Whatがコントロールできなくても、信念は高められる

司会者:次、ご質問ある方いらっしゃれば。

(会場挙手)

はい。せっかくなんで、前、来ます?(笑)。

質問者3:本日は、貴重なお話ありがとうございました。○○と申します。お二方とも企業に属されてるという経験があると思うんですけども、そのなかで自分がしたいことというのができない環境があったんじゃないかなと思うんですけども。そういう場合にどうアプローチをされたのか、(その後)どうされたのかというのを教えていただきたいです。お願いします。

福山敦士氏(以下、福山):そうですね。やりたいことができない……。(そういう経験が)なかったかもしれないですね(笑)。サイバーエージェントという会社自体が、「やりたい」と言ったらだいたいやらせてくれる会社だったので。

配属先とかも、基本的に100パーセント行きたいところに行けるという会社でした。そもそも、そういうWhatとしての、こういう事業やりたいとか、人事やりたいとか、そういうのはミスマッチなのではないでしょうか。

ただ、1回だけ転職考えたことがあって、それこそ(横浜)DeNAベイスターズに行こうと思ったことはあったんですけども。先輩が作ったサービスをたたむというか、サービスクローズするという仕事を10回連続でやったんですね。インターネットの業界はグレーなサービスとかもあるんですけれども。グレーなサービスを先輩が作って、僕が引き継いで、たたんで、ユーザーに「すみませんでした」という仕事を10回続けてやりました。

もう本当に辞めたいと思いました。でも、その時に一応、今でもブログ書き残してあるんですけれども「これは立派な敗戦処理という仕事なんだ」と自分で定義づけて。敗戦処理で結果を出すことによってチャンスが巡ってくるんだと自分に言い聞かせて、耐えしのいでいました。学生時代に学んだ「最低目標」という考え方です。

スポーツやビジネスの「結果」は、100パーセント自分でコントロールできるものばかりではありません。100パーセント自分でコントロールできることのレベルを上げる努力(最低目標)が、結果関係なく、自分を高めることにつながります。

やりたい仕事の「What」がコントロールできないのであれば、自分自身でやりたいことを明確にするとか、成し遂げたいことの「Why」の部分、信念を高める努力は、結果に関係なくできることだと思います。それは、やっておいて損はないと思います。

『パイセンTV』誕生秘話

マイアミ・ケータ氏(以下、マイアミ):僕の場合、まさにやりたいことができない環境にずっといました。「自分、本当はこんな番組やりたいんだよな」と思いながらも、それと真逆の番組につかされていたり。

僕、2年目~5年目ぐらいはすごく不遇な時代だったなと思ってたんですよ。本当はすげえお笑いがやりたいのにけっこうまじめな番組につかされたり、すごい深夜の番組、アナウンサーの番組とかやらされて。

その時はけっこう不満もあったし、「俺、こんなことやりてえんじゃねえよ」とずっと思ってたんですけど。だけど、そんなこと言ってても始まらないので。何年目までなにをやろうというのをまず決めました。4年目までに絶対にディレクターになるとか。僕の場合で言うと、ですけどね。

僕らの場合、番組やるためには企画書というのをとおさなきゃいけないわけですよ。それが認められないと、場を与えてもらえないので。だから、その企画書というものを作って、ひたすらアプローチしに上司にうかがうわけですよ。「こんな番組をやりたいです」とか。でも、なんの実績もないですからね、僕なんて。

当時、頭がこんなに爆発してて、クラブでチャラチャラしてましたから(笑)。ひねくれて「チクショー、仕事をくれねえんだったら遊んでやる」とか思って、毎日毎日クラブ行ってましたから。だけど、それが意外とけっこうキャラづけになって、今こんなチャラチャラしたキャラでやらしてもらってるんで。これもある意味プラスにしちゃったんですよね。

だから、「俺、日本一チャラい番組作りたいです」と言いに行って。「日本一チャラくておもしろい番組作ります」と言って。上司も最初は「おまえ、バカじゃないの」という感じだったんです。もちろん通らないし、何回企画書出しても「できるといいね」って苦笑いで返されるんですよ。

それで「絶対やってやる」と思って、「じゃあ、わかりました。僕、もう勝手にやっていいですか?」と言って、カメラ持ってやりに行ったんですね。

もうVTRを勝手に作っちゃったんですよ。それで、「僕は撮れてるし、おもしろいし、放送できちゃうんですよ。だから、やらせてください」と言って。上の上司も巻きこんで、「こんなおもしろいのできちゃってるんですけど、どうですか?」というところまで行動に移したら、「もう、わかった。うるさい。やりなさい」というので始まったのが、今やってる『パイセンTV』。

負けたら勝つまでやればいいだけ

だから、結局あんな番組は企画書にもならないし。しかも編成の一番偉い人のところに、当時「絶対にレギュラーにしてください」「この番組、レギュラーにしなかったらもったいないです」ということを言いに行くわけですよ、なんの実績もないペーペーが。

