“締め切り”に追われる多忙な日々

高橋ひでつう氏(以下、ひでつう):ハヤカワさんはすごいデザイナーで、プロデューサーで、洋服が好きですけど、それ以外のソーシャルメディアの使い方とか、あとはメディア……今「Abema(TV)」出てますよね?

ハヤカワ五味氏(以下、ハヤカワ):そうですね。「AbemaTV」ですね。毎週金曜日の20時〜21時50分まで、生放送で出てます。

ひでつう:あっ、昨日も?

ハヤカワ:そうですね。昨日出たあとにこっち来たんですよ。

ひでつう:なので、みなさん見てください。そういった活動とか、今『サンジャポ』とか出たりしてるじゃないですか。

ハヤカワ:そうですね。出てましたね。

ひでつう:いろんな取材も受けていて、そういったタレンテッドな部分もやりつつ、学校にちゃんと行きつつ、課題に追われつつ、これ(ひでつうゼミ)もやってるわけですよね。

いろんなものに出て、ふつうだったらやりたくない理由とか、だからできないみたいなことになると思うんですけど。自分のなかで今、締め切りを作るのはすごいいいなと思ったんですけども。

例えばこの「feast」に関しても、タイツだけもっとブレイクさせるとかもあったと思いますし。「feast」も新しいブランドだと思うんですけど、新しいことを次々に進化させていくモチベーションはどこにあるんですか?

ハヤカワ:1つは、さっき言ったみたいな締め切りというのは常にあって。実は今も締め切りに追われてて。その締め切りがなにかというと、7月中に引っ越さなきゃならなくて。

初期費用が55万くらいかかるので、それをなんとか調達しなきゃいけないという締め切りに追われてるんですよ。

ひでつう:なのでいろいろ商品を作ったりとか?

ハヤカワ:それも1つあります。

サンリオとのコラボ実現の経緯

ひでつう:ちなみに、最近の「feast」の商品のコンセプトを説明してもらっていいですか?

ハヤカワ「feast」の商品はわりと品数を増やすというか、ベーシックなものを出すというのを意識してるので、最近あんまりコンセプトは細かくはないです。その代わり、「secret」という新しくできたブランドは……。

ひでつう:これ、かわいいですね。

ハヤカワ:かわいいですよね。それはサンリオコラボのやつです。

ひでつう:サンリオとのコラボというのは、どうやってくるんですか?

ハヤカワ:私に来たんじゃなくて、たまたまそのときにジョインしてたメンバーの人がサンリオの誰かの名刺を持ってて。「とりあえず連絡すればいいんじゃね?」みたいな感じになって。

とりあえずメール送ったら、サンリオさん、すごい優しいんで「じゃあ、繋ぎますね」と。弱小企業なんですけど繋いでいただいて、あれよあれよといううちにライセンスができるようになるという。ほかの芸能とかだとぜんぜんできないですけど。

ひでつう:ふつう、連絡するのも怖いとか始まっちゃうんですけど。例えば失敗したら、「ふざけるな、この若造が」と言われたらという恐怖はないんですか?

ハヤカワ:ぜんぜん怖いという意識はなくて。私は通りすがりにぶんなぐられるとかいう危険性のほうがよっぽど怖くて。深夜に出歩くほうが怖いです(笑)。

メール送ったくらいでは死なないので、突然「うわぁー!」みたいな感じになることはないので、大丈夫かなという。あと本当に怖いときは、自分で別人格をゲームみたいにコントロールしているような気持ちになるようにしていて。

ひでつう:なるほど。そういうところはゲーマーであることが役立つ?

ハヤカワ:そうですね、ゲーマーであることが。上から見てる感じというか。そういうときはすごい冷静に。

ひでつう:今、ハヤカワ五味を見ているハヤカワ五味がもう1人いて、ということですか?

ハヤカワ:ハヤカワ五味としてしゃべるべきことだったり、ハヤカワ五味として送るべきメールみたいな感じの考え方を自分でしていて、なにかあってもハヤカワ五味がダメなだけで、「私、関係ないし」くらいに思ってます。

“ハヤカワ五味”という別人格

ひでつう:なるほど。よくこの授業ではキャラクターを作ったり、いわゆるペンネームとかアーティストネームとかなんですけど。「ハヤカワ五味」さんは、アーティストネームですよね?

ハヤカワ:アーティストネームですね。

ひでつう:アーティストネームなんですけど、アーティストネームをつけたというのも別人格になるみたいな儀式というか、自分のなかではなにかあったんですか?

ハヤカワ:私自身が自分でコンプレックスがあるから、別人格になりたいというのはありつつ、「モバゲー」とかの文化を引きずりつつ……みたいな部分があって。「モバゲー」時代からハヤカワという名前を使ってたんで、それの延長線上にあります。

ひでつう:そんなかたちで別人格があるので、あくまでも本名とは別にハヤカワ五味としての振るまいとか発言とか、そういったこと……。

たまにTwitterで、いい感じにパチパチとなってることがあるじゃないですか。そのへんはハヤカワ五味だからということで、別にそういうので「うわー、なんだかな」とあまり思わないタイプ?

