イターい感じの先輩だった、あの頃

山田玲司氏(以下、山田):俺、本当に亀オタクだったので。

倉田真由美氏(以下、倉田):亀かー。

山田:(笑)。生物オタクで、恐竜とか好きで、みたいな。その話をしたら引かれるし、「あー、どうしよう。なにをしゃべったらいいんだろう」みたいな。

倉田:それで、かっこつけて、どんな話してたの?

山田:かっこつけてどんな話……。結局、だから、「こういう漫画家になりたいんだよね」みたいな話してたんだと思う。

倉田:あー、そうなんだ。

山田:そう。俺、中原中也の話とかしてたと思う。

倉田:あーー!

(一同笑)

山田:だから(笑)、「汚れちまった悲しみに」の話してたと思う。

(一同笑)

山田:そう。そんなイタい、イターい感じの先輩だった。

倉田:ちょっと今聞くとイタいけど。

山田:かなりイタいよね。

小林秀雄にくわしくなって…

倉田:でも、それがすてきって思う人はいるかな。ちょっとはいるよね。

山田:ちょっとはいるかなあ。ちょっとはいるけど、俺、小林秀雄のこととか、だんだんくわしくなっていって、みたいな。

倉田:小林秀雄って……。

山田:中原中也は小林秀雄に彼女取られてるじゃん。

乙君氏(以下、乙君):そう。

倉田:あ、そうなの?

乙君:小林秀雄って、日本の……。

山田:この人、小林秀雄と親友だったんでしょ?

乙君:まあまあ。

山田:けっこう長い付き合いだったんだよね?

乙君:かなり長い付き合いですよ、小林先生とは。

山田:秀雄とね。

乙君:評論家ですね、日本の。もう、だいぶ前ですけど。

倉田:へえ。ぜんぜん知らないけど。

乙君:超ダンディーですよ。

倉田:あー、そう。

乙君:超かっこいい。白洲次郎か小林秀雄か、みたいな。

倉田:ほう……。

乙君:ね? ……あれ?(笑)。

(一同笑)

倉田:知らないから、なんとも言えないや(笑)。

「どうでもよくて質問してくる人はバレる」

山田:やべーなぁ。こんな話になったのはじめてだわ。

倉田:あ、そうなの?

乙君:もう永遠にできるわ、これ。

山田:俺、ちょっとTwitterで……。

乙君:さすが地上波の人。

山田:いや、そうなんだよ。だから、この感じで飲んでると止まらなくなるわけ。

乙君:あー。

倉田:そうそう。

山田:ついつい、いろんなことしゃべってしまう。うまいよね、聞き上手だよね、やっぱり。

倉田:いや、知りたいからね。

山田:あ、そうなんだ。

倉田:知りたい気持ちが大事だよね。

山田:それはすっげー大事。どうでもよくって質問してくるのって、バレるもんね。

倉田:バレる。

山田:「この人、今、適当に聞いてんな」っていうのって、バレちゃうもんね。

ホストクラブに毎週取材する企画

倉田:バレる。昔、ホストクラブに毎週行く、って取材をしてたことがあるんですよ。

乙君:はい。

倉田:中村うさぎと、深澤真紀ってコラムニストと、3人で。

山田:うん。すごいおもしろそうな企画。

倉田:夜中の3時に歌舞伎町集合とかして。

山田:すっごいね。

倉田:当時は、夜中の1時とか2時とかにスタートして、朝までやるというのが、ホストクラブのスタイルだったから。

山田:あー。

倉田:石原慎太郎になって、ちょっと変わったんだけど。

山田:あー、そうなの。

“しまむら派”はホストに相手にされない

倉田:うん。それで、3時に集合して、行くじゃないですか、ホストクラブに。

山田:うん。

倉田:そうすると、ホストたちって、誰に付いても絶対に相手を楽しませなきゃいけないんだけど、ホストが夢中になる女って、特別若くてかわいいか。なんて言うのかな、お店に通ってくれそうな、お金になりそうな、太客になりそうな客か、はなからお金持ってるおばちゃんとか、そういう女の人か、どっちかなわけね。

山田:うんうん。

倉田:だから、持ち物とかにすごく敏感で、エルメスとか高いやつを持って、高いバッグとかを持ってる人とかに、ガンガン食いつくんだけど。私はほら、どっちかというと、しまむらじゃん?

山田:しまむら派ね。

(一同笑)

倉田:そう(笑)。

山田:どっちかというと、しまむら派じゃん。

倉田:そう。それで、バッグなんかも安いバッグだから、まったく向こうも興味ないわけ、私に。

乙君:あー。

倉田:それで、私もあまり興味がないわけですよ。

乙君:はいはい。もう住む世界も違いすぎる、っていうね。

地獄みたいなQ&A

倉田:ホストとかジャニ系って、私、あまり好きじゃないんですよ。若い、少年っぽい子ってあんまり好きじゃなくて。

乙君:へえ。

倉田:それで、ぜんぜんお互いに興味がない状態で、でも、向こうは仕事だから、なんか質問しなきゃいけないじゃん。そうすると、死ぬほどどうでもいいと思ってるくせに、「出身地、どこなんですか?」とか聞いてきたりするわけ。

乙君:あー!

倉田:こっちもどうでもいいから、「福岡だよ」とか言って。「福岡か。あ、福岡といえば、明太子っすよね」。

山田:うわ、最悪なパターンだね、それ(笑)。

倉田:そう。「あと、豚骨ラーメン。俺、好きっすよ」みたいな。

山田:殴りたいね(笑)。

倉田:もう、死ぬほどどうでもいい!

(一同笑)

山田:どうでもいいね(笑)。

倉田:「あっそう」みたいな。

山田:『秘密のケンミンSHOW』のほうがもっとマシなこと言うね!

倉田:もう、なんかね。それで、最後には「犬と猫、どっちが好きっすか?」とか、そんな話になってくるわけ。

(一同笑)

倉田:もうどっちでもいい。答えるほうもおもしろくもなんともないし、聞いてるほうも、ぜんぜん私に興味ないくせに、そんな無理矢理な質問してるから、もう会話が、Q&A、Q&A、っていう繰り返しになっちゃって、それはつまんないね。

山田:地獄だね。

倉田:地獄です。

ホストでおもしろかった話は?

乙君:そういう場合、どういう質問をされると食いつくんですか? くらたまさん。

倉田:質問というよりも、ホストクラブの場合は、一番おもしろかったのは、女に刺された話とか、そういう話。

(一同笑)

乙君:それ(笑)。

倉田:そういう話はおもしろかった。

乙君:それ、取材じゃないですか(笑)。

倉田:うん(笑)。でも、そういう話だけがおもしろかった。

乙君:へー。

倉田:あと、なんかもう、ホストとしてはぜんぜんイケてないのに、めっちゃくちゃ「俺はホスト王になる」ぐらいに思ってるような。

(一同笑)

倉田:そういうのは、それはそれでおもしろかった。

乙君:あー。かわいいですね、それはそれで。

倉田:うーん。なんか、自己評価がすごく高いから、とんでもない要求をしたりしてくるわけ。

山田:うん。

倉田:ぜんぜんイケてないのに、初対面の客に向かって、「ちょっと俺、ロマネとか入れてもらったらうれしいな」とか。

(一同笑)

倉田:すごい高いワインをいきなりおねだりしたりして、「おまえ、なんだよ」みたいな。ぜんぜんイケてなくて、ほとんど会ったばかりなのによく言うなー、みたいな。そういうトンチンカンな人のことは、よく覚えてるな。

乙君:あー、それは。

倉田:刺された話と……、そういう感じ。