たぶん、「なんだ、こいつ」と思われてたと思います。だけど僕、本気だから、本気でそう思ってるから、その人にどう思われようが関係ないんですよ。

「やりたいんです、僕」「やらせてください」「場をください」というのをひたすら言う。それをたぶん、みんなやらないんじゃないかなと思います。

「企画書通んねえんだよな」って言ってるやついっぱいいるけど、「じゃあ、俺ほど足稼いでやったか?」というとやってないし、できない理由をやっぱり探すんですよね。「企画書通らねえよ。ダメだな、あいつ」とかじゃなくて、できなくてもやっちゃうとか。

とにかく、僕がディレクターになるまでも……。やっぱりディレクターになるまですごい長いんです、ADさん。下積みの時代ですよね。社会人になったら、どの業種でもあると思いますけど。

だけど、この仕事で「もしかして成功したら、俺、ディレクターに上がるな」というチャンスが必ず来る時があると思うんですよね。そのチャンスを絶対に逃さないことが大事じゃないかなと思います。いつチャンスがくるかわかんないですけど。

チャンスは2度ないと思っておいたほうがいいと思います。1回ダメだったら2度目はないと。それが独立してる人だったら食えなくなるし。

だけど、大企業に勤めてる人は、やっぱりそんな1回のチャンスがつぶれてもまたくるじゃないですか。だから、甘ったれてると思うんですよね、正直。だけど、チャンスは本来1回しかないものだから、その1回に全身全霊をかける。そして、1回しかないんだけど、1回ダメでも絶対に諦めない。それが、すごく大事なんじゃないかなと思います。実現するまで突破する。

だから僕、11月に大会出ますけど、そこで優勝できるかわかんないですけど、優勝するまでやります。勝つまでやります。僕の人生に負けというものはなくて、負けたら勝つまでやればいいだけだから。だから、勝つまでやるという。もぎ取るまでやるという。それが、なんか実現するための一番大事なことなんじゃないかなと思います。

司会者:ありがとうございます。今の話を受けて。

質問者3:上司と今、ほかの仕事がしたいというところで話はしてるんですけど、繰り返し話をしようと改めて思いました。ありがとうございます。

司会者:ありがとうございました。

2人の今後の展開

じゃあ、最後お2人に。まず、マイアミさんは、明日の『パイセンTV』は(テーマは)小顔でしたっけ? なんかアドバイス、ポイントなんかがあればいただきたいのと、あと(福山氏の)教育事業ですね。

マイアミ:明日の放送はだいぶ前に撮ったやつなんで、あんまりアレなんですけど。10月から『パイセンTV』変わります。進化します。楽しみにしててください。もう、クソロケに出て、クソ編集して。これでもかというぐらい、深夜番組でゴールデンばりのおもしろさを見せつけたいと思うんで、楽しみにしてください。

司会者:具体的には?

マイアミ:具体的にはまず、一般人しか出てないのにこんなにおもしろいんだという。「ATSUSHIだらけ」というのがあるんですけど。

(会場笑)

ATSUSHIだらけで温泉に行ったらどうなるのかとか、いきなりエレベーターからATSUSHIだらけが出てきたら一般人はどうなるのかとか、そういうバカな検証とかも入れながら腹抱えるV(VTR)を。あと、なにがあったっけ……?

司会者:言える範囲でいいです。

マイアミ:いっぱいあり過ぎてね。あと……、言っちゃっていいのかな。木村拓哉にすごく似てる人がいるんですけど、その人は今けっこうSNSで話題なんですよ。その人が本当に似てるのかを検証しに行きましたので、それも楽しみにしていてほしいなと思います。全部ノリだけでやってるんで、恐ろしい感じになってます。よろしくどうぞ。

司会者:ありがとうございます。

福山:途中で話した教育事業というか、ビジネススクールを作ります。学生と社会人、両方歓迎してます。2017年4月、学校名は「ジャングル」です。

(会場笑)

多様性を認める、多様性のある個性を磨いていくという、そんな方向です。ただし、世の中は弱肉強食なので、ちゃんと生き残れる力をつけましょうというのが裏のテーマです。経済的、精神的独立というところを目指して、やりたいことを見つけたり、シンプルに稼ぐ力をつけましょうというような場所にします。

若干うさんくさい感じになっちゃうんですけれども、ちゃんと実がともなうようなかたちでやっていきたいなと。僕がなにかを教えるということはしません。実践をサポートする場所にします。学生は奨学金型でやろうと思ってるので、入学金等は授業料とかはとくになく、稼いでから返してくださいという感じにしようと考えています。学生の方、とくに若い方にやっぱりがんばってもらわなきゃなと思っているので、そんなかたちで学校をやろうと思っています。

前職ではスマートフォンのアプリとか作って、100万人の人に使ってもらうということをやってたんですけど、これからは毎年生まれてくる100万人の子どもたちや、僕の後輩たちに向けて、社会で活躍するための力をつけてもらおうと考えています。世界を変えるとか、日本を元気にするための教育を施そうと。

その「100万人」という単位のベクトルを変えていこうと考えています。僕のSNSだったりとかPeatixとかでお知らせさせていただきますので、興味のある方は質問だったり見学とか、ぜひ来てください。よろしくお願いします。

司会者:ありがとうございます。最後、お二人に拍手をしていただいて、終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

(会場拍手)