「JAPAN VISUAL SUMMIT 2016」の海外展開

司会者:これより質疑応答に移らせていただきます。ご質問がある方は挙手にてお願いいたします。

記者1:ライターのマツダと申します。よろしくお願いします。

先ほどみなさんの発言を聞かせていただいたなかで、キーワードを3つぐらい拾えたんですが。まず「第1回」という言葉。それと「海外へ発信していきたい」という言葉。そして、海外で日本のヴィジュアル系に影響を受けている人たちがたくさんいるというお話がありました。

これらの言葉から察するに、今回のイベントにも、日本のヴィジュアル系の影響下にあるような海外のバンドを招聘される予定があるのかということ。

そして今後、例えば、このイベントを定期的に開催していったりするなかで、将来的に海外での展開も考えていらっしゃるのかをお聞かせください。

YOSHIKI氏(以下、YOSHIKI):海外のアーティストに関しては、考慮はしているんですが、どの基準でどの国をもってという基準がまだ定まっていないので、今の時点では、あっても1〜2バンドではないかと。

もしこのイベントがさらに続いていくのであれば、もちろん海外の人も参加していただけると思っています。

このイベントに関して海外を意識しているか? はい、もちろん意識しています。今回は幕張メッセという日本の場所なのですが、今は配信およびライブ・ビューイングなど、X JAPANでコンサートやったときも、南米なりヨーロッパなりという、ライブ・ビューイングを行っているので。今回も打ち合わせを重ねているんですが、まず間違いなく海外の配信は行われると思います。

記者1:ツアーそのものの海外展開というのも?

YOSHIKI:そうですね。この何10バンドが海外に行くというのは、とてもおもしろいことだと思いますけど。ものすごくお金がかかりますので(笑)。まあ、それは今後ぜひ考えていきたいですね。もしそういう機会を与えていただけるのであれば本当に……。「JROCK REVOLUTION」というのをやったんですよ。

SUGIZO氏(以下、SUGIZO):それは2007年ですね。

YOSHIKI:2007年だっけ? ロサンゼルスで日本のヴィジュアル系のバンドが約10バンド参加させていただいて、ロサンゼルスのウィルターン・シアターで、だいたい2000人強で、SOLD OUTしたんですけど。

SUGIZO:2DAYSでしたね。

YOSHIKI:2DAYSでやりましたね。SUGIZOも出たね?

SUGIZO:ゲストで。実はそのときは、LUNA SEAもX JAPANも復活してなかった。

YOSHIKI:してなかったね。そうかそうか。

SUGIZO:復活前夜ですね。

YOSHIKI:そういうイベントをやりまして、ものすごく盛況ではあったんですけど。海外でやるというのは、いろんな意味でハードルが決して低いわけではないので。

これに賛同してくれると、よりやりやすくなるんじゃないかと思いますけど。当時はクールジャパン的なサポートはまだなかった時期だと思うんですけど。

ライブ・ビューイングで海外に発信

(海外の記者1からの質問にYOSHIKI氏が英語で回答)

通訳者:『NewsTV』のミッシェルと申します。1つ目の質問と同じですが、「海外への展開を想定していらっしゃいますか?」ということで、YOSHIKI氏から「もちろんです」というお答えがありました。

そして、2つ目の質問としまして「海外でのライブ・ビューイングは現時点でどこの国、そして何ヶ国で想定していらっしゃいますか?」ということで。

「現在何ヶ国というのはまだ決定していませんが、興味がある国がいくつかありますので、ヨーロッパですとか、ラテンアメリカ、そういったいろいろな国でライブビューイングをぜひ展開したいと思っています。ですが、世界各国で行いますと、時差の関係で現実的に難しいところもあるかと思いますので、そういったところはこれから考えていきたいと思います」と。

YOSHIKI:時間差でずらして放映すると言いました。

通訳者:あ、時間差をずらして放映する。

(海外記者からの質問にYOSHIKI氏が英語で回答)

通訳者:まず1つ目の質問で、「この『VISUAL JAPAN SUMMIT』を日本以外でも開催するということをおっしゃっていましたが、どちらの国でやりたいと思ってらっしゃいますか?」ということで。

