順張り投資を攻略しよう!

中原良太氏:みなさん、こんにちは。株式予報の中原良太です。前回、逆張りの投資法をご紹介しましたが、今回は順張りの投資法を攻略していきたいと思います。

この講義の目的は、前回とほとんど変わらないんですけど、順張り投資の原理と特徴を知り、実践するために必要なポイントをご理解いただきたいと思います。

その次に、順張り投資の落とし穴、こういった株は順張り投資に向いていないとか、そういうところをご理解いただいて、大損しないための対処法というのも、併せてご理解いただきたいと思います。

この2つのポイントを押さえてお話ししていきますが、こちらが今回の目次です。ここのような順番で進んでいきます。

まず初めに、順張り投資の定義と有効性についてご紹介していきます。その次に、順張り投資の長所と注意点についてご紹介していきます。3番目に、順張り投資で売買する銘柄の特徴についてご紹介して、4番目、順張り投資の売買のタイミングについてご紹介していきます。

それで最後に、順張り投資を実践するうえでの2つの要点をご紹介していって、最後にこの5つをまとめて、順張り投資のポイントをご紹介していこうと思います。

順張り投資の定義

ではまず、順張り投資の定義についてご紹介していきます。

順張り投資とは何か。これには定義がありまして、株価が上昇相場にある時に、株価の上昇を確認した後に株を買う、という投資法です。では、なぜこの投資法が順張り投資と呼ばれているのかというポイントなんですけれど、相場と同じ方向にいくときに株を買う。

つまり、上がっていく時に株を買って、買って、買って、買って、買って……と上がっていく時には買う。下がってる時には売るというように、相場と同じ方向の売買をするということから、順張り投資と呼ばれています。英語では「トレンドフォロー」と呼ばれています。

上昇している時に株を買い、トレンドが続くかぎり持ち続けるのが特徴です。順張り投資の思想というのは、相場が上がっているかぎり、株を買い、持ち続けるという、まあ順張りですよね。

相場のトレンドに乗っかったまま、乗っかったまま、乗っかったまま、波に乗り続けるというのが順張り投資の本質ですので、トレンドが続くかぎり、上がり続けるたび、株は買い続けます。それで下がり続けるかぎり、売り続けますよと。そういった投資法になります。

統計的にも有利な投資法なんですけれど、一方で、一般的に勝率の低い投資法としても知られています。ですので、損切りの徹底をするのが非常に重要であるというのが1つのポイントとなります。

一般的に、順張りの投資法は、勝率がだいたい30〜40パーセントぐらいとして知られていますので、まあ、小さな負けをコツコツ繰り返していって、大きな勝ちをドーンと取っていくと。こういった投資法になります。

順張り投資の有効性

次は、順張り投資の有効性についてご紹介していきます。

まず、値段が上がったから株を買うという投資家は、案外多いんですね。これはなぜかというと、私は投資家の焦燥感に起因していると考えています。

例えば、欲しい物の値段がどんどんどんどん上がっている時というのは、どうしても慌ててしまうものなんですね。これの最たる例が、昨年かな? 何年前か忘れましたけれど、増税前に駆け込み需要というものがありました。

例えば、「今日までは100円です。でも明日から110円になりますよ」と言われると、「110円になる前に、今のうちに買っておかなければ」というように、みなさん、物を買うわけですよね。

これと同じように、上がるか下がるか確証はないけれども、明日になったら株価が上がってしまうかもしれないというのが1つの焦燥感ですよね。

こういう危機感に由来して、株価が上がった後に、「もっと上がったら嫌だな」と思って、この時点で株を買ってしまうという投資家が非常に多いです。これに起因して、株価が上がることが多いということが知られています。

この傾向は、統計的にも効果が実証済みです。ですので、「順張り投資は理にかなってないじゃないか」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、僕も最初の頃は順張り投資が好きではなかったのですが、実際に統計を取ってみると、そのような傾向が取れていますので、理にかなった投資法だと言えると思います。

順張り投資の長所

その次にご紹介したいのがですね、順張り投資の長所。

どのような長所があるかというと、まず、取引の対象となるのは人気株が多いです。ですので、株を買う時に抵抗感が出てきづらいという特徴があります。

ほかにも、支持線、つまりサポートラインがたくさん出ているため、株価が上がって、たとえ下がったとしても、例えば1000円にサポートラインがあって、500円にサポートラインがあって、300円にサポートラインがあって……とたくさんのサポートラインがありますので、そこで株価が下支えされる可能性が高いんですね。ですので、下落リスクがなんだかんだ言って小さくて済むと考えられます。

上がっているかぎり、株を持ち続けるだけでよいため実践しやすいという特徴があります。

これの参考として、ジャンケン心理学をみなさんにご紹介したいと思います。

人間の行動特性がわかる、ジャンケン心理学

順張りの投資法というのは、あくまでもトレンドフォローの投資法です。ですので、相場が上がっていくかぎり、株価が上がっていくかぎり、株を持ち続けるだけだと。ですので、利益が出れば出るほど、株を持ち続ける方法なんですね。逆に、損が出た瞬間にサッとやめてしまうという投資法です。

これは、人間の行動特性に非常に似通った投資法なんですね。今からこれを、ジャンケン心理学でご説明したいと思います。

どういうことかというと、ジャンケン心理学というのが中国の大学で研究されているんですね。

これはどういうものかというと、Win-stay, Lose-shift戦略というのが、ジャンケンをしている学生を研究したことで、出てきた人間の行動特性であると。

どのような行動特性かというと、ジャンケンをした時、例えばパーで勝ちましたと。パーで勝った人は次に何をしやすいかというと、「パーで勝った」という気持ちいい記憶が残っていて、次もパーを出しやすくなるんですね。

つまり、勝った時は現状維持でもう1回同じことを繰り返す。でも、例えばパーで負けたとしたら、パーで負けたという嫌な記憶が頭に残るんですよ。

それで、その次に何をするかというと、「パーはやめとこう」「じゃあ、グーを出そうか」「チョキを出そうか」と行動を変えていくという特性があります。

順張り投資では、利益が出続けるかぎり、その株を持ってstayし続けるという投資法ですよね。

逆に損が出た時には、さっさと損切りしてしまって、次の新しいチャンスに乗り換えていきましょうよと。

そういう投資法ですので、このジャンケン心理学で説明されている人間の行動特性に、非常に似通ってるんですね。ということで、初心者でも投資しやすいと考えています。

こちらのジャンケン心理学の研究事例というのは、「Social Cycling and conditional responses in the Rock-Paper-Scissors game」という論文がありますので、こちらをご参照いただければ。まあ、英文なんですけれども、詳しいお話が理解できるかと思います。