惑星の周りにある輪っかの正体

ハンク・グリーン氏:宇宙とは、答えのない疑問が詰まった存在です。しかし、ご存知の通り、その疑問の多くは、私たちの星のごく近くのことに関連しています。例えば、土星にはなぜ輪があるのでしょうか?

これは太陽系についてもっともよく聞かれる質問の1つであり、誰もが認めるような答えはないものの、この周辺で輪を持っている惑星は土星だけではないことは知られています。木星は3つの薄い輪を持っており、海王星は5つ、天王星は13個の輪を持っています。

もっといい質問をするのであれば、「なぜすべてのガスでできた惑星には輪があるのでしょうか?」になるでしょう。

それには、天体が従う傾向にある興味深い「ロッシュ限界」と呼ばれるルールから始めましょう。フランス人天文学者エドアルド・ロッシュは1840年代にこの理論を発見しました。

この限界とは、惑星の周りの軌道にある物質は、惑星に近づきすぎると惑星の重力によって引き裂かれるということです。惑星は近づいてくる衛星の側面を押し出すので、もし衛星が近づきすぎると、引力の不均一さがそれを破壊する原因となることがあるのです。

そしてそれは明らかにほとんどのガスでできた巨大惑星に起こることなのです。なぜならいくつかの例外を除いて、月が外側にある間は、その惑星の輪はほぼいつでもロッシュ限界の中にいるからです。

そして土星の輪に関しては、数十億年前、彗星のような流浪の星が土星のロッシュ限界の中の軌道に押し流され破壊されたという理論が発表されました。

かつて安全な距離を保って土星の周りを回っていた月は、天体によって崩壊してしまう危険な領域まで飛ばされたという説もあります。

この理論によれば、ガスでできた巨大惑星が輪を持つ理由は、おそらく、そのサイズと関連があるのでしょう。それらの惑星はかなり巨大であるので、通り過ぎる物体を引き込む傾向にあるというのです。

しかし、太陽からの距離も重要です。木星や海王星の輪は塵のぼんやりとした円盤状の光ですが、土星や天王星の輪はさらに大きく、そのほとんどが簡単に蒸発する電流の有機化合物と、氷で構成されています。

つまり、大きなロッシュ限界が巨大な惑星の周りに形成されることに加えて、輪はその氷の欠片が解けずに残る程に寒い惑星の周りに形成されやすいのでしょう。土星の輪は粉砕物の美しい残骸にすぎないと言えるでしょう。