芸人を引退したあとの肩書きは…

絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):じゃあ、ご紹介します。絵本作家の西野亮廣さんです。

西野亮廣氏(以下、西野):転職しちゃってですね。

のぶみ:テレビにも何個か取り上げられたと聞きました。

西野:そうです。でもすみません、今出ましたけど。僕、絵本作家も引退して。

山口トンボ氏(以下、トンボ):もう引退されたんでしたっけ?

西野:引退しました、2日ほど前に。

トンボ:今は?

西野:今はパイン飴の特命配布主任でございます。

(会場拍手)

トンボ:そうか、そうでしたね、ごめんなさい。絵本作家かと思ってたけど、もう辞めたんでしたね。

西野:主任です、今。主任をやっているという。

のぶみ:これ、今度やるときにまた変わるんじゃないのかな。

西野:そう今、ちょっと別の話をトンボさんからいただいていて。またもしかしたら近々、肩書が変わるかもしれない。

トンボ:ちょっとまた、こうご期待ということで。

のぶみ:おー! それは案あるんだ。

トンボ:そうなんですよ、またいろいろありまして。今日は西野さんも、もちろん。

西野:いや、僕はもう古い仲です。

トンボ:古い仲です、善さん。

人気ファッションデザイナーの悩み

西野:よろしくお願いします。何の話をされたんですか?

のぶみ:東京にめちゃくちゃにされてるって。

西野:家も完全に移したって。

中山善仁氏(以下、中山):そうそう。

西野:そうでしたっけ。

トンボ:要は単身赴任です。

西野:はいはいはい、なるほど。

トンボ:それで、いろいろちょっと悩むこともあるということで。

西野:何を悩むんですか?

トンボ:悩みといったら『会議を見せるテレビ』ということで。

西野:なにかみなさんからの意見をいただいたりしてるんですか?

トンボ:今は「どんなTシャツだったらいいんだろう?」というテーマでしゃべったりしてたんですけど。

西野:なるほど。

のぶみ:今僕が言った案だと、例えば、構図はわかんないけど、ハグをした回数がわかるTシャツがあったら話題になりそうだなとか。肩車したときに恐竜になるとか、何か絵と一致感があったら、おもしろいなとか。

何かちょっと取り上げられやすい、Facebookでも拡散できやすいようにしたほうが必殺技として、一つ広まるかななんて。

トンボ:そもそも何でそんな話になったかというと、善さんは今、原宿で受注会をやられてるんですけど。そこに、どれだけ人をたくさん呼び込むかというところで。善さんが作ってる服のファンの方もいますけど、やっぱりもっとたくさんの人に……。

西野:ファン以外の人にね。

トンボ:知ってもらうには、ここからどうしたらいいんだろうという話をしていて。

絵本を売りたいときは「西野を辞めます」

中山:例えば西野君とか、のぶみさんもそうですけど、けっこういろんな動きを取ってやって、いろいろ巻き込んでいくでしょう? 僕は結局、今まで服を必死に作って、展示会やってます、受注会やってます、さあ来てくださいということでしかないから。

2人の動きを見ていて、すごく不安になってくる。これは何か古いというか、真面目に実直にやってはいるんですけど、不器用過ぎるかなみたいなのもあって。ちょっと話を聞きたいと。

西野:僕は不器用ってすごくすばらしい、本当にいい言葉だと思うんですけど。何か服に興味ない人を巻き込む装置というか、そういうのがあったらもっといいですよね。

「俺は服に興味ないけど、あの服は買うか」みたいな。そういう興味がない人を巻き込む。僕はそもそもそうで、お笑いファンの数ってめっちゃ少ないなと思って。

僕はライブが好きなので、まず自分のライブに来るお客さんのパイを広げようと思ったときに、お笑いファンばっかりに向けたら、もう無理だなと思って。

全国でも個展をやりまくって、その出口で「お笑いライブ来てね」みたいなことで、来てもらってからライブに来るお客さんが増えたんです。たぶん1桁ぐらい増えたんですよ。だから興味がない人に見つかる装置みたいのがあると。

のぶみ:絵本ファンの人(だけ)に向けてやったらたぶん僕も無理なので。絵本ファンじゃない、絵本を買うの初めてみたいな人を巻き込んだときに広まるよなと。西野さんは、絵本作家なりましたと言って、けっこうテレビにも何個か。

