海に住む哺乳類はなぜ息を止めていられる?

「SciShow」では先日、海に関する一連の動画で海の生き物たちを称賛しました。でも、すごいのはエラのある生物だけではありません。

肺呼吸なのに息を止めるのが得意で、海で狩りをするように適応した動物についてお話ししましょう。

例えばマッコウクジラとゾウアザラシは、水中に1~2時間もとどまることができます。これは、かなり見事なことです。

また、アカボウクジラは、137分30秒という哺乳類の最長潜水記録を保持しています。これほど長い時間、海に潜っていられるなんて、彼らの体の中では、一体どうなっているのでしょうか。

細胞がエネルギーを作るのを助けるためには酸素が必要ですが、その過程では二酸化炭素も作られます。体内に二酸化炭素がありすぎると血液はより酸性になり、「酸素を取り込まないと! 今すぐ息を吸って!」と脳が言うように信号が送られます。

そうして人間やクジラのような哺乳類が呼吸をすると、空中の酸素分子が肺から小さな血管へと拡散され、ヘモグロビンという赤血球の中のタンパク質と結合します。

ヘモグロビンは体内で配送車両としての機能を果たしています。

大動脈を幹線道路として使い、組織細胞や筋細胞のなかのミオグロビンと呼ばれるほかのタンパク質に酸素分子を渡しているのです。ミオグロビンとは、基本的に、筋肉のための特別な酸素貯蔵庫です。筋肉は活動するときに臨時のエネルギーを必要としますからね。

科学者たちは、ミオグロビンこそが、海獣が非常に長い時間息を止めることを手助けをしているのだと考えています。

水生哺乳類が酸素を蓄えるしくみ

一例を挙げると、潜水する動物たちは、人間よりも多くのヘモグロビンやミオグロビンを持っています。これは、彼らの血液や筋肉の中により多くの酸素を蓄えることができるということを意味します。

血液中のヘモグロビンに結合した酸素が底をついても、ミオグロビンが血流の中に臨時の酸素をもう一度放出することができるのです。

加えて、水生哺乳類は血液中に溶解した二酸化炭素に対してより高い耐性があり、呼吸する本能に対してあまり切迫した要求がないのかもしれないと考えられています。

哺乳動物が呼吸をして新たな潜水の準備をするために再浮上するとき、血液中に溶解し、ヘモグロビンへと結合した過剰な二酸化炭素は放出され、新鮮な酸素と入れ替わります。

2013年の調査では、哺乳類のダイビングの達人たちは、ほかの哺乳類、とりわけ陸に住む哺乳類に比べて、ミオグロビン分子の表面により多くの正電荷を持っているということがわかりました。ミオグロビン分子は多すぎると筋肉の中で凝集する傾向があり、人間では病気の原因になることもあります。

しかし、もしこれらの分子が強い同類の表面電荷を持っていると、それらはむしろ互いに反発し合います。これは、余分なミオグロビン分子はすべて酸素を蓄えることができ、哺乳動物が水中により長くとどまれるようにするということです。

さらに、哺乳動物の中には、心拍数を下げたり、組織への血液供給を制限するなど、酸素を節約するためにほかの適応をしているものもいます。

科学者たちは今もなお、長く深い潜水の間に酸素を保つための更なる適応を見つけ、さまざまな種でどのように作用しているのかを理解しようとしているのです。