2016年度 第3四半期 決算説明会

石坂修氏:みなさん、こんにちは。本日は2016年度第3四半期決算の電話会議にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

最初に、私から決算の概略についてご説明させていただきます。

それでは、第3四半期決算のハイライトからご説明いたします。1ページをご覧ください。

まず、売上高につきましては、主に国際事業が円高に伴う為替影響により214億円の減収となりましたが、国内3事業が好調に推移したことによりまして、トータルでは前期比71億円増収の1兆3,656億円となりました。

右側に記載しております、年間予想につきましては、飲料、食品事業を中心に計画を上回る進捗となっておりますが、今回は事業ごとの微修正は行わずに、10月から新規連結いたしました、欧州ビール事業の売上高150億円のみを上方修正しております。

営業利益につきましても、飲料事業を中心に国内3事業が計画を上回る増益となったことにより、トータルでは前期比91億円増益の1,026億円となりました。

年間予想につきましては、国際事業において、欧州ビール事業のマイナス要因25億円と、のれん等償却費の増加19億円を織り込みましたが、主に飲料事業を20億円上方修正したことなどによりまして、1,407億円の従来予想を据え置いております。

なお、欧州ビール事業におきましては、10月から12月末までの営業利益として30億円程度を見込んでおりますが、買収に伴う一時費用や分離コストが現時点では55億円程度発生することを前提として、差し引き25億円のマイナス予算としております。

ただし、この一時費用のなかにはIT関連費用など、今後の精査によりまして資産化できるコストも含まれております。「調整額(全社・消去)」のところを24億円上方修正しているのは、ホールディングス社の費用抑制などもございますが、現時点では確定できない、この一時費用の削減効果をこの部分に織り込んでいるとお考えいただければと思います。

続いて、四半期純利益につきましては、先週25日に開示いたしました、頂新HDの株式評価損の計上などにより、330億円減益の360億円となりました。

一方、年間予想につきましては、すでに発表しております康師傅飲品社や、本日発表いたしましたカゴメ社の株式売却益などによりカバーすることで、当初予想の800億円を据え置いております。詳細は後ほどご説明したいと思います。

今期は、営業利益、四半期純利益ともに、中間期以降に発生したマイナス要因を、既存事業の実質的な上方修正と迅速な資産効率化の取り組みでカバーすることにより、当初計画の達成を目指していく方針でございます。

酒類事業(ビール類販売数量)

事業ごとの詳細につきまして、酒類事業におけるビール類の販売数量からご説明いたします。2ページをご覧ください。

(スライド)右側に記載しております、1月−9月のビール類市場全体は、業界各社がビールを中心としてマーケティング活動を強化をいたしましたが、ビール類トータルでは、上半期のトレンドと大きな変化はなく、累計で前期比1〜2パーセント程度減少したものと推定しております。

そうしたなか、当社の販売数量は、業務用の低迷や昨年発売した期間限定商品の反動減などにより、ビールが2パーセントの減少となりましたが、「クリアアサヒ」ブランドを中心に新ジャンルが大幅に増加したことによりまして、ビール類トータルでは前年並みを維持しております。

年間予想に対しましては、残念ながらビールは計画を下回っておりますけれども、発泡酒と新ジャンルの増加でカバーし、トータルではほぼ計画ラインの進捗となっております。

酒類事業(売上高)

次に、ビール類以外の売上高についてご説明します。3ページをご覧ください。

資料なかほどに記載しております、ビール類以外の酒類につきましては、主に洋酒が前年同期の大幅増の反動により減収となっておりますが、本年4月に発売した「もぎたて」が好調なRTDや、エノテカ社の上乗せ効果もありましたワインの売上拡大などにより、トータルでは前期比86億円増収の1,135億円となりました。

また、アルコールテイスト清涼飲料につきましても、「ドライゼロ」を核として引き続き好調に推移しておりまして、ビール類以外のトータルの売上高は計画を上回る進捗となっております。

酒類事業(営業利益)

次の4ページには、酒類事業の営業利益の増減要因を記載しております。

主な増減要因としては、「広告販促費」や「その他経費」が増加しているものの、ビール類以外の増収効果および変動費のコストダウンの進捗によりまして、トータルで前期比13億円増益の853億円となりました。品目ごとに多少のばらつきございますが、ほぼ計画ラインの進捗となっております。

今期は年末需要の獲得などにより着実に計画を達成をしていくとともに、来年30周年を迎えます「スーパードライ」、また今年大幅にシェアを拡大している「クリアアサヒ」を中心として、もちろんコストコントロール強化をしながら、持続的成長に向けたブランド投資を拡大していく方針です。

