どうして「アウディを年間4億円売るエース営業マンの手紙」は、大反響だったのか?

――横田さんがリリースした「アウディを年間4億円売るエース営業マンの手紙」というダイヤモンド書籍オンライン記事は11万PVに迫る大きな反響を生みました。

この記事は、「1枚のセールスレターだけで高級車のアウディを購入してしまった」という横田さんの実体験に基づいた記事ですね。手紙1枚でアウディって、相当な金額だと思うんですが……。これ、本当なんですか?(笑)

横田伊佐男氏(以下、横田):ウソ偽りございません(笑)。

この手紙は、私が『最強のコピーライティングバイブル』を執筆するときに、古い事例ではなく現代の事例で、マーケティングの定説とされている「説得の6フレーム」を使っている事例はないかと探し回ったときに、思い出したものです。

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よく考えたら、まさに僕自身が心を動かされて、悪い言葉ですけど「カモ」にされているこの手紙が、「説得の6フレーム」でつくられていたのです。

アウディは高いもので1,000万円ほど、安いものでも500万円くらいの、とても高額な車です。それを僕は、1年に1回会うかどうかのセールスマンからの、たった1枚の手紙で買っていたんですね。

それに気づいて、セールスマンに「成績はどうなんですか?」と聞いたら、「おかげさまで、一番販売させていただいております」とおっしゃる。

「どれほど売られているんですか?」とさらに聞くと、「年間75台、4億円です」と。私のように、手紙に心を動かされて買う人が、ほかにいっぱいいらっしゃるんですね。

相手の「不利益」を巧みにつく

――普通の営業マンの「2.5倍」くらいの成績をたたき出している方なんですね。

横田:そうなんです。エース営業マンである彼の手紙は、見事なものですよ。11月2日に開催する「ダイヤモンド社プレミアム白熱講座」で詳細をお伝えするのですが、少しご紹介しましょう。

まず第一に、文面からはそんな露骨な「営業感」が出ていないんです。だけど、よく読むと、こちらの関心ごとに合わせて、ヌルっと心に入り込んでくる。

その後、だんだんとメリットを打ち出して、後半になると、「買わなくてもいいんですけど、不利益になりますよ」と一生懸命訴えて、僕が不利益を被るのを止めるかたちを、1枚のセールスレターのなかで見事に展開しているのです。

前田鎌利氏(以下、前田):これは、すごいですね。実際、レターのうまい方って、不利益を演出するのが上手ですよね。

横田:そうなんです。このレターだと、まず「モデルチェンジ前と後とでは、あなたが気にされていた買取額が変わるので、不利益になります」と。加えて「今決断すると、エコカー減税の対象期間だからメリットがあります」と連打しています。

つまり、「今行動しないと、不利益になりますよ」「それに、今行動しないと、メリットを享受できませんよ」この2点をググッと押しているような内容なんですね。

前田:「限界の数字を思い切って提示」とか、「全身全霊をかけたご提案書」というフレーズも気になります。

横田:そんなことを言われたら、見ざるを得ませんよね?(笑)。「全身全霊をかけたご提案書ってなんだ!?」と。

ただ、見たら最後(笑)。買わずにいられなくなる。実に、恐ろしいレターです(笑)。

前田:カモになってしまう(笑)。

「控えめ」→「強気」の順番を間違えるな

横田:ええ。たった1枚の手紙でも、「伝え方」を工夫すれば、ものすごいパワーをもつということです。

私が気にしていた「課題」を克服するメリットを、端的に、順々に「説得の6フレーム」に沿って突いている。これは、実に考えられた構成です。

そして、この「順番」とともに重要なのが、実は「強弱」なんです。

「1.書き出し」「2.描写や説明」「3.動機や理由づけ」は控えめに、「4.保証や説明」「5.決め手のひと言や不利益」「6.結び」は強気に書くのがコツです。

書き出しから「今買ったほうがいいですよ!」と強気に入ってしまうと、読み手は引いてしまいます。僕だって、「この5年間でもう4台も買っているんだから、次は騙されるものか」と思っているわけです(笑)。「売り込み」には敏感なんですね。

だから、書き出しは控えめに、「今の車も大変いいですよね」というところから入る。続いて、新しい車のメリットを出して、徐々に徐々に踏み込んでいく。

この大きな流れを間違えてはいけません。この「説得の6フレーム」と「強弱」を間違えなければ、数千円の商品から1,000万円を超えるような高級車まで、自由自在に売ることができるようになります。

前田:なるほど。たしかに、伝え方には、どのような順序で話を展開するか、という構成力が不可欠ですね。細かい文言よりも、まず大きな構成を身につける必要があると思います。

100%一発説得の快感を

横田:そうですね。前田さんも、『社内プレゼンの資料作成術』でプレゼン資料のロジックの組み立て方の「型」を提示されていますね?

社内プレゼンの資料作成術

前田:はい。11月2日に開催する「ダイヤモンド社プレミアム白熱講座」で詳しくご説明するのですが、概略だけご説明すると、ビジネス・プレゼンのロジックは、ほぼすべて「課題」→「原因」→「解決策」→「効果」という構成にすればOKなんです。

すべてのビジネスは、誰かの課題を解決することによって、対価をいただく営みですよね? だから、まず第一に「解決すべき課題」を明確に示します。

そして、「その課題が生まれる原因」を特定したうえで、「その原因を解消する解決策」を具体的に提示。そのうえで、「その解決策を実践した結果得られる効果」を示すわけです。この「型」を覚えるだけで、どんなプレゼンもロジカルで説得力のあるものになります。

横田:なるほど。たしかに、長々と要領を得ないプレゼンは、こうしたロジックが見えづらいですよね?

前田:ええ。だから、私は、いつもプレゼン資料をつくり始める前に、「課題」「原因」「解決策」「効果」について、それぞれ収集したデータや情報を手書きで整理して、ロジックがきちんと成立するかどうかをチェックします。

こうして、頭を整理したうえで資料をつくれば効率的ですし、説得力の高いプレゼン資料ができあがります。

横田:こうした伝え方の「型」を身につけているかどうかで、ビジネスパーソンの業績には雲泥の差が生まれますね。決して難しいものではないので、1人でも多くの方々に「型」を伝授していきたいですね。

前田:はい。「100パーセント一発説得」の喜びを、今回の「ダイヤモンド社プレミアム白熱講座」でも多くのビジネスパーソンとシェアしていきたいです。