東京都の帰宅困難者問題の対策

記者8:新宿新聞のキダです。先ほど直下型大地震についての対策ということをおっしゃっておりましたので、ひとつ、こういうことはどう考えていらっしゃるかをお聞きしたいと思ってます。

あの、帰宅困難者問題なんですね。90万人とも言われる帰宅困難者問題、一時滞在施設を確保しないと行き場がなくて、大変大きな問題になっちゃうと思います。帰宅困難者対策について、なにかお考えがあれば教えてください。

増田:この帰宅困難者は、3.11のときも大変大きな問題になりました。したがって、民間のビル所有者のみなさん方のご理解をいただいて。できれば今いらっしゃるところにしばし留まっていただく。滞留していただくというのが必要かと思います。

なにしろ都内でおそらく消防庁を持ってる消防車も650〜660台でしょうし、救急車は240〜250台しかないわけですから。それがいろいろなことで走り回るということなので。

帰宅困難者はおそらく身体的には元気で。ただ自宅に早く帰らねばという思いのみなさん方だと思うんですが。そういう人たちにとりあえず初動動作はお近くのところで留まっていただいて、非常に緊急性の高い人たちの救助・救援が必要だろうと思います。

これは、そうは言っても、どこにいらっしゃるかにもよるんですが。とくに大きなロビー等があるようなビルの所有者のみなさん方にご協力いただいて。

そして、備蓄している水だとか食料を提供していただくということになると、救援活動もだいぶまた整備されるのではないかと思いますので。

まず、帰宅困難者の方に対しては、民間のビル所有者など、場合によってはマンションなどの利用ということもあるかもしれませんが、そうしたことを進めていくことがまず第一。

それから、あまり長くするとあれですけど、鉄道事業者などのJRが3.11のときはドアを閉めてしまいましたが、そうしたことのないように、交通機関の対応もきわめて重要だと思います。

待機児童8,000人の解消に向けた取り組み

記者9:NHKのナカジマです。よろしくお願いします。最優先で取り組みたいと言った待機児童の関係でお聞きしたいんですけれども。前の舛添知事もこの目標を掲げていて、4年の任期内に8,000人の待機児童解消と言っていたんですが。

増田さんの場合は、この「早期解消」の早期というのはどれぐらいを目処にされてるのかと。あと、この「8,000人」というのは「8,000人が入れる保育所を作る」という意味なのか、それとも「完全に0にする」ということなのか、どちらか教えていただけますか?

増田:この問題については、実は待機児童をどう考えていくかというのは、待機児童が解消されると、新たな需要を呼び起こすということで、数値が……。

今待機していらっしゃる方々の需要に答えるということだけでは不十分。その後、入っていらっしゃる方々の行動も含めて考えていかなければなりません。

したがって、私はその8,000人、実際にはおそらくもっと多いと思うんですが、その人たちを何年までに解決するということは、実は必ずしもこの問題の本質ではないのではないか。

むしろ、企業での育休制度や保育制度をしっかりと作って、それでうまく保育所利用と、それから自宅での育休を活用した保育制度を組み合わせるとか。そうしたやり方が必要であって。

なにも舛添さんは何年までに、例えば仮に8,000人の解消を約束したと。私は早期にということで、それを曖昧にしている、あるいはもっと先延ばしするのではないかということでは決してなくて。もしそういう人たちが苦しんでいるのであれば、より早くこの問題に全力をあげていくべきだと思っています。

先ほど言いましたように、その預ける側の状況だけでなく、そこで働いている、多くは若い保育士さんたちですが、その人たちのそもそも処遇の問題等もありますので、両面含めて、これはやはり区ごとにきめ細かくどういう対応ができるかを考えていく必要があると思います。

したがって、現場の声を聞くと、そのあたりについての話ですとか対応が十分かどうかもう少し都が全面に出ていくべきではないか。

それから、都内の区部でも大規模団地で古くなって、その再生が急がれるものがありますが。そのほか、多摩地区にはかつて作った大変大きな大規模団地がありますから。ああしたところでの保育所の設置なども急がれると思います。

言わんとすることは、舛添さんもこの話題については一生懸命取り組まれてたんだろうと思いますが、いかんせん就任時期が短かったんですが。

なにしろ大変重要な急がれる問題でありますので、先ほど私も数値を書いておりますけれども、その内容については幅広く考えていきたいと思います。

記者9:有権者からすると、仮に当選された場合、4年後に評価をするときにはどういう点で判断してもらえればいいと思っていらっしゃいますか?