飲料事業(販売数量)

次に、飲料事業につきまして、アサヒ飲料社の販売数量をご説明いたします。5ページをご覧ください。

1月−9月の飲料市場全体は、お茶やミネラルウォーターを中心としまして、トータルでは前期比3〜4パーセント程度増加したものと推定しております。

そうしたなか、アサヒ飲料社の販売数量は、主に機能性飲料や果汁飲料がマイナスとなりましたが、「ウィルキンソン」「ワンダ」「十六茶」といった主力ブランドが好調に推移したことにより、トータルでは前期比2.8パーセント増加の1億9,378万箱となりました。

年間予想としては、進捗を受けてカテゴリー以下の見直しを行っておりますが、昨年第4四半期にコーヒーなどが大幅に伸びた反動減リスクなども鑑みまして、トータル数量は据え置いております。

飲料事業(営業利益)

次の6ページには、飲料事業の営業利益について記載をしております。

主な利益増減要因としては、数量増に伴い広告販促費は増加をいたしましたが、増収効果やコストダウンに加えまして、品種・容器ミックスの改善が進んだことなどにより、エルビー社を含む飲料事業トータルでは、前期比62億円増益の255億円となりました。

こうした計画を上回る収益改善の進捗をふまえまして、年間予想を20億円上方修正しております。

業界の競争環境を好転するなか、今期は上方修正した計画を着実に達成した上で、来期以降も主力ブランドへの集中と付加価値商品の拡充に加えまして、広告販促費など、コストの効率化に努めていくことで、業界トップレベルの収益性をさらに高めていく方針でございます。

食品事業(売上高・営業利益)

続いて、食品事業についてご説明いたします。7ページをご覧ください。

食品事業につきましては、上半期に引き続き「ミンティア」やベビーフードなど、主力ブランドが好調に推移したことなどにより、トータルの売上高は前期比49億円増収の889億円となりました。

営業利益では、広告販促費の増加などがございましたが、増収効果とミックス改善に加えて、原材料を中心とした製造原価の低減などによりまして、トータルでは前期比20億円増益の74億円となり、計画を上回る進捗となっております。

第4四半期は、来期以降のさらなる飛躍に向けまして、「ミンティア」や「ディアナチュラ」など、好調な主力ブランドへの投資を拡大するものの、年間計画の超過達成を目指していく方針でございます。

国際事業(売上高)

次に、国際事業についてご説明いたします。8ページをご覧ください。

こちらのページには、決算ベースの売上高に加えまして、下段には為替影響を除いたベースの売上高を記載しております。

また、冒頭ご説明いたしましたように、新規連結した欧州ビール事業につきましては、新たに「欧州事業」というセグメントで表示をしております。

まず決算ベースでは、主にオセアニアや東南アジアを中心とした為替影響により、トータルでは前期比214億円の減収となりましたが、258億円の為替影響を除いたベースでは、前期比で2.4パーセントの増収となっております。

内訳としては、オセアニアでは、飲料事業が炭酸や果汁カテゴリーの数量減などにより減収となりましたが、酒類事業は「スーパードライ」やサイダーを中心に増収となりまして、トータルでは3.3パーセントの増収となっております。

また、東南アジア事業は前年並みとなりましたが、中国事業では、「スーパードライ」を売上拡大と輸出製造の増加などによりまして、5パーセントの増収となっております。

年間予想につきましては、東南アジアは計画を若干下回る進捗となっておりますが、オセアニアや中国は計画ラインで進捗をしておりますので、欧州ビール事業の新規連結効果150億円のみを上方修正をしております。

国際事業(営業利益)

次の9ページで、営業利益についてご説明をいたします。

決算ベースでは、トータル1億円の減益となっておりますが、14億円の為替影響を除いたベースでは16パーセントの増益を果たしております。

内訳としては、東南アジアや中国事業は主にミックス改善やコストダウン効果などによりまして増益となりましたが、オセアニア事業において豪ドル安に伴う輸入原料の調達コストが18億円増加したことなどにより減益となっております。

ただし、年間予想につきましては、冒頭ご説明した、欧州ビール事業のマイナス要因25億円を下方修正しておりますが、既存の各事業はほぼ計画ラインで進捗をしております。これから最盛期を迎えるオセアニア事業を中心として、計画の着実な達成を目指していく方針でございます。

