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「失敗は恥ではありませんが、期待してくれる人を裏切ることは恥です」ヨルダン王妃ラーニア氏のメッセージ

「失敗は恥ではありませんが、期待してくれる人を裏切ることは恥です」ヨルダン王妃ラーニア氏のメッセージ

世界一美しい王妃と言われるヨルダン王妃ラーニア・アル=アブドゥッラー氏が、ヨルダンの高校キングス・アカデミーの卒業式で行ったスピーチです。卒業生たちに優しさや謙虚さの大切さを訴え、時代や国境を越えて通用する価値観を説きました。

シリーズ
卒業式スピーチ > キングス・アカデミー 卒業式 2014 ラーニア・アル=アブドゥッラー
2014年5月26日のログ
スピーカー
ヨルダン王妃 Rania Al Abdullah(ラーニア・アル=アブドゥッラー) 氏
参照動画
HM Queen Rania Al Abdullah Commencement speech

卒業生たちが成し遂げたこと

ラーニア・アル=アブドゥッラー氏 国王陛下、オースティン校長、来賓のみなさん。そして、私たち全員がここにいるそもそもの原因である、2014年卒業生のみなさん。一人ひとりにお祝いを申し上げます。おめでとう! おめでとう! おめでとう! すばらしい卒業生、すばらしい年ですね。 まずあらかじめ、みなさんに打ち明けておかねばならないことがあります。私は、卒業式のスピーチをする時には、いつも緊張してしまうのです。みなさんが卒業する前には、必ず私のスピーチを挟まなくてはなりませんし、みなさんは悠長にスピーチなどを聞いてはいられない気分でしょう。昨晩は、3時間ほどしか眠ってないはずです。 そんななかで、私はみなさんに、感動的で何年も記憶に残るような、含蓄あるアドバイスを残すよう期待されているのです。プレッシャーはそれだけではありません。私が人生において、もっともその意見を重んじる方が最前列に座っていらっしゃいます。国王陛下です。 というわけで、私は今、たいへんな試練に対面しています。しかし、幸運なことにそれは私だけではありません。2014年卒業生のみなさんもまた、オースティン学長に対して大きな問題を提起しました。古典主義者であれば、「adversum magnum」と呼び、私たちヨルダン人であれば「mushkila kbeereh」と言うものです(注:いずれも“大いなる問題”の意)。 学長は学園のモットー「floreat scientia(注:ラテン語で“知識の繁栄”の意)」を変更しなくてはならないかもしれません。それだけでは、みなさんの達成した事柄の広さと深さを表現しきれないからです。 当然のことながら、みなさんは知識を繁栄させました。みなさんは、これまでの先輩の卒業生と同様、世界でもトップレベルの大学へ進学しますね。世界中の優秀な大学です。 また、みなさんは文化をも繁栄させました。冬季の演劇祭では「ピカソ」を上演し、「若者のミュージシャン・カンファレンス」を開催しました。 人道支援をも繁栄させました。「ラウンド・スクエア」の仲間たちと共にカンボジアの女性を支援し、「音楽の絆」コンサートを開催してフィリピンの台風災害の被害者を助け、「ハビタット・フォー・ヒュマニティ(注:世界で住宅支援を行う国際NGO)」を支援しました。 相互理解をも繁栄させました。国王陛下のアメリカ、シンガポール訪問や、マドリードで開催された「ハーバード・モデル会議(注:高校生の国際交流)」などがそうでした。 リストはさらに続きます。改革やボランティア精神、環境保護、スポーツなどなど、みなさんは、これらすべてを繁栄させました。 実際問題として、繁栄「させた」という言葉は間違っています。みなさんは、ただ繁栄「させた」のではなく、その手で繁栄を「実現させた」のです。私たちは、みなさんを極めて誇りに思います。 また、卒業生のみなさんの影には、両親、家族、先生方、カウンセラー、経営陣や役員の方々などの強力なチームの支えがあります。これらの方々全員のおかげで、みなさんの今日の晴れがましさを祝えるのです。高らかな感謝の言葉を捧げましょう。

