インスタStoriesがSnapchatより優れている理由

石井リナ氏(以下、石井):次にカイさん、お願いします。

カイユリコ氏(以下、カイ):今日はテーマがSnapchatなんですけれど、私は正直SnapchatよりインスタのStoriesだと思っているので、こっちがどんなに優れてるかということをお話したいと思います。

Storiesは確か今年の8月の頭、8月2日とか、そのあたりにリリースされたばかりなので、まだ2ヶ月ぐらいしか経っていないんですけれど、もうすでに全世界でDAU1億ぐらいあります。確か、Snapchatが1億5,000万とかですよね。なので、今後(Instagramに)流れてくる部分も含めて増えていくのかなと思います。

基本的な機能としては、投稿後24時間で消えるというものなんですけれど、Snapchatと違うと思うのは、顔認識のフィルターがなかったり、そういった機能的なところではすごく劣っています。

ただ、インスタはそもそものアカウント、タイムラインに投稿しているもの、例えばインテリアのアカウントだったら、今までインテリアの写真をいっぱい投稿してるじゃないですか。そのアカウントをフォローしてる人は、インテリアに興味があるわけです。そういう人たちに向けて発信ができるということが、広告価値としては1番大きな違いかなと思っています。

というのも、Snapchatで100万人にリーチしたところで、ぜんぜん自社のターゲット層じゃないところも含めてリーチしちゃうんですよね。インスタの場合だと、自分のフォロワーだったり、そのアカウントに興味がある人だったり、けっこうターゲット、潜在顧客になりうる人たちにリーチしやすいのかなということはすごく思うところです。

インスタの詳しい話になっちゃうんですけど、エクスプローラタブという、最近まさにミレニアル世代と呼ばれる10〜20代とかの人たちは、Googleで検索するよりもインスタでハッシュタグ検索をして、なにを買うかとか、どこに行くかとかを見て決めてるんですけれど。

その検索されるエクスプローラタブに、このStoriesという24時間で消える動画が常に優先表示されているので、そこで目に留まりやすいということは、非常に訴求力が高い、リーチしやすいコンテンツになるんじゃないかなと思っています。

Storiesを使ったPRの主流は3つ

(スライドを指して)これは、今日のために考えてきました。インスタのStoriesを使ったプロモーション、24時間で消える動画のプロモーションの主流は今、3つあると思っています。1つ目は、時限性のキャンペーン告知。例えば、24時間だけで消えるプロモコードの配信とか、限定商品の在庫数の配信。24時間で消えるので。

インスタのタイムラインだと昨日、一昨日のとかも残っているので、「ちょっと前にキャンペーンやってたんだ」ということは知っても意味がないので。その24時間に特化して訴求したいコンテンツを配信したり。「あと100個しかありません」と言って、リアル店舗に行ったりとか。そういったことができるのが、おもしろいと思います。

2つ目が、「サイト誘導」。動画の冒頭だけ配信して「続きはWebで」みたいなやり方で、サイトに来てもらったり。あとは、タイムラインに乗せたくないバナーの配信。

やはりインスタのタイムラインは、すごくブランディングされていて作り込まれたコンテンツなので、そこは1日1枚の勝負の場所なんですけれど、Storiesに関してはわりとそこまで作り込んだコンテンツじゃなくてもいいんですよね。

なので、例えば昔投稿したものをもう1回投稿してもいいですし、今まで投稿したものとはテイストの違う、トンマナの違うものを試しに載せてみてA/Bテストするとかもできますし、そういう使い方もできます。

3つ目はコミュニケーション。現状、これがStoriesを使っている企業アカウントでは1番メジャーなのかなと、私が見るかぎり7~8割は今、3のコミュニケーションで使われてるのかなと思うんですけれど、タイムラインに投稿してるコンテンツの制作の裏側。

最近、料理系の動画とかが流行ってると思うんですけど、1分ぐらいでサクサク料理ができていく動画の裏側とか、「こんな感じで撮影してます」みたいなものとか、「実際に料理を作っているのは、こんな人ですよ」とか、もうちょっと身近に感じてもらうためのコンテンツの配信がされています。ほかにも、通常の投稿の補完的な役目で使われることもあります。

タイムラインとうまく住み分けを

実際の事例として、1つ目。これは180万フォロワーぐらいいる「Wilderness Culture」というところなんですけれど、商品の販売開始を「あと2日ですよ」とカウントしたり、「あと100個、このコーヒーバッグが入手可能です」みたいなこととか、在庫数とかをリアルタイムの情報として投稿しています。現在の状況を常にファンに知らせることができる。