そのお答えとしまして、「東南アジアでは香港・台湾・タイ、そして南米ではブラジル・チリ・ペルー・メキシコ・アルゼンチン、そしてヨーロッパであればイギリス・フランス・ドイツなど、そういった国々にぜひオファーがあれば可能性がある国で、お問い合わせいただいたうえで、ぜひ考えていきたいと思っております」と。

YOSHIKI:あとアメリカ。

通訳者:すみません。アメリカもです。あともう1つの質問が「フェスの期間中にニューアルバムをリリースするご予定はありますか?」というご質問でした。

その答えとして「シングルを出すかもしれない」というお答えでしたが、「なにかしら世界リリースをしていけたらということで考えてはいます」という回答でした。

ヴィジュアル系を世界に誇れるカルチャーへ

司会者:ではあらためて、こちら「VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Power by Rakuten」について、決意表明といいますか、お三方からひと言ずついただければと思います。

SUGIZO:考えてみたら、LUNA SEAもGLAYも、当時Xのもとで修行し羽ばたいていった、同じルーツを持つ兄弟分なんですよね。

そのきっかけとなったYOSHIKIさんがここにいて。その次の世代を担った俺たちがここにいて。さらに若い強力なアーティストたちがどんどん集まっていますので。

世代と意識を超えて、日本のただの暴れん坊ロックだったヴィジュアル系が、世界に誇れるカルチャーとしてどう成長させていけるのか、僕らの今のこれからの行動がすごく重要になってくると思います。

考えてみたら歌舞伎だってそうですよね。当時はアンティなカルチャーだったわけで。歌舞伎のもつカウンターカルチャーとしてのパワーと、過去の常識とかしきたりを壊して、新しい文化を生んでいったという意味でいうと、もしかしたらヴィジュアル系がそういう存在になりうるかもしれない。

80年代後半〜90年代に始まった、この1つのカテゴリーが、僕らのこれからの行動によって大きく羽ばたくと思います。

そういう意味では、1つのこのジャンルの礎になった、ここの3人が全霊をかけて日本を背負って今回ステージに立ちたいと思います。よろしくお願いします。

(会場拍手)

「ヴィジュアル系」は生き様

TAKURO氏(以下、TAKURO):今回は緊急記者会見でバタバタしてました。

YOSHIKI:ふだんあんまり緊急ないの?(笑)。

TAKURO:あんまりないです(笑)。

本当に最後になってしまって恐縮なんですけども、今回はお忙しいなか、みなさんお越しくださって本当にありがとうございます。緊急なことがいろいろあって、開演が押したことも合わせて、本当に申し訳ないです。

僕としては、今回YOSHIKIさんが中心となって、SUGIZOさん、僕、そしてたくさんの今の日本の音楽を作ってきたスタッフの方々が集まって、「どういうタイトルにしようか?」とか「どういったバンドがいいんだろうか?」とずっと話していくその様が本当に……。

YOSHIKIさんの頭のなかにある、本当におもちゃ箱みたいなものをガシャンとヒックリ返して、もう「それはYOUSHIKIさん、無理だよ」ということも「いや、やってみなきゃわからないじゃないか」という。

でも思ってみたら、ずっとYOSHIKIさんの人生そのものが、やってみたらどうにかなった、トライしたら風穴があいた、今まで無理だったことが可能になった、僕らはずっとそういうことをYOSHIKIさんの人生を通じて見てきたんだなと、身近にいるとハラハラすることが多いんですけれども。

この2016年というこの年に、こういったイベントが開催されることは、たぶん10年後20年後にきっと評価されることにつながるんじゃないかという、そういったワクワクでいっぱいです。

音楽業界、寂しいニュースがたくさんあるなかで、そこを悩むのではなく、悲観的に見るのではなく、やれることあるよねって。みんなで力を合わせたら、1つまた大きなムーブメントを作れるんじゃないか。そういった意味では今回のことが……。

「ヴィジュアル系」というこの言葉もまた微妙で。もしかしたら、それを嫌がるバンドもいるかもしれないんですけれども。

そうではなくて、自分たちの音楽と体を使った表現に自信があれば、それが自分の生き様なんだという、そういったバンドがいるのであれば、どんどんこれから誘って、新しい21世紀のそういった音楽、表現形態のお手伝いをできればという気持ちを僕らもスタッフも話しています。