“優しさ”というすばらしき風土病

私は、卒業生のみなさんを一人ひとり見知っているわけではありませんが、学生や卒業生のみなさんとお話しすると、まるで知己のように感じます。それはきっと、私が愛し大切に思っている人を思い起こさせるからでしょう。この学校の創設者、国王陛下です。陛下は日々、私によい影響を与えてくださいます。国王陛下の生徒であるみなさんへのスピーチ以上に、私が国王陛下からいただけるよい影響はありえません。 みなさんは、国王陛下の御名を冠したこの学舎で、多くを学びましたね。そしてその最後のこの時間に、私が国王陛下に教えていただいたいくつかの事柄を、みなさんと共有したいと思います。どちらも、みなさんの今後のお役に立てることを願います。 国王陛下は、権力や地位ではなく、情熱こそが勇気をもたらすのだと教えてくださいました。国王陛下は情熱をもって平和を希求し、この国と国民を愛しています。彼らのためであれば、どんな夢でも大きすぎることはなく、どんな考えでも野心的にすぎることはありません。 さて、みなさん。私はみなさんに「勇気を持て」とか「心のおもむくままに進め」、「夢を大きく持て」などと言うつもりはありません。残念ながら、そううまくは行きません。 でも勘違いはしないでください。みなさんがこれから羽ばたこうとしている世の中には、壮大な夢を抱く人々で溢れています。ですからみなさんは、目をしっかり見開いて、一番達成困難な夢を抱いてください。そして、その夢に苦労を注ぎ込んでください。 そうです。ただ夢見ているだけではだめなのです。人並み外れたことを、実行しなくてはいけません。みなさんの受けた教育からすれば、そうしないのはたいへんもったいないことです。 また、最初からうまく行くと考えることも、ばかげたことです。失敗に失敗を重ねることでしょう。それこそ何度も何度も失敗します。そしてこれは事実ですが、失敗は恥ではありません。しかし、ここにいるような、みなさんに期待を抱いてくれている人々を裏切ることは恥です。 進路を変更する勇気を持ってください。勇気を持って失敗するのは、負けではありません。たくさんある回り道の1つにすぎません。このドライブを楽しんでください。しかし、シートベルトは忘れずに! 国王陛下は運転のエキスパートですが、最初にきついカーブを教えてくださるのも陛下です。 さらに陛下は、優しさについての失敗は、失敗として数えるべきであることを教えてくださいました。カーレド・ホッセイニの最新の著作『そして山々はこだました』から、とても私の印象に残った、この句を引用したいと思います。 「私はもっと優しくあるべきだったと思う。これは、人間が決して忘れ去ることのできない類の後悔だ。年をとってから『あの人にもっと意地悪くあたればよかった』などと考えることなどはないだろう。まず決してない」。 国王陛下がこのような後悔を抱いていらっしゃることはないでしょう。陛下ほど心優しい方は、いらっしゃいません。そして、それはみなさんも同じです。なぜなら、優しさは伝染するからです。みなさんはヨルダンにいて、まず間違いなく、感染済みのはずです。これは、すばらしい風土病です。私たちは日々国中で、また国境やその彼方でも、この病状を目撃しています。

未知なるものへ「イエス」と言い続けて

この夏が終わり、大学の新しいクラスメートに会って、キャンパスライフに馴染むころ、みなさんの優しい気持ちは、試練に立たされるはずです。なぜなら、クリスチャンであれムスリムであれ、みなさんの多くがそうであるように、アラブ世界から来た身には、興味本意で矢継ぎ早な質問を浴びせられるからです。彼らにとりたてて悪意があるわけではありませんが、グローバルな知識の欠如と、ステレオタイプへの過度の依存から来るものです。 優しさは、これらへの最良の治療薬です。このような優しさを、決して弱さと勘違いしてはいけません。オリーブの枝を張れば長く伸び、誤解の橋を補修し新たな友情を鍛えることができます。 それでもうまく行かない場合は、マンサフ(注:ヨルダンのもてなしに供する羊肉のヨーグルト煮込み料理)のご馳走に招待してあげるとよいでしょう。緊張を和らげることは難しいかもしれませんが、休みをもたらすことは可能なはずで、win-winです。 (会場笑) 陛下は、謙譲をも教えてくださいました。陛下が部屋に入れば、人は立ち上がって迎えます。しかし陛下にとってのリーダーシップとは、一歩下がってほか他の人が立ち上がることを手助けすることです。相手の話を聞き、すべての答えを知っているはずだと他人から期待される場面でも、きちんと相手に質問をすることです。 国王陛下、1999年のハーバード・ケネディスクールでのスピーチを覚えていらっしゃいますか。スピーチの後で学生が、王制をどのように西洋教育と調和させているのか、質問しましたね。その時に陛下はこうおっしゃいました。「自分が王であると考えはじめたら、それは私が問題を抱えている証拠だ」。 みなさんも、この知恵を自分のものにしてください。みなさんに会う人の記憶に残るのは、みなさんの地位や付加価値ではなく、人としての価値です。謙譲の心を持って歩んでください。そうすれば、道のりは孤独ではなくなります。道を人に尋ねれば、迷うことはなくなります。 とくに男性の卒業生のみなさん! 最後にアドバイスです。比喩的にも文字通りにも、一歩立ち止まって、人に道を聞いてくださいね。会場の男性のみなさんも同じですよ! (会場笑) そしてみなさんに、もっとも覚えておいていただきたいことは、不可能に見えてもあきらめないでください、ということです。いかにも不可能のように見えても、光はトンネルの出口の手前から射して来ます。 ここキングス・アカデミー設立が14年前に企画された当時、反対派は、実現は不可能だと言いました。しかし可能だったのです。みなさんが、その生きた証人です。どうか証人であり続けてください。それを信じる人々に、みなさんのそばにいてもらってください。 不可能に見えても、リスクがあっても、果てしないチャンスに向け、未知なるものへ、「イエス」と言い続けてください。外部の制約に対して警戒しながら生きるのはやめてください。一番厄介な制約は、みなさんが自身のなかに設けているものです。 これらの教えは、大袈裟なものではないことがおわかりでしょう。いつの時代も大切にされ、時代や国境を越えて通用する価値観です。みなさんの行く先で、常に持ち歩いてください。根源的な人間性の通貨です。寛大な心を持って、上手に使ってください。 このハイペースな、急速に変化する世界、これからみなさんが受け継ぐ世界において、常に北を指す羅針盤なのです。決して見失わないでください。 これらは、ディアフィールドから国王へと引き継がれ、さらにアブドゥッラー国王陛下からみなさんに贈られる資産です。今度はみなさんの番です。 2014年卒業生のみなさん! これが、みなさんにわかりやすく伝えられる最後の言葉となるでしょう。次の20語句だけ覚えておいてください。 「しっかりと覚醒して人生を生きなさい。道を人に聞きなさい。優しさに過ぎるということはありません。イエスと言いなさい。私たちみんなから誇りに思われるような人になってください」。

  
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