(スライド右を指して)こっちを見てもらうと、タイムラインはめちゃくちゃ作り込まれているんですよ。すごく美しい絶景の写真とかを投稿しているので、こっちにいきなりこのフォーマットを投稿すると、伝えたい情報ではあっても、ブランドのイメ―ジとかがけっこう崩れちゃうので、そういうものと切りわけてうまく利用しているケースになります。

2つ目が「Red Bull」。もう600万近くフォロワーがいるんですけれど、これはまさにさっき申し上げた、2つ目のサイト誘導。「続きはWebで」方式なんですけれど、書いてあるとおり「Click link in bio to see full video」。動画はむちゃくちゃ制作費がかかるじゃないですか。1本100〜200万とかかけてるところも多いと思うんですけど、それがタイムラインだと1回しか投稿できなかったり。

すごくよくできたなと思ったものも、1回投稿したら流れていっちゃうんですよね。それを「また見てほしい」とか、「もっとサイト内にいいコンテンツあるよ」とか、そういうのを見せるためにStoriesでもう1回掘り起こしたり、サイト内で特集してるものを拾ってあげたり。そういった「続きはWebで」方式のものもけっこう使われています。

3つ目が「Quest Nutrition」。これは76万フォロワーぐらいです。まさに料理系の動画とかいろいろ、TastemadeとかTastyとかが流行っていると思うんですけど、ファンとのコミュニケーションとして、実際にタイムラインに投稿されたかわいいお菓子とかを「こんなスタッフが作ってます」とか、「こんな感じで作ってます」ということを投稿してるようなケースです。

これは最近流行ってるらしい“off-the-cuff”、即興スタイルと呼ばれるものらしく、なんの加工もしない。タイムラインはけっこう作り込まれているんですよね。こういう構図で、こういうものを見せるというものはやっているんですけど、それとはまったく逆の、すごく身近に感じてもらうための即興コンテンツとして出しているスタイルになります。

バーチャル・ウィンドウショッピング体験動画

ここからは、最初にあげた3つのプロモーションとは違う、「こういうのもあるんだ」とか「これもおもしろいな」と思ったコンテンツになるんですけど、これは「Marshalls」という、56万フォロワーの(Instagram)。リアル店舗で、日用品の販売とかをしてる店舗なんですけど。

これはおもしろいのが、「実際にお店に行ったら、こういう道順でこういう商品にたどり着く」ということをリアルに動画で体験していける。何秒ぐらいか忘れちゃったんですけど、20秒ぐらいの動画を5~6本配信して、「ここへ行くと、こういう感じで商品があって」ということを続けて動画で流して、実際にお店にいるようなバーチャル・ウィンドウショッピング体験しているような感じで見せていました。

実際のタイムラインはやはり(スライドの)右側を見てもらうとおり、作り込まれているので、ユーザーからすごく遠いんですけど、実際にこれが「本当に手に入るよ」みたいな。「あなたもこれは手に入れられるんだよ」という、ラスト1マイル的なところを見せるのが、すごくうまいなと思いました。

これは、Taco Bellさんの事例です。さっきのとは違うんですけど、この場合は、左がシュリンプ&アボカドブリトー、これが日本でしか売っていないTaco Bellの商品だったらしいんですよ。ただ、これが配信されたのはアメリカのアカウントでした。なぜこれを投稿してるかというと、Taco Bellは各国でいろんなアカウントを運用してるんですけど、そっちも見てほしいという意味での投稿でした。

つまり、関連商品とか関連ブランドの紹介という使い方もあるという事例です。タイムラインだったら自社商品とか自社ブランドのものとか、1番残したい「私たちはこういうものですよ」というものしか投稿できないんですけど、ただ、タイムラインには残したくないけど、自社の商品ライン、自社と関連するものを紹介したいとか、そういう場合に使えるようなケースです。

とくにファッションとかだと、いろんなラインがあって。「こっちもあなたにおすすめですよ」とか。「MERY」という女性メディアも7つぐらいアカウントを運用してるんですけど、そこのターゲット層は一緒というか。ヘア用のアカウント、コスメ用のアカウントとわけてはいるんですけど、コスメ用のアカウントに興味ある人はヘア用にも興味あるわけです。そういう横断的なところで流し込むときに使われるケースになります。

