政党に対して推薦を求めていくのか?

司会者:それでは質疑を受けたいと思いますので、挙手をお願いいたします。

記者1:記者クラブの幹事の日経新聞です。幹事から冒頭、2、3問質問させていただきますのでよろしくお願いします。まず、出馬表明、あるいは正式な立候補も含めて、いろいろな方が都知事選に挑戦されていらっしゃいますけれども。宇都宮先生のご自身の強み、ほかの候補にはないご自身のこういうところが魅力であるという点がありましたら、まずそのあたりをお願いします。

宇都宮健児氏(以下、宇都宮):私は弁護士でして、現場で現に悩みごとを抱えている人、困りごとを抱えている人の相談に乗ってきたということです。それで、都民、住民の困っている問題について、肌感覚でそういうことが受け止められて来ているということは、私の強みかなと思っています。

記者1:2問目は、前回、前々回と比べて、今回は政党からの具体的な推薦、あるいは支援ということが具体的には得られていない段階ですけれども。今回、そういった状況のなかで、出馬に立候補された理由ですとか、あるいは政党に対して推薦を求めていく予定というのはございますでしょうか?

宇都宮:前回も前々回も、こちらの都庁の記者クラブで会見をさせていただきましたけれども、そのときはまったく同じように政党の推薦は得られていない状況だったんです。

その後、政党の支援要請もありまして、いくつかの政党から支援・推薦を受けた次第であります。

現在は、参議院選挙が昨日終わった直後で、とりわけ野党のみなさんがどういう対応をされるか、というのは、まだ今、私どもは把握しておりませんけれども、この会見の後、野党各党をまわって、支援要請をしたいと考えております。

記者1:都議会との関係についてうかがいます。前回、舛添知事は都議会から不信任決議案を出されるという段階になりまして辞職をされました。

今回、立候補を表明されている方には、対話路線を打ち出されている方や、ブラックボックスだと称される方もいらっしゃいます。都議会へのスタンスについて、宇都宮先生はどのようにお考えですか?

宇都宮:中央自治というのは二元制なんですね。知事も直接選挙で選ばれますし、都議会のみなさんも選挙で選ばれます。どちらも都民を代表した制度ですので、都議会のみなさんも、なぜ都議会の議員になっているかというと、やはり都民の生活よくしたい、都民の暮らしをよくしたいとという点では一致できるんじゃないかと思います。

私は先ほどもお話ししたような、都民が今、困っていること、問題だと思っていることが解決できるような政策を提案しているんですけれど、これはちゃんと話していけば、都議会のみなさんも共感を得られる、理解を得られるんじゃなかと思いますので、まずは都議会のみなさんの理解を得るために全力をあげて努力したいと考えております。

統一候補が決まったら公開の場で議論したい

記者1:幹事からは以上です。各社質問する際には、社名と名前を名乗った上で質問をお願いします。

記者2:フリーのヨコタハジメです。今、野党に統一候補擁立の動きがあって、検討中で古賀茂明さんとか石田純一さんの名前が出ているんですが。野党統一候補が決まった場合には、どうされるのか? 降りる可能性があるのか? 例えば、制作スタッフとして加わるのか。あるいは公開討論会みたいなものを経て、調整するのか? そのへんについてのお考えをおうかがいしたいです。

宇都宮:私は、都知事選のなかでは政策が極めて重要だと思っています。どのような政策を掲げて、都知事選を戦えるかということが大切だと思いますので、野党統一候補がもし決まったのであれば、ぜひその方と公開の場でお話をしたいなと。併せて、政策の議論もやりたいなと考えております。

記者2:関連ですけれども、政策論で必ずしも勝てる保証はないと思うんですが、野党共闘で、野党統一候補の枠組みが優先される場合もありうるんじゃないかと思うんですけれども、そのへんについてはどうお考えですか?

宇都宮:野党共闘も、野党共闘を代表して出される方も、基本的には都政を変えていきたいということで出られるんだと思うんですよね。そうすると、都政についてどのような考え方を持っていて、それから都政をどういう風に変えるかというのは、これは極めて野党のみなさんも、統一候補の方も極めて重視されるんじゃないかと思いますので。そのへんのお話とか、そのへんの議論をまずやりたいと考えております。

それでそのあと出られた候補がいらっしゃったんですけど、私たちはそのときも同じような働きかけをしたんです。

ぜひ公開の場でいろいろ意見交換をしたいんだということだったんですけど、残念ながらそういうことは実現できませんでした。その候補者とも私たちは会うことができなかったんです。

今回はぜひ、候補者が決まるならお会いして、真摯な態度でお話をしたい。政策についても議論をしたいと考えております。

記者2:ありがとうございました。

税金の使い方は都民目線で変えていく

司会者:どうぞ。

記者3:フジテレビのマチノと申します。先ほど、都の税金の無駄をなくすとおっしゃっていましたが、宇都宮さんから見て、具体的に現在この部分が無駄であるということがあれば教えていただきたいです。

もう1問が、舛添前都知事の政策の継承についてどうお考えかということで、例えば虎ノ門にあるシャンゼリゼプロジェクト等について今後どのようにしていきたいか、お考えであればお聞かせください。

宇都宮:まず、(税金の)無駄の問題は、舛添知事が辞職にいたった要因の1つとして、公用車の私的な使用とか、高額な海外出張ですね。こういうのは、まさに都民が納めた税金を使ってやってるわけですから、そういうことは改善しなきゃいけない。無駄を省く対象に当然なると思っております。