増田:マニフェストの関係で言えば、数値目標が1つ大きな判断材料になりますので、それも何年でどの程度解消したと。

それから、きちんと分けられるかどうか難しい部分がありますが、一方で、そのことによって新規需要をもし掘り起こしたということであれば、それはより若い人たちにとって、その地域が魅力ある地域に変わってきてることでしょうから。

そうしたことも含めて、いずれにしても、知事の4年間の業績は必ずどういうものであったかということを有権者、都民の方にお知らせしなければいけませんので、その具体的な数値を入ったお知らせの仕方はもう少し考えたいと思います。

1つの8,000人というのはもうすでにここに書いてるものですから、これをもとに評価していただいてけっこうかと思います。

東京一極集中の問題は今後どうする?

記者10:朝日新聞のイワタといいます。先ほど東京一極集中についてのご質問が出て、少しお答えをスライドさせているのかなという気がしたので、もう一度お尋ねさせてください。

先ほどの質問でも「これまで東京一極集中を避けるために、人を地方に移すべきだという主張をされてきた。それは変わらないのですか?」という質問がありました。もう1回明確にお答えいただけますか?

増田:人を地方に移すということは、私はあのなかでも、なにか強制的な措置でやるということを言ってるわけではありません。

今、東京が明らかに転入超過になっている。それは、それをもたらすさまざまな問題があるということで、働く場、大学の場ですね。そうした問題があると。一方で、東京に来た若い人たちは先ほど来あるような、保育の問題ですとか介護の問題がある。

ですから、なにか東京に塀を立ててそこで入ってくるなとか、あるいは東京から移していくんだということは、政策としてはこれは無理ですし。

そういう動きを戦後一貫してもたらしている、バブル崩壊の2年ぐらいを除けば、ずっと東京一極集中、転入超過になってる、その動きをもたらしてる背景の問題を解決していくべきだと、このように申し上げたわけであります。

記者10:もちろん、当時から強制的に出すという話ではないということは散々おっしゃっていたと思います。

おっしゃっていたのは、「地方の中核都市あたりでとどめるというようなことをすべきではないか」ということだと思うんです。「地方からの若い人の転入をとどめることができないか」という主張だったと思うんです。そこは変わらないんでしょうか?

増田:そこは私は、各自治体がもうすでに総合戦略で努力していて、どういう魅力ある働く場を作っていくか。

今回東京都のさまざまな政策を私なりに見ましたけれども。自治体の地方のほうに改めて聞きますと、昨年あたりも都の幹部の方が全国、「自分の県にも来ました」ということで、新たなビジネスチャンスを掘り起こす意味で地方との協力を提案してきた。

それで東京都の新しい仕事につなげていく、それが地方の仕事につなげていくことにつながるんですが、そうした提案をしてきたと言っておりました。

東京をさらに広くしていくうえでも、例えばそういう地方の中核市などの企業や取り組み、それと一緒にすることが、地方にとっても東京にとっても将来につながることではないかと、そういう話を聞いております。

ですから、この問題について、私は都知事としてこれから政策をやっていくうえで、さまざまな機会・チャンスを東京の企業の人たちが得るためには、もう全力を尽くしていくと。

それは今までのやり方をしていると、おそらく東京も労働力が今度は地方から来なくなると、東京が本当に立ちいたってしまうんですね。よく外国人の問題をどうするかといったようなことも問われてしまいますが。

ですから、そこを新しい展開を考えていく必要があると思いますので、今申し上げましたように、両方でのきちんとした協力、連携のようなことをこれから模索していくことが非常に東京にとっても大事なことです。

