ハンドドライヤーは衛生的なのか?

ハンク・グリーン氏:さて、この状況で一番ぞっとすることはなんでしょうか。

あなたは公衆トイレにいて、手を洗い、ペーパータオルがなかったのでハンドドライヤーを使います。まあ公衆トイレには多くの細菌がいますし、細菌というのはあらゆるところにいるものですね。

でもあなたの濡れた手が清潔でなかったら、そのハンドドライヤーはトイレのいたるところにさらなる細菌をばらまいているかもしれません。

とはいえ、エアードライヤーがばい菌を撒き散らしているという数々の扇情的な見出しにも関わらず、手を乾かす方法の違いによって人の健康にどのような影響があるのかは明らかではありません。

最近のいくつかの研究では、研究者たちは実験参加者に手袋をはめさせ、いい加減な手洗いをシミュレーションするために、彼らの手にわざと細菌を塗っています。

例えば、2016年に応用微生物学の機関誌『Journal of Applied Microbiology』で発表されたある研究では、MS2と呼ばれる細菌を死滅させるウイルスが使われました。この研究グループは、トイレのなかのさまざまな場所に、大腸菌を塗ったシャーレをつけた人間の背丈ほどの板を設置しました。

実験でペーパータオルと比較

研究グループは参加者に、ウイルスが塗られた手をペーパータオル、温風ドライヤー、そして高速で冷たい空気を噴射する最近出てきたジェット式ドライヤーで手を乾かさせました。そうすることで、研究者たちはMS2ウイルスがどこに散らばったのかを確認することができたのです。ウイルスが大腸菌に感染して死なせると、溶菌斑という透明な斑点を形成しますからね。

約50センチ離れたところでは、ジェット式エアードライヤーは温風ドライヤーよりも約60倍多くの溶菌斑をつくっていたことがわかりました。

また、ジェット式エアードライヤーはペーパータオルよりも約1,300倍多くの溶菌斑をつくっていました。トイレのなかのいたるところで、ジェット式エアードライヤーは温風エアードライヤーより約20倍、そしてペーパータオルよりも約190倍多くの溶菌斑をつくりました。

ですから、このような研究は、エアードライヤー、とくにジェット式エアードライヤーは、ペーパータオルよりもずっと多くのばい菌を撒き散らす可能性があるということを示唆しているんですね。

でもこの実験では不自然に手を汚したため、普通に洗われた手から細菌がどのように広がるのか、また、実験で使われたようなウイルスと比較して、より典型的な病原体がどのように広がるのかはよくわかっていません。

加えて、今お伝えしたものを含めたいくつかの研究は、ペーパータオルやエアードライヤー会社とつながりがあります。研究者たちはそのことが結果に影響することはないと言っていますがね。

それでは、本当のところはなにがわかっているのでしょうか。エアードライヤーは衛生的なのか、そうではないのか。Mayo Clinicは1970年から2011年までの手を乾かすさまざまな方法と衛生状態に関する12の研究を検討しましたが、結論はまちまちでした。

とはいえ、細菌は通常、乾いた手よりも濡れた手から撒き散らされるようです。そしてペーパータオルは、多数の細菌を空気で運ぶことなく手をよく乾かしてくれるのです。ですから、病院のような場所では、念のため、ペーパータオルを保護ディスペンサーの中に入れ、手を十分に洗って乾かし、トイレを定期的に掃除することが勧められています。

概して言えば、手を乾かすことが衛生面にどのような影響を与えるのかについて、もっと多くの研究が必要です。でもみなさん、手は洗ってくださいね。そうすることで、病原体が撒き散らされるのを防ぐことができますから。手についたばい菌が少なければ少ないほど、乾かすときに広がるばい菌の数も少なくなりますよ。