ペンギンが氷の上を歩けるのはなぜか?

ハンク・グリーン:南極大陸は本当に寒いところですよね。マイナス30度にもなる上に、午後ともなれば氷と雪に覆われてしまうのですから。そんな南極大陸を歩き回るのはどうですか? 裸足で、ですよ!

裸足で歩く、なんて、ペンギンにとってはただの日常的な行為です。ペンギンの人生ににおいては、なにがあろうともペンギンの足が凍り付いたり、また、傷ついたりすることはないのですから。

その秘密は0度を下回る気温の中でもむき出しの足の組織を温かく、快適に保つために足に血液を流し続けれるような適応能力を持っていることにあります。

南極ペンギンたちは脂肪と産毛で覆われた羽という厚みのある体の層によって体を温かく保っています。しかし、足はそうではありません。泳いだり、滑りやすい氷の上での動きやすさを優先された構造になっているのですから。

足には表面積の大きな水かきがついていて、毛が生えていません。つまり、熱が逃げやすい足のつくりをしているのです。しかし、寒さのなかでも大丈夫なような仕掛けがペンギンの足にはあるのです。

足を動かしている筋肉は温かな体の中にくるみ込まれていて守られていますし、強靭な腱によって足の骨は制御されています。足遣い(専門的に操り人形の足を操作する人)のようなものなのです。

血液の流れ方に秘密がある

ペンギンの足が特別頑丈と言うわけではありませんよ。足のほとんどは私たちの爪と同じたんぱく質である、ケラチンと骨でできているのですから。

とても寒くなると踵を傾け、つま先を丸めて凍った地面を踏まないようにするペンギンも中には居ますが、厳格な寒さの中にでもさらせる、ペンギンの足に隠された秘密というのは対向流熱交換と呼ばれる仕組みを使っていることによります。

足の付け根の方で、対流するペンギンの血管は絡み合っています。異なる温度の血液はそれぞれ反対方向へと流れているのですが、このことが暖かい血液が足に流れ込むと冷えた血液が体の中心へ戻るようにする仕組みをつくっているのです。

酸素を含んだ血液が足まで降りてくる頃には、ほとんどの熱は大事な筋肉や臓器を温めるのに使われてしまっています。この仕組みは、ペンギン身を寒さから素早く守らせ、足や体を温めるための余計なエネルギーの消費を防ぐことに役立っているのです。

人間も対向流熱交換の仕組みを使ってはいますが、ペンギンのように血管が絡み合っているわけではありません。

つまり、あなたの体の中心を温めるために、寒い日にあなたの指やつま先に流れる血液は少し冷えることになるのです。しかしながら、私たちの皮膚はペンギンの足のように強くはありませんから、指やつま先は寒さによる損傷を受けやすくなっているのです。

例え、それが恐れ知らずのデアデビル級の人だったとしても、裸足で南極を横断するのは、とてもじゃないけどオススメできませんよ!