私はそのことはこれから十分に、東京と地方の連携ということは、問題の解決のために可能であろうと思っています。

ちなみに、この間サイトを見ておりましたら「ビジネスチャンス・ナビ2020」というものを立ち上げてですね。

東京のオリンピックの切子のデザインをした、ああいったものを出すときに全国の自治体から応募すると、それ自身非常に新しい仕事に、地方でもつながっていくし、東京もそれによって新しい技術を得て、より広がっていく。

ですから、私はこれから、閉じられたなかで東京と地方が取り合いするということでは、日本全体のパイを広げていくことにつながっていかないし。

それから東京は東京であくまでも世界の首都ですから、ほかの国の首都にも勝ち抜いていかなければいけません。そうした東京の今までにないやり方というのを、これから作っていく必要があるだろうなと。

少し長くなってしまいますけれども、5年前に震災を経験して、被災地は本当に火が消えたようになりましたけれども。そのときに、このまま東京も消えてしまったら、日本は完全にダメになってしまうと。

やはり、もっと地方とそれから東京都のお互いの、例えばビジネスでも、それを広げていくような知恵をこれから出していかないといけないなと改めて思ったところであります。

記者10:関連なのでもう1つ。先ほどの地方法人特別税ですとか、外国人参政権の件もそうですが。お立ち場によっておっしゃることが少し変わっていらっしゃるのかなと思っているのですが。

増田:それは物ごとの内容に。地方参政権であれば、やはり地域のいわゆるコミュニティに参加してるかどうかの話でありますので。ですから、やっぱり地域の声を十分に聞くと。そこの声が一番反映されるべきだと思います。

それから、あと法人2税については、当時と、中央と地方の税収格差の問題もまたやはり違っていると思いますので、やはりそのことは、これから東京でどういう財政需要があるのかということを念頭に考えていくべきだと思います。

東京オリンピック・パラリンピックの巨額の費用問題

記者11:テレビ東京のオオタと申します。今、さまざま東京が抱える課題についてお話いただきましたが、増田寛也さんが東京都知事になった場合、なにに最も一番力を入れていきたいか。1つお教えください。

増田:具体的な……。先ほどで言えば、3つの不安の解消を申し上げました。それと同時に3つの成長ということを申し上げました。

そのような仕事のプロセス、そして成果を日々積み上げていくことによって、都政の失われた信頼回復、これに努めていくことが一番大事なことかと思います。

記者11:あと今、東京オリンピック・パラリンピックに関して、巨額の費用問題が持ち上がっています。増田さんとしましては、こちらに関して、もう一度見直し・縮小するような、そういったようなお考えはございますでしょうか?

増田:実際にこの内容について、よく説明を聞かないと判断ができない部分があります。いろいろ調べてみましたが、外にまだどの程度の総額費用がかかるのか。舛添さんなどの発言見ても、以前よりはかなり膨れ上がるようですが。

一方で、組織委員会のほうで聞くと、あるいはいろんな企業からの収入で得られるものというのはどうも限度があるようです。その返りがどの程度がどの程度あるのかは、まだ私もよくわかりません。

したがって、基本的な考え方はできるだけ都民の負担を低減すると。それから、あとやはり大会を成功させることでありますが。その内容についてはまたよく精査したい。なかに入って聞いてみたいと思います。

記者11:ということはつまり、今現在はまだ具体的なお考えはないという?

増田:ですから、今は都民のみなさま方の負担をできるだけ重くないものしていかなければいけないと、こういうことなのだろうと思いますが。

総体の、どの程度の事業になるのかということが外からはよくわかりませんので。おそらくもっと早く詰めが行われてしかるべきだったのでしょうけども、トップがいなかった等々の問題で遅れているのだと思いますので、早くその問題を聞いて。

これは、組織委員会と、それから国と、それから招致を先頭に立ってした東京都のそれぞれの考え方をすりあわせをするということでしょうけれども。

きちんと成功させる、それから大会を立派にやるということと、そしてこのレガシーをそのあとに残すためのものとしてどういうことをしていくのか、これはもうとにかくなってからいろいろ聞いて判断したいと思います。

座右の銘は“一期一会”

