利益を逃してしまった。こちらが1つ目の失敗です。

もう1つが、含み損を抱えて、身動きを取れなくしてしまうということ。この2つの種類があります。

このうち、「どちらが取り返しのつく軽い失敗で、もう1つが取り返しのつかない大きな失敗なんだ?」というところをお話していきます。

まず、初めの得られるはずの利益を逃してしまう、こちらは大したことない失敗なんです。まあ反省したほうがいいんですけど、そこまで深刻に考える必要はない。なぜなら手元の資金は減ってないですからね。

利益が得られなかった、機会損失をしているだけで、実損はないです。ということで、チャンスはできるだけつかむに越したことはないんですけれど、避けられれば避けると。それぐらいの心構えで十分な失敗と言えるでしょう。

ただ一方で、損をしすぎてしまって、塩漬けをしてしまって、資産の大部分を失いかねない大失敗をしてしまうと。これは絶対に避けなきゃいけない失敗だと考えられます。

ですので、塩漬けしてしまった人は、してしまったなりの対策をするべきですし、まだ塩漬けになってない方は、そもそも塩漬けにならないために、予防策をいくつか知っておく必要があるんですね。

塩漬けに陥る人の心理パターン

それで、塩漬けする人……まあ誰だって「塩漬けはよくないものだ」ってわかるじゃないですか。どんなWebサイトを見ても、「塩漬け=ダメなもの」ですと言われていますし、私も口を酸っぱくしてみなさんに「塩漬けはダメだよ」「塩漬けほどナンセンスなことはないんだよ」と本にもブログにも書きました。

でも、やっちゃうんですよね。私も何度も何度も、塩漬けを経験して、私の周りにも塩漬けを経験している人がいて、やはり塩漬けをしてしまう本能みたいなものがあるんでしょうね。自分を守りたいとか、そういう心の流れというものがありますと。

それで、この塩漬けをしてしまう人の心には、2つのパターンがあるんですね。

1つ目が、「自分が間違ってるはずがない!」という考え方をしてしまうパターン。例えばバリュー投資をしている方とか、まあ徹底的に決算書を眺めて、「割安」と胸を張って言えるような株を見つけたとします。

そういった株がズルズルズルズル株価が下がってしまう。いい株を買っているはずなのに、株価が下がってしまう。相場に長くいる方だったらわかると思うんですけど、こういうことは往々にしてあるんですね。いつでも起こりうることなんです。

たとえ世間一般で見て正しい株を買ったとしても、その株が下がってしまうことはありうると。なので、そういったことが起こった時のために、対処法を知っておく必要があるんですね。

自分の株をきちんと信じている人、ここでは「過信してしまった人」と書いているんですが、そういう人たちが株を持ち続けてしまって、ズルズルズルズル損をしてしまって、結局、塩漬けになってしまうと。こういうパターンが挙げられます。

こういった方は一時撤退、下がってしまったからひとまず売って、下がりきったところをまた買い直そう、と切り替えるようなマインドセットを持つ必要があると考えられます。

もう1つが、さらに下がり手も足も出なくなる。これはどういうことかというと、株価が下がった時に、ここまで下がったら、もうそろそろ上がってくるだろうとか。あとは、含み損しているのを損切りしてしまって、損を確定してしまう。このことに抵抗を感じてる方がけっこう多いです。

先延ばしはなんの利益にもならない

私も一番最初はそうだったんですよね。このシステムトレードを始める前の、初めて株式投資をした時は、ヤマダ電機あたりの株を買って、当時は「もうこの会社は最高だ!」と思っていて。

それで株を買って翌日になったら、1万円減ってたんですよ。「マジか……」と。その翌日は2万円減ってる、「あ、ヤバい……」というふうに、どんどんどんどん下がってしまって、手も足も出なくなってしまうと。

僕はこの時、ヤマダ電機のことを信じてたので、「持ち続けてれば大丈夫だろう」とその株にすがるようなことをしてしまいました。

今思えばそれは非常に危険なことで、きちんと損切りのラインを設定しておいて、「ここまで下がったら株を売りましょう」と決めておく必要があったんですね。

みなさんも同じで、損切りってどうしても先延ばしにしたくなるじゃないですか。でも、先延ばしにしたところで、なんの利益もないということが、ほとんどなんですね。

それこそ、そのまま下落トレンドに突入してしまって、持てば持つほど株価が下がってしまうということがけっこうあるので、そういう場合にはいち早くその株を売ってしまうことのほうが利益なんですよね。

持つほど損だから、そこから逃げるほうが得だということもありうるので、「塩漬けをしないためにも先延ばしをやめましょう」ということを考える必要があると考えています。