インフルエンサーマーケティングでの活用も

ここまでは自社アカウントでの運用ケースだったんですけど、インフルエンサープロモーションでも最近徐々に使われ始めたかなというところで、(スライド)左は化粧品。「商品はこんな感じで、使用感はこんな感じ」とか。右側は「こんな商品届いたよ」というところです。

今までインスタですと、インフルエンサーマーケティングは写真として投稿されるケースが多かったんですけど、写真は1日1枚とかの枠、広告枠としてはその1枚しかないんですけど、このStoriesであれば、例えば何秒かの中の一部だとか、広告として映せる幅が広がるんですよね。

さらに、ハッシュタグ検索という1番使われる機能において見せられるというところで、こちらもインフルエンサーマーケティングで使われていくジャンルなのかなと思っています。以上になります。私からは、Snapchatもあるんだろうけど、インスタのStoriesもかなりきてますよという説明でした。

石井:今、周りのインフルエンサーみたいな子たちを見ていると、Instagramの投稿は1投稿だけどStoriesで2枚ぐらいあげるという子とか、頼まれてもないのにやってるというケースは見ると、個人的に感じてます。

カイ:そうですね。1日1投稿で、けっこうデジタル一眼レフとかで撮って加工してという。そこは勝負の枠じゃないですか? ただ、やっぱり日本人ってTwitter好きみたいに、「自分、こんな感じだよ」みたいなことを見せたいじゃないですか? ライフスタイルとか。(そうした理由)とかで、けっこうそっちが使われたりするのかなと思います。

石井:ありがとうございます。最後に兵頭さん、お願いします。

ハイクオリティ動画でPR

兵頭陽氏(以下、兵頭):私からは、アメリカでの広告展開の事例をご紹介させていただきます。これはPepsiさんなんですが、新商品の「MAX」というPepsiのコーラの動画広告になります。これはDiscoverの中の広告で、4ページぐらいスワイプした後に動画が流れるというかたちの広告になります。Web広告にはなるんですが、今でいうGoogleのTrueViewとか、CMみたいなハイクオリティ・ハイリッチな動画を作っているのが、Snapchat動画の特徴です。

リーチ数まではお出しできないんですけれど、ヴァーティカルの縦型になるので、TrueViewで使った動画がまったく使われない広告フォーマットになります。なので、Snapchat用に動画を撮影して作っているというかたちになります。

Pepsiさんの場合は、男女関係なくリーチさせたいというかたちだったので、とくにターゲティングするわけではなく、Snapchatを使っているユーザーに一般的に配信をしたという事例になります。

Tiffanyの場合は、Geofiltersですね。Tiffanyさんの各お店に行って、周辺確か300メートル以内でSnapchatを開くとフィルターとLensesが出てきて、写真が撮影できるというシステムになっています。Tiffanyさんが加工したLensesの中にハートとか文字を入れられて、友人にプレゼントするような写真用に作っています。ブランディングリーチ用のSnapchat広告になりますね。

こちらもLensesです。Michael Korsですが。画像認識を使って自分の写真を撮ると、サングラスを3種類まで画像として選べるSnapchatのシステムになっているんですけれど、自分に合った色を選択して、写真を撮ると。これは、女性用の広告ですね。女性のみにターゲティング配信をして、Lensesが出てくる広告になっています。自分に似合うLensesが見つかると、購買意欲が増すような広告になっています。

これはビュー数が載っていますね。1億4,000万ユーザー。さっきのTaco Bellの半分ぐらいですが、女性のみのリーチターゲットになったので、費用対効果としてはかなりいい状況になっています。

(次のスライドを指して)これは日本のゲーム会社ですね。こちらの場合は、Snapchatの、とくに男性ユーザーに配信するターゲティングをしていました。かつ、Dicscoverのメディアは、各メディアさんが雑誌みたいなかたちで自分のアカウントを持っているんですが、ゲーム会社とか映画会社とか、ゲームを好きな男性ユーザーが見ているであろうメディアのみに配信するターゲティングをして、広告展開をしています。これも15秒ぐらいの動画でした。

効果としては、獲得数みたいなところにはあまり顕著な影響は出なかったんですけれど、リーチ数がかなり大きく伸びたので、「Snapchatで、そういえば動画をしていたね」みたいなPinterestが出ていたり、バズ効果があったというかたちでフィードバックしています。「定期的にやりたいね」とパートナーからも好評いただいている枠になってます。事例としては以上になります。

石井:ありがとうございます。