ハヤカワ:思わないし、けっこう自尊心が低いので。

ひでつう:自尊心が低い? なるほど。

ハヤカワ:私はけっこう低いんですよ。例えばTwitterで「ブス」とか言われても、「確かに」と思うんですよ。「そうね(笑)」みたいな。

ひでつう:(笑)。そこで傷つくとかどうこういうよりも、受け流すということ?

ハヤカワ:「確かに」と思うか、もしくは「当たりまえのことをわざわざ言う必要ないんじゃないか?」という方向の怒りが起きるんですよね。

ひでつう:怒りのベクトルが違うわけですね。

ハヤカワ:怒りのベクトルが「ブス」と言うとかじゃなくて、「なんでそんな当たりまえのことを、わざわざ公共の場で言うんだ?」みたいな。なんか「水は飲める」と言ってるようなものだから。

ひでつう:「空は青い」とか。

ハヤカワ:「『空は青い』くらいのこと言ってるな」みたいな(笑)。「バカもいるんだな」くらいのこと。

ひでつう:じゃあ、別にそれはハヤカワ五味に対してのものであって、本名は本名で、自分のプライベートな部分があってというところで。さっき、夜歩くほうが怖いというのが、本当にアレですよね。

Twitterで「ブス」と叩いてくるやつについて

ぶっちゃけて、あまりTwitterで発信したりとか、Facebookもこの事業を通して始めたりとか、あまりそういうのを発信しない子が多いんですよ。まぁ、俺がエゴサーチ王というのもあるんですけど(笑)。

ハヤカワ:(笑)。

ひでつう:それこそ「なんでやんないの?」ということとか。ひでつうのエゴサが怖いというのもあるんですけど、それはさておき。

けっこう多いのがふつうに「怖い」とか、「叩かれたらどうしよう」とか。俺も「叩かれてから考えればいいんじゃね?」とか思ってるんですけど、そういうのが怖い人に対してはどう思いますか?

なにかひと言、アドバイスするのであれば。今、「死ぬわけじゃないから」と言ってましたけど。

ハヤカワ:何個かあるんですけど、まずそんな叩かれて世界が困るほどの価値が自分にあるのかという部分が第一で。

ひでつう:あら、かっこいい(笑)。

ハヤカワ:自分が叩かれても別にいいかなと、そういうこともあるかなくらいに思ってて。例えば、お母さんが叩かれたとなると、「なんてことをするんだ!」と思うんですけど、「自分だったらいいかな?」くらいがけっこう強いですね。

よほど尊い人だったら「どうなの?」と思うんですけど、そこまで私はまだ怒ってないなというのを常々思ってるんで、なにを言われても「確かに」と思ってます。

ひでつう:なにを言われても「確かに」と、ある意味達観してるというか。すごいですね。

ハヤカワ:そうですね。あまり痛みを感じてない。まぁ、いろいろやり過ぎてあまり気になってないというのもあるんですけど。

ひでつう:よくいますよね。ある一定のラインを超えると、わりとどうでもよくなって、自分がしたいことを突き詰めるみたいな。

ハヤカワ:そうですよ。最初のうちは気になると思うんですけど、最初を乗り越えないと、どうしても無理なので。乗り越える手段は、けっこうゲスな感じでもいいと思っていて。例えば「ブス」と叩かれても、「これはブスが言ってるんだ」と思い込むようにしてるとか、そのレベルでいいと思うんですよ。

なにか自分のなかで理由を作って、とりあえず最初の時期は乗り切って、そのあとは気にならなくなると思うんで。

「ブレイクすることはバカに発見されること」

ひでつう:俺もけっこう叩かれるんですけど、やっぱり(その人のSNSを)見にいくと「人生楽しくなさそうだな」という人がすごい多いですよね。なので、最近は別にいいやと思って。

有名な有吉(弘行)さんの名言で「ブレイクすることはバカに発見されること」という言葉がありましたけど(笑)。

俺はブレイクしてないですけど、ハヤカワさんを見てると、本当にそういった受け流しとか、SNSをうまく活用してるなと思うんですよね。

ハヤカワ:自分自身SNSを8年くらいやっていたった1つの結論があって。私もTwitterでいろんなことを言われたりして、「なんで敵がこんなにいっぱいいるんだ?」と思ったりしてたんですけど、3人ミュートすると一切なくなったりするんですよ。