記者12:産経新聞のタカハシと申します。少しやわらかい質問で恐縮なんですけれども。座右の銘を教えていただければと思います。

増田:座右の銘……。う~ん、一期一会ですかね。とにかく人生長いですけれども、そのなかで縁をいただいた人、そのことを大事していかなければいけないといけませんし。

そのいただいた、そういう縁を、人と人のふれあいですとか、縁をとにかくきちんと受け止めて大事にしていくということが必要かと思います。

あれですが、プロフィールのところに多少、あれですね、じっと考えてないから。座右の名を考えればよかったんですが。こういうことでありますので、ここから私のなりを推測していただければと。

高齢者問題への早期対応策

記者13:日本経済新聞のタキノです。2つおうかがいします。高齢化の部分も最初にあげられましたけれども。その部分で具体的にどう取り組むかというのをもう少し教えていただきたいのと。

もう1つ、都庁のガバナンスという点で、舛添前都知事が最後に副知事を4人選ばれて辞職されましたけれども。その副知事についてどう考えているか?

増田:副知事?

記者13:副知事。舛添前都知事が知事補佐官という制度を導入しましたけれども。そういったガバナンス面のことについて、どうお考えでしょうか?

増田:まず高齢化の問題についてです。10年以内に東京の場合には50万人増えると。率にすると、たぶん30数パーセントですが。

私の行政経験からすると、これは後期高齢者の方の増加ですけれども、10年も立たないうちに30数パーセントある集団が増えていくというのは、これはなかなか解決策、大変だと思います。

とくに団塊世代が75歳以上になるということが、この主たる原因ですけれども。これは2022年から始まっていくので、2025年に全員がそこに突入するということでは対応遅いんですよね。

したがって、オリンピックが2020年ですが、一方でそれを行いつつ、今から高齢化対策にしっかりとした道筋つけておかなければいけないと。

そうすると、施設について、都内ではもういろんな施設を作ったりするのは難しいわけですが。もちろん地域包括ケアということで、地域のさまざまな医療・介護等々の連携を進めていくということが理想ですが。

施設を増やすのをより工夫をして、団地の再生等でやっていくと同時に、やっぱり働き手の確保が非常に難しくて。

都内では、私は見てますが、埼玉あたりにいくと、施設自身に部屋はあるんだけど、介護福祉士さんがいらっしゃらなくて、募集してもいらっしゃらなくて、その部屋を開けざるをえないという話も聞きました。

ですから、これは処遇の問題もあって、なかなか若い人たち定着しないということですが。お元気な年配の方でもまだまだバリバリ働くことができる方々いますし。

入浴・介助などでいろいろ負担が大変だという話もありますが、そこは介助補助器具のようなものを活用すれば、他年度にわたって福祉士さん、あるいはその補助をする立場で活躍できるのではないかと思います。

したがって、施設の問題、それからそこで働く方、そして周辺の地域力のようなものですね。それをよりきめ細かく一つひとつやっぱり考えていく必要があるだろうと。

介護保険というのは、ご承知のとおり、市町村単位なので、市町村ごとのお考えがあると思いますから、それを最大限尊重して、それでそれを都が後押しをすると、こういう姿勢で考えていきたいと思います。

舛添前都知事が任命した副知事4名について

記者13:ガバナンスについては?

増田:あ、ごめんなさい。失礼しました。ガバナンスについては、副知事さんは、まさにこれは当選したときに考えるべきことですが。

この間の舛添さんの最後の問題でごたごたしたときに、たしかもう辞めるとおっしゃってから、副知事人事を新たに4名、1名オリンピック・パラリンピック担当を追加して、1名か2名が再任で、あとは新規の方だったかと思いますが。おそらく新しい任期が始まっているので、そういった状況も含めて考える必要がある。

今はトップが長らく欠けていて、それを職務代理者とほかの副知事さんで支えてるわけですよね。大きな判断はできてないわけですが、日々の都政自体はきちんと行われていますので。

それなりのしっかりとした能力をお持ちになっている方が副知事になってると思うので、そういった、今の人員を尊重していいのではないかなと私は思ってます。ちょっとそこはまたよく、仮にそうなれば考えたいと思います。

司会者:それでは時間となりましたので、会見このあたりで閉めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

増田:どうもありがとうございました。またどうぞよろしくお願いします。