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鳥たちは卵に歌いかけている–歌声が孵化前の雛にもたらす影響とは

鳥たちは卵に歌いかけている–歌声が孵化前の雛にもたらす影響とは

生まれてくる子供に賢くなってもらいたい、なにかいい効果があるに違いない、と考えて音楽を聞かせて胎教する人たちがいますが、実は人間だけではありません。鳥たちのなかにも、孵化する前の卵に歌いかける鳥がいるのです。「インキュベーション・コーリング」と呼ばれるこの現象ですが、研究の結果、実際に雛の成長に影響を与えているかもしれないことがわかりました。今回の「SciShow」では、鳥たちの胎教と、それがもたらす影響について解説します。

スピーカー
Hank Green(ハンク・グリーン) 氏
参照動画
Life-Changing Birdsong

鳥も胎教を行う

ハンク・グリーン氏 生まれてくる子供に賢くなってもらいたい、なにかいい効果があるに違いない、と考えて音楽を聞かせて胎教する人たちがいます。 Image01 一方で、同じような胎教をする鳥もいます。では、そこに科学的な裏付けはあるのでしょうか。 卵の中にいるうちから親鳥が歌うこの現象は、「インキュベーション・コーリング」といわれています。しかし違う種類の鳥ごとにやり方も異なっているため、この現象についてはあまりよく知られていません。そこで今回はこの話題を取り上げてみましょう。 サイエンス誌に今週発表された論文では、オーストラリアに生息するキンカチョウがインキュベーション・コーリングを行うことで、孵化前の成長を促進させていると書かれていました。 Image02 母鳥は産卵する前に、雛の成長を促す化学物質を放出するようです。一方でインキュベーション・コーリングは、雛が孵化する前の卵の中にいる間に成長を助ける役目があります。 例えばオーストラリアのキンカチョウの場合、孵化直前の5日前から、かつ温度が26度と温かい状態でインキュベーション・コーリングを行います。 キンカチョウは1年を通して巣作りをするため、研究者たちは親鳥が自分の雛に対して、外が暑いことを気づかせるために行っているのではないかと考えています。 ところが不思議な点があります。親鳥のインキュベーション・コーリングによって、雛の成長に違いが見られるのです。 Image03 野生の巣から採取した卵を人工孵化させる実験で、孵化するまでの5日間音楽を聞かせました。 Image04 いくつかの卵にはインキュベーション・コーリングを聞かせ、ほかの卵には親鳥たちがふだん行うさえずりの音を聞かせるのです。するとインキュベーション・コーリングを聞かせた雛の方が、成長しても小さめでした。 Image05 小さい雛の方が自然界を生き抜く上でハンデになると思うかもしれませんが、暖かな気候では小さいほうが環境に適しているのでは、と研究者たちは考えました。体が小さい動物は、大きい動物に比べて体積あたりの皮膚の面積が大きいので、体の熱を逃しやすく、暑い気候でも体を涼しく保てます。 また暖かな気温で急激に成長すると、イオン化した酸素などのフリーラジカルと呼ばれる物質が体にダメージを与える、酸化ストレスという現象が起こります。 キンカチョウが小さなままでいることでこうした生物学的なトラブルを回避できるので、インキュベーション・コーリングそのために行っているのではないか、と考えられています。 Image06 しかし、親鳥の歌声が卵の中の雛の成長に与える影響のメカニズムは、いまだにわかっていません。

人間が他人を助ける時の脳の動き

鳥についてだけではなく、PNAS(米国科学アカデミー紀要)では、人間の行動についても取り上げられていました。とくに心理学者が「向社会的行動」と呼ぶ、他人を助ける行為の際に、脳のどの部分が活性化しているかについてです。 研究者たちは、fMRIを用いて、被験者が他者を助けるゲームをする際の脳の活動を測定しました。なぜ人間は他者を助けたいと、あるいは助けたくないと感じるのか、また共感や感情移入がどのように起きるのかを調べようとしたのです。 このゲームは、心理学において「強化学習」とよばれるものを基礎としています。強化学習とは、人やロボットなどがそれぞれの状況において、最も報酬が高い選択肢を選んでいくやり方です。正しいのか間違っているのかを予想し、どのように選ぶかを学習していくことで、正解を導き出すのです。 この実験では、31人の参加者がポイントを自分たちのためと、別の実験に参加しているふりをしている人たちのため、それぞれに対してどのように獲得するかを調べました。誰も強制されたり、仕向けられたりはしません。 具体的なやり方はこうです。参加者たちは、抽象的な図形が描かれた、2つのシンボルを選びます。片方は75パーセントの確率でポイントを獲得でき、もう片方は25パーセントの確率です。 Image07 参加者はトライアンドエラーを繰り返しながらそれぞれのシンボルを選んでいきます。何度も繰り返してポイントを獲得していき、もっとポイントを獲得すればお金がもらえますよと言われ、最後に同額が支払われました。 fMRIを用いて、参加者たちの選ぶ際の脳の活動を測定し、すべての選択過程のパターンをコンピュータモデルを用いて調べます。予想通り、他の参加者と競っている時ほどシンボルの学習は早くなりました。 しかし共感テストを行わせてみると、感情移入が豊かな人ほど、ほかの参加者のためにポイントを獲得する時もシンボルの学習が早くなったのです。向社会的行動ですね。 彼らの脳内では何が起こっているのでしょうか。 どの実験においても、腹側線条体と呼ばれる、脳内で快い感覚である報酬を出す部位の活動が見られました。また、脳内の他の領域同士を接続する役目も持っている「前帯状皮質」という部分が、他の人のために何かを行う際はとくに活動しています。 Image08 ほかの研究では、この領域を、向社会的な行動や、モラル、信頼関係や他者との関係を欲する、といった感情とも結びつけています。 それでこの実験によって、研究者たちが知りたい他の事柄も明らかになるかもしれません。 研究者たちは、私たちがどのように共感するようになり、向社会的行動をするようになるのか、両者にどういった関係があるのかを知ろうとしています。 それによってそうした特性を持つ人たちの考え方を理解できるようになり、ひいては普遍的な脳のはたらきの一端を垣間見れるかもしれません。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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