経常利益・四半期純利益

続いて、連結決算の経常利益以下をご説明いたします。10ページをご覧ください。

営業外損益は、主に持分法投資損益の悪化により、トータルでは158億円の悪化となりまして、経常利益は前期比67億円減益の948億円となりました。

持分法投資損益は、下段に明細を記載しておりますが、昨年の頂新HDの株式保有形態の変更に伴う利益95億円がなくなったことや康師傅飲品社の減益などによりまして、トータル142億円の悪化となりました。

特別損益は、冒頭触れましたように、頂新HDの株式評価損の計上などにより338億円の悪化となったことで、四半期純利益は前期比330億円減益の360億円となりました。

ただし、年間予想については、こちらも下段に明細を記載しておりますが、康師傅飲品社およびカゴメ社の株式売却益など、資産効率化に向けた取り組みを強化していくことにより、当初計画である800億円の達成を目指していく方針でございます。

なお、本日開示いたしました、カゴメ社による自己株式公開買付けへの応募につきまして、簡単にご説明をいたします。

当社とカゴメ社は2007年に資本業務提携を結びまして、これまで共同開発商品や共同配送など、サプライチェーン全般における取組みで成果をあげてきました。

一方で、当社は中期経営方針に、稼ぐ力の強化、また資産・資本効率の向上を掲げるなか、カゴメ社と提携のあり方を協議してきた結果、今後は資本提携がなくとも良好な協力関係が維持できると判断をいたしまして、資本提携を解消することにいたしました。

株式の売却手法としては、カゴメ社のTOBに応募するかたちとなりまして、売却総額は246億円、特別利益に80億円を計上する見込みでございます。

引き続き、カゴメ社とは提携関係を継続していくことで、相互の企業価値の向上に努めていく方針でございます。公開買付けの詳細につきましては開示資料を後ほどご確認いただければと思います。

IFRS移行影響

続いて11ページをご覧ください。今期末から適応いたします、IFRS導入の影響につきまして、中間決算発表時の概算値からの変更点、こちらを下段に記載しておりますので、ご説明をいたします。

まず1点目の売上高につきましては、日本基準と同様に、欧州事業の新規連結効果150億円を上方修正しております。

2点目は、営業利益において、欧州事業ののれんの非償却効果として10億円を織り込んでおります。これにより、営業利益に対するIFRS導入の影響額はトータルで60億円の押上げ効果となります。

なお、冒頭に、欧州事業ののれん等の償却費は19億円としておりますが、そのうちののれん部分につきましては、現在買収金額の資産負債への配分作業を進めている段階であるため、概算値として約その半分を仮置きをしているということになります。

3点目は、当期利益の押上げ要因として、「その他IFRS調整額」として10億円新たに積み増しております。

具体的な内容としましては、日本基準で発生しました、頂新HDの評価損などを包括利益に振り替えるプラス効果がございますが、一方で、康師傅飲品社の売却益に関して、簿価の違いなど会計基準の差異によって、売却益や税効果を調整するといったマイナス要因が発生することから、それらの合計として10億円のマイナス影響を織り込んでいるということになります。

ただし、当期利益につきましては、営業利益の押し上げ効果10億円と相殺されるため、中間決算発表時に開示いたしました885億円を据え置いているということになります。

なお、こうしたIFRS導入の影響額につきましては、のれんの償却も含めまして、あくまでも現時点の概算値としてご参考にしていただければと思います。

欧州ビール事業の業績

以上で決算の説明を終わらせていただきますが、最後に10月11日に買収手続きが完了いたしました、欧州ビール事業につきまして簡単に触れておきたいと思います。12ページをご覧ください。

資料に記載しております、買収事業の2016年3月期の業績は、これまでのトレンドを上回る利益成長を果たしており、事業環境が厳しいなかでも、それぞれの地域において競争力を維持・拡大をしております。

現在、現地統括会社であるアサヒヨーロッパ社のインテグレーションチームを中心として、クロージング以降、本格的な分離統合作業を進めております。

まずはスタンドアローンでの成長を継続していく体制を早期に構築した上で、プレミアム市場における「スーパードライ」のプレゼンス向上といった、シナジーを創出していくことによりまして、持続的な海外成長基盤を拡大していく方針です。

なお、詳細な財務内容や地域別の状況などは、現在情報整備を進めている段階です。来期以降の業績見通しや今後のグロース・ストーリーも含めまして、来年2月の決算発表時に開示していきたいと思いますので、現時点での開示情報は限定的となることも、あらかじめご了承願います。

以上で当社からの説明を終わらせていただきます。