ひでつう:ほお〜。

ハヤカワ:案外3人くらいが100くらいの同じことを言ってるだけで。別に敵は3人なんで、3回殴ればいいじゃんくらいで。

2chに何回も上げる人も固定の人だったりするから、案外敵は少ないなというのは思っていいかもしれないです。五月雨にくるとけっこう「こんなに敵がいっぱいいる」と思いやすいんですけど……案外そうじゃないと。

ひでつう:そうなんですよね。結局そういう人たちは、なれなかったルサンチマンを「ハヤカワ五味は〜」みたいな。好きと嫌いというのは表と裏であって、逆に言うとある意味すごいファンなんですよね。

「なんでこんなことまで知ってるんだ?」という感じじゃないですか。なれなかったことをぶつけてて、ある意味悲しい人だなという憐みの気持ちを持つくらいに、今はもういろいろブレイクスルーしたということですよね。

ハヤカワ:本当にTwitterはバカも尊い人も平等に140字としてくるので、もうそこは達観するしかないなと思うんで。SNSはそんな感じですかね。

「〜ができない」と言う前に「まずググれ」

ひでつう:SNSや「CAMPFIRE」もそうなんですけど、今いろいろなショップとか、テクノロジーをすごいうまく使ってるなとか思うんですけど。ハヤカワさん自身は、例えばプログラミングしたりとか、別にそういうことをされてるわけじゃないですよね?

ハヤカワ:そうですね。プログラミングは一切わからないので。ゲーム開発もできなくて、今困ってます。ゲーム作りたいのに。

ひでつう:ゲーム作りたいんだ(笑)。

ハヤカワ:そう、作れないんですよね。

ひでつう:でもそういったものとしてSNSとか、とくに僕はFacebookがすごいというのは、自分であれだけのWebサイトを作ろうと思ったらすごいコストがかかるし。

例えば、「アメブロ」や「LINE BLOG」もゼロから作ろうと思ったら「じゃあ、CSSうんぬん……」とか、生半可でできるわけじゃないでしょ?

ハヤカワ:そうですね。

ひでつう:さっきの通販の仕組みも、ECショップどうこうとか(自分で立ち上げる)よりも、ふつうにブログを書いて「info@ハヤカワ五味に送ってください」とかやるじゃないですか。

なんかその、できないものは既存のモノを使っちゃえというのは、すごいおもしろいと思うんですよ。そこらへんの自分が足りない部分とか、できない部分を補うコツ・方法を教えてもらっていいでしょうか?

ハヤカワ:たいていはなんか組み合わせればできると思ってて。例えばウスターソースが家にないときだったら、醤油と砂糖で代用できるじゃないですか。

ひでつう:そうなんですか、初めて知った!

ハヤカワ:そうですよ。なんとなくそれっぽい感じになるんですけど、けっこう代用が利くと思ってて。でも、生まじめな人だと「ウスターソース大さじ1入れなきゃ!」みたいにパニックになっちゃうと思うんですよ。

「ウスターソース買いにいかなきゃ」「でもコンビニない」「どこに買いに行けばいいんだろう」みたいになっちゃうと思うんですけど。でも、たいていのことが融通が利くなと思ってて。

例えば、服が縫えなかったら、もしかしたら既存の服にプリントするかたちでもいいかもしれないし。通販サイトの繋がりがないとかだったら、既存のサービスを調べたりすればいいと思うんですけど。

最近、調べるとなんでも出てくるんですけど、けっこう調べることをせずに聞いてくる人が正直多いなと感じてて。なので、まずはググるというのは、心に留めておいてほしいなと。

ひでつう:そうですね。「ggrks(ググレカス)」ですね。

ハヤカワ:そうですね、「ググれ!」という感じですね。

ひでつう:別に自分でECサイトを作らなくても、既存のECサイトのシステムを使えばいいわけだし。お金を集めるにしろ、別にブログに「お金ください」と書かなくても、そういう既存のシステムを使えばいいだけだし。そういうことですよね。

ハヤカワ:それこそ、「服作れない」という質問がけっこうくるんですけど。でも今ググったりすると、「STARted」という、服をイラストから作ってくれるサービスがあって。

ひでつう:ありますね。

ハヤカワ:私は「なぜそれを知らないんだろう?」くらいに思ってて。まずそこから検索して、100ページくらいまで見て、なかったら聞いてこいとは思うんですけど。

けっこう私、みんなに「チート使ってる」と思われやすいんですよ。例えば、もともと工場の繋がりがあってとか。私も最初はパソコンでカチカチ調べて、たえず一番安いところを考えて……とかだったので、最初は検索してほしいです。

ひでつう:しっかり調べて、さっきのサンリオじゃないけど、アクションも恥ずかしがらずにとって、その結果、今の位置があるということですよね。

ハヤカワ:だから本当にネットにしろ、人に聞くにしろ、調べてやってみて、ダメだったらもう責任取るからくらいに、とりあえずそこまでやれば、たいていなんとか変わるなと思ってます。