陸上男子400mリレー、銀メダルの快挙

司会者:山縣さん、予選のときから非常にいいタイムが出まして、やれるんじゃないかいう気持ちだったと思うんですけど、37.60くらいが目標で、そこに行けばメダルという計算だったんでしょうか。そして今、一夜明けた気持ちはいかがでしょうか。

山縣亮太氏(以下、山縣):そうですね、今回のオリンピックのリレーでは、37秒台を出すだけではメダルには届かないだろうというなかで、日本チームがメダルを取るためには、37.60、37.70あたりのタイムというのが1つのボーダーになってくると思っていたので、それを実現できて、アメリカは失格しましたけど、強豪国に勝って銀メダルを獲得できたことはすごくうれしいです。

司会者:ありがとうございます。飯塚さん、100メートルのランナーに記録をすごく伸ばしてくる選手がいて、「俺が入ればなんとかなるだろう」という、そんな気持ちはありましたか?

飯塚翔太氏(以下、飯塚):僕はこのメンバーで最年長になるんですけど、3人をうまくのびのびと走らせてあげるというのと、2走はけっこう重要な役割で、1走の山縣の勢いを壊さずに位置をキープするというのが僕の仕事だったんですけど。

ちょうど予選が終わって、アジア記録で全体の2位で通過したときに、世界の強豪チームから注目を浴びるようになって、一目置かれてる雰囲気がすごいあったんですけど、入賞してからは日本の関係者以外にも、現地の観光客も心から祝福してくれるのを見て、すごくうれしかったです。

司会者:ありがとうございます。桐生選手、今の気持ちはいかがでしょうか。

桐生祥秀氏(以下、桐生):僕も山縣さん、飯塚さん、ケンブリッジさんの頼れる先輩についていくという感じで、気持ちもすごい楽でしたし、いろんなことを先輩たちが教えてくれましたし、いい流れで僕の3走に来たので、絶対に流れを壊すわけにはいかないと思ってケンブリッジさんにつなげた感じです。

終わってからいろんな方々からメッセージが来たので、メダルを取って実感しているという気分です。

司会者:ケンブリッジさんはいかがですか。

ケンブリッジ飛鳥氏(以下、ケンブリッジ):3人がすごくいい位置で持ってきてくれて、最初にボルト選手と並んだときには、ちょっと「イケるかな?」って思ったんですけど、最後やっぱり離されてしまってちょっと悔しかったんですけど。このメンバーで銀メダルを取れてすごくうれしいです。本当にみんなで競い合ってこれて本当によかったと思います。

ジャマイカとの差は縮まるのか

記者1:産経新聞のアマノと申します。2つうかがいたいと思います。今回銀ということで、世界が衝撃というか、驚きをもって受け止めていますが、ご本人たちは予想どおりの結果だったのか、あるいは予想外の結果だったのかということをおうかがいしたいのと、もう1つは、1位のジャマイカとの差をどうとらえているか、今後ジャマイカを越えることができるのか、そのへんの自信を聞かせてください。

山縣:まずはタイムについてですけど、37.60という記録に関して言うと、従来の日本記録から0.4秒早いタイムというのは、なかなか難しいだろうと思うと同時に、今年のメンバーは100メートル、200メートルでかなりいいタイムを持ってリオに入ってこれていたので、練習でも日本記録を越えるようなタイムで走れていましたし、そういったなかで37秒中盤までは近づけられるだろうという気持ちをもって取り組みました。

ジャマイカには現段階では勝てると思っていなくて、ただ今後、東京までに一人ひとりのレベルが100メートルで言ったら9秒台とか、200メートルで言ったら19秒台で入ってくる選手を揃えていければ、しっかり金メダルを狙える位置に行けるんじゃないかなと思っています。

飯塚:オリンピックの事前合宿のタイムトライアルで38.0を出して、データだと事前合宿のタイムトライアルより0.5秒早くなるという計算だったので、今回のタイムに関しては予想の範囲内だったんですけど、実際に出してみると、すごい記録だなと実感しています。まあ終わってみれば出すのは可能な記録だったとは思っています。

ジャマイカチームには、今のところ勝てるイメージがつかないんですけど、まずは個人の記録を伸ばすということ。ジャマイカチームは、個人で全員が決勝に残っているくらいのレベルなので、僕たちはまだ準決勝止まりが現実なので、まず決勝に残れる力をつけるというのが大前提にあって、ここのスピードが上がれば(チームの)タイムも上がると思うので、まずは個人のスピードをつけるというのが一番です。

桐生:予選で本当にいいタイムが出て、決勝では4人揃ってメダルを取るという気持ちでピッチに立ったので、メダルを狙った結果本当に取れたというのはすごくうれしいです。

ジャマイカとの差は、個々のレベルがまだ違うので、全員が速くなってしっかり勝負したいなと思うので、あと4年しかないんですけどしっかり自分を強くしていきたいなと思います。

ケンブリッジ:タイムは練習でもすごくいいタイムが出ていたので、37秒中盤くらいで走れるという自信は持っていました。

ジャマイカに勝てるかどうかは、やっぱり個人のレベルアップ次第だと思うんですけど、このメンバーの誰がいつ9秒台をだしてもおかしくないと思いますし、4人が全員(100メートル)9秒台、(200メートル)19秒台の選手になれば勝てるチャンスはあるのかなと思います。

