スペシャルトーク開催の経緯

司会者:今日はお越しいただいて、ありがとうございます。

山田ルイ53世氏(以下、ルイ53世):ありがとうございます。

田中俊之氏(以下、田中):ありがとうございます。

司会者:今日は本当にスペシャルトークでやっていただきます。

ルイ53世:本当に思ってますか?(笑)

(会場笑)

司会者:私たちGo-Betweensでは、「著者に聞く!」というシリーズで、本の著者の方にいろいろ、私が聞きたいことを聞いていこうということをずっとやっているんですね。田中先生とは、昨年、フィンランドセンターのセミナーでご一緒させていただいて。そこで、女性を中心に、母親である女性の方々が、今後どうやって仕事も育児もやっていくかというセミナーをやったときに、ほとんどが女性の参加者だったんですけれども、その中で黒一点、先生の……。

ルイ53世:おかしな男がね、1人。

司会者:そうしたら、非常に反響があって、もう1回先生の話を聞きたいという声がたくさんありまして。あれよあれよという間に本がどんどん出て、すっかり先生が時の人になってしまったと。

ルイ53世:35万部でしたっけ?

田中:いやいや(笑)。いままで出した本が、万単位で売れたことはありません。

ルイ53世:聞きたくなかった。

(会場笑)

司会者:念願叶って、いよいよ、ということですので。今日はもう田中先生に進行をお願いしたいと思いますので、どうぞお願いいたします。

ルイ53世:お願いします。

田中:お願いします。

(会場拍手)

どうしても男爵とトークイベントを

ルイ53世:今のお話をうかがうと、僕とこういうことをやるモチベーションはそんなになかったと。田中先生、一辺倒。

司会者:そうなんですよね。

田中:そうなんですよねって(笑)。

(会場笑)

ルイ53世:なにか付いてきたと!

司会者:先生が、誰と話したらいいかっておっしゃったら……。

ルイ53世:ご相談したら、シルクハットが付いてきたと。

司会者:そう。

ルイ53世:(笑)。いや、ありがたいです、それでもね。

司会者:我々みたいに堅いところでやっておりますと、まさかこういうお話が聞けるとは。

ルイ53世:とんでもないですよ、ありがとうございます。

司会者:そうしたら、本も出されているじゃないですか。

ルイ53世:知らんかったんかい!(笑)。

(会場笑)

ルイ53世:いや、当たり前ですけどもね。人知れず出してますから、それは。

司会者:そうしたら、先生が「これ、いいじゃないですか」って、ハッスルしておやりになって。

ルイ53世:ハッスルされて。

田中:「著者に聞く!」というイベントなので、今まで出版してきた『<40男>はなぜ嫌われるか』とか、『男が働かない、いいじゃないか!』とか、あるいは小島慶子さんとの対談本『不自由な男たち』の話を僕1人でしてもよかったのですが、どうしても男爵と一緒にトークイベントをしたいと思いまして。

<40男>はなぜ嫌われるか (イースト新書)

不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか(祥伝社新書)

宇多田ヒカルのツイートをRT

ルイ53世:なんか、宇多田ヒカルさんのTwitterをリツイートしてたでしょ? 今日。

田中:はい、しました。

(会場笑)

田中:なんで? いいじゃないですか(笑)。

ルイ53世:確かに内容を見ると、田中先生のお勉強されてる内容に合致するなと言うのはありましたけど。

田中:そうですよね。

ルイ53世:内容的にはなにでしたっけ?

田中:内容的には、男の人が、自分より若くて経済力の低い女性と結婚してもなにも思われないけど、逆だと変だと思われるのは、男の人って大変だよね、みたいなツイートです。

ルイ53世:宇多田ヒカルさんがなにか言われたとかですか、そういう発言をされたときに。要するに結婚相手に求めるのは経済力じゃないみたいなことを、優先順位が一番下だ、みたいなことをおっしゃって。

田中:言っていました。

ルイ53世:それでなにか反響があったんでしょうね。

田中:そうですね。

ルイ53世:それで、ああいうツイートをされて、それを田中先生が宇多田ヒカルさんのツイートをリツイートされたという。あんまり見たことない。相互フォローしてるんで、いっつもつぶやきを見てるんですけど。なんで宇多田ヒカルがリツイートされてるのかなっていう疑問があったんですよ。今日のできごとですね。

田中:僕にとって都合がいいツイートだなと思って。

(会場笑)

ルイ53世:「俺の理論武装の役に立つな」と。

田中:有名な人が、そういうこと言っているなという(笑)。

ルイ53世:合点がいきました。ありがとうございます(笑)。

2人の出会いはラジオ番組

田中:でも、西山さん(司会者)も意外という印象をもたれていましたし、会場にも「どうして、僕が男爵と?」と思われる方もいらっしゃるはずです。ですから、ちょっと、「男爵と僕」というスライドを作ってきました。

(会場笑)

ルイ53世:嫌なタイトルですね、なんか! 「男爵と僕」という。ぱっと見、アンデルセン童話みたいな気分が。

田中:そうですね。素敵なタイトルでちょっと作ってきたんですけど。僕が今年の3月19日に『土曜の午後は♪ ヒゲとノブコのWEEKEND JUKEBOX』に、『男が働かない、いいじゃないか!』の宣伝でおうかがいしまして。

男が働かない、いいじゃないか! (講談社+α新書)

