トランプ氏「私はGDPを4パーセント以上上げられる」

クリス・ワレス氏(以下、ワレス):みなさん、最終ステージに入りたいと思います。

ドナルド・トランプ氏(以下、トランプ):でも私は……。

ワレス:簡潔にお願いできますか。

トランプ:彼女がISISを倒すというのは本当にばかげています。私たちはISISを最初から発生させるべきではなかった。そして今、彼らは32か国にわたって活動しているのです。

ワレス:わかりました。

トランプ:私たちは……少し待ってください。彼らは3週間前に休戦をしました。アメリカとロシアとシリアの休戦です。そして休戦の間、ロシアは広大な土地を奪いました。そして彼らは休戦はもういらないと言ったのです。私たちはミサイルに関しても休戦に関しても、負けているのです。

私たちの国はプーチンやアサドやイランに負けています。私たちのリーダーの愚かさが信じられません。

ワレス:トランプ氏、クリントン氏、私たちは最終ステージに移らなくてはなりません。これまで討論されていなかった、国債についてです。私たちの国債は、GDP対比で77パーセントです。第二次世界大戦以降もっとも高い数値です。

しかし、責任ある連邦予算委員会の無党派は、クリントン氏の計画では負債は次の10年でGDPの86パーセントにまで上がると言っています。トランプ氏、あなたのプランでは、次の10年でGDPの105パーセントになると言われています。質問ですが、お2人ともなぜこの問題を無視するのでしょうか? トランプ氏、あなたからどうぞ。

トランプ:私は、彼らは間違っていると言いたいです。私は非常に多くの仕事を生み出せるでしょう。私たちはGDPを1パーセントから上げられます。もし彼女なら、ゼロ以下でしょうね。私たちなら1パーセントから最大4パーセントまで上げられます。実は4パーセント以上にもできると思っています。5~6パーセントにもいけると思います。私たちがそれをできるなら、あなたはそんな質問をする必要がないのです。

私たちは巨大な機構を持っているのです。私たちはもう一度巨大な経済機構を構築するでしょう。そうすることで、仕事を取り戻すことができます。私たちの会社をほかの国に乗っ取られるようなことはさせません。それが仕事を奪われ、私たちが生産をできなくなった原因なのですから。それはとても悲しいことです。

私たちは産業の立場からかつての国の姿を取り戻します。かつての姿に戻すのです。私たちは諦めてしまったのです。私たちはとても、とてもだらしなくなってしまったのです。お金のためになんでもやるような政治家たちが、世界で企業よりも大きな取引をしてきました。

こういった大きな企業を手にし、貿易取引はそういう企業よりもずっと大きいのです。私たちはすばらしいリーダーを活用していません。その多くが私を支持し、また多くの人がヒラリーを支持しています。ですが私たちは彼らを活用していません。

彼らは世界でもっともすばらしい公証人です。ここには世界でもっとも有能なビジネスパーソンがいるのです。私たちは貿易取引の交渉のために彼らを活用しなくてはならないのです。

私たちはお金のために動くような政治家も使っています。私たちは政治資金を献金したからその地位を得られたような人々を使っています。彼らは中国や彼らよりもずっと賢い人々と取引をしています。私たちは有能な人々を活用するべきなのです。

しかし、私たちはここ何十年も見ていないような経済機構のようなものを構築するつもりです。クリス、そして私たちは仕事に戻るでしょう。そしてお金を稼ぐのです。成長する企業を作り上げ、新しいことを始めるのです。

クリントン氏「彼は何十年も米政府を批判し続けている」

ワレス:クリントン氏?

ヒラリー・クリントン氏(以下、クリントン):私はドナルドがああいった感じで話すのを聞いて、彼のスローガンが「アメリカを再びすばらしい国に」だったことを思い出しました。アメリカがいつ偉大な国だと思ったのだろうと不思議に思います。

彼に「それはあなたとオバマ大統領が現れる前ですよ」と言われる前に、彼が何十年も私たちの政府を批判し続けていることを思い出すことが重要だと思います。

1987年にさかのぼると、彼は100,000ドルの広告をニューヨークタイムズに掲載しました。レーガン大統領の任期の時です。そして彼がたった今言ったことと同じことを言いました。私たちが世界の笑いものになっている、と。彼はレーガン大統領を批判しました。

自分を中心に置いて考えるのが、彼の考え方です。「私だけがそれを治せる」のだと考えるのです。党大会のステージ上でも言っていましたよね。

しかし負債について見てみると、あなたが質問したことですが、クリス、私は自分が提案したことについては財源を確保します。国債を増やすようなことはしていません。とても慎重に行います。なぜなら、それは私たちが直面してきた問題の1つであると思うからです。