西野:なんか紹介されました。

のぶみ:紹介されますよね。そのときにアマゾンの絵本ランキング見たんですけど。『オルゴールワールド』が上がってましたから。

トンボ:やっぱりそういうことですよね。

西野:何年前に出した本ですか。4年とか前に……。

のぶみ:でも調べたんですよ。だから結局……あれは絶対直前にやるべきですよ。『プペル』が出たとか。

西野:要は転職するってことでしょ? あれは別に。

のぶみ:もう1回やろうか?

西野:直前にやるとしたら、もう芸名を完全にハロウィンプペルにしてやろうかなという、そういう(笑)。「西野辞めます」みたいな。それはちょっとあれですけど。

のぶみ:そこまでやるんだ、すげーな。

西野:別にそれで飽きたらまた戻すし、みたいな。どれだけ怒られてもいいし、自分の名前だから別に迷惑掛けないでしょうから。

のぶみ:一生やるとは言ってないもんね?

西野:一生やるとは言ってない、名前捨てますみたいな。

のぶみ:名前捨てますって(笑)。

年間1,000万個売れる入浴剤

トンボ:写真に撮りたくなるようなものなら、SNSで勝手に拡散するからいいかなっていうことも思いますよね。

西野:絶対そうですよね。

のぶみ:そういうことなんだよね。今、ガチャガチャの話がけっこう進んできて。今、入浴剤のなかに、おもちゃが入ってるやつがあるんです。お風呂嫌がる子供が、入浴剤があるとお風呂に入るから。

年間1,000万個売れてるんですよ。この中に入れるものっていうのが、今けっこうありもんなんですよ。プーさんとかディズニー系のやつとか。だから、「これでしかできないものって何かないですか?」っていうお題を出されたりしてて。

西野:あー、なるほど。(コメントで)「キャラクターが着てる服着たいよ」って。

トンボ:でもそれって漫画のキャラクターとかが。

西野:そういうことかなあ。

のぶみ:たぶん、本当に知らないなっていうやつがいいと思うんですよね。

西野:そうですよね。

のぶみ:もう一瞬「それ何?」ってなるくらいのやつじゃないと、たぶん無理だと思うんだよね。

トンボ:これおもしろいですね。洗濯が楽しくなる服とか。この発想ってなかなかないですよね。

のぶみ:洗濯したら色が全部変わるとかおもしろいね。洗濯したら柄が出てくるとかね。

トンボ:洗濯による色うつりを意図的に狙う。

モノを売るためのヒントは“お土産化”

西野:でもやっぱり、服って今、ファストファッションみたいなのばっか。安い値段でいい服ってけっこう出回ってるし。

トンボ:そうですよね。

西野:そんな服が出回ってしまったら、みんなが服にあまりお金をかけなくなってくる。どうしたってそうなってきますよね。それで、服もほとんどの作品も全部同じ道を辿ってると思っていて、生き残る道はお土産だと思っていて。

服を服として出すんじゃなくて、服をお土産で出しちゃうみたいな。渋谷に行ったらあの服絶対買うよねみたいな。

だからお土産化するのに大事なのは、体験をまずデザインする。というのは、ディズニーランド行ったら、ミッキーのこんなの(カチューシャ)買うじゃないですか。

あれがどこかのデパートで売ってると言っても買いには行かないけれども、ディズニーランドに行ったら楽しくなって……。要は、お土産ってすごく必要で、なんで必要かと言ったら思い出を残すために必要だから。

思い出を閉じ込めるために、またそのときの思い出を思い出すために必要で、お土産って写真のアルバムみたいな働きをしていると思っていて。

服も絶対ここからはお土産化だと思っています。まず体験を売って、体験で人を集めて、その出口で服を置いているみたいな。

展示会みたいなその仕組みは、服を求めて行ってるじゃないですか。そうではなくて、そこに行ったら最終的に服がほしくなるみたいな。服っていうのは必要ではなくて、体験をデザインしたほうがいんじゃないかな。

トンボ:だから、本当に服とぜんぜん違うことをする。

西野:ぜんぜん違うことみたいな。