ルイ53世:文化放送さんで僕がやってるラジオ番組ね。

田中:はい、そうですね。

ルイ53世:そこのゲストで、来ていただいたという。

田中:行かせていただいて。僕の本の話も聞いていただいたんですけど、そのときに『ヒキコモリ漂流記』(山田氏の著書)の話をけっこう熱心にさせていただきまして……。

ヒキコモリ漂流記

ルイ53世:ああ、されてましたよね、確かに。僕の書いた本の話も。

田中:そうですね、僕が男爵のことをどう思っているかっていうことには、そのときはあまり気付かれてなかったと思うんですけど。

ルイ53世:その想いには、ちょっと気付いてなかったかもしれないですね。

(会場笑)

田中:そうですね(笑)。その後、わりとすぐ収録があったのかなと思うんですけど、409回続いている、『髭男爵 山田ルイ53世のルネッサンスラジオ』。

(会場笑)

ルイ53世:いや、こんなところで話すことじゃないと! 知らないでしょう、誰も(笑)。

田中:いやいや(笑)。みんな知っていると思いますけど、急に僕の話が出てきたんですよ。この回のときに。

ルイ53世:僕がやってる、また別の本当に小さな、ポッドキャストと地方局でしかやってないような番組があるんですよ。そのなかで、先生のお話をしたと。

田中:「この間、ラジオに田中さんっていう人が来て、社会学者なのかな、社会学者でもねえか!」という。

ルイ53世:いやいや、そんな言い方しましたっけ?

(会場笑)

ルイ53世:いや、立派な学者先生がゲストにいらっしゃって、という言い方をしたはずですよ、それは。

田中:そうですかね(笑)。それで、「あれは負け」だと。

ルイ53世:(笑)。

田中:社会学者っていうのは、負けていると思うという話を。

ルイ53世:なんちゅう話をするんですか、ここで。

(会場笑)

『ルネラジ』のヘビーリスナーだった田中氏

ルイ53世:先生の大ファンの方もいらっしゃるんでしょう!?

田中:いや、いないと思うんですけど。

ルイ53世:いや、いるでしょう。「もともと男爵なんていらないのに、なんだこの異物は」というね。

(会場笑)

ルイ53世:田中先生の話だけを聞きたかったのにっていう人、ぜんぜん怒らないんで正直に手を挙げてもらっていいですか? 顔の表情で、まあだいたいわかりますよ。いらっしゃいますね、そういう方ね。

(会場笑)

田中:それを聞いて、「あの『ルネッサンスラジオ』で」……。

ルイ53世:どの『ルネッサンスラジオ』ですか。

(会場笑)

田中:いや、あの『ルネラジ』ですよ。僕が第1回から毎回聴いてる。

(会場笑)

ルイ53世:うわぁ、ヘビーリスナーやったっていうことですね。ありがたいことですけど!

田中:だいたい2回か3回、聴くんですよね、次の週までに。

409回全部聴いているので、僕がいじられているというのをFacebookで報告したんですよ。うれしくて。

そうしたら、『ヒゲとノブコのWEEKEND JUKEBOX』の作家さんの大村(綾人)さんという方、Facebookでつながっているんですけど、その方から「田中さん、どうしたんですか、そんなあわてて」って来て。

だから、「僕、1回目からリスナーなんで」と言ったら、「じゃあ、それを男爵に伝えておきます」という経緯があったんですよね。

ルイ53世:そこで、先生が、僕が昔からやってる、もう8年、9年近くやってる番組のリスナーやってことが判明したってことですよね。

田中:そうです。そこから少し、何回か一緒にお仕事を。

田中氏の連載にも男爵が登場

ルイ53世:僕のトークライブとかにも、来ていただいたんですよ。先生には。

田中:そうなんです。それが、6月18日のNaked Loft。

ルイ53世:トークライブに来ていただいて、社会学者の古市さんの悪口言うたり。

(会場笑)

ルイ53世:「あんなのが社会学者だと思われたら困るんですよ!」って、まあ、酒も入ってましたよ。そういう場でしたから。お酒ちょっとたしなみながらトークするみたいな場所やったんでね。

田中:僕、飲めないんで、ウーロン茶……。

ルイ53世:シラフやった!(笑)。シラフで言うてたん!?

(会場笑)

田中:ちょっと、それ言われると思わなかったですけど(笑)。

ルイ53世:それはちょっとショナイ(内緒)の方向でね。

田中:あれは悪口というよりも、古市さんに対する単なるひがみです(笑)そのことについては、40代の僕や男爵がどうしていつまでも「若手感」があるのかという問題とからめて、あとで取り上げたいと思います。後は『Business Journal』で僕が連載をしているんですね。「生きづらい中年男のための処方箋」というのを4回やっているんですけど、4回中3回、男爵が出ている。

ルイ53世:かたよりがすごいですね(笑)。

田中:そのうち2回は対談ですね。

ルイ53世:がっつりお話しさしていただいたので。

田中:だから、「どうしてその組み合わせなのかな?」と事前には思っていた方も多いと思うんですけど、今年の3月くらいから急速に……。

ルイ53世:そうなんですよ、ちょこちょこお仕事さしていただいて。僕もすごい勉強なったんで、ありがたいなと思ってます。

田中:なので、こういう場ができたっていうことなんですね。今日は、男爵の本と僕の本の話を引用しながら、テーマである「普通じゃなくてもいいじゃないか」ということを考えていきたいと思います。