私たちが教育に関してどう財源を確保するかについて、社会基盤にどう投資していくのかについて、そして処方薬の費用をどう削減していくのかについて、また人々が私に聞いてくる多くの問題についてお話しする時には、私はその財源の出所を明らかにしてきました。

私たちは裕福な人々や企業に対して公平な負担を求めていきます。私たちの国の成長が鈍化していくという証拠はどこにもありません。実際、私は逆だと思っています。私は経済学者がミドルアウト成長と呼ぶものを経験するでしょう。私たちはアメリカの家族や中間層を再構築することに戻らなくてはなりません。それが成長の始まりだからです。

だから私はみなさんに投資したいのです。あなたのご家族に投資をしたいのです。それが経済を成長させ、経済を公平にするもっとも賢い方法だと思っています。

その件について私たちは大きな反対意見も聞いています。おそらく私たちの経験によるものでしょう。ご存知のように、彼は億万長者である父親から人生が始まったのですから。

トランプ:そうですね、それは前にも聞きましたよ。ヒラリー。

クリントン:私の人生は小さな企業の経営者である父から始まりました。

トランプ:それも前に聞きましたよ。

クリントン:その違いが、世界の見方、そして経済に関してなにがしたいかということに影響を与えていると思うのです。

トランプ氏「オバマケアは廃止すべき」

ワレス:ちょっと待ってください。

トランプ:ありがとう、ヒラリー。私も答えていいでしょうか?

ワレス:いや、もう時間がきてしまいました。

トランプ:私は貿易に関して、ロナルド・レーガンにはまったく同意できなかったのです。彼には同意できませんでした。貿易に対して強い態度をとらなくてはならなかったのです。何年も待ちました。でも誰も正しいことをしなかったのです。

ワレス:わかりました。

トランプ:率直に言いますと、私たちなら、それを正しい方法でできます。

ワレス:この討論で最後にお話ししたいことは、この国の負債の最大の原因についてです。連邦政府の支出の約60パーセントを占めるのです。責任ある連邦予算委員会はお2人の計画を見て、両方とも真剣に作った計画ではないと言っています。

そして2020年代には高齢者向医療保険制度が破綻し、2030年代に社会保障が破綻するだろうと言われ、そしてその結果受給者たちの給付金は大幅に減額されるだろうという問題を解決できるような計画ではないとしています。

最後の質問は、トランプ氏にまずお聞きします。トランプ大統領は、増税や給付金削減などを含む高齢者向け医療保険制度や社会保障を救う合意をしますか? つまり、給付金制度に関する重要な決定をしますか?

トランプ:私は減税をします。私たちは経済を成長させます。私たちは記録的な高成長率で成長します。

ワレス:それは給付金制度を救うものではありません。

トランプ:いいえ。それが救う手立てとなるのです。私たちがやらなくてはならないことは、オバマケアと呼ばれる最悪な制度を廃止し、新しいものにすることです。それは私たちの国を壊しています。私たちのビジネスを、小さなビジネスも大きなビジネスも壊しているのです。私たちはオバマケアを廃止し新しい制度を作らなくてはなりません。

2017年度に使われる予定の費用を見てみてください。最悪ですよ。それを廃止することも改めることもしなければ、その重さで崩壊するでしょう。オバマケアは廃止されるべきなのです。保険料は60パーセント、70パーセント、80パーセントと上がっていくでしょう。次の年には100パーセントを超えるでしょう。

私は保険料が始まって、人々がなにが起きているのかに気づいてくれたことがうれしいのです。なぜなら、彼女はオバマケアを継続し、しかもさらに悪くしようとしているのですから。今以上に悪くするなんて考えられません。それはもっとも高額で悪い医療制度です。オバマケアを廃止し、新しくしなくてはなりません。

ワレス:クリントン氏、同じ質問です。この時点で、社会保障と高齢者向け医療制度のお金は使い果たされます。信託基金のお金も使い果たされます。あなたは大統領として、その2つの問題を解決するために、増税や給付金削減を含む重要な決定を下しますか?