私はその問題については、舛添都政だけではなくて、猪瀬都政、石原都政から続いてきた問題ではないかと思っておりますので、やはり、税金を使った海外出張のあり方、公用車の使い方等においては、都民目線・生活者目線で変えていかなければならないと思っております。

それから、税金の問題については、2020年オリンピック・パラリンピックが行われますけど、すでに東京都は施設準備の関係で2,400億円のお金を負担することになってるんです。

ところがこれがどれだけ膨れ上がるかわからないんです。もし、2,400億円もあれば、それを全部つぎ込めば、待機児童の問題は一気に解決することができます。

それから、石原・猪瀬都政で都営住宅は1戸も新規建設はなされてませんけど、2,400億円もあれば、2万個戸近くの都営住宅を建設できるんです。

そういうオリンピックについては、できるだけコンパクト・シンプルなオリンピックにして、無駄なお金を使わないようにして、浮いたお金は都民の暮らし・福祉に使いたいと考えております。

それから、いろんなこれまでの都政で続いたのは、道路を作るとか、鉄道を作るとか、あるいは公案を作るとか、さらには都心部に集中的な再開発をするとか、こういうことが中心的な都政となってるんですね。

舛添都政の場合はオリンピック中心の政策・外交だったと思いますけども、今都民には待機児童がいっぱいで、子供を預けられない、あるいは特別養護老人ホームに高齢者が入れない、貧しい家庭の子供が大学に行きたいけど高い授業料で行けない。こういうことにはどちらかと言うと目がいかなかったんです。

だから、都心の再開発とか道路網の建設、そういうことについては一度チェックして見直さなければいけない。本当に必要な開発なのかどうかということです。

先ほどお話しましたように、もちろん道路の建設とか必要ですけども、地方自治法によれば、地方自治体の最大の任務というのは、「住民福祉の増進」なんです。

住民の暮らしをよくするというのが本来の仕事であって、そこをなおざりにした都市開発とか、道路の建設なんかは、とりわけ住民が反対運動をやっているところについては、住民の話もよく聞いたり、現地を視察したり、一つひとつ再点検する必要があると考えております。

まあそういうかたちで、無駄を省いていきたいと考えております。

前回、前々回よりも前進している

記者4:フリーランスのハタケヤマと申します。宇都宮さんは2012年と2014年の2回、都知事選に立候補されまして、2012年は96万票、2014年は98万票と獲得されています。

ただ、投票するためにはこの倍近くの票を獲得しなければなりません。もちろん選挙はやってみなければわからなくて、その前提で聞いているんですけれども、先ほど政策論争をして選挙戦を戦いたいとおっしゃいましたけれども、前回・前々回から大きく票を上積みするような政策の変化というのはなにかあったんでしょうか。

宇都宮:私たちの基本的な政策は変わってないと思います。やっぱり一番重視するのは、都民のための都政をしていくと。

ただ、この訴えが少しずつ都民に浸透しているんじゃないかなというのを感じております。それは前々回の猪瀬さんの政治とカネの問題、2回目は同じように舛添さんの政治とカネの問題。

そういうことによる都政に対する絶望とか不信、失望が都民の中に広がっております。街を歩くと、見知らぬ人からよく声をかけられるようになっております。

「舛添さんがあんな人とは思わなかった」と。「母親の介護をやって、厚労大臣をやって、福祉のプロだと言われているから私は(票を)入れたんだ」と。

「今度宇都宮さんが出たら、あんたに入れるよ」というのを何人にも声をかけられています。1回目と2回目は、票数は同じなんですけれども、投票率はぜんぜん違うんです。

2回目の選挙はご承知のように、前日に大雪がありまして、投票率が50パーセントを切ってるんです。だから1回目の投票率と同じであれば、私の得票というのは135万票くらいなんです。明らかに1回目よりも前進している。

それから今の状況だと、感覚としては2回目よりもさらに今のほうがよくなっていると感じております。

3回出た候補者がこれまでいたかどうかわかりませんけど、3回チャレンジすることによって、候補者である私自身も鍛えられてますし、一緒に戦ってきた選対のメンバーも鍛えられてきた。その分、運動の輪が広がっていると感じております。

記者5:フリーランスのイシザカと申します。2点おうかがいしたい点があります。前回、参議院の市民会館で行われた市民連合の方たちが、知事選で統一候補を出したいという集会があったのですが、一部の方から、「なぜこの場で宇都宮さんの名前が出ないのか」というご指摘がありまして、その際に出た意見として、「宇都宮さんの選対は独善的である」という指摘をされる方がいらっしゃいました。そのことについて、選対の見直しというか、ご検討があるかというのをうかがいたいです。

宇都宮:選対の中心メンバーは1回目から変わっていないと思います。ただ、2回目の選挙のときは、ボランティアの登録をした人たちが1回目のときより2倍か3倍に増えています。のべ2,000人の方がボランティア登録をされていますので、中心メンバーは変わっていないんですけど、選対の層はどんどん厚くなっていると思います。

また、独善的であるという批判は、もしそういうところがあったら謙虚に受けなければいけないとは思うんですけれども、先ほどお話ししましたように、前回の選挙は反原発ということでは細川(護煕)さんと(意見が)分かれたんですけど、細川さんの陣営に対しては、何回もお話とか公開討論を呼びかけてるんですけど、残念ながら実現できなかったという経緯があって、話し合いを一切拒絶したというわけではないんです。

それはご理解をいただきたいし、都知事選というのは有権者も非常に多いですから、大きな運動を組まなきゃいけないので、私たちもさらにひと回り、ふた回り大きな運動にしていきたいと思いますので、そういう意を汲んでいただきたいと思います。