「政治とカネ」をどう変えていくか

司会者:本日はお集まりいただきまして、ありがとうございました。ただ今より、鳥越俊太郎さんの東京都知事選出馬会見を行わせていただきます。

本日司会をさせていただきます、鳥越さんの友人のフリーアナウンサー柴山延子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、鳥越さんよろしくお願いいたします。

鳥越俊太郎氏:今日は、お忙しい中、たくさんお集まりいただきましてありがとうござます。

それではこれから、東京都知事選の出馬に関する私のご挨拶をさせていただきます。

私、鳥越俊太郎、生まれは九州でございまして、東京ではございませんが、今でも九州の訛りが消えない東京都民でございます。30年くらいは住んでおりますので、一応、東京都民の資格は持っているつもりでございますが。

今日は、そんなに長い時間はかけませんので、だいたい3つくらいのことを申し上げたいと思っています。

まず第1に、やはり東京都政は猪瀬さん、舛添さんという2人の知事の時代に残念ながら政治とカネというよくある話ですが、なぜか2代続けてお金の問題で任期をまっとうすることができなかったという、こういう時代があります。

そのことによって、東京都政が大変な混乱に陥ったというのはみなさんご存じのとおりでございますが、そのことについてやはり、私はちゃんと受け止めて、どこに問題があって、私がもし、みなさんに選んでいただいてその任に当たることになったときに、なにに気をつけなければいけないのか、なにを心に留めておかないといけないのかということについて、まずお話をしたいと思います。

みなさんもご存じのとおり、近代市民社会というのは、基本的になにで成り立っているのか。これは私たち国民、東京都の場合は、東京都民が汗水垂らして働いて収める税金で成り立っています。

税金で東京都庁、東京都議会といった、行政府・立法府の役所が運営されている。そのことをまずしっかりと確認しなければいけない。

この税金という問題は、日本ではともすれば忘れられがちになってします。

これはなにも金を使う側のお役人や議会の先生方だけではなく、収めたほうも自分たちが収めたという意識が希薄になる。その結果として、権利の行使である投票率が今ひとつ上がらない、選挙の投票には行かない。つまりこれは税金を納めていることの権利として投票という権利が生じているわけでありますけれども、これを行使しない人が多い。

とくには、舛添さんの場合に典型的に見られるのが、私たちが、みなさんもそうだと思いますけれども、相当都税、区民税って払っていますでしょ? 僕も、「うわ~、こんなに払っているのか」と思いますよ。

この都税を使うときに、舛添さんが東京都民が汗水流して働いて収めた税金を使っているという意識がどこかもう飛んでいた。

だからこそ、外国行くときはファーストクラス、スイートルーム泊まるという、とんでもない税金の使い方をされてた。

こういうことはやっぱり、納税者意識と、それから税金で付託を受けているという、その意識がどこか希薄になっている。その結果としてそういうことが起きている。

これは、よく政治とカネという言い方をしますけれども、政治とカネという問題ではいい尽くされない、もっと深く言えば税金をどう使うか。そのことをどれだけ意識してちゃんと仕事、行政なら行政、立法なら立法の仕事にあたってるかということが問われているんだと思うんですね。

そのことを私はしっかりと、私は大学で歴史を学んできた人間として、やはり歴史的にこの税金、納税、英語で言うとタックスペイヤーということですけれども、この納税者意識ということをしっかりと私は胸に受け止めて、もし、結果を見ないとわかりませんけれども、そういう場に私が立つことになった場合は、そのことを十分心にとめて、仕事をしていきたいなと思います。

これはおそらく今後も続いていく問題ですから、大変重要な問題だと思います。

待機児童問題、少子高齢化問題にお金を使っていく

私は現在76歳になります。友人に言わせると76にはとても見えないと言われますけれども(笑)、実年齢は76歳です。

ということは残りの人生はですね、そんなにもうね、何十年もあるわけではない、と思ってます。残り時間はそんなにあるわけではないと思います。

私の残りの人生の、何分の1かを使って、もし、そういう任を、そういうチャンスを与えていただけたらですね、誠心誠意、力を込めて自分の力を東京と、住んでよし、働いてよし、環境によしと、この3つのよしを持つ東京都のために、私の全力を注ぎたいと心から思っております。これが第1に申し上げることです。

2番目にはですね、東京都というのはですね、ちょっとした国の、1国の予算規模と同じくらいの、大体今6兆6,000億円くらいの予算を組んでおります。

そのなかの税収は4兆なにがしかですけれども、それだけある意味では日本一、都道府県の中ではもっとも豊かなことは間違いないと思います。

それだけ大きなチャンスも転がっているし、輝かしい可能性を秘めた、東京都であると僕は固く信じております。

そのなかで東京オリンピック、パラリンピックというのは、4年後にやってきます。この東京オリンピック、パラリンピックというのは、こうした可能性を秘めた東京都として、全力を挙げて私はその任にあたりたいなと今は思います。