クリントン:クリス、私は社会保障信託基金にもっとお金を投入するべきだと発言しました。それは富裕層にもっと課税すべきだという私の約束の1つでもあります。私の社会保障の支払い額は増えるでしょう。ドナルドも同じです。彼がそれを逃れる方法を見つけられないことが前提ですが。しかし、私たちがしたいことは、社会保障信託基金を補充することです。

トランプ:いやな女だ。

最後の質問は「自分を大統領に選ぶべき理由」

クリントン:私たちには十分な資源があると確認することで、上限を引き上げたり、もっとお金を投入する方法を見つけることにもなるでしょう。私は低収入の労働者や現状の社会保障制度によって不利益をこうむってきた女性への利益を拡大させたいのです。

しかし、ドナルドは大幅な減税をし、20兆ドルものさらなる国債を増やそうとしていのです。それは社会保障と高齢者向け医療保険制度にとって悲惨な結果をもたらすでしょう。

そして、私は彼が廃止したがっている医療費負担適正化法についてお話したいことがあります。医療費負担適正化法は、高齢者向け医療保険制度の支払い能力を広げました。もし廃止すれば、私たちの高齢者向け医療保険制度はさらに悪くなります。私たちに必要なのは……。

トランプ:あなたの旦那さんは、あなたには同意しないでしょうね。

クリントン:長期間の医療制度を高騰させているものを追求することです。私たちはコストを減らし、価値を上げ、健康を重視するべきです。私にはそれをする計画があります。そしてより多くの資源と厳しい決定により、私たちは給付金の支出をコントロールすることができるのです。

ワレス:これが最後になります。お2人はこの大統領選で共にステージに上がれたことは喜ばしいことでしょう。前向きに締めたいと思います。お2人とも演説を締めていません。しかし、お2人とも締めの言葉を準備していないのですから、もっと興味深いものになるかもしれません。

1分設けます。最後の討論の最後の質問です。アメリカ国民に、なぜ彼らがあなたを次の大統領に選ぶべきなのかを話してください。これは新しい議題です。クリントン氏、今回はあなたが先です。

クリントン:今夜テレビを見ているみなさんにお伝えします。すべてのアメリカ国民、民主党員、共和党員、そして無党派のみなさんにお話しします。私たちはみなさんを必要としているのです。

この国をあるべき姿にする手助けをしていただきたいのです。経済を成長させ、より公平にし、それが全員に行きわたらせる助けをしてほしいのです。

私たちはみなさんの才能やスキル、献身、力、そして大きな志が必要です。私はとても近くで大統領選を見るというすばらしい経験をさせていただきました。そしてこの国を守ることの大きな責任と、すべての国民の生活をよくするために働けるすばらしい機会があることを知りました。

私は子供や家族のために働くことをライフワークにしてきました。それは大統領になった時の使命でもあるのです。力のある利益団体や企業に対して家族のために立ち上がります。みなさんがすばらしい仕事に就けるようにできる限りのことをします。みなさんの子供が小学校から大学まですばらしい教育を受けられるように努力します。

どうかみなさんの大統領として尽くすチャンスを私にください。

ワレス:クリントン氏、ありがとうございます。トランプ氏はいかがですか?

トランプ:彼女は自分がコントロールしたい人々からのお金で私腹を肥やしているのです。そんな方法はうまくいきません。しかし、私がこの大統領選をとても力を入れて始めました。「アメリカをまたすばらしい国にしよう」と呼ばれたキャンペーンです。私たちはまたアメリカをすばらしい国にしようとしています。

この国の軍隊は疲れ切っています。助けが必要です。改善されなくてはなりません。私たちの軍隊には地球上でもっとも優れた人々がいます。それなのに退役軍人は放っておかれています。不法な移民が世話を受けているのです。この国に不法にやってきた人たちを、退役軍人よりも手厚くケアしているのです。そんなことあってはならないはずです。

警察官は尊敬されていません。法と秩序も必要ですが、正義も必要なのです。都市部は悲惨な状態です。お店へ歩いていくだけで撃たれることもあるのです。そういう人々は教育を受けていません。仕事もありません。

私ならアフリカ系アメリカ人やラテン系の人々に、彼女ができる10倍のことができます。彼女がしたことは、アフリカ系アメリカ人やラテン系の人々と話しをして、彼らは投票をして、戻ってきて、こう言うのです。4年後に会いましょう、と。

私たちはアメリカを再び強くしようとしています。そしてアメリカを再びすばらしい国にしようとしています。今まさに始めなくてはなりません。バラク・オバマのもう4年を待つことなどできません。でも彼女を選んだならば、そういうことになるのです。

ワレス:お2人ともありがとうございます。

(会場拍手)

ワレス:クリントン氏、トランプ氏、全3回の討論会にご参加いただいてありがとうございました。大統領選討論会委員会によって開催された今年の討論会はこれでおしまいです。

ネバダ大学とラスベガス、そして我々をもてなしてくれた学生にもお礼を言わせてください。どんな結論を出すかはみなさん次第です。数百万人の人がすでに投票をしていますが、選挙は11月8日で、あとたった20日後です。

みなさんが納得できることはただ1つです。選挙に行くことを願っています。それはこのすばらしい国で生きることの名誉であり義務であるのです。みなさん、ありがとうございます。そしてすばらしい夜を。