第1回となる今回、本当に、先ほど申しましたように、蓋を開けてみなければまったくわからないという状態ではありますが、それでもワクワクが止まらないという、この僕の想い、その予感を信じてみようかなと思っていて。

非常にたくさんの方が、ヴィジュアル系というジャンルの音楽を、アートを、そして今後大きくなるであろう日本の新しい文化の1つとして感じてもらって、一緒にに歩んでいければと思います。

本当に一生懸命、心を伝えられるようにがんばりますので、応援よろしくお願いします。ありがとうございます。

(会場拍手)

「hideやTAIJIの意志を背負う」

YOSHIKI:そうですね。やはりミーティングで「YOSHIKIさん、それやめましょうよ」とか「これ無理ですよ、時間的にむちゃですよ」って(笑)。開演が無事に9時になって、終演が22時で合ってる? 日曜日は21時まで。けっこう長いですよね。

TAKURO:長いですね。

YOSHIKI:「3日間ぶっ続けでしたらいいんじゃない?」って話をしたりしたんですけど、それはさすがにいろんな問題もありまして。

僕が海外に住んでてよく聞かれるのが、「ヴィジュアル系ってなんなの?」と。日本だとなんとなくわかってるけど、海外の人たちが聞いたときに「なにそれ、ヴィジュアル系?」「いったいどういうジャンルなの?」と。

だいたい日本の方たちがふつうに思うのは、派手なメイクをしてるとか、女の子みたいな格好をしてるとか、そういうのがまず最初に浮かぶ言葉だと思うんですね。

僕、海外で説明してるときというのは、ヴィジュアル系というのは、まず表現が自由だと。もともと僕らがロックを始めて。「KISS」とかに影響を受けて、デビット・ボウイに影響を受けて。またはそういう激しいバンド、レッド・ツェッペリンとかに影響を受けて。僕らはルールをわからなかったので、どのジャンルもいいものだと思って、それを混ぜてやっていったんですね。

そしたらやはり既存のジャンルでやると、「これはハードロックである」「これはパンクなんだ」「これはポップだ」、全部に決まってまして、僕らはどこにも属すことができなかったわけです。だからけっこう仲間外れというか、どこにも入れない人たちだったんですね。

だけど、思ったことを信じて、「なんでロックをやってるのに教科書どおりに進まきゃいけないのか」と。「誰がこの教科書作ったんだ?」。そういうことから始まって、「とりあえずよくわからないけどいっちゃえ」みたいな発想を持っていて。

そこに、当時のXですけど、僕がいて、TOSHIがいて、PATAがいて。そして、今は他界してしまいましたけど、hide、TAIJIがいて、みんながそれに共感してくれて。

「とりあえず、評論家たちがこうやって言ってるけどやっちゃおうよ」と。「なにも決まりなんかないじゃない。でも音楽だけはいいものやろうよ」と。そういう表現の自由から始まったんですけど。そして、後にLUNA SEAとかGLAYとか、どんどん広がっていってという。

結局、ヴィジュアル系というのは、メイクしてるからヴィジュアル系というわけじゃなくて、自分たちの持ってる信念を貫き通す、それをどんな表現でやってもいいという。まあ、ちょっと人と違うから僕は◯◯に属さないとかいう、そういうのに僕はもっと力や勇気を与えたいというか。

多数決対なんとかってなってるこの世の中で、僕らヴィジュアル系は本当に99.99パーセントに否定されてたわけですね。それで、0.01パーセントの俺たちがどんどん広めていったという。

そのときの気持ちを忘れずに、これから世界に向かっていくにあたっても、自分たちが信じるものに全力を尽くしていくという。

本当にここまで来れたのは、ずっとこれまで応援してくれたファンのみなさん、スタッフの人たちのおかげだと思ってますけど。

……そうですね。本当はこの場にhideとTAIJIにもいてほしかったですけど、hideの意志もTAIJIの意志も背負って、またこの素晴らしい仲間たちと日本を背負って世界向かっていきたいと思うので、ぜひよろしくお願いします。

(会場拍手)