それぞれの選手のすごいところ

記者2:各選手を見て、どういったところが敵わないなとか、すばらしいなとか、それぞれの選手の特徴をひと言で教えてください。

山縣:僕から見た桐生選手、ケンブリッジ選手なんですけど、2人にすごく共通していて、自分にないなと思っているところは、オリンピックという大舞台に来ても、すごくワクワクしてレースを楽しむ気持ちになれる。こういう気持ちになれるのは、なかなかできることではなくて、僕はすごく羨ましく思います。

飯塚:みんなそれぞれ個性があって、山縣は心配性なんですけど、彼は心配してるときにパフォーマンスを発揮するタイプなので、心配そうに言葉をかけてきても、大丈夫なので適当に返したりするんですけど(笑)、本当に大舞台での実力の発揮はすごいですし、スタートの技術は真似できないくらい速いので、海外のトップ選手と肩を並べるくらいのスピードを持っているので、そこはすごいと思います。

桐生くんに関しては、動物のようなタイプなので、気持ちが入ると手がつけられないくらいのスピードを持っている選手で、昨日の決勝もものすごいスピードで僕からバトンを受けて逃げている姿を見て、気持ちが入っているなと思っていました。

ケンブリッジも桐生みたいに動物的な部分があるんですけど、気持ちを自分で高めていくことが上手で、アップのときから自分で奮い立たせて本番に向かっていく姿を見て、大舞台にすごい適している選手だと思っています。

桐生:全員が全員集中力……本番に強いというのがありますし、やっぱりみんな個性がぜんぜん違いますし、でもすごい優しい先輩方なので、ふだんしゃべっていてもめっちゃおもろいですし、ふだんの会話でワイワイしながら、そのチームワークがあったからこそバトンを絶対にミスらないというのもありますし、先輩が追いついてくれるという信頼感があったので、本当に最高のメンバーだと思います。

ケンブリッジ:今回一番すごいなと思ったのは、100メートル準決勝で一緒に戦ってきた山縣さんの集中力は本当にすごいなと思っていて、試合前でも話しかけづらいようなオーラで 、緊張しているのかもしれないんですけど、すごい集中力で準決勝も自己ベストで走って、見習う部分、参考になる部分がたくさんあったと思います。

マクドナルドをずっと我慢していた

記者3:産経新聞のササキと申します。今、五輪のプレッシャーから解放されていると思います。この質問はメダリスト全員にしてるんですが、今食べたいものはなんでしょうか。一番人気はラーメンと焼肉です。それから、自分へのごほうびはなんでしょうか。よろしくお願いします。

山縣:僕はとりあえず、マクドナルド食べたいです。ずっと我慢してたんで、やっぱり試合が終わって解放された日は、あんまり身体に……どうなんですかね?(笑)。

(会場笑)

山縣:いや、でも本当にどこの国に行っても安定した味があって……。自分のごほうびとしては、考えてないんですけど父親と釣りに行きたいです。

飯塚:僕は肉が食べたいです。東京で超高い肉をナイフで切らずにフォークでかぶりつきたいですね。それが楽しみで今、店を探しています。

自分へのごほうびはなんか高いものを買いに行きたいんですけど、買う雰囲気を漂わせない服で高いものを買うことにはまっているので、ジャージみたいな服で高いものを買いに行きたいです。

桐生:そうですね……馬刺しを食ってからの、抹茶が好きなので抹茶のミルクレープ、知り合いの人にケーキワンホール頼んでいて、それをがっつきたいなと思います。自分へのごほうびは、帰ったら先輩たちとご飯に行くって約束したので、先輩たちにゴチになりたいという思いがあります。

ケンブリッジ:帰って食べたいものは、馬刺しを食べようって話をしてたので、馬刺しを食べたいと思います。自分へのごほうびは……あんまり考えてなかったんですけど、サングラスが好きなんで、サングラスでも買おうかと思います。

4年後の東京五輪に向けて

記者4:中日新聞のウエキと申します。終わったばっかりで申し訳ないんですけど、次は東京五輪がひかえています。今後の目標をお一人ずつお願いします。

山縣:僕は個人種目で9秒台を出して、決勝の8人に残るということを目標にして、リレーではその力を原動力にして、金メダルを狙っていきたいと思います。

飯塚:個人の200メートルが19秒台に入って、100メートルでもこの3人に食らいつけるような記録で走って、リレーに関しては金メダルですね。北京で銅メダル、今回で銀メダル、あと金しか残っていないので、それを取れるようにがんばりたいと思います。

桐生:東京のときは24歳で、最高の年齢だと思うので、100メートル、200メートルでベストを出して、リレーでも金しか残っていないので、金メダルが取れるように毎日楽しく生きていきたいと思います。

ケンブリッジ:4年後は9秒台、19秒台を出して、個人種目でもファイナルに残って戦うというのと、リレーでは今回以上のメダルを取れるように頑張りたいと思います。

司会者:ありがとうございました。