何色の色を見れるかは人によって違う

マイケル・アランダ氏:みなさんは、みんなの目が同じようなものの見え方をしていると思っているかもしれません。つまり、「可視光線」と呼ばれる色の範囲内で色が見えているという考えです。

まるで同じクレヨンのボックスセットで色を塗っているかのように、です。

しかし実際は、あなたが何色の色を見ることができるかは、目がどのような働きをするかにかかっているのです。

私たちの目は、驚嘆すべきエネルギー変換器で、光エネルギーを化学エネルギーに変換し、神経を通って脳に送信するのです。そして眼球の奥にある網膜には「錐体」と「桿体」と呼ばれる感覚細胞があります。

「桿体細胞」により私たちは黒、白、そして灰色を見ることができ、薄暗いなかでもそれは有効で、ほとんどの人はその細胞を1億2,000万個以上持っています。

「錐体細胞」は逆に色彩感覚の細胞で、私たちは600万個ほどしか持っておらず、それにより明るい場所で細かいディテールを見ることができます。ほとんどの人が三種類の錐体細胞を持っています。青、赤そして緑です。そのそれぞれが異なる光の波長に反応します。

3つの異なる感覚細胞からの信号を脳が合わせることにより、私たちが「色」と呼ぶものを見ることができるのです。3つの感覚細胞からのさまざまなコンビネーションを合わせることにより、ほとんどの人には百万種類の色が見えるというわけです。これを「三原色」といいます。

色覚異常はなぜ起こる?

色覚異常は、3種類のうちの1つの錐体細胞が欠落することにより起こります。大抵、赤か緑です。これを「二色型色覚」と言い、この2色の色の違いを見分けることができなくなるのです。

興味深いことに色覚にはさまざまな種類があります。「二色型色覚」の人には大体1万種類の色が見えます。しかし「一色型色覚」の人、つまり錐体細胞のうちの2つ、またはすべてが欠落している人には、たったの100種類しか色が見えません。

そして、色彩視覚に影響を与える遺伝子はX染色体にあるので、多くの場合、視覚の相違は性別と関係があります。

生物学的に男性の場合、X染色体は1つしか持っていません。ですから、色覚異常を遺伝しやすいと言えます。約8パーセントの男性がなんらかの色盲性を持っていると言われています。

生物学的に女性はX染色体を2つ持っているので、色覚異常の影響を受けるには両方の性染色体にその性質が見られなければ色盲は起こりません。結果的に、色覚異常の女性はとても珍しく、1パーセントほどしかいません。

しかし最近になって科学者がX染色体には遺伝的突然変異が見られることを発見し、それによりテクニカラーのスーパーパワーのような能力に結びつくかもしれないと言うのです。

2010年に、イギリスの科学者たちが初めて「四色型色覚」を発見したのです。この女性の目には赤と緑の間に4種類目の錐体細胞があるため、単純に考えて少なくとも彼女には1億種類の色が見えると言えるのです。

これもまた性別につながる特徴と言えます。また、ほかの研究によれば世界中で女性の3パーセントがこの能力を持っている可能性があるとされ、もしそうならばペンキ屋さんやクレヨン工場は更に多くの色の名前を考えなければいけないかもしれませんね。