星の光は地上に届くまでジグザグに動く

ハンク・グリーン氏:多くの子供がまたたく小さな星のメロディー(注:きらきら星)を歌いながら成長します。でも大人でさえ、多くの人は、星が明滅し、揺れ動いているように見える理由を知りません。

天文学者は星のきらめきを恒星シンチレーションと説明しています。専門的に言うと、それは遠く離れた発光体の光がある媒体を通って伝わる時の見かけの明るさや位置の変動のことを言います。言いかえると、あのきらめきは明るさが非常に一定な星が原因なのではなく、地球の大気が引き起こしているのです。

星の光が大気圏を通ってあなたへと伝わる時、光は気温や密度の異なる多くの大気の層を通過します。これらの大気の層の間のそれぞれの境界が光を屈折させ、刻一刻とわずかに異なる方向へと曲げているのです。

ですから、星の光は大気を通過してあなたの目や地上にある望遠鏡へと届くまでにジグザグと動きます。これにより、私たちの視点からは星が常に少しずつ変化しているように見えるのです。

この天文学の厄介者ですが、星は大気圏外ではきらきら光らないため、大気圏の外に出ることでうまく避けることができます。

これが、これまでの宇宙空間の最高の画像が、大気の外で観測をしているハッブル宇宙望遠鏡からもたらされている理由です。

レンズに当たる光を屈折する媒質がないため、ハッブルは見事に鮮やかで、完全に明確な、ちらちらと光ることのない星の写真を撮ることができるのです。

でも、公平な立場から言うと、星のきらめきは地上の天文学者たちの邪魔をするかもしれませんが、実際に有用にもなり得るのです。

シンチレーションのおかげで、人は夜の空を見上げる時に星と惑星の違いを知ることができます。なぜなら、惑星はきらきらと光ないからです。少なくとも星ほどは光りません。

星はかなり遠くに離れており、私たちが点光源と呼ぶものです。例えば、もし私があなたからとても離れて懐中電灯を持っていたとしたら、それは暗闇の中に輝く1つの光の点に見えるでしょう。

しかし、惑星は星よりもずっと近いので、私たちが見ている惑星が反射する光は、多くの点光源で成り立っているのです。

ですから、私があなたの顔を懐中電灯で照らしているみたいに、惑星は本質的に円盤のように見えるのです。もし1つの単独の点が大気によって途絶させられたとしても、同時にほかのいくつもの点があなたへと届くのです。これにより、きらめきの現象が落ち着き、惑星を比較的安定して見せているのです。

ですから、次に星にお願いをする時は、星がきらめいているかどうか確認してください! そうしないと、土星に祈ることになるかもしれませんよ。

それでも正直問題ないんですけどね。なにに願ったっていいんです。あなた次第ですよ。