もしそういうことうをやれと有権者のみなさんに、ご支持をいただいたらですね、それは東京オリンピック、パラリンピックは、全力を挙げて輝かしい日本の、東京の存在を世界中に発信できるようにやりたいと思っております。

ただ、これだけの可能性を秘めた東京都ですけれども、一方しかし、そうは言いながらさまざまな問題が転がっているのも事実です。

例えば一時期問題になりました保育所、待機児童の問題がまだ未解決のまま残っております。どのように、手をつけて、解決するだろうと思われながらずっとその問題は続いております。こうした問題、それから貧困率というのはですね、16パーセント程度になっています。

就学支援でも区によってはですね、東京都内の区によっては、50パーセントほどの就学支援を受けなくてはいけないというような区もあります。そういう意味では、東京都は輝かしい一面、光を放っている反面、格差が進行して、やはり恵まれない方々がいることは事実です。

それは一方、言い方を変えますと少子高齢化にも通じているわけですね。日本全体が少子高齢化が進んでますけれども、東京都では若干出生率はほかのところよりは高いとは言われてますけれども。それでも当然まだ出生率1.4前後です。

これではとても人口を保っていくわけにはいきませんので、やっぱり結婚をして、子供を産んで、育てられる。そういう環境をぜひ作りあげたいなと。

これは、その気になれば、そんなに難しいことではないと思うんですね。だから、これは政策のどこに重点を置くかという、重点の置き方で変わってくると思います。

私はかねがね、これは国の問題でもありますけれども、もう公共事業はそろそろもういっぱいだと。公共事業で経済をよくするなんてことはやめようよと。

やはり今必要になっている少子高齢化の問題であるとか、待機児童の問題であるとか、介護の問題であるとか、日本の目の前に横たわっている問題にお金を使って、そこで経済を活性化していく。そういうことをかねがね思っておりますけれども。

東京都でも同じことが言えますので、ぜひその点は輝かしい、もっとさらに可能性を発展させる東京都にしていきたいなと心から思っております。以上は2つだいたい私の……。

出馬するというのは昨日の夕方決めたことなので、時間経っておりませんので、まだちゃんとした公約とかはできておりませんので、私は今ここで自分の頭で考えて話をしているわけですけれども。

いずれ、みなさんにはちゃんと選挙公約というかたちでお配りすることになると思いますが。とりあえず3つ目ですね。

戦争を知る時代の端くれとして憲法改正について考えていく

3つ目は、あえて、ということですね。あえて付け加えるなら、という表現になると思いますが。これは私なぜ東京都知事選に出ようかなと思ったのは、これはもちろん参議院選挙というのが前提にありまして。

参議院選挙の開票状況を見ておりまして、「日本も戦後70年間、平和な時代をずっと過ごしてきたのに、時代の流れがちょっと変わり始めたな」ということを参議院選挙の時に感じました。

これは日本全体の問題でもありますけれども、もちろん首都である東京都の問題でもあるわけですね。

そのためにはちょっと国全体がそういう流れに変わり始めてる、舵を切ってるというところに、少し私は自分なりに流れを少し変える、元に戻すような力になれば。それを東京都というところから発信できればすばらしいなと思いました。

これはあえて付け加えさせていただいております。私は昭和15年の生まれです。終戦の時20歳でした(注:終戦は昭和20年、鳥越氏は5歳)。もちろん空襲も覚えてます。防空壕に逃げ込んだこともよく記憶しております。

したがって、戦争を知る最後の世代として、そして戦後昭和21年に小学校に入りましたので、戦後第一期生として、戦後の平和と民主主義の教育のなかで育ってきた第一期生として、やはり今申し上げたようなことは、あえて言いませんでしたけれども。

あえてここで戻って言いますと、憲法改正ということが射程に入ってきているということが参議院選挙のなかでわかりました。

これはもちろん日本全体の問題ですから国政の問題です。だから「東京都政の問題とそれは関係ないだろう」という方もいらっしゃるかもしれませんが、東京都は日本の国の首都ですから、当然東京都も大いに関係があるわけですから。

そういうことで、私は私なりに戦争を知る時代の端くれとして、そのことを申し上げて、東京都民のみなさんにもそういうことを訴えて、ちょっと参議院選挙とは違う結果が出ればたいへんうれしいなというのが私の気持ちです。

だいたい予定の時間になりましたので、一応私から申し上げることはこれくらいにして、みなさんのご質問を受けたいと思います。

以上です。ありがとうございました。